【改正民法債権編】損害賠償額の算定に関する特則

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、損害賠償額の算定に関する特則について考えてみたいと思います。

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損害賠償額の算定に関する特則

損害賠償額算定の際の適用利率に関する規定を整備

 

◆金銭債務の損害賠償額の算定に関する特則
法定利率は変動制が採用されたため、金銭債務の損害賠償額の算定に際し、適用する利率の基準時が問題となります。
新法419条1項は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によるとしました。つまり、損害賠償の基となる金銭債務が発生した時ではなく、遅滞が生じた時点のおける法定利率が適用利率になるということです。

【適用される法定利率の例】
債務者が遅滞の責任を負うのは、
・確定期限がある場合    → 期限を経過した時から
・確定期限の定めがない場合 → 債務者が履行の請求を受けた時から

この時点の法定利率が適用される

また、不法行為に基づく損害賠償債務については、不法行為時から遅滞の責任を負うため、不法行為時の法定利率によります。
なお、法定利率を超える約定利率がある場合は、それによることに変更はありません。

 

◆基準時の必要性
新法では、法定利率を3年ごとの変動制としたため、債権の存続中に、法定利率が変動することがあり得ます。そのため、特定の債権について遅延損害金が発生した場合、どの時点の法定利率を適用するかの基準時を定める必要があります。

そして、利息を生ずべき債権についての法定利率の適用の基準時は、利息が生じた最初の時点とされ、仮にその後に法定利率が変動しても適用される法定利率は変わらないとされています。これにより、その債権に係る利息が最初に生じた一時点の法定利率に定まります。

なお、利息は日々発生するとされるため、単に「利息が生じた時点」の法定利率とすると、日々の利息の発生を指すと理解され、法定利率が変動すると適用される利率も変わるとの解釈を招くおそれがあります。
そこで、「最初に」という文言が付され、同一の債権については、遅滞より後に法定利率の変動があっても、利率は変わらないとされました。

 

◆法定利率と遅延損害金利率
損害賠償の利率を法定利率と定める新法419条1項は、任意規定です。
多くの契約においては、金銭債務の不履行時の遅延損害金利率が約定により定められており、法定利率が適用される場面は少ないと思われます。
他方、不法行為に基づく損害賠償請求や悪意の受益者への不当利得返還請求などでは、通常、遅延損害金利率の定めはなく、法定利率によります。

 

◆新旧規定の適用関係
金銭債務の損害賠償額の算定について定めた新法419条1項の規定は、新法施行日以後に遅滞が生じた場合に適用し、施行日前に遅滞が生じた場合には適用されません。
施行日前に遅滞が生じた場合に、改正後の民法の規定を適用すると、当事者(債権者と債務者)の予測可能性をを損なうためです。

 

◆期限の定めのない債務の請求と適用利率
期限の定めのない債務は、債権者が請求をした時点で遅滞となり、その時点の法定利率が適用されます。そのため、債権者がどの時点で請求し、遅滞に陥らせるかで、損害賠償額の算定利率の基準時を自由に選ぶことができ、不合理なのではないかということが考えられます。

しかし、債権者が請求を遅らせた場合、債務者は遅滞の責任を負わず、債権者は遅延損害金を取得できません。そのため、債権者があえて請求を遅らせるような事態が頻繁に生じることはなく、大きな弊害はないと考えられ、この点に対する対処は特にはされませんでした。

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