【改正民法債権編】売買の主な改正

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、売買の主な改正について考えてみたいと思います。

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売買の主な改正

売主の責任を債務不履行責任と構成するなど実務上も影響大

 

◆売買に関する改正

売買とは、当事者の一方(売主)が目的物の財産権を相手方(買主)に移転して、相手方(買主)がその代金を支払う取引(契約)をいいます。
新法では、売買に関して、実務上も大きな影響があるいくつかの改正がなされました。

(1)売主の担保責任
売買の目的物の品質等に関する売主の責任については、以前から、瑕疵担保責任の法的性質に絡めて活発な議論が行われてきました。

そして、売買の目的物が特定物(たとえば、中古自動車)の場合には、たとえその目的物に瑕疵(欠陥)があっても、その物を引き渡せば債務を完全に履行したことになるという伝統的見解(法定責任説)は、修補や商品の交換等が求められるケースが多い現代の取引実態に適合しないものでした。

そこで、新法では、売主の責任を債務不履行責任として構成し、売買の目的物が特定物であるか、種類物(たとえば、新品の機械)であるかにかかわらず、売主は売買契約の内容に適合しないときには、買主は履行の追完請求権(修補や代替物給付などにより完全な履行を求める権利)や代金減額請求権を有することが定められました(新法562条)。

(2)「隠れた瑕疵」
旧法では、売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合には、買主は、売主に対して契約の解除や損害賠償の請求をすることができます。
旧法における「隠れた瑕疵」という表現に代わり、新法では、「契約の内容に適合しないもの」という表現が用いられることになりました。
これに伴い、売主の担保責任の規定も大きく改正されています。

【改正民法債権編】定型約款の変更

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、定型約款の変更について考えてみたいと思います。

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定型約款の変更

定型約款の変更が認められるための要件を明文化

 

◆定型約款の変更の要件
定型約款が利用される取引は大量の定型的な取引であるため、定型約款準備者が定型約款の内容を変更したいと考えた場合、相手方から個別に同意を取得することは現実的には困難です。

そのため、旧法下においても、約款を準備する当事者が約款の内容を変更することによって、契約内容を変更することが行なわれていました。しかし、要件や手続きはまちまちであり、約款を準備する当事者が一方的に約款の内容を変更できることは、相手方にとって不利益といえる状況でした。

そこで、新法548条の4第1項は、下記の①または②のいずれかの要件を満たす場合には、定型約款準備者は、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意することなく契約の内容を変更することができると定めました。
【変更が認められるための要件】
①利益適合性
定型約款の変更が相手方の一般的利益に適合する場合
②変更の合理性
定型約款の変更が契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無とその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものである場合

以上のとおり、定型約款に、定型約款の変更をすることがある旨を定める条項(変更条項)があることは、定型約款の変更の必須の要件とはされていません。
もっとも、変更の合理性を判断する上での1つの要素には挙げられています。そのため、変更の要件や手続き等を具体的に定めた変更条項の定めがあり、当該変更条項に従った変更を行なう場合には、変更の合理性が認められやすくなります。

 

◆定型約款の変更の手続
新法548条の4第2項は、定型約款準備者が定型約款の変更をするときには、①効力発生時期を定め、かつ、②定型約款を変更する旨、変更後の定型約款の内容、その効力発生時期をインターネットの利用等により周知しなければならないと定めています。

なお、同1項2号に定める変更の合理性によって定型約款を変更する場合には、変更後の定型約款の効力発生時期が到来するまでに周知をしなければ、変更の効力を生じません(同3項)。

 

◆不当条項規制の適用除外
定型約款の変更の場合には、新法548条の2第2項で規定される不当条項規制は適用されません(新法548条の4第4項)。

その理由は、定型約款の変更に関する規定は、新法548条の2第2項の不当条項規制よりも厳格で考慮すべき要素が異なり、定型約款が有効とされる要件を重複して判断する必要がないためです。

したがって、不当条項規制の適用が除外されるといっても、定型約款の変更の内容が合理的であるべきことに変わりはありません。

 

◆新旧規定の適用関係
定型約款のルールを定めた新法548条の2から548条の4までの規定は、原則として、新法施行日前に締結された定型取引に係る契約にも適用されます。ただし、旧法の規定によって生じた効力は妨げられません。

もっとも、例外として、契約の一方当事者(契約または法律の規定により解除権を現に行使できる者を除きます)により、反対の意思表示が書面または電磁的記録によってされた場合には、新法の規定は適用されないとされています。

