世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、更改について考えてみたいと思います。
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更改
更改を、これまでよりも使いやすい制度に改正
◆更改とは
更改とは、当事者が債務内容の重要な部分に変更を加え、新債務を成立させることによって、旧債務を消滅させる契約をいいます。
旧法においては、これを「当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。」(旧法513条)と規定していたのですが、「債務の要素」とは何なのかがわかりにくい条文でした。
そのため新法では、更改の要件を次のように整理しました(新法513条)。
【更改の要件の整理】
当事者が、従前の債務に代えて、(下に掲げる)新たな債務を発生させる契約をしたときには、従前の債務は消滅する。
(新たな債務の3分類)
①従前の給付の内容について重要な変更をするもの
②従前の債務者が第三者と交替するもの
③従前の債権者が第三者と交替するもの
なお、旧法513条2項は実例にも乏しく、合理性にも欠けるため、今回の改正で削除されました。
◆債務者の交替による更改
旧法では、債務者の交替による更改は、「債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる」としつつも、「更改前の債務者の意思に反するとき」は、債権者と新債務者との契約によってはすることができないと規定されていました(旧法514条)。
新法では、このような旧債務者の意思による制限をなくし、債務者の交替による更改は、債権者と新債務者との契約によってすることができるとした上で、その効力発生時を「債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時」と定めました(新法514条1項)。
また、新法では新債務者は旧債務者に対して求償権を取得しないことを明示しました(新法514条2項)。
◆債権者の交替による更改
債権者の交替による更改に関する旧法の規定は、「債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。」とだけ定めていました(旧法515条)。
今回の改正では、「債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。」(新法515条1項)という規定を追加し、債権者の交替による更改が三者間における契約であることを明記しました。
また、旧法の他の規定を準用していた旧法516条が削除されました。
◆更改前の債務が消滅しない場合を定めた規定の削除
旧法では、更改前の債務が消滅しない場合として、「更改によって生じた債務が、不法な原因のため又は当事者の知らない事由によって成立せず又は取り消されたとき」を挙げてました(旧法517条)。
しかし、どのような場合に更改前の債務が消滅しないとするかは、当事者間の個別の更改契約の解釈によるところが大きいため、この規定は削除されました。
◆更改後の債務への担保の移転
旧法では、「更改の当事者」は、旧債務の担保として設定された質権または抵当権を、更改後の新債務に移すことができることを定めていましたが(旧法518条)、担保権の移転に債務者の関与を必要とするのは妥当ではありません。
そのため、今回の改正では、「更改の当事者」とされていた主語を、「債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)」に改めました(新法518条1項)。
また、更改契約をする前、または同時に担保権を移転することができるよう、同条の2項に「前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。」という規定を追加しました。
これらの改正により、更改による担保権の移転をより効果的に行えるようになります。ただし、元本確定前の根抵当権については例外規定が設けられています(新法398条の7第4項)。