【改正民法債権編】寄託契約

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言、パスポートが得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、寄託契約について考えてみたいと思います。

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寄託契約

要物契約から諾成契約への変更、混合寄託の新設など

 

◆寄託契約とは
寄託契約とは、当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために物の保管をすることを内容とする契約です。

旧法下では、「要物契約」(委託物を実際に受け取ることで効力を生ずる契約)とされていましたが、新法では「諾成契約」(物の委託の約束だけで効力を生ずる契約)に変更されたほか、「混合寄託」が新設されました。

 

◆寄託物受取り前の解除
契約の性質が諾成契約となったことで、契約成立後から寄託物受取り前までの法律関係が明確化されました(新法657条の2)。

【寄託物受取り前の解除】
①寄託者(新法657条の2第1項)/受寄者の寄託物受取りまで解除できる(受寄者は、その解除で損害を受けた場合には賠償請求できる)

②無報酬の受寄者(同2項)/書面による寄託の場合を除いて、寄託物受取りまで解除できる

③上記以外の受寄者(同3項)/寄託物受取時期経過後に寄託者が引き渡さない場合、催告の上で解除できる

 

◆受寄者の保管に関する義務
受寄者は、寄託者の承諾がなければ寄託物の使用はできず、寄託者の承諾や、やむを得ない事由がなければ、寄託物を第三者に保管させることもできません(新法658条1項、2項)。

再受寄者が選任された場合、再受寄者は、寄託者に対して、受寄者と同様の権利義務を直接負うことになります(同3項)。

受寄者は、寄託物について権利を主張する第三者が受寄者に対して訴えの提起等をした場合には、寄託者がすでに知っている場合を除いて通知義務を負います(新法660条1項)。

受寄者は、第三者から権利主張されている場合でも、寄託者の指示がない限り、原則として寄託者に寄託物を返還する義務を負います(同2項)。
受寄者は、この義務に従って寄託者に寄託物を返還したことにより第三者に損害が生じても、その賠償責任は負いません(同3項)。

 

◆寄託に関するその他改正
(1)寄託者の返還請求
寄託者は返還時期を定めた場合であっても、いつでも寄託物の返還を請求できます。ただし、返還時期前の返還請求で受寄者に損害が生じた場合、受寄者はその損害の賠償を請求できます(新法662条)。

(2)損害賠償請求等の期間制限
寄託者による損害賠償請求、受寄者による費用償還請求の可能期間は、寄託物の返還時から1年以内です。そして、寄託者による損害賠償請求権については、寄託物に損害等が生じた時期にかかわらず、返還から1年を経過するまでは時効が完成しません(新法664条の2)。

(3)混合寄託
混合寄託とは、受寄者が複数の寄託者の承諾のもと、寄託された種類と品質が同一の物を混合して保管し、寄託されたのと同数量を返還するというもので、新たに明文化されました(新法665条の2)。

(4)消費寄託
消費寄託とは、当事者間の契約で、受寄者が寄託物を消費できると定める場合をいいます(新法666条)。
旧法下では、消費貸借の条文を包括的に準用していましたが、消費貸借が主に借主の利益を目的とするのに対し、消費寄託は寄託者の利益を目的とする点で異なるため、必要な範囲での準用に改められました。