【改正民法債権編】定型約款についてのみなし合意

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、定型約款についてのみなし合意について考えてみたいと思います。

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定型約款についてのみなし合意

定型約款の法的拘束力の根拠としてのみなし合意を規定

 

◆みなし合意の要件
旧法では、約款に法的拘束力が生じる根拠が明確ではありませんでした。

新法では、定型取引を行なう合意をした者は、一定の要件を満たす場合には、定型約款の個別条項についても合意したものとみなす旨を規定し(新法548条の2第1項)、定型約款の法的拘束力の根拠がみなし合意にあることを定めました。具体的な要件としては、以下のいずれかに該当する場合に、合意がみなされます。
【みなし合意の要件】
①定型約款を契約内容とする旨の合意をしたとき(新法548条の2第1項1号)
②定型約款準備者が、あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき(同2号)

上記①のケースとしては、定型取引に合意した者が、定型約款準備者と面談やインターネットを通じたやりとり等によって定型約款を契約の内容とすることに合意した場合が該当します。

なお、合意を得る方法として、ウェブページでも、定型約款を契約内容とすることに同意する旨のボタンをクリックしてもらう方法も可能です。

上記②のケースは、定型約款準備者が、相手方に定型約款を契約内容とする旨の記載ある書面や電磁的記録等をあらかじめ提示・提供する方法によるものです。この場合には、相手方が当該定型約款を契約内容とすること自体に合意をしていなくても、定型約款の内容が法的拘束力を持つことに留意が必要です。

なお、電車やバス等の旅客運送取引、高速道路等の通行取引等については、定型約款準備者が定型約款を契約内容とすることの「表示」すら困難といえます。
そこで、このような定型約款準備者による相手方への表示すら困難であり、かつ、取引自体の公共性や定型約款の契約内容化の必要性が高い取引に関しては、特別法(鉄道営業法、道路運送法等)において、あらかじめ定型約款を契約内容とする旨の「公表」をしていれば足りるとする旨の特例規定が設けられます。

 

◆不当条項規制
上述した通り、定型約款を契約内容とする旨の表示を相手方が見ていなかった場合でも、表示があればみなし合意が成立するという点で、定型約款の法的拘束力は強いものといえます。
ただし、どんな内容であっても契約内容とする旨の合意や表示をすれば法的拘束力が認められるというものではなく、相手方の利益を一方的に害する条項については規制が定められています。

具体的には、定型約款に含まれる条項のうち、
①相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、
②その定型取引の態様およびその実情ならびに取引上の社会通念に照らして信義則(法1条2項)に反し、相手方の利益を一方的に害すると認められる条項
については、当該定型約款の個別の条項について合意をしなかったものとみなされます(新法548条の2第2項)。

条項の内容の不当性については、取引の実情や取引上の社会通念に照らして判断しますが、ここで重要なのは、信義則に反するか否かの判断にあたっては、当該条項そのものだけではなく、取引全体に関わる事情を取引通念に照らして広く考慮することです。

したがって、当該条項そのものは相手方にとって不利であっても、取引全体を見ればその不利益を補うような定めがあれば、全体としては信義則に反しないと解されます。

なお、新法548条の2第2項によってみなし合意から除外される条項がある場合でも、除外対象以外の条項については、みなし合意が維持されることに留意が必要です。

【改正民法債権編】定型約款の定義

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、提携約款の定義について考えてみたいと思います。

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定型約款の定義

民法の規律対象となる約款を定型約款とし、その定義を規定

 

◆提携約款とは
現在、電気・ガス・水道等の供給取引や、鉄道等の旅客運送取引等、市民生活にも関わる大量の定型的な取引に関しては、効率的な取引の推進のために、契約の一方当事者があらかじめ一定の契約条項を定めた約款を用いた取引が行われています。

しかしながら、旧法では約款に関する明文の規定がなく、約款に法的拘束力が認められる根拠や範囲が明確ではありませんでした。
新法では、民法の規律の対象となる約款を「定型約款」とし、その定義を「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。」と定めました(新法548条の2第1項)。

 

