新年のご挨拶

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

昨年中は大変お世話になりました。本年も一層のご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

本年の営業は本日1月6日より開始いたしております。

年末年始家族が集まり、様々な話に花が咲いたことでしょう。相続や遺言、終活についてのお話しもあったかと存じます。

当事務所では、世田谷区内を中心とした都内の皆様からの、相続、遺言、終活についてのご相談を承っております。

初回相談60分無料とさせていただいておりますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

お問い合わせは事務所03-3416-7250または携帯電話090-2793-1947まで。

自動車販売店様も新春の仕事始めを迎えられていることと存じます。
東京都内の車庫証明のご用命は弊所へお申し付け下さい。

お問い合わせは携帯電話090-2793-1947まで、お待ちしております。

年末年始の営業のご案内

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言の得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本年も残りわずかとなってまいりました。

当事務所の年末年始の営業についてご案内いたします。

・事務所の手続き業務は、12/28~1/5までお休みをさせて頂きます。

・お電話でのお問い合わせやご相談につきましては、上記期間内も受付させていただきます。

車庫証明のご依頼や、相続・遺言・成年後見等のご相談は、携帯電話へどうぞ。

携帯電話番号【090-2793-1947】

年始の仕事始めは1/6からとなりますので、よろしくお願い申し上げます。

【相続・遺言について】寄与分を主張できる者の範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分を主張できる者の範囲について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】寄与分は誰でも主張できるのでしょうか?

①内縁関係の夫や妻は、妻や夫が亡くなった場合、寄与分を主張できますか?

②相続放棄した人は、寄与分を主張できますか?

③祖父母の相続の時に、代襲相続人(孫)は被代襲者(親)が祖父母の財産の維持に貢献したとして、寄与分を主張できますか?

 

【A】寄与分は誰でも主張できるわけではありません。民法上主張できる人が制限されています。

◆1.内縁関係の夫又は妻

従来、寄与分の主張は、相続人に限定されていました。そのため、相続人でない内縁関係の夫や妻は、寄与分を主張できませんでした。

この点について、相続人以外の者は、寄与分の主張が認められない点で、公平を欠くとの指摘がありました。

そこで、被相続人に対して、特別の寄与をした被相続人の親族(特別寄与者)が、一定の要件を満たした場合、相続人に対し、寄与に応じた金銭(特別寄与料と言います)の支払の請求ができるようになりました。この規定は、令和元年7月1日以降に相続が発生した場合に、施行されます。

親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が範囲となります。

血族とは血のつながっている人です。養子も、血族に含まれます。姻族とは配偶者の血族のことです。

内縁関係の夫や妻は、それだけでは、親族とはなりません。内縁関係の夫や妻が、被相続人の6親等内の血族か、3親等内の姻族でなければ、寄与分も特別寄与料も主張できません。

 

◆2.相続放棄をした人

相続放棄をした人は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。よって、寄与分の主張はできません。

特別寄与料においても、相続放棄した人は、特別寄与者から除外する規定があります。ですので、相続放棄をした人は、寄与分も特別寄与料も主張できません。

 

◆3.代襲相続人

祖父母の相続の時に、代襲相続者(孫)は被代襲者(親)が祖父母の財産の維持に貢献したとして、寄与分を主張できます。

このことは、民法に直接の規定はありません。

この場合に被代襲者(孫)に寄与分を認めないと、親が存命であった場合と比べ、不公平が生じます。代襲相続者は被代襲者の寄与分を主張できるという立場をそのまま受け継ぐと考えることができます。

このような、寄与分の主張を認めた判例も存在します。

【相続・遺言について】寄与分の認められる範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分の認められる範囲について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】遺産分割の際に寄与分というものがあると聞きました。

①寄与分とは、どのようなものでしょうか?また、どのような場合に認められるのでしょうか?

②私の父は、長年にわたって寝たきりの状態でしたが、先日、亡くなりました。私は、病気の父の世話をしてきましたが、このような場合に、寄与分は認められるのでしょうか?

③私の亡き父は、自営業者でしたので、私は、父が亡くなる3年程前から父の仕事を手伝っていました。父から給料はもらっていたのですが、その場合でも寄与分は認められるのでしょうか?

