【成年後見について】判断能力の低下に備えて何かできることはないか「任意後見制度の活用」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「判断能力の低下に備えて何かできることはないか?任意後見制度の活用」について考えてみましょう。

【Q】先日、何十年ぶりかの同窓会に出かけたところ、将来への不安という話から、認知症等を患ったときの財産管理の話が出ました。友人たちのうち何名かは実際に悩んでおり、Aさんは「配偶者に先立たれて、子どももおらず、親族も死亡した。」、Bさんは「子どもはいるが、外国で暮らしており、面倒を見てもらうことができない。」、Cさんは「子どもはいるが、サラ金からの借金を繰り返しており、とても財産管理を任せられる状態にはない。」というのです。このような悩みを抱えている友人たちが、認知症等を患う前に、将来の財産管理の方法を、今から決めておくことができますか。

【A】任意後見制度の利用をお薦めします。この制度は、判断能力に問題がない段階での自らの意思を、将来、判断能力が不十分となった際の財産管理等に反映させたいと考えている人によって利用されることを予定していますので、質問にあるような悩みを持つ方の場合でも利用できます。

それは、任意後見制度では、財産管理を任せる相手を限定しておらず、成人であれば、誰でも財産を管理する人=任意後見人になることができるからです。つまり、親族に頼らなくても、弁護士、司法書士、社会福祉士、行政書士に、任意後見人への就任を依頼できるということです。もちろん、友人でも可能です。また、社会福祉協議会等の社会福祉法人も任意後見人に就任できることになっています。

あなたの友人たちは、このような第三者の中から、信頼できる人を選んで、判断能力が不十分になったときに備えて、任意後見契約を結んでおくのがよいでしょう。

また、あなたの友人たちのなかには、判断能力が不十分になる前から第三者に財産管理を任せたいと考える人もいるかもしれません。そのような場合には、任意後見人に就任する予定の人と通常の委任契約も同時に結んでおくと便利です。そのため任意後見契約だけではなく、委任契約を付け加えた任意後見契約を結ぶ例が多いようです。

この委任契約及び任意後見契約を結ぶと、本人の判断能力の衰えに関わらず、同一人物が財産管理を継続しますので、日常の契約や支払いなどが円滑に処理できるというメリットがあります。

【成年後見制度について】日常生活に不安を感じている場合は?「補助制度の利用」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「日常生活に不安を感じている場合は?補助制度の利用」について考えてみましょう。

【Q】私は、今年90歳になります。軽度の認知症があるとの診断を受けていましたが、自分ではまだ大丈夫だと思っていました。ところが、先日、家で転倒し、2ヶ月間の入院を余儀なくされました。入院してみてはじめて、夫に先立たれ、子どものいない一人暮らしの私には、こんなとき、私に代わって、入院費や治療費の支払いや福祉サービスの利用契約をしてくれる人が身近にいないことに気がつきました。しかたなく、普段はあまりつきあいのない他県で暮らす姪に無理を言って、私の自宅から銀行の通帳やキャッシュカードを持ってきてもらい、ATMでの現金の払戻しや病院への支払い等を頼みました。ようやく退院し、自宅での生活に戻ることになりましたが、自分の年齢を考えると、これからの生活が心配でなりません。一人暮らしが困難となった場合には、夫が残してくれた預貯金で有料老人ホームに入りたいと考えていますが、認知症の進行を考えると、一人で適切に決められるか不安です。かといって、何かと口うるさい姪には、私の多額の財産の管理や日常生活に干渉されたくありません。何かいい方法はないでしょうか?

【A】認知症であっても軽度であり、日常生活を送るうえで、特に支障がないほどの判断能力があれば、後見や保佐を利用する必要はありません。というより、このような判断能力のある人が、家庭裁判所に申立てをしても、後見や保佐の利用は認められません。

しかし、今はまだ、あなたには、財産の管理や福祉サービスの利用契約等を行うことができるだけの能力があるとしても、これから先、認知症がすすみ、自分で情報を収集、分析したうえで、適切な判断を下すことが、いつできなくなるか心配でならないというのであれは、補助という制度を利用することをお勧めします。これは、精神上の障害(認知症・知的障がい・精神障がい等)により、物事を判断する能力が不十分であるとして、自分の能力に不安を感じている人たちが、家庭裁判所に、財産管理などを行う援助者である補助人の選任を求めるという制度です。

