【改正民法債権編】委任契約

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、委任契約について考えてみたいと思います。

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委任契約

復受任者の選任や委任者の任意解除権などを明文化

 

◆委任契約とは
委任契約は、委任者が、受任者に対して何かしらの法律行為をすることを委託するという内容の契約です。

法律行為ではない事務の委託をする場合は「準委任」と呼ばれ、「委任」と同様の規律に服します。

旧法下では、復受任者の選任や委任者の任意解除権など、解釈や判例法理に頼る部分がありました。
新法では、これらが明文化されるとともに、受任者の報酬形態についても新たに整理されました。

 

◆復受任者の選任
新法644条の2第1項は、受任者は、「委任者の許諾を得たとき」または「やむを得ない事由があるとき」でなければ、復受任者を選任することができないとしています。

受任者が復受任者を選任したときは、復受任者は、委任者に対して、その権限の範囲内において受任者と同一の権利義務を負います(同2項)。

 

◆受任者の報酬
委任契約では、受任者は無報酬が原則です。この点は、新法でも変更はありません。しかし、実際の委任契約は有償で結ばれることが多いことから、受任者の報酬請求時期については常に問題となってきました。

新法では、この受任者の報酬請求時期について、委任契約の内容に応じて次のように整理し直されました(新法648条、648条の2)。
①受任者の事務処理の労務に対し報酬を支払う場合(原則型・履行割合型)
②受任者の事務処理の成果に対し報酬を支払う場合(成果完成型)

委任契約では、①が原則型になります。新法では①の場合の報酬について「雇用」と同様の規律とし(新法648条2項、同3項)、②の場合の報酬について「請負」の規定を準用しています(新法648条の2第2項、634条)。

【受任者の報酬請求の要件・時期】
①原則型(履行割合型)
・【原則ルール】委任事務履行後に報酬請求可(期間により報酬を定めた場合には期間経過後に報酬請求可)
・【中途挫折の場合】・委任者の帰責事由によらずに委任事務が履行不能となった場合と、委任事務が履行途中で終了した場合→いずれも、委任事務の既履行割合に応じて報酬請求可

②成果完成型
・【原則ルール】成果の引渡しを要する場合は、引渡しと同時に報酬請求可
・【中途挫折の場合】・委任者の帰責事由によらずに委任事務が完成できなくなった場合と、完成前に契約が解除された場合→いずれも、すでに完成された委任事務の成果のうち、「可分」な履行によって委任者が受ける利益の限度で報酬請求可

 

◆委任の解除
委任は、当事者双方の信頼を基礎に成り立つため、両当事者は、いつでも委任関係を解除することができます(法651条1項)。

ただし、次の場合には、やむを得ない事由があるときを除き、解除した者が相手方の損害を賠償する必要があるとされています(新法651条2項)。
①一方が、相手方に不利な時期に委任を解除したとき
②委任者が、受任者の利益(専ら報酬を得ることによるものを除く)をも目的とする委任を解除したとき