世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、詐害行為取消権の効果について考えてみたいと思います。
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詐害行為取消権の効果
詐害行為の取消しの効果、受益者・転得者の権利等を規定
◆認容判決の効力が及ぶ者裁判所が詐害行為取消権の行使を認めて、原告勝訴の判決(認容判決という)を行ない、その判決が確定した場合、認容判決の効果は、その裁判の「原告(債権者)」、「被告(受益者又は転得者)」だけでなく、原告や被告になっていない「債務者」と原告以外のすべての債権者」にも及びます(新法425条)。
そして、判決の効力が及ぶ者は、もはやその認容判決の内容を争うことができなくなります。
前述のとおり、債務者は「被告」にならないにもかかわらず、債権者と受益者または転得者との間で行われた訴訟の判決の効力が及び、その内容を争うことができなくなります。そのため、債務者に自己の権利を守る機会を与えることを目的として、債権者は債務者に対して訴訟告知をすることが義務づけられています(新法424条の7第2項)。
◆詐害行為取消権の効果
(1)債務消滅行為以外の詐害行為の取消しと受益者の権利
新法425条の2は、債務消滅行為以外の詐害行為が取り消された場合の受益者の権利について定めます。詐害行為取消権の行使により、債務消滅行為以外の詐害行為が取り消された場合、受益者は、債務者に対して、その財産を取得するために行なった反対給付の返還を請求することができます。
受益者の債務者に対する返還請求については、実際に債務者に反対給付した財産そのものの返還を請求するのが原則です。しかし、現物返還が困難な場合には、反対給付の価額償還を請求することができます。
●受益者による返還請求の具体例
債務者が受益者に動産を売却したことに対し、債権者が受益者に対して詐害行為取消権を行使し、①売買の取消し、②動産の返還を求めて訴訟を提起した。
債権者の請求を認める認容判決が確定し、この判決に基づいて受益者が動産を返還した場合には、受益者は、債務者に対し、支払った売買代金の返還を請求することができる。
(2)債務消滅行為の取消しと受益者の債権回復
新法425条の3は、債務消滅行為が取り消された場合の債権の回復について定めています。債務者が行なった詐害行為のうち、債務消滅行為が取り消された場合、受益者が債務者から受けた給付を返還するか、その価額を償還したときは、受益者の債務者に対する債権が回復します。
ただし、過大な代物弁済によって債務が消滅し、過大な部分のみが取り消された場合には、過大な給付部分を返還しても、受益者の債権は回復しません。
●受益者の債権回復の具体例
債務者が受益者に弁済をして債務を消滅させたことに対し、債権者が受益者に対して詐害行為取消権を行使し、①弁済の取消し、②弁済金の返還を求めて訴訟を提起した。
債権者の請求を認める認容判決が確定し、この判決に基づいて受益者が金銭を返還した場合には、受益者は弁済によって消滅した債務者に対する債権を回復する。
(3)詐害行為取消権を受けた転得者の権利
債権者が、転得者を被告として詐害行為取消権を行使し、詐害行為が取り消され、転得者が現物返還または価額償還を行なった場合、取り消された詐害行為の種類に応じて、転得者は以下の権利を行使し、債務者に請求することができます(新法425条の4)。
ただし、行使できる範囲は、転得者がその前者(受益者またはほかの転得者)から財産を取得するために行なった反対給付または前者から財産を取得することによって消滅した債権の価額が限度となります。
①財産処分行為(債権消滅行為を除く)が取り消された場合仮に、当該詐害行為が受益者を被告として取り消された場合に、新法425条の2の規定に基づき受益者が債務者に対して行使することができる反対給付の現物返還請求権または価額償還請求権
②債務消滅行為が取り消された場合仮に、当該詐害行為が受益者を被告として取り消された場合に、新法425条の3の規定に基づき回復する受益者の債務者に対する債権(過大な債務消滅行為の過大な部分が取り消された場合には権利行使できない)