この反対の意思表示は、新法公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から新法施行日前までにしなければなりません。

新法適用排除の意思表示が例外として認められたのは、前述のとおり、新法では定型約款準備者が相手方の同意なく定型約款の内容を変更できることから、取引開始時に定型約款の変更を予期していなかった相手方に対して、新法の適用を排除する機会を与えて保護するためです。

以上の趣旨から、相手方が解除権を行使できる場合には、契約の解除により契約の拘束力から逃れられるため、重ねて新法の適用を排除する機会を与える必要はなく、適用排除の意思表示が認められていないといえます。

 

◆実務への影響

新法では、定型約款に該当する場合には、みなし合意による契約内容化、不当条項規制、定型約款の表示義務、定型約款準備者による一方的な定型約款の変更といった条項の適用を受けることになります。

したがって、まず、ある約款や契約が、定型約款に該当するか否かの判断が重要になってきます。
定型約款の定義は明文化されましたが、「両当事者にとって合理的」等、具体的にいかなる場合が該当するかは文言からだけでは判然としません。

したがって、今後、立法過程で示された考え方等を参考に、具体的な取引ごとに定型約款に該当するか否かを判断することに留意が必要です。
同様に、定型約款の変更の要件についても、明文化はされたものの、利益適合性や変更の合理性の具体的な判断基準等が定められているわけではありません。
この点についても、これまでの約款変更に関する実務を踏まえながら、具体的な考慮要素等を慎重に検討する必要があります。

一方、定型約款の変更の合理性の1つの判断要素として、変更条項があることが定められたことから、既存の定型約款に変更条項がない場合には、変更条項の追加を検討する必要が生じる可能性があります。
この場合、変更条項を追加すること自体も約款の変更に該当するため、新法で定められた定型約款の変更のルールに則って手続を進める必要があります。

【改正民法債権編】定型約款の内容の表示

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定型約款の内容の表示

定型約款の内容を表示する義務(定型約款開示義務)を新設

 

◆定型約款の開示
定型約款にみなし合意という強い法的拘束力が生じる以上、定型約款を利用した取引においては、相手方が定型約款の内容を適切に知ることができることが重要となります。

そこで、新法548条の3第1項本文において、定型約款準備者は、定型取引合意の前または定型取引合意の後、相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法で定型約款の内容を示さなければならないと定めました。

これは、定型取引合意の前に必ず定型約款を開示することを、定型約款を内容とする契約成立のための必須要件とするものではありませんが、相手方からの開示請求があった場合には、原則として定型約款を開示する義務を負うことを定めたものです。

「定型取引合意の後、相当の期間」とは、契約が継続的なものである場合には、当該継続的契約の終了時から相当の期間をいうものと説明されています。
また、「相当な方法」の具体的内容としては、定型約款を記載した書面を交付し、またはこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、すでに定型約款の内容を示しているといえるため、定型約款開示義務は負いません(新法548条の3第1項ただし書)。

 

◆定型約款開示義務違反の効果
定型約款準備者が、定型取引合意の前において相手方からの定型約款開示請求を拒んだときは、みなし合意の規定(新法548条の2)は適用しないこととなります(新法548条の3第2項本文)。

これにより、定型約款開示義務違反の場合には、定型約款の個別条項についての合意がみなされず、定型約款は契約内容とはなりません。
例外として、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由によって開示を拒否する場合には、みなし合意の効果が生じることとなります(同ただし書)。

ここで、定型約款開示義務違反によってみなし合意の適用が除外となる旨が定められているのは、「定型取引合意の前」において定型約款の開示を「拒んだとき」についてであることに留意が必要です。
すなわち、新法548条の3第1項で定型約款開示義務が生じるのは、定型取引の前か、定型取引の後、相当の期間内に相手方から開示請求があった場合ですが、このうちの「定型取引合意の前」に、定型約款準備者が開示を「拒んだとき」についてしか、みなし合意の適用除外を規定していないのです。

そのため、次の場合については、新法548条の3第2項に基づくみなし合意の適用除外とはなりません。
①定型取引合意の後、相当の期間内に開示請求があったケースで開示を拒否した場合
②定型約款準備者が拒否はしておらず、単に開示義務を懈怠していたにすぎない場合
もっとも、これらの場合も、定型約款準備者に開示義務不履行に基づく通常の債務不履行責任が生じる余地があります。

