【改正民法債権編】保証人の求償権

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、保証人の求償権について考えてみたいと思います。

持続化給付金・家賃支援給付金、申請サポート業務受付中。
【090-279-1947】までご連絡を。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言・終活は【090-2793-1947】までご連絡を

 

保証人の求償権

求償権の範囲と保証人の通知義務に関する規定を整備

 

◆保証人の求償権
求償権とは、他人の債務をその人に代わって弁済した場合に、弁済した金額等をその人に対して請求(償還請求)できる権利のことです。
保証人も主債務者の債務を主債務者に代わって返済する立場にあるので、保証人が主債務を返済すれば、主債務者に対して求償権を取得します。

委託を受けない保証人と受けた保証人の求償権には違いがあります。
(1)委託を受けない保証人の求償権
主債務者から「保証人になって欲しい」と委託(保証委託)を受けなくても、債権者と保証人の合意だけで保証人になることはできます。
ただ、主債務者から委託を受けない保証人は、「弁済の当時、主債務者が利益を受けた限度」でしか求償することはできないので、法定利息や返済の費用等の請求まではできません(新法462条、459条の2第1項)。

また、保証人が主債務者の意思に反して保証をしていた場合は、さらに求償の範囲が制限されます。具体的には、求償時点で主債務者が「現に利益を受けている限度」でしか求償することができません(新法462条2項)。

(2)委託を受けた保証人の求償権
これに対して、主債務者から保証委託を受けた保証人は、法定利息や返済に要した費用など、委託を受けない保証人よりも広範囲の求償権(事後求償権)が認められます。また、保証委託契約も一種の「委任契約」(法643条)なので、受任者(保証人)の委任者(主債務者)に対する費用前払請求(法649条)としての「事前求償権」が認められています(法460条)。

ただ、常にこのような前払請求を認めてしまうと、保証人に保証を委託した意味がなくなってしまうので、旧法460条は3つの場合に限って事前求償を認めていました。
①主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき
②債務が弁済期にあるとき
③債務の弁済期が不確定で、その最長期も確定できないまま、保証契約の後10年を経過したとき(新法で削除)
この③は主債務の額が定まらないなどの問題から事前の求償にはなじまないという指摘を受けて、今回の改正で削除されました。
その代わりに、新法では以下の要件が加わりました。
「保証人が過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき」

また、旧法では、委託を受けた保証人が取得する事後求償権の範囲が必ずしも明確ではなかったことから、今回の改正によりこれが明確化されたほか(新法459条)、主債務の弁済期前に返済等(期限前返済等)が行なわれた場合の事後求償権の範囲を、委託を受けない保証人の事後求償権と同じ範囲に制限する改正も行われました(新法459条の2)。

 

◆保証人の通知義務
保証人が主債務者に代わって返済等する場合は、主債務者に不測の損害を与えないよう、事前に主債務者に確認(通知)してから行なうルールになっています(旧法463条1項、443条)。

ただ、委託を受けない保証人については、もともと事前の通知をしていても求償できる範囲が制限されるので(旧法462条1項、2項)、事前の通知を義務づける意義が乏しいなどの理由から、今回の改正では、委託を受けない保証人の事前の通知義務が廃止されました(新法463条)。

一方、保証人が主債務者に代わって返済等をした後に、その旨を主債務者に通知するルール(事後通知義務)は、旧法下のルールが維持されます。
また、主債務者の意思に反して保証をした保証人については、求償できる範囲が著しく制限されるので(法462条2項)、事前の通知や事後の通知をしてもしなくても、求償の範囲に差異が生じないことが条文上も明確にされました(新法463条3項参照)。

コメントを残す