 

【A】◆1.寄与分とは

寄与分とは、共同相続人の中に相続財産の維持または増加に特別の寄与(貢献)をした者がいる場合は、その寄与相当額(維持又は増加分)を法定相続分に上乗せすることで、共同相続人間の衡平を図る制度です。

なお、民法改正により、共同相続人以外の被相続人の親族についても、特別の寄与という制度が新たに創設されました。

一般的に寄与分が認められる類型として、家事従事型(例:被相続人の事業を無報酬またはそれに近い状態で従事するような場合)、金銭出資型(例:被相続人の借金を肩代わりして支払うような場合)、療養看護型(例:相続人が被相続人の療養看護をして医療費などの支出を免れるような場合)、その他扶養型、財産管理型などがあります。

ただしいずれの類型についても「特別の寄与」であることが必要です。特別の寄与であるかどうかは、①被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待できるような態様以上の貢献があったかどうか、②当該行為が無償で行われたかどうか、③当該行為が一定期間継続しているかどうか等の事情から判断されます。

 

◆2.療養看護型の場合

被相続人である父親の療養看護を行ったことによって寄与分が認められる可能性はありますが、前述の通り、それが「特別の寄与」と認められなければなりません。

療養看護型において、特別の寄与かどうかは、当該行為が親族が当然なすべき配慮の範囲(例:お見舞い、声掛け等)を超えていることが必要であり、老親の介護の場合、被相続人が要介護2以上の状態であることが一つの目安となります。

また、被相続人の療養看護を無償で行い、その期間も数日、数週間程度では足りず、数か月は必要と考えられます。

その結果、本来であれば被相続人の療養看護によって、被相続人がそれらの費用の支出を免れたのであれば、寄与分が認められる可能性はあります。

 

◆3.家事従事型の場合

被相続人である父親の仕事を手伝っていたとしても寄与分が認められる可能性は低いと思われます。このケースでもやはり当該行為が「特別の寄与」と認められる必要があります。

家事従事型において、特別の寄与かどうかは、当該行為が通常であれば第三者を雇用するであろう行為かどうか(簡単な帳簿付け、店番では特別な行為とまでは言えません。)3~4年以上は従事していること、そして、当該行為の対価が無償、あるいは、著しく低廉の給与であることが必要と考えられます。なお、給与が著しく低廉であっても、被相続人から生活費の負担を受けていたり、被相続人の持ち家に居住している等の場合は、実質的に労務の対価を得ているとして、寄与分が否定される場合もあります。

本件のケースでは、父親から給料をもらっていたということで、相続人が労務に対する相当の対価を得ていたということで「特別の寄与」は該当しないと判断される可能性が高いです。ただし、相続人が得ていた給料が労務に見合ったものかどうか、給料以外に実質的に被相続人から金銭的援助等があったのかどうかなど慎重に見極める必要があります。

【相続・遺言について】不動産の無償使用と特別受益

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、不動産の無償使用と特別受益について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】兄が父親の所有する建物に長年無償で居住していた場合、遺産分割に際してこの点は考慮されないのでしょうか?兄が所有する建物の底地が父親所有で、兄がこの土地を無償で使用させてもらった場合はどうでしょうか?この無償使用が、父親が営んでいた農業を兄が手伝うためのものだった場合はどうでしょうか?

【A】◆1.遺産分割における特別受益の調整

遺産分割は、遺産の分け方について共同相続人間の話し合いで全員が合意すれば、民法で定める相続分と異なった内容でも行うことはできます。したがって、亡きお父さんの遺産分割をどのようにするかの話し合いのなかで、お父さんの所有する土地や建物をお兄さんが無償で使っていたことを持ちだし、お兄さんも含めた共同相続人全員がそのことを考慮した遺産の分け方で、合意できれば、お父さんの遺産分割を行うことはできます。

もっとも、共同相続人間で遺産の分け方について話し合って合意ができなければ、最終的には裁判所の審判によって遺産の分け方は決められることになりますが、審判では民法に定める法定相続分や相続人の具体的な相続分を決める際に考慮する「特別受益」の有無などが問題となります。また、共同相続人間で遺産分割の話し合いをする際にも、法定相続分や特別受益の有無などを踏まえて話し合いをすることが多いです。

そこで、亡きお父さんの所有する土地あるいは建物を無償で使っていたお兄さんに特別受益があると言えるかが問題となります。特別受益の制度は、相続人間の公平を図るものですから、形式的には「贈与」とは言えなくても、相続人が被相続人から特別の財産的価値のある利益を得ていると評価できる場合には、特別受益を得ているとして遺産分割で考慮されます。

 

◆2.土地の無償使用の場合

まず、お兄さんが亡きお父さんの所有する土地に建物を建てて利用していた場合をみてみます。お兄さんは、建物が建っている土地(以下底地とします)をタダで使っており、そのことをお父さんが了承しておれば、お父さんとお兄さんとの間では建物所有のために底地を無償で利用すること(使用貸借)の合意があったとみることができます。