後見や保佐とは異なり、判断能力が欠けているわけでも、著しく劣っているわけでもない人たちが利用する制度であるため、この手続きの開始には、本人の同意が必ず必要とされています。そして、申立ての範囲内で家庭裁判所が定める特定の法律行為について、本人が同意した場合には、補助人に、同意権や代理権を与えることができます。しかも、補助人の同意が必要とされた行為について、本人が補助人の同意を得ないでした行為は、取り消すこともできます。このように、補助では、本人が必要と考える行為に限定して、補助人に、同意権や代理権を付与することになります。

そのため、あなたのように、日常生活においては支障がないとはいえ、多額の財産の管理や有料老人ホームへの入所といった判断を適切に行うには、自分の能力に不安があるといった場合に、必要以上に、本人の権限(能力)を制約することなく、例えば預貯金の管理(口座の開設・変更・解約・振込依頼・払戻し)とか、福祉関係施設への入所に関する契約といった特定の法律行為に限り、補助人に同意権や代理権を与えて本人を保護し、援助することを可能にするという点で補助人は、有効な制度と言えます。

したがって、あなた自ら、補助開始の申立てを行い、補助人の選任を求め、多額の預貯金の管理や有料老人ホームへの入所契約について、補助人に、同意権または代理権を与えることにするとよいでしょう。ただし、どのような行為について、同意権と代理権のどちらを与えることが適切かに関しては、あなたの能力や財産の種類、額、生活態様等を踏まえ、慎重に検討したうえで、申立てを行う必要があります。法律行為の特定の仕方が悪いと、いざというときになって、補助人の同意権や代理権を否定される恐れもあるので、注意が必要です。

【成年後見制度について】保佐人と本人の意見が対立した場合には?「保佐人の同意に代わる方法」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「保佐人と本人の意見が対立した場合には?保佐人の同意に代わる方法」について考えてみましょう。

【Q】知的障害のある私の弟は、うまく物事を判断することができず、計算も苦手です。以前、悪質商法の被害にあったこともあります。だから、兄は、弟の財産を守るためだといって、保佐という制度の利用を家庭裁判所に申立て、兄が弟の保佐人に選任されました。

しかし、兄は、弟の行動を制限しすぎるように思います。最近、弟が、今は亡き両親が残していった弟名義の不動産を処分して、その金で、障害者仲間やボランティアの人たちと一緒に、毎年旅行に出かけたいと言い出した時も、保佐人である兄は、これに猛反対し、不動産の処分には絶対に同意しないと言ったそうです。幸い、弟には、親が残した十分な資産が他にもあるので、私としては、不動産を一つ処分するだけなら、弟の夢をかなえてやりたいと思うのですが、なんとかできないものでしょうか。

【A】保佐とは、精神上の障害により物事を判断する能力が著しく不十分な者に、家庭裁判所が、援助者として保佐人を付する制度です。保佐人がつくと、本人が、民法に定める一定の重要な行為を行う場合には、保佐人の同意を得ることが必要になります。そして、本人が保佐人の同意をえないでした行為は、本人または保佐人による取消の対象となります。さらに、民法所定の一定の重要な行為の範囲内の行為については、本人が同意しさえすれば、保佐人に代理権を与えることもできます。

このように、保佐は、本人が重要な行為を行う場合に、原則として、同意という形で保佐人の判断を仰ぎ、仮に、本人が単独で、重要な法律行為をしてしまった場合には、本人または保佐人が、後日、保佐人の同意がないことを理由に当該行為を取り消すこともできるという制度です。ですから、判断能力に問題があるため、誤った判断をして、悪質商法の被害にあったり、計算が苦手なために、思いもかけない高額の買い物をしてしまいがちな人にとっては、大変有効な制度として機能します。

したがって、保佐人であるお兄さんが、弟さんの財産処分行為にうるさく口をだし、止めようとするのも、弟さんのことを心配すればこそかもしれません。まずは、お兄さんと弟さんが、よく話し合ってみるよう勧めるとよいでしょう。

しかし、保佐人であるお兄さんが、弟さんの不動産処分行為に断固として反対し同意せず、弟さんは、それに納得できないというのであれば、弟さんは、家庭裁判所に、保佐人の同意に代わる許可を求めることができます。家庭裁判所が、弟さんの利益を害する恐れがないにもかかわらず、保佐人であるお兄さんが同意を拒んでいると認めれば、弟さんは、保佐人の同意に代わる家庭裁判所の許可を得ることができます。

これは、保佐人が、適正に同意権を行使しないと、本人は、自分の財産でも処分することができなくなる等、自分のことすら自分で決めることができないという不当な制約を受けることになるため認められた制度です。これを利用することによって、弟さんの希望がかなえられる可能性がありますので、弟さんに、勧めてはどうでしょう。

 

