【改正民法債権編】使用貸借契約

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、使用貸借契約について考えてみたいと思います。

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使用貸借契約

物の貸し借りについての合意のみで成立する契約に変更

 

◆諾成契約への改正
使用貸借契約は、無償での物の貸し借りについて規定した契約類型です。
旧法では実際に物の受け渡しがあることが契約の成立要件でしたが、新法では物の受け渡しは成立要件ではなくなり、貸し借りについての合意だけで成立する諾成契約となりました(新法593条)。

この改正は、次のような理由によります。
①使用貸借の目的物が借主にとって重要な意味を持つ場合があること(たとえば、赴任中無料で居住場所を借りられるという話だったが、実際には提供されなかった場合など)
②消費貸借契約において諾成的消費貸借契約の成立が認められたこと(新法587条の2)との均衡

 

◆契約の終了
使用貸借の期間を定めた場合は、その期間が満了することで契約が終了します(新法597条1項)。
使用貸借の期間を定めなかった場合で、使用収益の目的を定めたときは、この目的に従って使用収益を終えた場合に契約が終了します(同2項)。
借主が死亡した場合も、契約が当然に終了します(同3項)。

 

◆契約の解除
使用貸借の期間を定めなかった場合でも、使用収益の目的を定めたときは、使用収益するのに足りる期間を経過すれば、借主は契約を解除することができます(新法598条1項)。

使用貸借の期間も、使用収益の目的も定めなかったときは、貸主は、いつでも契約を解除することができます(同2項)。
これに対して、借主は、いつでも契約を解除できます(同3項)。

 

◆損害賠償請求の行使可能期間
契約の本旨に反する使用収益によって生じた損害賠償請求と、借主が支出した費用の償還は貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければなりません(新法600条1項、旧法600条)。

このうち、損害賠償請求権について、消滅時効に関する一般規定の適用を受けてしまうと、権利を行使できる時から10年間行使しない場合、消滅時効が完成してしまいます(新法166条1項2号)。

貸主は、通常、自らの手もとに目的物が返ってきてからでないと損害に気付くことができません。
そこで、損害賠償請求権について、貸主が返還を受けた時から1年間が経過するまでの間は時効が完成しないとして、貸主に猶予期間を与えました(新法600条2項)。

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