そして、建物所有目的の土地使用貸借権は、底地の更地価格の一定割合(1割から3割程度の範囲が多いとされています。割合は建物の作りや築年数その他の事情によって異なります)の財産的価値があります。

そうすると、今回の場合、お兄さんはお父さんから底地の使用貸借権を無償で設定してもらっていると言えますから、お兄さんはお父さんから財産的価値のある利益を得ているということができます。

ただ、具体的相続分を決める際の特別受益といえるかどうかは、特別受益制度が相続人間の公平のために、相続財産の前渡し的性格を持っているものを遺産分割の際に考慮しようとするものですので、形式的画一的に決めることは難しく、被相続人の資産の状況、贈与等された財産や利益の価格、それが被相続人の遺産に占める割合、利益を得ている相続人の負担、被相続人の生活状況、利益を得ている相続人の生活状況、被相続人が財産を贈与等した理由、他の相続人との比較など種々の事情を考慮して判断せざるを得ません。

したがって、お兄さんが亡きお父さんの所有する土地に建物を建てて利用していた場合、お兄さんはお父さんから底地の使用貸借権という財産的価値のある利益を得ているのですが、それが特別受益といえるかは、上記のような種々の事情も考慮して決めるということになります。

底地の無償使用が亡きお父さんが営んでいた農業を手伝うためのものだった場合についても、先に述べました事情や農業でのお兄さんの負担や農業で収入を得ていたかなどの事情も考慮して特別受益となるかを判断することになります。

なお、特別受益にあたるとしても、被相続人である亡きお父さんが持ち戻しの免除の意思表示をしていれば、特別受益として考慮することはできません。

 

◆3.建物の無償使用の場合

次にお兄さんが亡きお父さんが所有していた建物に長年無償で居住していた場合、お兄さんに特別受益があるといえるでしょうか?

この場合、お兄さんは建物居住の利益を得ています。お兄さんが、お父さん所有の建物に居住できないとなると、お兄さんは、例えば、居住用の建物を借りなければなりませんが、それをしないで住んでいるので、家賃相当額の財産的価値のある利益を得ていると考えることはできます。

しかし、特別受益といえるためには、被相続人の経済的負担で相続人が利益を得ている必要がありますが、建物の利用状況等からすると被相続人の経済的負担になっていない場合もあり、一概に、家賃相当額が特別受益になるとはいえません。また、相続人の一人と被相続人との間に建物を無償で利用すること(使用貸借)の合意があったとみることができる場合もありますが、建物の使用貸借権の経済的価値の算定は難しいという問題があります。

さらに、この問題をクリアーできたとしても、前に述べたとおり、特別受益にあたるかどうかは、種々の事情をもとに判断せざるをえません。

そしてご質問のような相続人の一人が被相続人所有の建物に居住していた場合と言っても様々なケースがありますので、前に述べた事情に加え、例えば、相続人が被相続人と同居していたか否か、同居していたとして建物の大きさや構造、同居するに至った経緯理由、相続人の負担の有無や内容、あるいは、同居していない場合でも、その建物が居住用か賃貸用か、相続人が居住するようになった経緯理由、相続人の負担の有無や内容など種々の事情を考慮して判断することになります。

建物の無償使用がお父さんが営んでいた農業を手伝うためのものだったという事情も特別受益があったかどうか判断する際の一つの事情と言えます。

ご質問のケースでは、お父さんの建物を無償で使用しているお兄さんに特別受益があるかどうか、あるとしてその価額はいくらかは、前に述べた事情を総合して考えざるを得ません。

また、お父さんが持ち戻しの免除の意思表示をしていれば、特別受益としては考慮されません。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場:世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時:令和2年1月18日(土)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

【相続・遺言について】特別受益者

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、特別受益者について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①父親が死亡し、相続財産は2000万円、母親と兄が父親より先に死亡しており、相続人は私と兄の子の2名になっております。この兄の子は、父親の生前、マンション購入のため父親から1000万円の支援を受けていました。このような場合でも、法定相続分(2分の1)どおり、遺産分割しなければならないのでしょうか?

②上記と同じく兄が既に死亡していたのですが、父親が生前に兄に対してマンション購入のため1000万円の支援をしていた場合、私と兄の子とで遺産分割する場合では法定相続分(2分の1)どおり遺産分割しなければならないのでしょうか?

③兄がまだ生きており、相続人が私と兄の2名で、父親が兄の妻の個人事業に対して、500万円の援助をしていた場合はどうなるのでしょうか?