【成年後見制度について】詐欺的商法から高齢の親を守るために「高齢者を見守る方法」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「詐欺的商法から高齢の親を守るために・高齢者を見守る方法」を考えてみましょう。

【Q】80歳の母は、父が亡くなってからも、気楽な生活がしたいからと、地方のマンションで一人暮らしを続けています。買い物や食事など、全て一人でこなし、これまで困ったことはありませんでした。ところが孫たちが夏休みに母のところを訪ねて行って、大変な事態になっていることに気付きました。

普段、客間として使っている和室に、一度も開封していない箱が山と積まれていて、その箱の大きさや印刷された文字から推測すると、着物が入っているのではないかというのです。その話を聞いてすぐに、私たち夫婦が母のもとを訪ね、和室を確認すると、孫たちの言う通り、足の踏み場もないほど沢山の箱が積んでありました。

そこで、母に箱のことを尋ねたのですが、母は「買ったのよ。」と答えるだけで、詳しい話をしません。中身や購入先を尋ねても、なかなか答えず、しばらくしてから、重い口を開き、マンションを訪ねてくる親切な若い男女がおり、その男女の勧めで、着物や宝石を購入したとのことでした。

それを聞いた私たち夫婦は、預金のことが心配になったので、押し問答の末に母の預金通帳を見せてもらったところ、父の遺産として母が受け取った数千万円の預金の大半が、50万円・100万円という単位で引き出されていました。母は一人暮らしをしているものの、足腰が弱く。何度も銀行に出かけるのは面倒だったはずですが、その若い男女が、母を連れ出してタクシーで銀行まで出かけ、母自身に預金を引き出させていたようです。

母は、その若い男女をとても信頼している様子で、このままでは、一度も袖を通すことのない着物や身につけることのない宝石に、残りの遺産や年金までも、つぎ込む可能性があります。これでは、母が病気を患った時などに、治療費の支払いにも事欠くのではないかと案じられます。

母が、大量の高価品を購入することを止めさせるには、どうすればよいでしょうか。

【A】その男女は、訪問販売業者の従業員と思われます。まず、あなたのお母さまが受け取った書類の中から領収書等を探し、業者の名称や住所を確認してください。質問からは、その男女がどのような売り方をしたのか、明らかではありませんが、高価品を買ってすぐであれば(法定の要件をみたした売買契約書等の書面を受領した日から8日以内)クーリングオフ制度により、理由を問わず無条件かつ一方的に契約を解除することができます。

クーリングオフ出来ない場合であっても、その男女が事実と異なる説明をして必要以上の着物や宝石をあなたのお母さまに売りつけていたのであれば、消費者契約法第4条に基づく契約の取消や特定商取引法第9条の2に基づく契約の解除ができますので、取消又は解除の意思表示と共に代金の返還を求める通知を、その業者に宛てて発送してください。この通知は、以降の訪問販売を中止させることも目的としていますので、後日の紛争防止のため普通郵便ではなく、内容証明郵便にした方がよいでしょう。

次に、お母様が、あなたの家族と同居することが考えられます。質問にある男女も、お母さまが一人暮らしをしていなければ、短期間に何十枚もの着物や大量の宝石を売りつけることは困難だからです。ただ、お母様の事情(転居により主治医を変えたくない。)や子ども側の事情(家がそれほど広くない。)など、同居が難しい場合があります。あなたの家族にそのような事情がある場合には、お母さまの判断能力の程度に応じて、次の制度の利用が考えられます。

①各都道府県の社会福祉協議会が行っている福祉サービス事業の一つである「定期的訪問による見守り」(見守りサービス)の利用です。このサービスを受けるためには、あなたのお母さまが、社会福祉協議会と契約を結ぶ必要があります。このサービスでは、契約の際に訪問の回数を決めることができますので、できれば1週間に1回以上の訪問を選択してください。これは前述した訪問販売における契約の解除等(いわゆるクーリングオフ)の期間が法定の要件をみたした売買契約書面等の受領日から8日と定められているからです。(特定商取引法第9条)

②あなたのお母さまが、信頼できる人との間で、委任契約及び任意後見契約を結ぶことも考えられます。そしてあなたのお母さまの判断能力に問題があって、内容を理解した上で契約を結ぶのが難しいと思われる場合には、家庭裁判所に任意後見監督人を選任してもらい、任意後見を発効させます。

③任意後見人がいない場合や任意後見契約を結んでいない場合、成年後見制度を利用します。この制度では、家庭裁判所が、後見人等を選任しますが、その後見人等には、親族だけではなく、弁護士や司法書士、社会福祉士や行政書士といった第三者が就任することも認められていますので、質問の場合の様に、親族が離れて暮らしている本人のために後見等を開始することも、十分可能です。

