【後見制度について】施設に入ったので自宅を処分したい「居住用不動産を売却するときの注意点」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「居住用不動産を売却するときの注意点」を考えてみましょう。

【Q】おば(82歳)は、認知症で、現在、介護付き施設で生活しています。施設に入る前は、自分が所有する一軒家に住んでいましたが、今後ここに戻る見込みはありません。年金は月々入っていますが、資産は300万円ほどで、十分な介護のためにできれば不動産を処分したいと思いますが、どうしたらよいでしょうか。

【A】

・最初にすることは

おばさまは、現在、介護付の施設に入所しておられますから、生活面での心配はあまりないのだと思われます。でも、手持ち現金が潤沢とまでは言えないようですので、所有不動産を現金化して十分な介護をしてあげたいという気持ちもわかります。

また、手入れをする者のいない一軒家は荒れがちですし、浮浪者が入り込んだりすることもあるため、消防署や近隣の方は無人の一軒家には神経を尖らせており、何らかの対応が必要になることも多いと思います。おばさま自身は、認知症で、財産の処分をする能力はないと考えられますので、このような場合の財産処分は、成年後見人を選任して判断してもらうことになります。

・居住用不動産の処理

成年後見人が選任されたら、ご本人(被後見人)が所有していた不動産はどのように扱われるでしょうか。おばさまはご自身が所有していた不動産に住んでいたので、その不動産は「居住用不動産」となります。「居住用不動産」は被後見人が居住の用に供していたということから、一般の所有不動産とは異なり、特に慎重な対応が必要とされています。

おばさまの場合は認知症で回復の見込みが少ないですが、例えば統合失調症などで長年自宅に居住し続けたけれども一人暮らしが難しくなったというような人は、自宅に強い愛着を持っている場合などがあります。その場合に、その居住用の不動産を簡単に売却したりすると、ご本人の生活や精神的な安定に大きな影響をもたらすことがあるからです。したがって、成年後見人が居住用不動産を売却するなど、居住用不動産の処分をする場合には、事前に家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立てをし、許可を得る必要があります。

もっとも、ご質問のように、被後見人の介護のために現金が必要であったり、居住用不動産に戻る見込みがないような場合、居住用不動産の売却処分は比較的容易に許可されると思います。このほか、居住用不動産の処分には、第三者への賃貸、使用貸借(無償で誰かに貸すこと)、家屋の取り壊し、抵当権の設定などがあり、これらの行為をする場合にも、家庭裁判所の「居住用不動産処分許可」が必要となります。

【後見制度について】一人暮らしの認知症高齢者を施設に入所させるには「成年後見人が施設と入所契約」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「一人暮らしの認知症高齢者を施設に入所させるには」を考えてみましょう。

【Q】賃貸マンションで一人暮らしをしてるおば(78歳)が最近、肺炎を起こして入院しました。しかし、認知症がすすんでおり、家に帰って一人暮らしをするのは無理だと言われています。施設に入れたいと思いますが、今後どのようにすればいいのでしょうか。財産は預貯金が1500万円くらいと、収入は年金だけです。

【A】

・最初にすることは

おばさまは今後、一人暮らしは無理ということですが、ある程度財産も有りますから、地方公共団体や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームや介護付きの有料老人ホーム等に入所するということになると思います。特別養護老人ホームは何年も入所待ちをしているのが現状であることを考えますと、有料老人ホームへの入所が現実的です。

ただ、おばさまは認知症のために、ご自身で財産を管理したり、施設に入所したりということはできない状態でしょう。このような場合、おばさまのために、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらい、施設の入所契約をしたり、財産管理をしてもらうことになります。

したがって、おばさまに関して、まず家庭裁判所に成年後見開始の申立てをし、成年後見人を選んでもらうことになります。この場合、後見開始の申立権者は、4親等内の親族(配偶者、4親等内の血族、3親等内の姻族)らとなります。もしあなたがずっとおばさまの面倒をみてあげようと思われるのであれば、あなたが成年後見の申立てをし、ご自身が成年後見人の候補者となればよいでしょう。

