世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、高齢社会を取り巻く制度 任意後見制度に代わる法的な仕組み4について考えてみたいと思います。
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【2】法人に財産を管理させるという仕組みの活用
(1)営利事業の承継の仕組み
自分が存命のうちは、自分が利益(営利事業の収益)を享受し、死んだ後も子々孫々まで事業を確実に承継させるということを目的とするのであれば、発起人が一人でも設立できる株式会社(会社法25条以下)を新たに設立して、その経営者に信頼できる者を据えるという方法が、より割り切った分かりやすい選択肢といえるでしょう。
要するに、これまで「A青果店」として個人事業を営んできたAさんが、老後に備えて「株式会社A青果店」を設立し、後継ぎであり、自分のめんどうを見てくれる次男を社長(取締役)に据えるというやり方です。
前に述べた民事信託は、制度が出来上がったばかりで、その法的効果や課税関係などに未確定な部分があります。そのため、設立が簡単であり、法律関係も明確な株式会社に事業を承継させ、あわせてその経営者に自分への介護を義務付ける方が、民事信託より安全確実といえるかもしれません。
移行型任意後見契約を結ぶ際、受任者を上記の会社と定める方法も考えられます。
もちろん設立する会社は営利事業を営むものでなければなりませんが、高齢者が現に営む営利事業(上記の例では青果業)を新会社設立の第一の目的とし、これに加え、目的の一つに「移行型任意後見契約に基づく事務」を規定しておけばよいのです。
なお、平成20年10月施行のいわゆる経営承継円滑化法により、中小企業の事業を円滑に子供や弟・妹等に承継させるための仕組みがスタートしています。この仕組みは、生前贈与の株式を遺留分の対象から除外又は株式評価額を固定することや、非上場自社株式の係る相続税・贈与税の納税猶予などにより、現在の事業主が健康なうちに事業承継をスムーズに行える仕組みとして注目されています。
ただ、関係者の同意を得るのが難しいことや、株式評価額を固定してしまうことのリスクが嫌われ、実際にはあまり活用されていないのが現状のようです。
(2)非営利事業承継の仕組み
①自分の生存中は移行型任意後見の事務をその法人に委ね、自分の死後は、知的障害のある子供あるいは妻の介護費用を確保しつつ、その死後は財産を特定の孫に託したい場合であるとか、②もっと広く、先祖代々の墓地や祭祀、さらには家宝などの先祖伝来の資産をしっかりと管理し、承継したいというのであれば、営利を目的としない一般法人を設立する方法によることも考えてよいように思います。
その場合の法人設立手続きについては、一般社団法人及び一般財団法人の定款の記載例が、日本公証人連合会のHPに記載されており、また法人登記手続きについては「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成18年法律第48号)の施行に伴う平成20年9月1日付法務省民商第2351号法務省民事局長通達及び平成20年9月22日付法務省民商第2529号法務省民事局商事課長依命通知が法務省HPに掲載されています。