成年後見制度は、保護されるべき人の判断能力の程度に応じて、後見・保佐・補助の三段階に分かれます。後見は、物事を判断する能力が欠けている場合に開始されますが、保佐は物事を判断する能力が著しく不十分な場合に、補助は、物事を判断する能力が不十分な場合に、開始されます。

質問によれば、あなたのお母さまは、支障なく日常生活を過ごしているようですので、成年後見制度のうちの保佐・補助を利用できる可能性がありそうです。あなたのお母さまが保佐相当であれば、保佐人の同意を得ないで高価品の購入やそのための預金取引という民法13条で定める重要な財産行為をしたことになります。あなたのお母さまが補助相当であれば、補助の場合は、補助人の同意が必要な行為を選択し特定する必要がありますので、「高価品の購入」や「そのための預金取引」を補助人の同意を要する行為として定めておくとよいでしょう。

保佐開始・補助開始の審判が出ますと、保佐人・補助人の同意なくして行われた行為は、保佐人・補助人が取り消すことができるようになります。つまり、あなたのお母さまが高価な着物や宝石を購入しても、保佐の場合には重要な財産行為に該当するとして、補助の場合は上記のように定めておくことにより、保佐人または補助人が、購入契約を取り消すことが可能となるのです。

また、保佐人・補助人が、あなたのお母さまが口座を持っている金融機関に、保佐・補助の届出を済ませれば、あなたのお母さまが金融機関に出向いたとしても、預金の払い出しを受けることもできません。さらに、問題の業者に対しては、保佐人・補助人から、あなたのお母さまだけでは預金の引き出しや高価品の購入ができないことや、契約を結んでも取消の可能性があることを、内容証明郵便で通知してもらうことも重要です。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年8月4日(日)13:00~16:30

予約番号 080-7025-8357(中村由美子)

【成年後見制度について】親族が後見人になる場合には、本人の財産を信託する必要がある?「後見制度支援信託とは?」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「親族が後見人なる場合には、本人の財産を信託する必要がある?後見制度支援信託とは?」を考えてみましょう。

【Q】私は、認知症の父のために成年後見開始の申立てをしようと準備しています。後見人には、一人っ子である私自身を候補者として推薦しようと思っていますが、先日、親族が後見人になる場合には、本人の財産を信託するよう家庭裁判所から指示を受けると聞きました。信託すると父の財産はどうなってしまうのでしょうか?また、後見人となった私は、その後、どうやって財産管理をしていくことになるのでしょうか?

【A】家庭裁判所は、後見人に対して、必要な指示を出すことができます。(民法863条2項、家事事件手続規則81条)。これを利用して平成24年2月より、家庭裁判所が、親族等の後見人には、信託銀行等へ、本人の財産を信託するよう指示を出すようになりました。これが後見制度支援信託と呼ばれるものです。

・目的

これまで、家庭裁判所は、後見人を選任する際、賃貸不動産を多数所有する等、専門職(弁護士、司法書士、社会福祉士等)としての知識や経験を生かす必要がある事案の他、多額の預貯金がある等、後見人等による不正の発生を防止する必要のある事案では、専門職を後見人に選任したり、親族後見人の後見監督人に選任する等の方法をとってきました。

しかし、適切な専門職後見人を日本全国において安定的に供給することは、現時点において困難であること、後見監督人や家庭裁判所による事後的な確認だけでは、不正を未然に防止するのは不可能であること、専門職にとっては、日常的な生活費の収支の管理、報告等の事務は負担が重すぎること、専門職後見人に対する報酬は、本人の財産の負担となってしまうこと等から、上記のような方法には自ずと限界がありました。

そこで、専門職としての知識や経験が必要とまではいえない事案においては、専門職後見人に頼ることなく、親族後見人を選任する一方、その不正を未然に防止し、安心して親族後見人のみに後見業務を任せることができるよう、被後見人の財産を守るための方策として考えられたのが後見制度支援信託です。対象となるのは成年後見案件のみであり、保佐・補助・任意後見案件は対象外とされています。

・概要

後見制度支援信託は、親族等の後見人を選任する事案において、後見人が、家庭裁判所の指示書に基づき、被後見人のために信託銀行等との間で信託契約を締結し、被後見人(委託者兼受益者)の日常生活に必要十分な金員を預貯金等として後見人の管理下に残した上で、それを超える現金、預金等は、信託銀行等(受託者)に信託するというものです。信託された財産(信託財産)は、受託者の固有財産とは分別して管理され、預金保険制度の対象でもある元本補てん付の指定金銭信託として安定的に運用されます。被後見人の死亡により信託は終了し、信託財産は被後見人の相続人が相続します。信託の費用は、信託契約によって定められます。

