世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
今回は、【改正民法債権編】に関して、その他債権の消滅時効について考えてみたいと思います。
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その他債権の消滅時効
定期金債権など原則的な消滅時効が適用されない債権
◆定期金債権の消滅時効
(1)定期金債権とは
定期金債権とは、一定額の金銭を定期的に受領することを目的とする債権で、毎月定額で受給するような年金受給権、養育費請求権、利息請求権などがこれに当たります。1つの債権を分割して支払うような場合には、定期金債権とはいいません。
定期金債権は、定期で個別に支払われる個々の債権(支分権)と、それらを発生させる基本となる債権(基本権)の2つに分けられます。支分権の消滅時効は、一般の時効期間に関する新法166条が適用されます。
(2)新法における変更点
今回の改正により、定期金債権(基本権)の時効期間は、以下のように変更されました。
定期金債権の時効期間の改正
改正前(旧法)
①第1回の弁済期から20年間行使しないとき
②最後の弁済期から10年間行使しないとき
↓
改正後(新法)
①債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使できることを知った時から10年間行使しないとき
②①に規定する各債権を行使できる時から20年間行使しないとき
◆不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効
①被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間、②不法行為の時から20年間、という規定は改正されませんでした。こちらも主観的起算点と客観的起算点の併存です。なお、不法行為債権における「知った時」とは、権利行使が現実に可能となる時と解されています。
今回の改正では、時効期間に変更はなかったのですが、20年間という期間の意味については、明確に定義されました。
旧法では、①知った時からの3年間は時効期間である一方、②不法行為の時から20年間は除斥期間である(時効の援用は不要で、20年を経過すると当然に債権は消滅し、その進行を止めることもできない)、と解釈されていました。
しかしながら、新法では、20年間という期間も時効期間である、と定義されたのです(新法724条)。
20年間が旧法下の解釈のように除斥期間であれば、時効の完成猶予や更新などの制度の適用を受けることができないのですが、新法で時効期間と定義されたことで、時効の完成猶予や更新の制度を利用することができるようになります。
この改正により、除斥期間が問題となり救済されなかった被害者が、より保護されるようになったといえます。また、時効なので、時効の効果を発生させるためには援用も必要となりました。
◆生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効
不法行為の中でも人の生命または身体に対する侵害は、より保護が図られるべきですし、被害者に時効の進行を阻止するための行動を求めることは、通常より酷であると考えられます。そのため、それら損害に基づく損害賠償請求権の時効期間が延長されました(新法167条、724条の2)。
具体的には、通常の不法行為の時効期間が加害者を知った時から3年であるところ、生命・身体の侵害の場合にはそれが5年に、通常の債権の消滅時効期間が10年のところ、20年間に延長されました。