世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、弁済に関するルールの整理1について考えてみたいと思います。
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弁済に関するルールの整理1
旧法下で不明確であった点を条文で明確化
◆弁済とは
弁済とは、債務者が債務の本旨に従って給付を実現することを言います。
たとえば、売買契約を締結すると、買主は売主に対してお金を支払う義務(売買代金債務)を負いますが、この義務は、買主が売主に代金全額を支払うことで消滅します。
旧法ではこの当然の原則が条文に規定されていなかったため、新法では「債権の消滅」の節の冒頭に「債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は消滅する。」という規定を設けました。(新法473条)。
◆第三者による弁済
債権は、特定の者(債務者)に対する請求権ですから、債権者が弁済を請求できるのは債務者だけです。仮に債務者に資力がなく、かつ、その親が資産家だったとしても、債権者は債務者の家族に債務の履行を請求することはできません。
しかし、債務者以外の第三者が、自らの意思で弁済することを希望するのであれば、これを認めても債権者にとって不利益にならないでしょう。
そのため、民法は「債務の弁済は、第三者もすることができる。」(旧法474条1項本文、新法474条1項)と定め、第三者による弁済を原則として認めています。
しかし、誰であっても、どのような債務であっても、第三者の弁済を認めることにすると、当事者にとって不都合が生じる可能性があります。
そこで、新法では、どのような場合に第三者弁済をすることができないのかを下記のように整理しました。
【第三者による弁済が認められない場合】
「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債務者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効な弁済となる。(新法474条2項)
「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債権者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」その第三者が債務者の委託を受けて弁済する場合において、そのことを債権者が知っていたときは有効な弁済となる。(新法474条3項)
◆受領権者としての外観を有する者に対する弁済
旧法においては、受領権限のない者に対する弁済の効力について「債権の準占有者に対する弁済」という表現を使って規定していました(旧法478条)。
しかし、この「債権の準占有者」というのが何を指しているのかわかりにくかったため、これを「受領権者としての外観を有する者に対する弁済」という表現に改めました(新法478条)。
そして、弁済の受領権者以外の者に対してした弁済は、原則として「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ」有効としつつ(新法479条)、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に対して弁済をしたときは、弁済者がその者を真実の受領権者であると過失なく信頼して弁済したときに限り、有効な弁済として取り扱うことを規定しました(新法478条)。
このほか、旧法では真正な受取証書を持参した者については「弁済を受領する権限があるものとみなす」という規定がありましたが(旧法480条)、現代では存在意義が乏しいとして、今回の改正で削除されました。