【相続・遺言について】遺産分割協議書の作成

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺産分割協議書の作成について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①母が亡くなりました。相続人は私と、兄と妹です。私たちは、母の遺産である不動産と預金の分割協議を行ってきました。ようやくみんなが納得する形で協議がまとまりそうです。協議がまとまった場合、内容を書面に残しておいた方がよいですか?書面に残す場合、どのようなことに注意したらよいですか?

②遺産分割協議書の作成が終わり、ホッとしたところ、母宛に証券会社から封書が届きました。この証券会社に連絡してみたところ、母が株式を持っていたことが新たに分かりました。遺産分割協議をやり直さなければいけませんか?

 

【A】A◆1.遺産分割協議が調った場合
相続人全員の間で遺産分割協議が調ったとして、これを書面にすること(遺産分割協議書を作ること)は法律上必要とされていません。しかし、次の理由から遺産分割協議書は作成した方がよいでしょう。
①書面にすることにより、後日の紛争を防止できる。
②遺産の中に不動産がある場合、遺産分割によって、その所有権を移転する登記手続をするためには、遺産分割協議書が必要になります。
③遺産の中に預貯金があって、相続の手続をする場合、遺産分割協議書の提示を求められることがあります。
④相続税の申告が必要な場合、法定相続分と異なった遺産分割をしたときなどに、遺産分割協議書が必要になります。
以上のことから、遺産分割協議が成立した際には、遺産分割協議書を作成することをお勧めします。

 

次に、遺産分割協議書を作成する場合に気を付けたい点をお伝えします。

①誰が、どの財産を取得するのか明らかにしましょう。
特に、遺産の内容について正確に記載し、「特定」できるように気を付けましょう。ここでの「特定」とは、ほかの財産と間違えることなく識別できるという意味であると考えてください。
・不動産であれば、その登記事項証明書を最寄りの法務局で取得し、そこに記載されている通りに正確に記載しましょう。
・預貯金であれば、金融機関名、支店名、口座種類、口座番号、名義人まで記載しておきましょう。
ポイントは、事情を全く知らない人(例えば、不動産の登記官や金融機関の窓口職員といった、遺産分割手続きに関わる人)が遺産分割協議書の記載から、どの遺産を指すかを明確に判断できるようにする、と観点が必要です。

②印鑑は、実印(役所に印鑑登録しているもの)を使いましょう。
後日の紛争を防ぐためです。また、不動産の登記手続のように、遺産分割協議書に実印を押し、相続人全員の印鑑証明書を添付しなければならないものがあります。

③遺産分割協議書が2枚以上にわたる場合、相続人全員の印鑑(実印)で契印をしましょう。
契印とは、2枚以上の文書が一体であることを示すための印です。すべてのページの見開き部分にまたがるように押印する等の方法がとられます。
一部のページの差し替え防止の機能を果たします。

④相続人の数だけ遺産分割協議書を作成し、各相続人が1通ずつ保管しましょう。

 

◆2.新たに遺産が発見された場合
後日、新たに遺産が発見された場合、既になされた遺産分割協議を始めからやり直しする必要があるのかどうかは、新たに発見された遺産の重要性(遺産分割協議に与える影響)によって異なります。

もし、その遺産の存在が当初から判明していれば、全く異なった遺産分割協議になったであろう場合などには、協議が無効となる可能性があります。
他方、そのような特段の事情がない場合には、遺産分割協議をやり直す必要はなく、新たに判明した遺産について分割協議することになります。

遺産分割協議書を作成する際には、新しい遺産が発見された場合を想定して、その取得は別途協議して定める旨や、相続人を指定して取得する旨を定めておく条項を入れておくことも検討しましょう。

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