【改正民法債権編】相殺

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、相殺について考えてみたいと思います。

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相殺

判例・実務で積み重ねられてきた見解を明文化

 

◆相殺とは
相殺とは、2人の当事者が互いに同種の債権債務を有する場合に、一方当事者の意思表示によって、債権債務を対当額で消滅させる制度です。
たとえば、AがBに対して1000万円の売掛債権を、BがAに対して800万円の貸金債権を有しているとします。
この場合、Bはこれらの債権債務を相殺することで、Aに対して差額の200万円のみ支払えばよくなります。

 

◆相殺の禁止
(1)当事者による相殺禁止の意思表示と第三者への対抗力
相殺は、取引にかかるコストを下げることができる合理的な制度ですが、当事者の意思に反してまで認める必要はありません。

そのため、旧法では、「当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。」(旧法505条2項)とされていました。
今回、規定の趣旨をより明確にするため、「当事者が相殺を禁止し、又は制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、又は重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができる。」(新法505条2項)という表現に改正されました。

(2)不法行為債権の債務者による相殺の禁止
従来から、不法行為によって生じた債権の債務者は、債権者に対し、他の債権による相殺を主張できないとされていました(旧法509条)。
これは、加害者が被害者に対して負う損害賠償債務を、貸金債権など他の債権との相殺をもって免れることを禁止する趣旨です。

しかし、一口に不法行為といっても幅がありすぎるので、今回の改正では、「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」と「人の生命または身体の侵害による損害賠償の債務」に限り、相殺を禁止することとされました(新法509条)。

 

◆差押を受けた債権を受動債権とする相殺の禁止
旧法では、「支払いの差止めを受けた第三債務者は、その後に取得した債権による相殺をもって差押債権者に対抗することができない。」とだけ規定していました。
今回の改正では、これまでの判例・実務の見解を明文化しました。旧法の上記規定に加えて、差押えを受けた債権の第三債務者について、次のことが明示されました。
①「差押え前に取得した債権による相殺」を差押債権者に対抗できること(新法511条1項後段)
②差押え後に取得した債権(他人から取得した債権を除く)が「差押え前の原因に基づいて生じたもの」であるときは差押債権者に対抗することができること(新法511条2項)

 

◆相殺の充当
旧法は、複数の債権債務がある状態で当事者が相殺の意思表示をした場合に、どのような順序で相殺が充当されるのかについて、「第488条から第491条までの規定は、相殺について準用する。」とだけ規定していました。
今回の改正では、相殺の充当の順序等を明示しました(新法512条、512条の2)。

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