【相続・遺言について】遺産の評価方法

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺産の評価方法について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】亡父の遺産として、次のようなものがあります。遺産分割する際に、それぞれどのように評価すればよいのでしょうか?

①預貯金

②株式

③ゴルフ会員権

④自動車

⑤書画骨董品

 

【A】◆1.預貯金の評価について

実務上は、遺産分割の時点で遺産を評価することが多くみられます。しかし基本、預貯金は相続発生時(被相続人の死亡時)の残高で、評価します。相続発生時の残高は、通帳や残高証明書で明らかにするのが一般的です。

なお、定期預金や定額郵便貯金については、中途解約をした場合の払戻予定額を金融機関に照会し、回答額から利子配当分離課税(20%)相当分を差し引いたものを分割対象額とする方法がとられることが多くあります。

 

◆2.株式の評価について

①上場株式について

実務上は、上場株式の評価について、遺産分割時に最も近い時点(例えば、審判日の直前の日等)での終値によって算定することとが多いです。

相続税法上の財産評価は以下4つのうち最も価額が低いものになっております。

1)課税時期(被相続人の死亡日)の終値

2)課税時期の属する月の毎日の終値の月平均

3)課税時期の属する月の前月の毎日の終値の月平均

4)課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の月平均

上場株は証券会社から残高証明書をもらいましょう。

 

②非上場株式について

非上場株式は、上場株式とは異なり、市場で客観的な価格が付けられていません。そのため、公認会計士等の専門家による鑑定によって評価することもありますが、鑑定費用が高額になるため、鑑定が行われることは、実際には多くはありません。

鑑定によらずに非上場株式を評価する方法には、次のものがあげられます。

ア)相続税の申告がされている場合、相続税申告書に記載された非上場株式の評価額を参考にして評価することができます。その際、過去3年分程度の損益計算書、貸借対照表及び確定申告書を検討し、当事者間で評価についての合意を得る、または、日経平均株価の推移を利用して修正を行うといった修正が行われることが多くあります。

イ)会社法上の株式買取請求の際に用いられる株価算定方式である、次の方式のいずれかによって評価することができます。

①純資産価額方式(会社の総資産から負債等を控除した純資産価額を発行済株式総数で割った額をもって株価とするもの)

②収益還元方式(将来の予想年間税引後利益を資本還元率で割ったものを発行済株式総数で割った額をもって株価とするもの)

③配当還元方式(会社の配当金額を基準として、これを発行済株式総数で割った額をもって株価とするもの)

④類似業種比準方式(業種、規模等が類似する公開会社または類似業種の公開会社の平均と比較して、株価を算定するもの)

⑤併用方式(①から④の方式を組み合わせて株価を算定するもの)

ウ税務上の評価基準である財産評価基本通達によれば、次のように評価することができます。

①上場会社に匹敵する大企業の株式は、上場会社の株式評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として類似業種比準方式による。

②個人企業と変わりのない小規模会社の株式は、個人企業者の財産評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として純資産評価方式による。

③大会社と小会社の中間にある中会社の株式については、大会社と小会社の評価方式の併用方式による。

以上のとおり、非上場株式の評価方法は様々ですが、一般的には、理解及び計算のしやすさから、純資産価額方式によることが多いようです。

 

◆3.ゴルフ会員権について

ゴルフ会員権については、ゴルフ会員権の取扱業者が発表している気配値を基に評価されます。

全てのゴルフ会員権に妥当するわけではありませんが、取引相場があるゴルフ会員権の場合、相場の7割で評価されることが多いようです。

 

◆4.自動車について

自動車については、いわゆるレッドブック(オートガイド自動車価格月報)によって評価することができるほか、遺産分割調停または審判が家庭裁判所に係属している場合には、財団法人日本自動車協会に対して調査嘱託をして評価額を得ることもできます。

 

◆5.書画骨董品

書画骨董品を評価する前提として、当該書画骨董品の真贋が問題となることがありますので、予め美術商に真贋を判断してもらうことが適当な場合があります。

そして書画骨董品が真作である場合、その価格は個人の主観的な嗜好によって大きく左右されますので、購入価格を基にして評価額を試算し、これを基に取得希望者に取得価格を提示してもらい、他の相続人にそれ以上の価格での取得希望がなければ、提示額によって評価額の合意を成立させる、という手法が望ましいということができます。

なお、美術年鑑に掲載されている評価額は、当該書画骨董品の品質を考慮しておらず、高額な表示がされていることが多いので、注意が必要です。

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