◆定型約款の要件
定型約款に該当するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
①定型取引に関するものであること
①-1不特定多数の者を相手方として行う取引であること
①-2当該取引の内容の全部または一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること
②契約の内容とすることを目的として作成された条項の総体であること

まず①-1の「不特定多数の者を相手方として行う取引であること。」とは、相手方の個性に着目せずに行う取引であることが前提とされています。したがって、労働契約の契約書のひな型は、相手方の個性に着目して締結されるものであるため、定型取引には該当しません。

次に①-2の「当該取引の内容の全部または一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること」とは、不特定多数の相手方との取引内容の全部または一部が画一的であることが通常であり、かつ、一方当事者の準備した契約条項の総体を、相手方がそのまま受け入れて契約を締結することが取引通念に照らして合理的であることをいうとされています。

以上を前提にすると、製品の原材料の供給契約等の事業者間のみでの取引に用いられる約款や契約書のひな型は、基本的には定型約款には該当しません。その理由としては、次の3点が挙げられます。
①この類の取引では相手方の個性に着目したものも少なくないこと
②契約内容が画一的である理由が単なる事業者の交渉力格差による場合には、契約内容が画一的であることが相手方にとって合理的であるとはいえないこと
③契約内容を十分に吟味するのが通常であると言える場合には、「契約の内容とする」目的があるとはいえないこと

一方で、事業者間の取引であっても、預金規定や一般に普及しているコンピュータのソフトウェアの利用規約等に関しては、定型約款に該当することになります。これらの規定等は、相手方の個性に着目しているものではなく、契約の内容が画一的であることが通常であり、かつ、相手方が準備された契約条項についてそのまま受け入れて契約を締結することが取引通念に照らして合理的であるといえるからです。

 

◆定型約款の該当性は個別判断
以上より、定型約款の該当性は、単に、事業者間の取引であれば定型約款に該当しない、事業者と消費者の間での取引であれば定型約款に該当するというように、主体によって判断できるものではありません。
相手方の個性に着目せずに行う取引であるか等、新法548条の2第1項に定める要件を充足しているか否かを個別に判断すべきであることに留意が必要となります。

【改正民法債権編】契約の成立

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、契約の成立について考えてみたいと思います。

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契約の成立

契約自由の原則の明文化や契約の成立時期の到達主義への統一など

 

◆契約自由の原則
契約自由の原則には、以下のものが含まれます。
①契約を締結するか否かの自由(契約締結の自由)
②契約の相手方を選択する自由(相手方選択の自由)
③契約締結の方式の自由(方式の自由)
④契約の内容を決定する自由(内容決定の自由)

しかし、旧法ではこれらに関する明文の規定はありませんでした。
新法では、まず、新法521条1項において、法令に特別の定めがある場合を除くとの留保はあるものの、このうちの①契約締結の自由と、②相手方選択の自由を定めています。
また、同様に、同2項は④内容決定の自由を、新法522条2項は③方式の自由を、それぞれ法令の範囲内で認める旨を定めています。

 

◆契約成立の基本原則
新法522条1項は、契約が「申込み」と「承諾」の合致によって成立することを明文で定めました。ここで、「申込み」は、「契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示」と定義され、相手方の申込みを促す事実行為である「申込みの誘引」とは異なり、申込みに対して相手方の承諾があれば即座に契約が成立することが定められています。

もっとも、申込者の意思表示または取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に契約が成立します(新法527条)。

 

◆隔地者間の契約の成立時期の到達主義への改正
旧法では、隔地者に対する意思表示は相手方に到達した時に効力が生ずるとしていますが(旧法97条1項)、隔地者間の契約は承諾の通知の発信時に成立するとしていました(承諾通知の発信主義、旧法526条1項)。

これに対し、新法では、承諾を含めた意思表示の効力は相手方に到達した時に生ずると定め(新法97条1項)、契約の成立時期を承諾の通知の到達時としました。
通信手段が発達し、発信から到達までの間の時間短縮が可能となったため、承諾の意思表示についても到達主義へと統一したものです。

 

