世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、保証債務について考えてみたいと思います。
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保証債務
個人の保証人の保護強化と条文の整備を図る
・保証債務は、たとえば、お金を借りたいと思う人が、担保に差し入れることができる財産(自分名義の不動産等)を持たない場合に、その人の信用(返済能力)を補う手段として、実務上とても重要な意味(役割)を持つものといえます。
しかし、その一方で、個人の保証人が必ずしも想定していなかった多額の負債(保証債務)の支払いを求められて、生活の破綻に追い込まれたり、最悪のケースでは自ら命を絶ってしまうというような痛ましい事件も生じています。
そこで、今回の改正においては、特に個人の保証人をより一層保護する方策が盛り込まれました。
また、これまでの裁判実務で積み重ねられてきた一般的な理解(条文解釈をめぐる判例等の考え方)を具体的な条項として盛り込むなどの整理も行われました。
◆保証債務の付従性の改正
(1)保証債務の性質
保証債務に関する改正内容の説明に入る前に、まず、保証債務の一般的な性質について確認しておきましょう。
保証債務には、一般に、「付従性」「随伴性」「補充性」という3つの性質があるとされています。
①付従性
付従性とは、「主債務を担保するために存するという性質」であると説明されることがあります。
保証債務によって保証人が負担する債務のことを「保証債務」といいますが、保証人が保証する他人の債務を、保証債務との関係で「主たる債務」あるいは「主債務」といいます。
「主債務を担保するために存するという性質」とは、簡略化すれば、「主債務と運命を共にする性質」と言い換えることができます。
たとえば、主債務がないのに保証債務だけが成立することはないですし、主債務が消滅すれば保証債務も当然に消滅するという性質です。
なお、保証人の負担が主債務より重いときは、主債務の限度に減縮することを定めた旧法448条も、保証債務の付従性から当然に導かれる効果の1つであると理解されています。
②随伴性
随伴性とは、主債務が移転すると、保証債務も一緒に移転する(随伴する)と言う性質をいいます。
③補充性
補充性とは、主債務が履行されないときに初めて、(補充的に)保証人が履行しなければならなくなるという性質です。
(2)付従性に関する改正の概要
上記のように、保証債務には3つの性質がありますが、今回の改正では、付従性に関する新法448条(内容における付従性)の第2項として、以下の条項が追加されました。
「主たる債務の目的又は態様が保証債務の締結後に加重されたときであっても、保証人の負担は加重されない。」
旧法448条は、保証契約の締結時に保証人の負担が主債務より重いときにこれを主債務の限度まで軽くする旨だけを定めていました。今回の改正では、これに加えて、保証契約の締結後に主債務の内容が重くなった場合の一般的な理解についても具体的な条項が整備されました。
また、主債務者が債権者の請求に対して主張(対抗)できる権利等(抗弁)を有している場合について、現在、主債務者の相殺のみを定めている旧法457条2項が、次のように広く抗弁権を有している場合(全般)を対象とする条文に改められました。
「保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。」
この改正も、付従性に関する一般的な理解を具体的な条項として整備したものといえます。
◆連帯保証人について生じた事由の効力
連帯保証人とは、保証人が主債務者と連帯して債務を負担する保証のことをいいます。
通常の保証とは異なり、前記の3つの性質のうち「補充性」が認められません。そのため、主債務者よりも先に請求を受けた場合でも、これを拒むことができないという違いがあります。
ほかにも連帯保証と通常の保証とは違いがありますが、連帯保証も保証債務ですから付従性は認められます。
したがって、主債務者について生じた事由(時効の完成など)の効力は、連帯保証人にも効力が及びますが、連帯保証人について生じた事由の効力が主債務者に及ぶかという問題は、付従性の性質からは説明することができません。
そこで、その際のルールを明確にするために、新法458条が連帯債務に関する以下の規定を準用しています。
・新法438条(更改の絶対効)
・新法439条1項(相殺の絶対効)
・新法440条(混同の絶対効)
・新法441条(相対効の原則)
このように、連帯保証人に生じた事由の効力は、連帯債務者の1人について生じた事由の効力と同じ効果が及ぶと理解しておけばよいでしょう。