世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約の登記 任意後見契約の締結の登記について考えてみたいと思います。
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【1】申請人及び登記事項
(1)申請人(公証人による登記の嘱託)
任意後見契約の締結の登記は、任意後見契約が締結され、その公正証書が作成されたときに、公証人の嘱託(登記の依頼)によってなされます。
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならないとされています(任意後見契約法3条)。
したがって、任意後見契約を締結しようとする当事者は、公証人に対し、任意後見契約の公正証書の作成を依頼することとなります。
そして、公証人は、任意後見契約の公正証書を作成したときは、嘱託書(登記申請書)に任意後見契約の公正証書の謄本を添付して、任意後見契約の締結の登記を嘱託することになります。
(2)任意後見契約の登記において登記される事項
後見登記等ファイルに登記がなされる事項は、次の①から⑩のとおりです(後見登記法5条)。
なお、任意後見契約の締結時に公証人の嘱託によって登記される事項は、任意後見監督人が選任される前ですから、②の本人(委託者)の住所・氏名等、③の任意後見受任者の住所・氏名、④の代理権の範囲などです。
また、任意後見監督人が選任された場合は、裁判所の嘱託により、③の任意後見人の住所・氏名、⑥の任意後見監督人の住所・氏名が登記されます。
① 任意後見契約に係る公正証書を作成した公証人の氏名及び所属並びにその証書の番号及び作成の年月日
② 任意後見契約の本人(委任者)の氏名、出生の年月日、住所及び本籍
③ 任意後見受任者又は任意後見人の氏名及び住所(法人にあっては、名称又は商号及び主たる事務所又は本店)
④ 任意後見受任者又は任意後見人の代理権の範囲
⑤ 数人の任意後見人が共同して代理権を行使すべきことを定めたときは、その定め
⑥ 任意後見監督人が選任されたときは、その氏名及び住所並びにその選任の審判の確定の年月日
⑦ 数人の任意後見監督人が、共同して又は事務を分掌して、その権限を行使すべきことが定められたときは、その定め
⑧ 任意後見契約が終了したときは、その事由及び年月日
⑨ 保全処分に関する事項のうち政令(後見登記政令6条)で定める次の事項
a 任意後見人又は任意後見監督人の職務執行の停止の審判がされたときは、その旨
b 任意後見監督人の職務代行者の選任の審判がされたときは、その氏名及び住所
⑩ 登記番号
登記を特定するために、任意後見契約ごとに登記番号が付され(後見登記省令11条1項)、その登記番号が登記事項とされています。
後日、登記事項証明書を請求する場合、登記事項証明申請書にこの登記番号を記入した場合には本人の住所・本籍の記入を省略することができます。
(3)登記手数料
任意後見契約の締結の登記手数料として、収入印紙2600円(受任者が2名の場合は倍額)が必要ですが、公証人が登記の嘱託を行いますので、任意後見契約の締結の際の手数料に公正証書作成手数料として併せて支払うことになります。
【2】任意後見契約の登記がされる趣旨
任意後見人の代理権限を証明するためには公示が必要(登記事項証明書による証明)です。
取引の安全の観点からすれば、任意後見人の代理権の発生、存続、消滅が公的機関の証明により担保されることが望ましいと言えます。特に代理権の消滅については登記が対抗要件(登記が消滅していることを主張するための法律要件)とされていますから(任意後見契約法11条)、任意後見契約の締結や効力発生(任意後見人の選任)の有無に関する事実が登記により公示されていることが前提となります。
そこで、任意後見契約は法務局で登記されることによって、任意後見人は、法務局から、任意後見人の氏名や代理権の範囲を記載した「登記事項証明書」の交付を受けて、自分の代理権を証明することができます。取引の相手方も、任意後見人から、その「登記事項証明書」を見せてもらうことにより、安心して本人との取引を行うことができます。
すなわち、登記事項証明書は、法務局が発効する信用性の高い委任状という役割を果たすことになり、これにより、任意後見人は、本人のために、その事務処理を円滑に行うことができます。
なお、任意後見に移行する前の財産管理契約についても代理権目録が作成されます。しかし、それは任意後見制度の仕組みとは別のものですので、登記されることはありません。