◆契約の申込みの撤回権の留保
旧法では、契約の申込みの撤回権を認める規定はありませんでした。
これに対し、新法では、新法523条1項において、承諾期間を定めてした申込みは撤回できないという原則を定めつつ、例外として申込者があらかじめ撤回権を留保したときは撤回を認めると定めました。

また、承諾期間を定めない申込みに関しても、承諾通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回できないという原則を定めつつ、例外的に撤回権の留保を認めました(新法525条1項)。

さらに、承諾期間の定めのない対話者間での申込みは、対話が継続している間はいつでも撤回できる旨の規定が新設されました(同2項)。

なお、承諾期間の定めのない対話者間での申込みについては、対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときに原則として申込みが効力を失う旨の定めも新設されました(同3項)。

 

【改正民法債権編】更改

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、更改について考えてみたいと思います。

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更改

更改を、これまでよりも使いやすい制度に改正

 

◆更改とは
更改とは、当事者が債務内容の重要な部分に変更を加え、新債務を成立させることによって、旧債務を消滅させる契約をいいます。

旧法においては、これを「当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。」(旧法513条)と規定していたのですが、「債務の要素」とは何なのかがわかりにくい条文でした。

そのため新法では、更改の要件を次のように整理しました(新法513条)。
【更改の要件の整理】
当事者が、従前の債務に代えて、(下に掲げる)新たな債務を発生させる契約をしたときには、従前の債務は消滅する。
(新たな債務の3分類)
①従前の給付の内容について重要な変更をするもの
②従前の債務者が第三者と交替するもの
③従前の債権者が第三者と交替するもの

なお、旧法513条2項は実例にも乏しく、合理性にも欠けるため、今回の改正で削除されました。

 

◆債務者の交替による更改
旧法では、債務者の交替による更改は、「債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる」としつつも、「更改前の債務者の意思に反するとき」は、債権者と新債務者との契約によってはすることができないと規定されていました(旧法514条)。

新法では、このような旧債務者の意思による制限をなくし、債務者の交替による更改は、債権者と新債務者との契約によってすることができるとした上で、その効力発生時を「債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時」と定めました(新法514条1項)。
また、新法では新債務者は旧債務者に対して求償権を取得しないことを明示しました(新法514条2項)。

 

◆債権者の交替による更改
債権者の交替による更改に関する旧法の規定は、「債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。」とだけ定めていました(旧法515条)。

今回の改正では、「債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。」(新法515条1項)という規定を追加し、債権者の交替による更改が三者間における契約であることを明記しました。
また、旧法の他の規定を準用していた旧法516条が削除されました。

 

◆更改前の債務が消滅しない場合を定めた規定の削除
旧法では、更改前の債務が消滅しない場合として、「更改によって生じた債務が、不法な原因のため又は当事者の知らない事由によって成立せず又は取り消されたとき」を挙げてました(旧法517条)。

しかし、どのような場合に更改前の債務が消滅しないとするかは、当事者間の個別の更改契約の解釈によるところが大きいため、この規定は削除されました。

 

◆更改後の債務への担保の移転
旧法では、「更改の当事者」は、旧債務の担保として設定された質権または抵当権を、更改後の新債務に移すことができることを定めていましたが(旧法518条)、担保権の移転に債務者の関与を必要とするのは妥当ではありません。

そのため、今回の改正では、「更改の当事者」とされていた主語を、「債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)」に改めました(新法518条1項)。

また、更改契約をする前、または同時に担保権を移転することができるよう、同条の2項に「前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。」という規定を追加しました。

これらの改正により、更改による担保権の移転をより効果的に行えるようになります。ただし、元本確定前の根抵当権については例外規定が設けられています(新法398条の7第4項)。

【改正民法債権編】相殺

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、相殺について考えてみたいと思います。

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相殺

判例・実務で積み重ねられてきた見解を明文化

 

◆相殺とは
相殺とは、2人の当事者が互いに同種の債権債務を有する場合に、一方当事者の意思表示によって、債権債務を対当額で消滅させる制度です。
たとえば、AがBに対して1000万円の売掛債権を、BがAに対して800万円の貸金債権を有しているとします。
この場合、Bはこれらの債権債務を相殺することで、Aに対して差額の200万円のみ支払えばよくなります。