【改正民法債権編】定型約款についてのみなし合意

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、定型約款についてのみなし合意について考えてみたいと思います。

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定型約款についてのみなし合意

定型約款の法的拘束力の根拠としてのみなし合意を規定

 

◆みなし合意の要件
旧法では、約款に法的拘束力が生じる根拠が明確ではありませんでした。

新法では、定型取引を行なう合意をした者は、一定の要件を満たす場合には、定型約款の個別条項についても合意したものとみなす旨を規定し(新法548条の2第1項)、定型約款の法的拘束力の根拠がみなし合意にあることを定めました。具体的な要件としては、以下のいずれかに該当する場合に、合意がみなされます。
【みなし合意の要件】
①定型約款を契約内容とする旨の合意をしたとき(新法548条の2第1項1号)
②定型約款準備者が、あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき(同2号)

上記①のケースとしては、定型取引に合意した者が、定型約款準備者と面談やインターネットを通じたやりとり等によって定型約款を契約の内容とすることに合意した場合が該当します。

なお、合意を得る方法として、ウェブページでも、定型約款を契約内容とすることに同意する旨のボタンをクリックしてもらう方法も可能です。

上記②のケースは、定型約款準備者が、相手方に定型約款を契約内容とする旨の記載ある書面や電磁的記録等をあらかじめ提示・提供する方法によるものです。この場合には、相手方が当該定型約款を契約内容とすること自体に合意をしていなくても、定型約款の内容が法的拘束力を持つことに留意が必要です。

なお、電車やバス等の旅客運送取引、高速道路等の通行取引等については、定型約款準備者が定型約款を契約内容とすることの「表示」すら困難といえます。
そこで、このような定型約款準備者による相手方への表示すら困難であり、かつ、取引自体の公共性や定型約款の契約内容化の必要性が高い取引に関しては、特別法(鉄道営業法、道路運送法等)において、あらかじめ定型約款を契約内容とする旨の「公表」をしていれば足りるとする旨の特例規定が設けられます。

 

◆不当条項規制
上述した通り、定型約款を契約内容とする旨の表示を相手方が見ていなかった場合でも、表示があればみなし合意が成立するという点で、定型約款の法的拘束力は強いものといえます。
ただし、どんな内容であっても契約内容とする旨の合意や表示をすれば法的拘束力が認められるというものではなく、相手方の利益を一方的に害する条項については規制が定められています。

具体的には、定型約款に含まれる条項のうち、
①相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、
②その定型取引の態様およびその実情ならびに取引上の社会通念に照らして信義則(法1条2項)に反し、相手方の利益を一方的に害すると認められる条項
については、当該定型約款の個別の条項について合意をしなかったものとみなされます(新法548条の2第2項)。

条項の内容の不当性については、取引の実情や取引上の社会通念に照らして判断しますが、ここで重要なのは、信義則に反するか否かの判断にあたっては、当該条項そのものだけではなく、取引全体に関わる事情を取引通念に照らして広く考慮することです。

したがって、当該条項そのものは相手方にとって不利であっても、取引全体を見ればその不利益を補うような定めがあれば、全体としては信義則に反しないと解されます。

なお、新法548条の2第2項によってみなし合意から除外される条項がある場合でも、除外対象以外の条項については、みなし合意が維持されることに留意が必要です。

【改正民法債権編】定型約款の定義

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、提携約款の定義について考えてみたいと思います。

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定型約款の定義

民法の規律対象となる約款を定型約款とし、その定義を規定

 

◆提携約款とは
現在、電気・ガス・水道等の供給取引や、鉄道等の旅客運送取引等、市民生活にも関わる大量の定型的な取引に関しては、効率的な取引の推進のために、契約の一方当事者があらかじめ一定の契約条項を定めた約款を用いた取引が行われています。

しかしながら、旧法では約款に関する明文の規定がなく、約款に法的拘束力が認められる根拠や範囲が明確ではありませんでした。
新法では、民法の規律の対象となる約款を「定型約款」とし、その定義を「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。」と定めました(新法548条の2第1項)。

 

◆定型約款の要件
定型約款に該当するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
①定型取引に関するものであること
①-1不特定多数の者を相手方として行う取引であること
①-2当該取引の内容の全部または一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること
②契約の内容とすることを目的として作成された条項の総体であること