申立て後、家庭裁判所で審理をして、後見開始の決定が出れば、成年後見人が選任されます。親族が成年後見人になることが多いですが、親族に成年後見人になれる人がいない場合や親族で誰が後見人になるかに争いがある場合などには、裁判所で専門職などの第三者が選ばれます。その場合、成年後見人には、弁護士や司法書士、社会福祉士などが選ばれることになります。

・施設の入所契約

現在、おばさまは肺炎で入院中ですが、退院が決まれば、施設に入所するのがよいと思われます。その場合、施設に入所するのには、施設入所契約が必要となります。また、有料施設の場合には、ある程度のまとまった費用も必要です。

施設は、親戚の方が面倒を見やすい場所で選び、入所が決まれば、成年後見人が、ご本人の後見人として後見人名義で施設勇所契約を締結します。その際に必要な費用は、この場合であれば、おばさまがお持ちの預貯金から引き出して支払うということになります。銀行は、預貯金名義人が認知症と分かった場合、預貯金の引出に応じることはありませんが、後見人からの払出請求にはもちろん応じます。その後の、入所費用等は、年金や預貯金の残金から支出することになります。その入出金の管理は後見人が行います。預貯金の管理や施設入所のための入出金管理は後見人の重要な仕事になります。

・居住用不動産の処分

おばさまは賃貸マンションにお住まいということでしたが、通常施設に移ると、今後、賃貸マンションに戻ることは考えられません。それにもかかわらず、マンションを借りっぱなしにすると月々の賃料が発生しますから、財産的には大きなマイナスとなります。そこで、後見人は、マンションの賃貸借契約を解約する必要があります。

おばさまの場合は認知症がすすみ回復の見込みが少ないですが、回復の可能性があったり、統合失調症などで長年自宅に居住し続けたけれども一人暮らしが難しくなったというような人では、自宅に強い愛着を持っているケースなどもあります。その場合に、その居住用の不動産を手放してしまうと、ご本人の今後の住まいや精神的な安定に大きな影響をもたらすことがあります。そこで、居住用不動産の扱いには特に慎重な対応が求められます。

そのため、成年後見人が居住用不動産の売却や賃貸借契約の解除など、居住用不動産の処分をする場合には、事前に家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立てをし、許可を得る必要があります。したがって、賃貸マンションについては、後見人が裁判所の許可を得て、賃貸借契約を解除することになります。

【後見制度について】認知症の高齢者が遺産相続をするには「遺産分割のために成年後見人を選任」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「認知症の高齢者が遺産相続をするには」を考えてみましょう。

【Q】最近父が亡くなりました。86歳の母は認知症のために、父が亡くなったことさえ理解できていないようです。子である私と弟が父の相続手続きをするには、どのようにすればよいでしょうか。

【A】相続の手続きを進めるには、まずお父様が生まれてから亡くなったときまでの戸籍謄本等を取って、相続人が、妻であるお母様、子であるあなたと弟さんの3人であることを確定する必要があります。また、遺産として何があるのかも調査しなければなりません。銀行などでお父様の遺産を調査する場合にも、あなたが相続人であることを証明する資料として、これらの戸籍謄本等は必要になります。

このようにして、誰が相続人であるか(相続人の範囲)と、遺産としては何があるか(遺産の範囲)を確定させたうえで、相続人全員で遺産をどのように分けるのかの話し合い(遺産分割の協議)をすることになります。この遺産分割協議をするには、判断能力を備えていることが必要ですが、お母様にはこの判断能力が欠けているとみられますので、遺産分割の協議をする能力がありません。そこで、お母様が遺産分割で不利益を受けないように、お母様に代わってあなたたちと遺産分割の協議をする、お母様の代理人が必要になります。判断能力がない人の代理をするために法律が定めているのが成年後見人です。成年後見人を付けるには、あなたがお母様の住む家庭裁判所に、お母様について成年後見開始の申し立てを行うとよいでしょう。その場合に、何のために成年後見の申立てを行うのか、成年後見申立ての目的も記載します。