 

◆相殺の禁止
(1)当事者による相殺禁止の意思表示と第三者への対抗力
相殺は、取引にかかるコストを下げることができる合理的な制度ですが、当事者の意思に反してまで認める必要はありません。

そのため、旧法では、「当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。」(旧法505条2項)とされていました。
今回、規定の趣旨をより明確にするため、「当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」(新法505条2項)という表現に改正されました。

(2)不法行為債権の債務者による相殺の禁止
従来から、不法行為によって生じた債権の債務者は、債権者に対し、他の債権による相殺を主張できないとされていました(旧法509条)。
これは、加害者が被害者に対して負う損害賠償債務を、貸金債権など他の債権との相殺をもって免れることを禁止する趣旨です。

しかし、一口に不法行為といっても幅がありすぎるので、今回の改正では、「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」と「人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務」に限り、相殺を禁止することとされました(新法509条)。

 

◆差押を受けた債権を受動債権とする相殺の禁止
旧法では、「支払いの差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。」とだけ規定していました。
今回の改正では、これまでの判例・実務の見解を明文化しました。旧法の上記規定に加えて、差押えを受けた債権の第三債務者について、次のことが明示されました。
①「差押え前に取得した債権による相殺」を差押債権者に対抗できること(新法511条1項後段)
②差押え後に取得した債権(他人から取得した債権を除く)が「差押え前の原因に基づいて生じたもの」であるときは差押債権者に対抗することができること(新法511条2項)

 

◆相殺の充当
旧法は、複数の債権債務がある状態で当事者が相殺の意思表示をした場合に、どのような順序で相殺が充当されるのかについて、「第488条から第491条までの規定は、相殺について準用する。」とだけ規定していました。
今回の改正では、相殺の充当の順序等を明示しました(新法512条、512条の2)。

【改正民法債権編】弁済に関するルールの整理2

【改正民法債権編】弁済に関するルールの整理1

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今回は、【改正民法債権編】に関して、弁済に関するルールの整理1について考えてみたいと思います。

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弁済に関するルールの整理1

旧法下で不明確であった点を条文で明確化

 

◆弁済とは
弁済とは、債務者が債務の本旨に従って給付を実現することを言います。
たとえば、売買契約を締結すると、買主は売主に対してお金を支払う義務(売買代金債務)を負いますが、この義務は、買主が売主に代金全額を支払うことで消滅します。

旧法ではこの当然の原則が条文に規定されていなかったため、新法では「債権の消滅」の節の冒頭に「債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は消滅する。」という規定を設けました。(新法473条)。

 

◆第三者による弁済
債権は、特定の者(債務者)に対する請求権ですから、債権者が弁済を請求できるのは債務者だけです。仮に債務者に資力がなく、かつ、その親が資産家だったとしても、債権者は債務者の家族に債務の履行を請求することはできません。

しかし、債務者以外の第三者が、自らの意思で弁済することを希望するのであれば、これを認めても債権者にとって不利益にならないでしょう。
そのため、民法は「債務の弁済は、第三者もすることができる。」(旧法474条1項本文、新法474条1項)と定め、第三者による弁済を原則として認めています。

しかし、誰であっても、どのような債務であっても、第三者の弁済を認めることにすると、当事者にとって不都合が生じる可能性があります。
そこで、新法では、どのような場合に第三者弁済をすることができないのかを下記のように整理しました。
【第三者による弁済が認められない場合】
「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債務者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効な弁済となる。(新法474条2項)

「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債権者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」その第三者が債務者の委託を受けて弁済する場合において、そのことを債権者が知っていたときは有効な弁済となる。(新法474条3項)

 

◆受領権者としての外観を有する者に対する弁済
旧法においては、受領権限のない者に対する弁済の効力について「債権の準占有者に対する弁済」という表現を使って規定していました(旧法478条)。
しかし、この「債権の準占有者」というのが何を指しているのかわかりにくかったため、これを「受領権者としての外観を有する者に対する弁済」という表現に改めました(新法478条)。