仮に、被後見人の年金等の収入だけでは、生計は赤字になってしまうというような場合には、信託契約において、予め赤字相当額を補うように、定期的に一定額の金員が、信託財産から後見人の管理する預貯金等の口座に振込まれるよう定め、被後見人の日常生活に支障が生じないようにしておくことができます。

その後、入所施設に入るための一時金や居宅のリフォーム費用等、まとまった金員を臨時に支払う必要が生じた場合には、信託財産を払い戻すことも可能です。また、親族後見人が管理する預貯金等に信託財産から定期的に交付される金額を増額する等の契約内容の変更や信託契約そのものの解約もできます。ただし、これらの手続は全て、事前に、家庭裁判所に対し、その必要性を説明し、それを裏付ける資料を提出するなどして、家庭裁判所の指示書の発行を受けなければすることができません。なぜなら、これは、家庭裁判所の後見事務の監督権(民法863条2項、家事事件手続規則81条)に基づき行われるからです。

後見制度支援信託そのものは、法律の定める制度ではありませんが、このように、指示書による家庭裁判所の関与により、親族後見人の不正行為を未然に防止し、本人の預貯金等を守るために考え出されたものです。平成24年2月から、これが導入されたことにより、親族後見人が、合理的理由無く、信託の利用に反対したときには、このような者を後見人に選任しても、適切かつ円滑な後見事務を期待できない恐れがあるとして、専門職が後見監督人としてつけられたり、場合によっては後見人を解任される事も起こりえます。

・信託財産の範囲

信託財産は金銭のみとされていますので、信託の対象となる財産は、基本的に現金及び預貯金等に限られます。保険の解約や不動産の売却は想定されていませんが、株式等、金融商品の売却、換金については、個別具体的事情に応じて判断されることになります。また、遺言の存在が明らかな場合には、その対象財産については、信託の対象外とするのが相当と考えられています。

・専門職の関与

かかる信託契約を締結するには、その前に本人の財産状況を踏まえて将来の生活設計を行い、それに見合った収支を予想した上で、日常生活に必要十分な財産が、後見事務を行う親族後見人の手元に存在するような信託条件を設定することが必要です。

そのため、信託契約を締結する前に、家庭裁判所がまず専門職を後見人に選任し、同後見人が専門職としての知識や経験を生かして収支の予想や信託条件の設定を行うことが予定されています。具体的には、①専門職後見人のみを選任し、信託契約締結後に親族後見人に交代するという方式(リレー方式)、②親族と共に専門職後見人を選任し、事務を分掌(親族後見人は身上監護、専門職後見人はそれ以外の事務を分掌等)して権限を行使させるが、信託契約締結後、専門職後見人のみ辞任するという方式(複数選任方式)、③親族後見人とともに専門職後見人を選任し、親族後見人が専門職後見人の監督の下、信託契約を締結し、その後専門職後見監督人が辞任するという方式が考えられます。実務上は①又は②の方法が採用されているようです。信託契約締結後は、信託銀行が信託された財産の収支の管理・報告を行い、親族後見人が信託銀行から定期的に交付される金員を含む手元預貯金等で日常的な生活費等の収支管理を行うことになります。

・後見制度支援信託が利用される事案

訴訟への対応が必要な事案や賃貸不動産を多数抱える事案では、訴訟や財産管理について専門的な知識、経験が必要とされるため、専門職を後見人に選任することが適切です。また、後見事務を任せることができる親族がいないケースや親族間に紛争があるケースでは、専門職後見人を選任するしかありません。このように専門職が後見人に選任されている事案では、信託を利用するのではなく、後見監督人を選任することで財産管理の安全性を図っています。

したがって、このような信託は、通常上記以外の、財産管理に専門的な知識、経験は必要とせず、後見事務を任せられる親族等がいるという事案において利用されることになります。本人の財産保護のためには、不正防止策を講じることなく親族等に後見事務を任せることはできる限り回避すべきであるというのが裁判所の考え方です。

とはいえ、信託できない財産が相当程度ある場合には、信託では財産保護が図れないため、そもそも信託の利用には適していません。ですから、信託の利用は、本人の財産の中心が預貯金であるような場合に限られます。また、本人の財産が少ない事案では、費用対効果の面から、信託や後見監督人の利用はもちろん専門職の関与自体も難しいと言えるでしょう。