まず①-1の「不特定多数の者を相手方として行う取引であること。」とは、相手方の個性に着目せずに行う取引であることが前提とされています。したがって、労働契約の契約書のひな型は、相手方の個性に着目して締結されるものであるため、定型取引には該当しません。

次に①-2の「当該取引の内容の全部または一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること」とは、不特定多数の相手方との取引内容の全部または一部が画一的であることが通常であり、かつ、一方当事者の準備した契約条項の総体を、相手方がそのまま受け入れて契約を締結することが取引通念に照らして合理的であることをいうとされています。

以上を前提にすると、製品の原材料の供給契約等の事業者間のみでの取引に用いられる約款や契約書のひな型は、基本的には定型約款には該当しません。その理由としては、次の3点が挙げられます。
①この類の取引では相手方の個性に着目したものも少なくないこと
②契約内容が画一的である理由が単なる事業者の交渉力格差による場合には、契約内容が画一的であることが相手方にとって合理的であるとはいえないこと
③契約内容を十分に吟味するのが通常であると言える場合には、「契約の内容とする」目的があるとはいえないこと

一方で、事業者間の取引であっても、預金規定や一般に普及しているコンピュータのソフトウェアの利用規約等に関しては、定型約款に該当することになります。これらの規定等は、相手方の個性に着目しているものではなく、契約の内容が画一的であることが通常であり、かつ、相手方が準備された契約条項についてそのまま受け入れて契約を締結することが取引通念に照らして合理的であるといえるからです。

 

◆定型約款の該当性は個別判断
以上より、定型約款の該当性は、単に、事業者間の取引であれば定型約款に該当しない、事業者と消費者の間での取引であれば定型約款に該当するというように、主体によって判断できるものではありません。
相手方の個性に着目せずに行う取引であるか等、新法548条の2第1項に定める要件を充足しているか否かを個別に判断すべきであることに留意が必要となります。

【改正民法債権編】契約の成立

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契約の成立

契約自由の原則の明文化や契約の成立時期の到達主義への統一など

 

◆契約自由の原則
契約自由の原則には、以下のものが含まれます。
①契約を締結するか否かの自由(契約締結の自由)
②契約の相手方を選択する自由(相手方選択の自由)
③契約締結の方式の自由(方式の自由)
④契約の内容を決定する自由(内容決定の自由)

しかし、旧法ではこれらに関する明文の規定はありませんでした。
新法では、まず、新法521条1項において、法令に特別の定めがある場合を除くとの留保はあるものの、このうちの①契約締結の自由と、②相手方選択の自由を定めています。
また、同様に、同2項は④内容決定の自由を、新法522条2項は③方式の自由を、それぞれ法令の範囲内で認める旨を定めています。

 

◆契約成立の基本原則
新法522条1項は、契約が「申込み」と「承諾」の合致によって成立することを明文で定めました。ここで、「申込み」は、「契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示」と定義され、相手方の申込みを促す事実行為である「申込みの誘引」とは異なり、申込みに対して相手方の承諾があれば即座に契約が成立することが定められています。

もっとも、申込者の意思表示または取引上の慣習により承諾の通知を必要としない場合は、承諾の意思表示と認めるべき事実があった時に契約が成立します(新法527条)。

 

◆隔地者間の契約の成立時期の到達主義への改正
旧法では、隔地者に対する意思表示は相手方に到達した時に効力が生ずるとしていますが(旧法97条1項)、隔地者間の契約は承諾の通知の発信時に成立するとしていました(承諾通知の発信主義、旧法526条1項)。

これに対し、新法では、承諾を含めた意思表示の効力は相手方に到達した時に生ずると定め(新法97条1項)、契約の成立時期を承諾の通知の到達時としました。
通信手段が発達し、発信から到達までの間の時間短縮が可能となったため、承諾の意思表示についても到達主義へと統一したものです。

 

◆契約の申込みの撤回権の留保
旧法では、契約の申込みの撤回権を認める規定はありませんでした。
これに対し、新法では、新法523条1項において、承諾期間を定めてした申込みは撤回できないという原則を定めつつ、例外として申込者があらかじめ撤回権を留保したときは撤回を認めると定めました。

また、承諾期間を定めない申込みに関しても、承諾通知を受けるのに相当な期間を経過するまでは撤回できないという原則を定めつつ、例外的に撤回権の留保を認めました(新法525条1項)。