そして、弁済の受領権者以外の者に対してした弁済は、原則として「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ」有効としつつ(新法479条)、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に対して弁済をしたときは、弁済者がその者を真実の受領権者であると過失なく信頼して弁済したときに限り、有効な弁済として取り扱うことを規定しました(新法478条)。

このほか、旧法では真正な受取証書を持参した者については「弁済を受領する権限があるものとみなす」という規定がありましたが(旧法480条)、現代では存在意義が乏しいとして、今回の改正で削除されました。

【改正民法債権編】債権譲渡における債務者の抗弁

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債権譲渡における債務者の抗弁

異議をとどめない承諾による抗弁の切断を廃止

 

◆抗弁の切断の廃止
旧法では、債務者が債権譲渡を承諾する際、債権の譲渡人に対して主張し得た抗弁を主張せず、単に承諾だけを行なうと(異議をとどめない承諾)、債務者は債権の譲受人に対し、主張し得た抗弁を対抗できないとされていました(旧法468条1項)。

抗弁とはたとえば、当該債権が成立していない、すでに当該債権について弁済をしているなど、債権の成立・存続・行使等を阻害する事由をいいます。
債権が譲渡されたことを単に承諾しただけで、抗弁の喪失という債務者にとって予期しない効果が生じることは、債務者の保護の観点から問題がありました。

そのため新法では、債務者は、対抗要件を具備した時(債務者が譲渡通知を受けるか、または譲渡の承諾をした時)までに譲渡人に対して生じた事由をもって、譲受人に対抗できることとしました(抗弁の切断の廃止、新法468条1項)。

 

◆債権譲渡と相殺
新法において、債権譲渡がなされた場合、債務者は次の①~③のような債権(反対債権)がある場合には、譲受人に対し、相殺の抗弁を主張できることが明文化されました。
①債務者対抗要件具備前に取得した譲受人に対する債権(新法469条1項)
②債務者対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた譲渡人に対する債権(同2項1号)
③譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた譲渡人に対する債権(同2号)

ただし、②と③については、債務者対抗要件具備後に取得した他人の債権である場合には、相殺の期待がないものとして相殺ができません(新法469条2項ただし書)。

【改正民法債権編】将来債権の譲渡・対抗要件

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将来債権の譲渡・対抗要件

将来債権の譲渡について判例法理を明文化

 

◆将来債権の譲渡
債権譲渡は、すでに発生している債権だけでなく、将来発生する債権についても行なうことができます(新法466条の6第1項)。

この将来債権の譲渡は、旧法下でも判例上認められていましたが、新法はこの判例法理を明文化しています。
なお、将来債権の譲渡を行なうにあたっては、債権の発生原因、譲渡の対象となる金額等によって、債権を特定する必要があります。

将来債権の譲渡がなされた場合、将来債権が発生した時点で、債権の譲受人が発生した将来債権を当然に取得するとしています(同2項)。これも判例法理を明文化したものです。

 

◆債権譲渡の対抗要件
(1)債務者対抗要件
債権譲渡は、当事者間の合意によって成立するもので、債務者の承諾等も、契約書や証書等の書類の授受も必要ありません。

しかし、これでは債務者にとって、誰が債権者であるか確定できず、誰に弁済してよいかもわかりません。
そこで、民法は、債権譲渡の譲渡人が債務者に債権譲渡を通知し、または債務者が承諾しなければ、債務者その他の第三者に対抗することはできない(債権譲渡に基づいて、債権の譲受人が債務者に弁済を求めることができない)としています(新法467条1項)。

これは、「債務者対抗要件」といわれており、この債務者対抗要件の制度は、新法でも旧法でも違いがありません。
ただ、新法では、現に発生していない債権の譲渡を含むとされ、将来債権の譲渡の場合も、債権発生前の段階で対抗要件を備えることができるという判例法理が明文化されています。

(2)第三者対応要件
債権譲渡の債務者以外の第三者に対抗するためには、債務者への通知または債務者の承諾を「確定日付のある証書」によって行う必要があります(法467条2項)。
このような「第三者対抗要件」も、新法と旧法で違いはありません。

