【改正民法債権編】詐害行為の類型による要件の特則

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、詐害行為の類型による要件の特則について考えてみたいと思います。

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詐害行為の類型による要件の特則

問題となる行為を類型化し、類型ごとに特則を整備

 

◆詐害行為の類型化による要件の明確化
新法424条は、詐害行為取消権を行使できる要件を規定していますが、概括的・抽象的に規定されているため、債務者が行なった行為について、新法424条の要件に該当するのか判断が難しい事例が多数あります。

そこで、新法では、詐害行為取消権と同様の効果を有する他の権利(破産法上の否認権)や、詐害行為取消権に関する旧法下での判例等を参考にして、問題になる行為を類型化し、各類型に応じて詐害行為取消権を行使するための要件を明確化し、特則を定めました。

 

◆相当の対価を得て行なった財産処分行為
債務者が一方的に財産を失う行為(たとえば、贈与)の場合は、詐害行為と判断しやすいといえます。しかし、債務者が土地を売って相当の代金を得るような場合、その売買行為が詐害行為なのかどうかが判然としません。
そこで新法は、債務者が受益者から相当の対価を得る財産処分行為を行なった場合、以下の要件をすべて満たすと詐害行為取消権を行使できることを規定しました(新法424条の2)。ただし、この要件をすべて満たすことは実際には困難であり、行使できるケースは限られると思われます。

【相当の対価を得る財産処分行為の詐害行為取消権の要件】
①その行為(債務者の財産処分行為)が、財産の種類を変更することにより、債務者において隠匿、無償の供与等の債権者を害することとなる処分をするおそれを現に生じさせるものであること。
②債務者が、その行為の当時、対価として取得した金銭その他の財産について、隠匿等の処分をする意思を有していたこと。
③受益者が、その行為の当時、債務者が隠匿等の処分をする意思を有していたことを知っていたこと。

 

◆特定の債権者に対する担保の供与等
(1)偏頗行為の場合
偏頗行為とは、支払い不能時に債務者が行なう、特定の債権者だけを利するような行為をいいます。

債務者が特定の債務について担保供与(たとえば、抵当権の設定)または債務消滅に関する行為(たとえば、弁済)を行なった場合、以下の要件をすべて満たすと詐害行為取消権を行使できます(新法424条の3第1項)。
①債務者の支払不能時にその行為が行われたものであること。
②債務者と受益者とが通謀して、他の債権者を害する意図をもって行われたものであること。
支払不能時に偏頗行為を行なうことは債権者間の公平を欠くため、特則を定めたものです。

(2)非義務的行為の場合
債務者の担保供与や債務消滅に関する行為が、債務者の義務に属せず、または、その時期が債務者の義務に属しない場合、以下の要件をすべて満たすと詐害行為取消権を行使できます(新法424条の3第2項)。
①支払不能になる前30日以内にその行為が行われたものであること。
②債務者と受益者とが通謀して、他の債権者を害する意図をもって行なわれたものであること。

「債務者の義務に属せず」とは、たとえば、担保権(抵当権など)を設定することをあらかじめ合意していないにもかかわらず、債務者が債権者に対して自己の財産に担保権を設定する場合です。「その時期が債務者の義務に属しない」とは、たとえば、支払期限前の弁済です。
債務者が特定の債権者に対して義務ではない行為を行なって、その債権者だけを利することは債権者間の公平を欠くため、特則を定めたものです。

 

◆過大な代物弁済等の特則
債務者が債務の消滅に関する行為を行ない、受益者の受けた給付の価額がその行為によって消滅した債務額よりも過大である場合、その過大な部分について、詐害行為取消権を行使できます(新法424条の4)。
たとえば、100万円の債務を負っている債務者が、500万円の財産的価値がある動産で代物弁済する場合がこれに当たります。

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