さらに、承諾期間の定めのない対話者間での申込みは、対話が継続している間はいつでも撤回できる旨の規定が新設されました(同2項)。

なお、承諾期間の定めのない対話者間での申込みについては、対話が継続している間に申込者が承諾の通知を受けなかったときに原則として申込みが効力を失う旨の定めも新設されました(同3項)。

 

【改正民法債権編】更改

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更改

更改を、これまでよりも使いやすい制度に改正

 

◆更改とは
更改とは、当事者が債務内容の重要な部分に変更を加え、新債務を成立させることによって、旧債務を消滅させる契約をいいます。

旧法においては、これを「当事者が債務の要素を変更する契約をしたときは、その債務は、更改によって消滅する。」(旧法513条)と規定していたのですが、「債務の要素」とは何なのかがわかりにくい条文でした。

そのため新法では、更改の要件を次のように整理しました(新法513条)。
【更改の要件の整理】
当事者が、従前の債務に代えて、(下に掲げる)新たな債務を発生させる契約をしたときには、従前の債務は消滅する。
(新たな債務の3分類)
①従前の給付の内容について重要な変更をするもの
②従前の債務者が第三者と交替するもの
③従前の債権者が第三者と交替するもの

なお、旧法513条2項は実例にも乏しく、合理性にも欠けるため、今回の改正で削除されました。

 

◆債務者の交替による更改
旧法では、債務者の交替による更改は、「債権者と更改後に債務者となる者との契約によってすることができる」としつつも、「更改前の債務者の意思に反するとき」は、債権者と新債務者との契約によってはすることができないと規定されていました(旧法514条)。

新法では、このような旧債務者の意思による制限をなくし、債務者の交替による更改は、債権者と新債務者との契約によってすることができるとした上で、その効力発生時を「債権者が更改前の債務者に対してその契約をした旨を通知した時」と定めました(新法514条1項)。
また、新法では新債務者は旧債務者に対して求償権を取得しないことを明示しました(新法514条2項)。

 

◆債権者の交替による更改
債権者の交替による更改に関する旧法の規定は、「債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。」とだけ定めていました(旧法515条)。

今回の改正では、「債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。」(新法515条1項)という規定を追加し、債権者の交替による更改が三者間における契約であることを明記しました。
また、旧法の他の規定を準用していた旧法516条が削除されました。

 

◆更改前の債務が消滅しない場合を定めた規定の削除
旧法では、更改前の債務が消滅しない場合として、「更改によって生じた債務が、不法な原因のため又は当事者の知らない事由によって成立せず又は取り消されたとき」を挙げてました(旧法517条)。

しかし、どのような場合に更改前の債務が消滅しないとするかは、当事者間の個別の更改契約の解釈によるところが大きいため、この規定は削除されました。

 

◆更改後の債務への担保の移転
旧法では、「更改の当事者」は、旧債務の担保として設定された質権または抵当権を、更改後の新債務に移すことができることを定めていましたが(旧法518条)、担保権の移転に債務者の関与を必要とするのは妥当ではありません。

そのため、今回の改正では、「更改の当事者」とされていた主語を、「債権者(債権者の交替による更改にあっては、更改前の債権者)」に改めました(新法518条1項)。

また、更改契約をする前、または同時に担保権を移転することができるよう、同条の2項に「前項の質権又は抵当権の移転は、あらかじめ又は同時に更改の相手方(債権者の交替による更改にあっては、債務者)に対してする意思表示によってしなければならない。」という規定を追加しました。

これらの改正により、更改による担保権の移転をより効果的に行えるようになります。ただし、元本確定前の根抵当権については例外規定が設けられています(新法398条の7第4項)。

【改正民法債権編】相殺

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、相殺について考えてみたいと思います。

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相殺

判例・実務で積み重ねられてきた見解を明文化

 

◆相殺とは
相殺とは、2人の当事者が互いに同種の債権債務を有する場合に、一方当事者の意思表示によって、債権債務を対当額で消滅させる制度です。
たとえば、AがBに対して1000万円の売掛債権を、BがAに対して800万円の貸金債権を有しているとします。
この場合、Bはこれらの債権債務を相殺することで、Aに対して差額の200万円のみ支払えばよくなります。

 

◆相殺の禁止
(1)当事者による相殺禁止の意思表示と第三者への対抗力
相殺は、取引にかかるコストを下げることができる合理的な制度ですが、当事者の意思に反してまで認める必要はありません。

そのため、旧法では、「当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。」(旧法505条2項)とされていました。
今回、規定の趣旨をより明確にするため、「当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」(新法505条2項)という表現に改正されました。