 

◆将来債権の譲渡と譲渡制限との関係
将来債権の譲渡後、譲渡人と債務者との間で、債務者対抗要件を具備する時までに、譲渡対象となる将来債権について譲渡制限を付ける旨の合意がされた場合、譲受人その他の第三者は譲渡制限が付いていることを知っていた(悪意)とみなされます。そして、その結果、債務者は、譲受人その他の第三者に対し、債務の履行を拒否することができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって、その第三者に対抗することができます(新法466条の6第3項)。

【改正民法債権法】債権の譲渡性とその制限2

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債権の譲渡性とその制限2

譲渡禁止特約のある債権の譲渡が有効とされた

 

◆譲渡制限付き債権の債務者の供託
譲渡制限付き債権が債権譲渡された場合、債務者としては、誰に弁済を行なってよいかわからなくなることがあります。
そこで、新法では、金銭支払いを目的とする譲渡制限付き債権が譲渡された場合、債務者は、その債権の全額に相当する金銭を債務の履行地の供託所に供託できることとしています(新法466条の2第1項)。

これは旧法にはなかった新たな供託原因を創設するものです。新法では譲渡禁止特約に違反する債権譲渡も常に有効で、譲受人が債権者となります。このため、債務者は旧法で可能であった「債権者不確知」(債権者が誰かわからないこと)による供託ができず、この規定が設けられました。

この定めに基づいて供託をした債務者は、遅滞なく、債権の譲渡人と譲受人に供託の通知をしなければなりません(同2項)。なお、供託された金銭は、債権の譲受人に限り、還付請求をすることができます(同3項)。

また、金銭支払いを目的とする譲渡制限付き債権が譲渡された場合において、譲渡人について破産手続開始決定があったときは、譲受人は、譲渡制限について悪意または重過失があったとしても、債務者に対し、その全額を供託させることができます(新法466条の3)。

これは、債権譲渡後に譲渡人に破産手続開始決定がなされた場合に、債務者が譲受人よりも先に破産管財人に対して弁済する可能性があり、その場合、譲受人の金銭債権の回収が困難になるおそれがあるからです。

 

◆譲渡制限付き債権の差押え
新法466条3項の規定は、譲渡制限付き債権に対する強制執行をした差押え債権者には適用されません(新法466条の4第1項)。

譲渡制限付き債権が差押えられた場合、仮に、債務者が差押債権者に対して譲渡禁止特約をもって対抗できる(譲渡制限により、差押債権者に支払うのではなく、元の債権者に対して支払いをできる)とすれば、私人間で自由に差押禁止財産を作り出せることになってしまいます。そのため、判例法理では差押債権者に対して対抗することを認めていませんでした。
新法は、このような判例法理を明文化したものです。

また、譲渡制限付き債権であることについて、譲受人等に悪意または重過失がある場合に、その債権者が同債権に対する強制執行をしたときは、債務者は、その債務の履行を拒むことができ、かつ、譲渡人に対する弁済その他の債務を消滅させる事由をもって、差押債権者に対抗することができます(新法466条の4第2項)。
この規定は、差押債権者に対して、元の権利者(譲渡制限付き債権の譲受人・差押債務者)が有する以上の権利を認める必要がないことから、定められたものです。

 

◆預貯金債権に関する譲渡制限
前述のとおり、新法は、譲渡制限付き債権が譲渡された場合でも、その債権譲渡を有効としています。
しかし、譲渡制限のある預貯金債権について、悪意または重過失の譲受人等の第三者との関係では、従来通り、債権譲渡は無効となります(新法466条の5第1項)。

これは金融機関は日々、大量の預貯金の払い戻し等の作業が必要で、新法が定める一般原則で債権譲渡を有効にすると、これまで譲渡制限によって回避してきた過誤払いのリスクが生ずること等を考慮したものです。

ただし、譲渡制限付預貯金債権の差押えがされた場合には、譲渡制限をもって対抗できません(新法466条の5第2項)。
これは、譲渡制限付債権の差押えと同様、私人間の合意により差押禁止財産を作り出すことはできないという判例法理を明文化したものです。