【後見制度について】所有不動産を活用したい「財産管理をする上での注意点」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「所有不動産を活用したい。財産管理をする上での注意点」を考えてみましょう。

【Q】父(75歳)は、脳出血で寝たきりとなり、介護付施設で生活しています。母は早く亡くなり、父は施設に入る前には、所有する一軒家で一人暮らしをしていましたが、今後ここに戻る見込みはありません。父は、自宅のほかにも複数の不動産を所有しており、そのうち賃貸マンションは自分で管理していましたが、賃借人がいまはいない家や更地もあります。賃料収入などがあるので資産は1億円ほどありますが、不動産をそのまま放っておくのもどうかと思い、それなりに不動産を活用したほうが良いと思いますが、どうしたらよいでしょうか。

【A】

・最初にすることは

お父さまは、介護付の施設に入所しておられますし、財産も潤沢ですので、生活面での心配はないと言えます。しかし、これまでご自身で管理していたマンションの経営を継続することは難しくなっているようです。遊休資産も荒れれば近所迷惑となりますし、放っておくわけにもいきませんので、何らかの対応が必要となるでしょう。お父さま自身は、現在、自分で財産を処分する能力はないと考えられますので、このような場合の財産の管理や処分は、裁判所に成年後見人を選任してもらい、後見人が判断することになります。

・賃貸マンションの管理

賃貸マンションは、重要な資金源でしょうから、きちんと管理して収入を確保するのが最も適切とされる場合が多いと思います。そのように対処する後見人も多いと思われます。ただ、マンションが老朽化していて、借り手がいないなどの場合は、修繕が必要となりますし、さらには売却するということも考えられるでしょう。

・遊休不動産の活用

賃借人のいない家やマンションなどは、賃貸が可能であれば賃貸にまわすということが考えられます。また、更地は駐車場にするなどして、土地が荒れるのを防ぐ一方でそれなりの収益を出す方法も考えられます。成年後見人は事業家ではありませんので、大きな収益を期待するべきではないでしょうが、どのような資産運用が可能か、親族ともよく話し合っていくのがよいと思われます。

・不動産の売却

それでは、不動産を売却する場合には、どうなるのでしょうか。被後見人が複数の不動産を持っている場合、被後見人が居住していた不動産(居住用不動産)を処分する場合には家庭裁判所の許可が必要ですが、そうではない不動産の処分については、許可は不要ですから、売却して現金化することが可能です。つまり後見人のみの判断で居住用不動産以外の不動産は処分できます。

しかし、後見人としては、許可が不要だからといって、どんどん財産を処分していいとは言えません。後見人には民法の委任の規定が準用されますので、善管注意義務が課せられています(民法852条による民法644条の準用)。善管注意義務とは、善良なる管理者の注意義務のことで、財産管理にあたっては、他人の財産として自分のものよりもより一層大切に管理すべきとされているのです。また、不正行為や著しい不行跡があるなど、後見の任務に適しないときには後見人を解任され(民法846条)、その行為により被後見人に損害を与えた場合には、損害賠償の責任が生じます(同709条)。また財産管理にあたっては、被後見人の意思を尊重し、その心身の状態及び生活の状況に配慮する義務もあります(同858条)。

したがって、被後見人の財産を処分する場合には、処分の必要性や財産のバランスなどを十分考慮したうえで慎重に行うようにしなければなりません。例えば、複数の不動産を処分する場合に、賃料収入のあがるアパートと住む者もなく管理費がかかる不動産があれば、処分によって得る金額の必要性なども考慮し、問題がなければ賃料収入のある方を残すなど、適正な処理が求められます。

・親族の意向

お父さまがお持ちの家が、子どもたちの育った家であった場合など、遠くない将来、被後見人を相続する者としては、売却は望まないというようなこともあると思います。居住用以外の不動産の処分は後見人の権限に属しますので、親族の意向が必ずしも常に後見人の判断に反映されるとは限りません。しかし、このような場合、子どもたちが望まないことを被後見人であるお父さまが強く望むというわけでもないでしょうから、被後見人の意思を考慮する意味でも、より望ましい財産管理がなされるような工夫も大切です。

いずれにせよ、後見制度は、被後見人がより良い生活を送るためにある制度ですので、後見人と、被後見人の関係者たちはよく話し合うことが必要です。なお、居住用不動産を処分する場合としては、第三者への賃貸、使用貸借(無償で誰かに貸すこと)、家屋の取り壊し、抵当権の設定などがあり、これらの行為をする場合には、家庭裁判所の「居住用不動産処分許可」が必要になります。