お母様の成年後見人を選任する家庭裁判所の審判が出て確定したら、あなたと弟さんとお母様の後見人とで遺産分割の協議をし、協議が整えば遺産分割協議書を作成します。この遺産分割の内容ですが、判断能力の欠けるお母様の利益保護のため、原則としてお母様の法定相続分(全体の遺産の2分の1)は確保させる必要があります。

遺産分割のために選任された成年後見人も、お母様の財産管理や身上監護の任にあたります。そのため、遺産分割協議にあたって紛争などの問題が生じるおそれがない場合には、親族であるあなたや弟さんが成年後見人に選任されることもあり得ます。ただし、相続人であるあなたが成年後見人に選任された場合には、遺産分割協議にあたってあなたがお母様の後見人としてお母様を代理することはできません。なぜなら遺産分割については、あなたもお母様も同じ相続人としてお父様の財産を分けることになるため、二人の利益が相反するからです。その場合には、公正を期してお母様の利益を守るために、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てを行い、遺産分割に関しては、相続人とえらばれた特別代理人との間で、遺産分割協議を行うことが必要です。

【後見制度について】預金通帳の管理が難しくなってきた「銀行預金の出し入れの支援」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「預金通帳の管理が難しくなってきた」ケースを考えてみましょう。

【Q】母は高齢ですが、父が亡くなった後一人暮らしをしています。結婚して遠方に住んでいるひとり娘の私が、久しぶりに母を訪ねたところ、預金通帳や印鑑が見つからず、銀行で通帳の再発行や改印届を何度かしていることがわかりました。判断能力が著しく劣っているというわけではないのですが、今後の母の生活が心配です。日常生活のために預金の出し入れを支援してもらう方法はないでしょうか。

【A】高齢になって判断能力が衰えると、預金通帳の管理や、預金の出し入れも難しくなります。遠方に住むひとり娘のあなたが、お母さまの日常生活を心配する気持ちもよくわかります。

あなたのお母さまに判断能力の衰えがみられるにしても、判断能力が著しく劣っていない場合には、お母様の住む地域の社会福祉協議会で相談して、お母様の支援をしてもらうとよいでしょう。この相談から支援までの流れは、次のようになります。

まず、お母様の住む市区町村の社会福祉協議会で、福祉サービスの利用援助など福祉サービスに関する相談をすると、職員(専門員)がお母さまの自宅を訪問してお母さまの状況を聴いて、どのような援助が必要かお母さまと話し合います。そのうえで、お母様の希望に沿った支援計画を作成してお母さまと契約します。契約後は、職員(専門員・生活支援員)による援助が実施されます。あなたのお母さまの場合、預金通帳や印鑑の管理が難しくなってきていて、日常生活のために預金の出し入れをしてもらう支援が必要のようですので、市区町村の社会福祉協議会(実施主体の都道府県社会福祉協議会からの受託)が、日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)として行っている福祉サービスの利用援助の契約をして、通帳の預かりや預貯金の引き出し、公共料金などの支払い(日常的金銭管理)や、通帳・実印・保険証書・年金証書・権利証・契約書などの預かり(書類などの預かり)サービスを受けるようにしたら良いとおもいます。

次に、あなたのお母さまの判断能力の衰えが進み、判断能力が無くなってしまった場合は、お母さまが社会福祉協議会とこれらのサービスの契約をすることはできません。その場合は、お母様について成年後見開始の申立てをして、家庭裁判所が選任した成年後見人が、お母さまの預貯金通帳・印鑑を預かり、預貯金の出し入れをして、お母さまの財産管理や身上監護をすることになります。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年6月30日(日)13:00~16:30

予約番号 080-7025-8357(中村由美子)