 

【A】◆1.代襲相続人の受益

お兄さんのお子さんが1000万円の支援を受けた時期にお兄さんが存命だったかどうかによって結論が異なります。

①お兄さんが存命のときに贈与された場合

特別受益は「相続人」のあいだの不公平を是正するための制度ですので、お兄さんが存命であればお兄さんのお子さんはお父さんの相続人に当たらないことになります。

したがって、原則として、特別受益には当たらず、法定相続分どおり遺産分割することになります。ただし、特別受益に当たるとする裁判例もあり、個別具体的な事情に鑑みて妥当な結論になるよう配慮されることがあります。

②お兄さんが亡くなった後に贈与された場合

お兄さんが亡くなった後に1000万円の贈与をお兄さんのお子さんが受けたのであれば特別受益を受けたことになりますから持ち戻すことになります。お金については現在の貨幣価値に換算して計算します。

 

◆2.被代襲者の受益

被代襲者に特別受益がある場合、代襲相続人に特別受益の持ち戻し義務ありとするのが通説です。そこで1000万円の贈与について現在の貨幣価値に換算して持ち戻し、そのうえで遺産分割をすることが原則です。

ただし事案に応じて具体的妥当性を図るため、全部又は一部を持ち戻しさせないとした裁判例もあります。

 

◆3.相続人の配偶者の受益

特別受益の持ち戻しは相続人間の不公平是正のためのものなので、援助を受けた者が相続人でない場合は、適用がないのが原則です。ただ、個別的実質的にみて妻の個人事業とはいっても名目だけで実質は兄の事業であったというような特別事情があれば、結論は別になります。

【相続・遺言について】特別受益がある場合の相続分

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、特別受益がある場合の相続分について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①父親が死亡し、相続財産は3000万円、相続人は私を含めて3人なのですが、生前、妹が父親からマンションの購入のため600万円の支援を受けています。このような場合でも、法定相続分(3分の1)どおり、遺産分割しなければならないのでしょうか?

②この度、20年以上連れ添った夫が亡くなりました。夫の財産は、自宅以外の不動産3000万円と預貯金1000万円です。私は、夫の生前、夫名義であった自宅土地建物の贈与を受けています。この場合どのように遺産分割をすることになるのでしょうか?

 

【A】◆1.相続開始後、相続財産の分配は、相続人間の遺産分割という手続きにより行うことになります。そして、遺産分割の手続きは、相続人間の合意によれば、その合意した内容になりますが、法律によって相続分の基準として法定相続分が定められています。

◆2.設問①では、生前妹が父親からマンション購入のため600万円の支援を受けています。

このような場合に、遺産分割において、この600万円の支援を考慮しないとすると、一方の相続人だけが財産を結果的に多くもらうことになって、相続人間の衡平を害する結果となります。

そこで民法は、共同相続人中に、被相続人から、遺贈を受け又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、そのことも考慮して、相続財産の分配を決めると定めています。

これがいわゆる特別受益と言われるものです。例えば、相続人の内の一人に、事業資金を支出した場合、独立して生活を営む際の不動産を贈与した場合などがあります。

また、設問①のように、特別受益に当たる生前贈与等の財産について、みなし相続財産として相続財産に戻すことを持ち戻しといいます。

被相続人による持ち戻しの免除に意思表示があると、被相続人が生前贈与等した財産について、特別受益の規定が適用されなくなります。状況により黙示の持ち戻しの免除も認められる場合があります。

 

◆3.設問①では、生前妹が父親からマンション購入のため600万円の支援を受けていることから、妹は特別受益を得ておりますので、具体的相続分の計算において、この600万円の支援を考慮することになります。

すなわち、相続財産は3000万円ですので、これに600万円の財産を加えた、3600万円がみなし相続財産となります。

そして、あなたの法定相続分は3分の1ですので、このみなし相続財産3600万円に法定相続分をかけた、1200万円があなたの具体的相続分になります。ちなみに妹は1200万円から生前贈与を受けた600万円を控除した、600万円が具体的相続分になります。

よって、設問①については、あなたの具体的相続分は1200万円、もうひとりの相続人も1200万円、妹の具体的相続分は600万円となります。

 

◆4.婚姻期間が20年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該相続人は、その遺贈又は贈与について持ち戻しの免除の意思表示をしたものと推定されます。

これは今回の相続法改正によって、新しく設けられた規定で、このような場合の贈与や遺贈は、配偶者の長年にわたる貢献に報いるとともに、老後の生活保障の趣旨で行われることが多いため、持ち戻しの免除の意思表示があると推定することによって、他方配偶者を保護するために設けられた規定です。

◆5.設問②においては、私は、生前夫名義であった自宅土地建物の贈与を受けていますが、私と夫は、20年以上連れ添った夫婦ですので、本規定によって、持ち戻しの免除の意思表示があったと推定されます。