(2)不法行為債権の債務者による相殺の禁止
従来から、不法行為によって生じた債権の債務者は、債権者に対し、他の債権による相殺を主張できないとされていました(旧法509条)。
これは、加害者が被害者に対して負う損害賠償債務を、貸金債権など他の債権との相殺をもって免れることを禁止する趣旨です。

しかし、一口に不法行為といっても幅がありすぎるので、今回の改正では、「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」と「人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務」に限り、相殺を禁止することとされました(新法509条)。

 

◆差押を受けた債権を受動債権とする相殺の禁止
旧法では、「支払いの差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。」とだけ規定していました。
今回の改正では、これまでの判例・実務の見解を明文化しました。旧法の上記規定に加えて、差押えを受けた債権の第三債務者について、次のことが明示されました。
①「差押え前に取得した債権による相殺」を差押債権者に対抗できること(新法511条1項後段)
②差押え後に取得した債権(他人から取得した債権を除く)が「差押え前の原因に基づいて生じたもの」であるときは差押債権者に対抗することができること(新法511条2項)

 

◆相殺の充当
旧法は、複数の債権債務がある状態で当事者が相殺の意思表示をした場合に、どのような順序で相殺が充当されるのかについて、「第488条から第491条までの規定は、相殺について準用する。」とだけ規定していました。
今回の改正では、相殺の充当の順序等を明示しました(新法512条、512条の2)。

【改正民法債権編】弁済に関するルールの整理2

【改正民法債権編】弁済に関するルールの整理1

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、弁済に関するルールの整理1について考えてみたいと思います。

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弁済に関するルールの整理1

旧法下で不明確であった点を条文で明確化

 

◆弁済とは
弁済とは、債務者が債務の本旨に従って給付を実現することを言います。
たとえば、売買契約を締結すると、買主は売主に対してお金を支払う義務(売買代金債務)を負いますが、この義務は、買主が売主に代金全額を支払うことで消滅します。

旧法ではこの当然の原則が条文に規定されていなかったため、新法では「債権の消滅」の節の冒頭に「債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは、その債権は消滅する。」という規定を設けました。(新法473条)。

 

◆第三者による弁済
債権は、特定の者(債務者)に対する請求権ですから、債権者が弁済を請求できるのは債務者だけです。仮に債務者に資力がなく、かつ、その親が資産家だったとしても、債権者は債務者の家族に債務の履行を請求することはできません。

しかし、債務者以外の第三者が、自らの意思で弁済することを希望するのであれば、これを認めても債権者にとって不利益にならないでしょう。
そのため、民法は「債務の弁済は、第三者もすることができる。」(旧法474条1項本文、新法474条1項)と定め、第三者による弁済を原則として認めています。

しかし、誰であっても、どのような債務であっても、第三者の弁済を認めることにすると、当事者にとって不都合が生じる可能性があります。
そこで、新法では、どのような場合に第三者弁済をすることができないのかを下記のように整理しました。
【第三者による弁済が認められない場合】
「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債務者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」債務者の意思に反することを債権者が知らなかったときは有効な弁済となる。(新法474条2項)

「主体」弁済をするについて正当な利益を有する者でない第三者は、
「原則」債権者の意思に反して弁済をすることができない。
「例外」その第三者が債務者の委託を受けて弁済する場合において、そのことを債権者が知っていたときは有効な弁済となる。(新法474条3項)

 

◆受領権者としての外観を有する者に対する弁済
旧法においては、受領権限のない者に対する弁済の効力について「債権の準占有者に対する弁済」という表現を使って規定していました(旧法478条)。
しかし、この「債権の準占有者」というのが何を指しているのかわかりにくかったため、これを「受領権者としての外観を有する者に対する弁済」という表現に改めました(新法478条)。

そして、弁済の受領権者以外の者に対してした弁済は、原則として「債権者がこれによって利益を受けた限度においてのみ」有効としつつ(新法479条)、「取引上の社会通念に照らして受領権者としての外観を有するもの」に対して弁済をしたときは、弁済者がその者を真実の受領権者であると過失なく信頼して弁済したときに限り、有効な弁済として取り扱うことを規定しました(新法478条)。

このほか、旧法では真正な受取証書を持参した者については「弁済を受領する権限があるものとみなす」という規定がありましたが(旧法480条)、現代では存在意義が乏しいとして、今回の改正で削除されました。