【相続・遺言について】相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】夫の父が亡くなりました。私は、夫の父の生前、長期間夫の父を介護してきました。私は夫の父の相続人ではありませんが、夫の父の相続に関して何らかの権利を主張することはできないのでしょうか?

 

【A】特別寄与料の支払い請求が認められる場合があります。
今回の民法改正により、被相続人の親族が、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、相続人に対し、寄与に応じた額の金銭(特別寄与料と言います)の支払いを請求することができるようになりました。

◆1.請求できる人
特別寄与料を請求できる人は、「被相続人の親族」です。被相続人の子の配偶者や被相続人の兄弟姉妹及びその配偶者などが含まれます。ただし、相続人、相続の放棄をした者、相続人の欠格事由に該当する者及び廃除により相続権を失った者は含まれません。

 

◆2.特別の寄与とは
特別の寄与と言えるためには、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をすることが必要です。
①無償
ある程度のお礼を被相続人から受け取っていた場合、特別寄与料の請求ができなくなるかは難しいところです。お礼の額やその内容などによっては、実質的に「無償」であるとして、特別寄与料の請求が認められる可能性はあるように思われます。
②療養看護その他の労務の提供
療養看護とは、病気療養中で介護が必要な状態にある被相続人を介護することを言うと考えられています。労務の提供が様々な形が考えられますが、その典型例は、被相続人が営んでいる事業に協力した場合を挙げることができます。
③財産の維持又は増加
財産の維持の例としては、農家の長男が家業である農業を無償で行い、被相続人の財産である農地を手放さなくて済んだ場合があげられます。
単に、被相続人の相談に親身に乗るなど、相続人の精神的ケアに尽くした場合等は、財産の維持又は増加がありませんので、特別の寄与をしたとは認められないでしょう。
④「特別」の寄与
寄与の程度としては、「特別の」寄与とされていることから、何らかの寄与があったというだけでは足りず、一定程度以上の寄与が必要となると思われます。ただし、どのような場合に「一定程度の寄与」があったと認められるかは、現在において明確な基準はありません。

◆3.今回のケースについて
今回のケースでは、あなたは被相続人の子の配偶者ですから「親族」に含まれます。
あなたは長期間被相続人を介護してきていますから、その介護が無償であり、その介護により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと言えるのであれば、特別寄与料の請求が認められることになります。

◆4.どのようにして請求するか
まずは、相続人との話し合い(協議)により、特別寄与料のの額や支払い方法などを決めることになります。ただし、特別寄与料の額は、被相続人が死亡時に持っていた財産から遺贈の価額を差し引いた残額を超えることができません。
話し合いがまとまらないときや、話し合いができないときは、家庭裁判所に対し協議に代わる処分を請求することになります。
この場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めることとされています。

◆5.いつまでに請求するか
被相続人が死亡したことと相続人とを知った時から6か月を経過するまでか、被相続人の死亡の時から1年を経過するまでに、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求しなければなりません。
相続人と話し合いをしているうちに期限が過ぎていたということにならないように気を付ける必要があります。

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