【終活・遺言・相続相談】相談例22 老後の生活資金

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例22 老後の生活資金についての記事です。

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【相談内容】
相談者(67歳男性)から、「持ち家に一人で暮らしており、年金は月額16万円である。退職金で多少の蓄えがあったが、子への援助や投資の失敗ですっかり減ってしまった。長生きするほどお金が足りなくなると心配になる」と相談された。

【検討すべき点】
高齢者にとって、老後の生活資金が足りるかどうかは切実な問題ですが、その不安をあおるような終活ビジネスもあります。また、裕福な高齢者ばかりではなく、生活に不安を抱える方も少なくありません。

【1】老後2000万円問題

① 高齢者世帯の平均所得は308万円(月額約25万円)とされますが、その中央値は244万円(月額約20万円)です。ちなみに所得の内訳は、公的年金や恩給が65%、稼働所得は21%、その他の収入が14%です。
② これに対して、高齢者世帯の月額の支出は平均27万円とされ、平成29年の調査では高齢者の54.2%が生活が苦しいと回答しています。
③ 仮に月額所得が22万円で、支出が27万円とすると、毎月5万円が不足します。すると、たとえば定年後20年間では毎月5万円×12か月×20年=1200万円の補填が必要になり、定年後30年では1800万円の資金が必要になります。
④ そこで、金融庁金融審議会「市場ワーキング・グループ」は老後に備えるには、年金以外に、約2000万円必要になるという報告書を出しました。これが老後2000万円問題として、高齢者の間で老後資金に対する不安が広がっています。

【2】老後の生活設計

① 相談者がまだ40代や50代で、収入に余裕があるなら、資産の効率的な運用をファイナンシャルプランナーに相談する事を勧めます。
② しかし、相談者は67歳。自宅以外にさしたる資産がなく、収入を年金に頼らざるを得ない場合には選択肢が限られます。家計簿をつけ、無駄な支出を見直しながら、年金の範囲で暮らせるように節約してもらうしかありません。
③ 相談者の場合の平均余命は18年ですが、その間に不測の出費も考えられますから、現在残っている蓄えには手を付けないよう心掛けて頂きたいところです。

【3】高齢者雇用

① 年金以外にも稼働収入や不動産収入があれば、生活はぐっと楽になります。平成25年に改正された高年齢者(55歳以上の者のことを指す)等の雇用の安定等に関する法律で、定年の撤廃・延長・再雇用や高年齢者の雇用を確保する措置、シルバー人材センターの設置等が定められました。
② 令和3年4月1日に改正された同法では、70歳までの定年引上げや継続雇用制度の導入、定年制の撤廃などの努力義務が定められました。
③ しかし、実際に仕事がなければどうしようもありませんし、再雇用では賃金が下がり、高齢になればなるほど就業は困難になります。

【4】リバースモーゲージ(不動産担保型生活資金貸付制度)

① リバースモーゲージとは、自ら所有する自宅に抵当権を設定して生活資金の融資を受け、利息のみを支払いながら、死亡時の不動産処分で元本を一括返済するという制度です。
② 自宅はあるが、生活するための現金がないという高齢者のために有益とされ、社会福祉協議会等でも相談を受け付けています。
③ しかし、自宅がマンションの場合は適用外とか、推定相続人全員の承諾が必要とされるなど、厳しい条件がありますし、これを利用できたとしても、思いのほか長生きして自宅を失うとか、金利上昇に伴って利息が上がるというリスクがあると指摘されています。
④ 次にリースバックとは、セール&リースバックの略で、自宅を売却すると同時に新所有者から自宅を借り直し、賃料を支払いながら住み続けるという方法です。(定期借家契約になることが多いです。)この方法でも、自宅売却時にまとまった生活資金が得られますが、賃料支払いが滞れば、退去明渡しを求められますので、慎重に判断する必要があるでしょう。

【5】儲け話の落とし穴

① これだけ平均寿命が延びれば、高齢者も自分が何歳まで生きれるか見当がつきません。よって、多少の蓄財があったとしても、なお不安に感じておられます。
② その不安につけ込んで、利殖や儲け話を持ちかけ、虎の子の預貯金をだまし取るという事例が多発しています。「うまい儲け話が向こうから転がり込んでくる」ことはあり得ませんので、リスクを適切に判断し、できるだけ現有資産の範囲内で慎ましく生活するように勧めます。
③ また、それなりに資産があっても、高額な有料老人ホームに入居したり、墓地・霊園に多額の資金を投じたり、子や孫の求めに応じて散在していれば、同じことになります。

【6】生活保護

① 生活資金に窮した高齢者のセーフティネットは、生活保護です。生活保護を受けるための条件は、収入が最低生活費を下回っていること、活用できる資産(預貯金や不動産)がないこと、親族などから援助を受けられないことなどですが、これらの条件を満たしていると思われる場合でも、生活保護は思うほど利用されていません。
② その理由ですが、生活保護法4条2項は、「民法に定める扶養義務者の扶養及び他の法律に定める扶助は、すべてこの法律による保護に優先して行なわれるものとする」とし、同条3項は「前二項の規定は、急迫した事由がある場合に、必要な保護を行うことを妨げるものではない」と規定します。
③ つまり、扶助できる親族(直系血族及び同居の親族、民法730条)がいるなら生活保護を受けられない可能性があるので、生活保護の申請を受けた市役所等は、扶養義務者に対して義務履行の可能性を照会します。
④ しかし、たとえば独居の高齢者の中には、直系卑属や兄弟姉妹と絶縁しているケースも多く、(兄弟姉妹に対しては特に)自分が生活保護を受けようとしていることを知られることを望みません。よって、生活保護受給の要件を満たしているにもかかわらず、その申請を思いとどまり、あるいは撤回するケースが多いのです。
⑤ そこで、令和3年3月以降、本人が扶養義務者に借金を重ねている、扶養義務者と相続を巡って対立している等の事情がある、扶養義務者と縁を切っている(10年程度の音信不通)など、著しい関係不良があると認められる場合には、扶養義務者による扶養義務の履行が期待できないとして扶養義務者に対する照会は不要とされ、同年3月26日付の厚生労働大臣からの通知(事務連絡の改正)でも、この点が確認されました。
⑥ しかし、現実の市区町村の窓口では、旧態依然と扶養義務者への照会を行わないと申請を受け付けないという問題があるようです。
⑦ 法テラスの事業として、弁護士が生活保護申請等を援助する制度を用意しています。この制度によれば、生活保護の申請手続の相談や代理交渉が原則として無料で行えます。