予約優先ですが、当日飛込みでのご相談も歓迎です。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

成年後見無料相談会

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをします。

成年後見に関する無料相談会を、東京都行政書士会の行政書士で構成される、公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの世田谷地区主催で、開催いたします。私もメンバーとなっております。

会場は世田谷区民会館別館【三茶しゃれなーどホール】5階集会室スワン。三軒茶屋駅徒歩3分(世田谷区太子堂2-16-7)

日時は令和元年6月5日 13:00~16:30

予約電話番号03-3426-1519(受付:東村)

予約なしでも相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は平成31年4月11日(木)13:00~16:30

予約番号 080-7025-8357(中村由美子)

予約優先ですが、当日飛込みでのご相談も歓迎です。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

成年後見無料相談会

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをいたします。

成年後見に関する無料相談会を、東京都行政書士会の行政書士で構成される、公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの世田谷地区主催で、開催いたします。私もメンバーとなっております。

会場は世田谷区民会館別館【三茶しゃれなーどホール】5階集会室スワン。三軒茶屋駅徒歩5分(世田谷区太子堂2-16-7)

日時は平成31年3月5日 13:30~16:30

予約電話番号03-3426-1519(東村)

予約なしでもご相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

財産管理、相続でお悩みの方に注目の家族信託導入例3

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

家族信託の導入例を参考に、家族信託の特徴を考えましょう。

【事例3】親なきあとに障害のある一人っ子の生活を保障したいケース

X(78)は、妻Y(72)と障害のある長男A(40)の3人家族。

Xは、自分と妻が亡くなった後の一人息子Aの生活を心配している。Aは障害により、遺言書を書けるだけの理解力はない。Xは自分・妻・Aがすべて亡くなった後に残った資産があれば、それをお世話になった障害者施設を運営する社会福祉法人に寄付したいと考えている。

【解決策】Xは今のうちから信頼のできる長男Aの後見人候補者Wを探し、予め法定後見人選任申立てをする。

次にXは、信頼できる親戚Zとの間で契約により信託を設定。内容としては、当初は委託者=受益者とする。X死後、第二受益者として妻Yにし、さらにYの死後は、第三次受益者を長男Aにする。長男Aの生活・療養に必要な資金は、受託者Zから後見人Wに必要に応じて給付する形にする。

また、Aの死亡により信託が終了するように定め、信託の残余財産の帰属先を社会福祉法人に指定。これにより妻Y及び長男Aが生存中に使いきれず残った財産は、Xが希望するところへ譲ることができる。

【ポイント解説】本人Xと妻Yが元気なうちから法定後見制度を利用することで、高齢であるXとYの負担を軽減させることができる。

また、X及びYは後見人Wに対して、長男Aの生い立ちや趣向、どのような方針で身上監護・財産管理をして欲しいか等、様々な情報・希望を直接伝えることができ、Wが後見人としてしっかり業務執行をしている姿を見て安心できる(両親亡きあと自分たちの知らない人間が息子の後見人になるという漠然とした不安を解消)。

長男Aには遺言能力がないため、通常の相続をすると、両親XYの財産すべてが長男Aに集約されたのち、長男A死後は相続人不存在として残った財産はすべて国庫に帰属することになる。「後継ぎ遺贈型受益者連続信託」を使うことで、民法上の単なる遺言では実現できないXの希望を反映させた財産承継が可能となる。成年後見制度と家族信託の併用で、家族3名の万全の財産管理の実行と両親の想いの具現化ができると言える。

見てきたように、親なきあと問題の解決策は一つの制度を利用するのみでは難しいものがあります。お悩みの方はまずは60分無料相談を利用されて、ご自身がどのような方策がとれるのか、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅北口徒歩1分

日時は平成31年4月11日㈭13:00~16:30

予約電話番号03-3329-1229(行政書士ナカムラオフィス)

予約優先ですが、当日の飛込でのご相談も歓迎です。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。