世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【相続・遺言】に関して、贈与税と相続税について考えてみたいと思います。
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【Q】生前贈与を受けた場合と相続の場合とでは、税の控除においてどのような差がありますか。
【A】生前贈与を受けた場合には、贈与税がかかりますが、財産を生前に贈与して贈与税を支払っておくことにより、将来相続が生じたときにかかる相続税を抑えることが出来ます。そこで、贈与税は相続税の補完税であるとも言われます。
贈与税はいわゆる暦年課税制度が採用されています。これは、1年間に贈与を受けた全ての財産の価額を合計し、その金額から基礎控除額を控除した金額に税率を乗じて、1年間の贈与税額を計算する方式です。ただし、相続開始前3年以内に生前贈与を受けていた場合には、その財産が相続税の課税価格に加算されますから、相続税の課税と関係しています。
生前贈与を受けた場合に、かかる贈与税の基礎控除額は、贈与を受けた1人について1年に110万円です。これに対して、相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となります。
例えば、相続税では相続人が4人の場合、全体で5400万円が基礎控除額の合計額であり、1人当たり1350万円になります。これに対して、贈与税の基礎控除額は、毎年1人当たり110万円ですから、相続税の基礎控除額とほぼ同額になるには、12年間続けて贈与しなければならない計算になります。
また、贈与税は、相続税に比べて税率が高くなっています。例えば、基礎控除後の課税価格が1億円の場合、相続税の税率は30%ですが、贈与税の税率は55%となっています。
このように、贈与税は相続税と比べて、基礎控除額の違いだけでなく、税率が非常に高くなっていますので、一度に多額の財産を生前贈与することが出来ません。
そこで、贈与税の負担を大幅に軽減し、高齢者世代が保有する資産をより早い時期に次世代に移転させることにより、経済の活性化を図ることを目的として、相続時精算課税制度が平成15年度より設けられました。
この制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、その名のとおり、相続時に税額を精算する制度です。
具体的には、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときに、すべての贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。
この制度を利用した場合、贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分について一律20%の課税となります。