【後見制度について】施設に入ったので自宅を処分したい「居住用不動産を売却するときの注意点」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「居住用不動産を売却するときの注意点」を考えてみましょう。

【Q】おば(82歳)は、認知症で、現在、介護付き施設で生活しています。施設に入る前は、自分が所有する一軒家に住んでいましたが、今後ここに戻る見込みはありません。年金は月々入っていますが、資産は300万円ほどで、十分な介護のためにできれば不動産を処分したいと思いますが、どうしたらよいでしょうか。

【A】

・最初にすることは

おばさまは、現在、介護付の施設に入所しておられますから、生活面での心配はあまりないのだと思われます。でも、手持ち現金が潤沢とまでは言えないようですので、所有不動産を現金化して十分な介護をしてあげたいという気持ちもわかります。

また、手入れをする者のいない一軒家は荒れがちですし、浮浪者が入り込んだりすることもあるため、消防署や近隣の方は無人の一軒家には神経を尖らせており、何らかの対応が必要になることも多いと思います。おばさま自身は、認知症で、財産の処分をする能力はないと考えられますので、このような場合の財産処分は、成年後見人を選任して判断してもらうことになります。

・居住用不動産の処理

成年後見人が選任されたら、ご本人(被後見人)が所有していた不動産はどのように扱われるでしょうか。おばさまはご自身が所有していた不動産に住んでいたので、その不動産は「居住用不動産」となります。「居住用不動産」は被後見人が居住の用に供していたということから、一般の所有不動産とは異なり、特に慎重な対応が必要とされています。

おばさまの場合は認知症で回復の見込みが少ないですが、例えば統合失調症などで長年自宅に居住し続けたけれども一人暮らしが難しくなったというような人は、自宅に強い愛着を持っている場合などがあります。その場合に、その居住用の不動産を簡単に売却したりすると、ご本人の生活や精神的な安定に大きな影響をもたらすことがあるからです。したがって、成年後見人が居住用不動産を売却するなど、居住用不動産の処分をする場合には、事前に家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立てをし、許可を得る必要があります。

もっとも、ご質問のように、被後見人の介護のために現金が必要であったり、居住用不動産に戻る見込みがないような場合、居住用不動産の売却処分は比較的容易に許可されると思います。このほか、居住用不動産の処分には、第三者への賃貸、使用貸借(無償で誰かに貸すこと)、家屋の取り壊し、抵当権の設定などがあり、これらの行為をする場合にも、家庭裁判所の「居住用不動産処分許可」が必要となります。

【後見制度について】一人暮らしの認知症高齢者を施設に入所させるには「成年後見人が施設と入所契約」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「一人暮らしの認知症高齢者を施設に入所させるには」を考えてみましょう。

【Q】賃貸マンションで一人暮らしをしてるおば(78歳)が最近、肺炎を起こして入院しました。しかし、認知症がすすんでおり、家に帰って一人暮らしをするのは無理だと言われています。施設に入れたいと思いますが、今後どのようにすればいいのでしょうか。財産は預貯金が1500万円くらいと、収入は年金だけです。

【A】

・最初にすることは

おばさまは今後、一人暮らしは無理ということですが、ある程度財産も有りますから、地方公共団体や社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームや介護付きの有料老人ホーム等に入所するということになると思います。特別養護老人ホームは何年も入所待ちをしているのが現状であることを考えますと、有料老人ホームへの入所が現実的です。

ただ、おばさまは認知症のために、ご自身で財産を管理したり、施設に入所したりということはできない状態でしょう。このような場合、おばさまのために、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらい、施設の入所契約をしたり、財産管理をしてもらうことになります。

したがって、おばさまに関して、まず家庭裁判所に成年後見開始の申立てをし、成年後見人を選んでもらうことになります。この場合、後見開始の申立権者は、4親等内の親族(配偶者、4親等内の血族、3親等内の姻族)らとなります。もしあなたがずっとおばさまの面倒をみてあげようと思われるのであれば、あなたが成年後見の申立てをし、ご自身が成年後見人の候補者となればよいでしょう。

申立て後、家庭裁判所で審理をして、後見開始の決定が出れば、成年後見人が選任されます。親族が成年後見人になることが多いですが、親族に成年後見人になれる人がいない場合や親族で誰が後見人になるかに争いがある場合などには、裁判所で専門職などの第三者が選ばれます。その場合、成年後見人には、弁護士や司法書士、社会福祉士などが選ばれることになります。

・施設の入所契約

現在、おばさまは肺炎で入院中ですが、退院が決まれば、施設に入所するのがよいと思われます。その場合、施設に入所するのには、施設入所契約が必要となります。また、有料施設の場合には、ある程度のまとまった費用も必要です。

施設は、親戚の方が面倒を見やすい場所で選び、入所が決まれば、成年後見人が、ご本人の後見人として後見人名義で施設勇所契約を締結します。その際に必要な費用は、この場合であれば、おばさまがお持ちの預貯金から引き出して支払うということになります。銀行は、預貯金名義人が認知症と分かった場合、預貯金の引出に応じることはありませんが、後見人からの払出請求にはもちろん応じます。その後の、入所費用等は、年金や預貯金の残金から支出することになります。その入出金の管理は後見人が行います。預貯金の管理や施設入所のための入出金管理は後見人の重要な仕事になります。

・居住用不動産の処分

おばさまは賃貸マンションにお住まいということでしたが、通常施設に移ると、今後、賃貸マンションに戻ることは考えられません。それにもかかわらず、マンションを借りっぱなしにすると月々の賃料が発生しますから、財産的には大きなマイナスとなります。そこで、後見人は、マンションの賃貸借契約を解約する必要があります。

おばさまの場合は認知症がすすみ回復の見込みが少ないですが、回復の可能性があったり、統合失調症などで長年自宅に居住し続けたけれども一人暮らしが難しくなったというような人では、自宅に強い愛着を持っているケースなどもあります。その場合に、その居住用の不動産を手放してしまうと、ご本人の今後の住まいや精神的な安定に大きな影響をもたらすことがあります。そこで、居住用不動産の扱いには特に慎重な対応が求められます。

そのため、成年後見人が居住用不動産の売却や賃貸借契約の解除など、居住用不動産の処分をする場合には、事前に家庭裁判所に「居住用不動産処分許可」の申立てをし、許可を得る必要があります。したがって、賃貸マンションについては、後見人が裁判所の許可を得て、賃貸借契約を解除することになります。

【後見制度について】認知症の高齢者が遺産相続をするには「遺産分割のために成年後見人を選任」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「認知症の高齢者が遺産相続をするには」を考えてみましょう。

【Q】最近父が亡くなりました。86歳の母は認知症のために、父が亡くなったことさえ理解できていないようです。子である私と弟が父の相続手続きをするには、どのようにすればよいでしょうか。

【A】相続の手続きを進めるには、まずお父様が生まれてから亡くなったときまでの戸籍謄本等を取って、相続人が、妻であるお母様、子であるあなたと弟さんの3人であることを確定する必要があります。また、遺産として何があるのかも調査しなければなりません。銀行などでお父様の遺産を調査する場合にも、あなたが相続人であることを証明する資料として、これらの戸籍謄本等は必要になります。

このようにして、誰が相続人であるか(相続人の範囲)と、遺産としては何があるか(遺産の範囲)を確定させたうえで、相続人全員で遺産をどのように分けるのかの話し合い(遺産分割の協議)をすることになります。この遺産分割協議をするには、判断能力を備えていることが必要ですが、お母様にはこの判断能力が欠けているとみられますので、遺産分割の協議をする能力がありません。そこで、お母様が遺産分割で不利益を受けないように、お母様に代わってあなたたちと遺産分割の協議をする、お母様の代理人が必要になります。判断能力がない人の代理をするために法律が定めているのが成年後見人です。成年後見人を付けるには、あなたがお母様の住む家庭裁判所に、お母様について成年後見開始の申し立てを行うとよいでしょう。その場合に、何のために成年後見の申立てを行うのか、成年後見申立ての目的も記載します。

お母様の成年後見人を選任する家庭裁判所の審判が出て確定したら、あなたと弟さんとお母様の後見人とで遺産分割の協議をし、協議が整えば遺産分割協議書を作成します。この遺産分割の内容ですが、判断能力の欠けるお母様の利益保護のため、原則としてお母様の法定相続分(全体の遺産の2分の1)は確保させる必要があります。

遺産分割のために選任された成年後見人も、お母様の財産管理や身上監護の任にあたります。そのため、遺産分割協議にあたって紛争などの問題が生じるおそれがない場合には、親族であるあなたや弟さんが成年後見人に選任されることもあり得ます。ただし、相続人であるあなたが成年後見人に選任された場合には、遺産分割協議にあたってあなたがお母様の後見人としてお母様を代理することはできません。なぜなら遺産分割については、あなたもお母様も同じ相続人としてお父様の財産を分けることになるため、二人の利益が相反するからです。その場合には、公正を期してお母様の利益を守るために、家庭裁判所に特別代理人選任の申立てを行い、遺産分割に関しては、相続人とえらばれた特別代理人との間で、遺産分割協議を行うことが必要です。