よって私は、生前贈与を受けたこの自宅土地建物については、特別受益として考慮することなく、自宅以外の不動産3000万円と預貯金1000万円を相続財産として、遺産分割することになります。

成年後見無料相談会

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをします。

成年後見に関する無料相談会を、東京都行政書士会の行政書士で構成される、公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの世田谷地区主催で、開催いたします。私もメンバーとなっております。

会場は世田谷区民会館別館【三茶しゃれなーどホール】5階集会室スワン。

三軒茶屋駅徒歩3分(世田谷区太子堂2-16-7)

日時:令和元年12月4日 13:00~16:30

予約電話番号03-3426-1519(受付:東村)

予約なしでも相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

【相続・遺言について】遺産の評価方法

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺産の評価方法について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】亡父の遺産として、次のようなものがあります。遺産分割する際に、それぞれどのように評価すればよいのでしょうか?

①預貯金

②株式

③ゴルフ会員権

④自動車

⑤書画骨董品

 

【A】◆1.預貯金の評価について

実務上は、遺産分割の時点で遺産を評価することが多くみられます。しかし基本、預貯金は相続発生時(被相続人の死亡時)の残高で、評価します。相続発生時の残高は、通帳や残高証明書で明らかにするのが一般的です。

なお、定期預金や定額郵便貯金については、中途解約をした場合の払戻予定額を金融機関に照会し、回答額から利子配当分離課税(20%)相当分を差し引いたものを分割対象額とする方法がとられることが多くあります。

 

◆2.株式の評価について

①上場株式について

実務上は、上場株式の評価について、遺産分割時に最も近い時点(例えば、審判日の直前の日等)での終値によって算定することとが多いです。

相続税法上の財産評価は以下4つのうち最も価額が低いものになっております。

1)課税時期(被相続人の死亡日)の終値

2)課税時期の属する月の毎日の終値の月平均

3)課税時期の属する月の前月の毎日の終値の月平均

4)課税時期の属する月の前々月の毎日の終値の月平均

上場株は証券会社から残高証明書をもらいましょう。

 

②非上場株式について

非上場株式は、上場株式とは異なり、市場で客観的な価格が付けられていません。そのため、公認会計士等の専門家による鑑定によって評価することもありますが、鑑定費用が高額になるため、鑑定が行われることは、実際には多くはありません。

鑑定によらずに非上場株式を評価する方法には、次のものがあげられます。

ア)相続税の申告がされている場合、相続税申告書に記載された非上場株式の評価額を参考にして評価することができます。その際、過去3年分程度の損益計算書、貸借対照表及び確定申告書を検討し、当事者間で評価についての合意を得る、または、日経平均株価の推移を利用して修正を行うといった修正が行われることが多くあります。

イ)会社法上の株式買取請求の際に用いられる株価算定方式である、次の方式のいずれかによって評価することができます。

①純資産価額方式(会社の総資産から負債等を控除した純資産価額を発行済株式総数で割った額をもって株価とするもの)

②収益還元方式(将来の予想年間税引後利益を資本還元率で割ったものを発行済株式総数で割った額をもって株価とするもの)

③配当還元方式(会社の配当金額を基準として、これを発行済株式総数で割った額をもって株価とするもの)

④類似業種比準方式(業種、規模等が類似する公開会社または類似業種の公開会社の平均と比較して、株価を算定するもの)

⑤併用方式(①から④の方式を組み合わせて株価を算定するもの)

ウ税務上の評価基準である財産評価基本通達によれば、次のように評価することができます。

①上場会社に匹敵する大企業の株式は、上場会社の株式評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として類似業種比準方式による。

②個人企業と変わりのない小規模会社の株式は、個人企業者の財産評価との均衡を図ることが合理的であるので、原則として純資産評価方式による。

③大会社と小会社の中間にある中会社の株式については、大会社と小会社の評価方式の併用方式による。

以上のとおり、非上場株式の評価方法は様々ですが、一般的には、理解及び計算のしやすさから、純資産価額方式によることが多いようです。

 

◆3.ゴルフ会員権について

ゴルフ会員権については、ゴルフ会員権の取扱業者が発表している気配値を基に評価されます。

全てのゴルフ会員権に妥当するわけではありませんが、取引相場があるゴルフ会員権の場合、相場の7割で評価されることが多いようです。

 

◆4.自動車について

自動車については、いわゆるレッドブック(オートガイド自動車価格月報)によって評価することができるほか、遺産分割調停または審判が家庭裁判所に係属している場合には、財団法人日本自動車協会に対して調査嘱託をして評価額を得ることもできます。

 

◆5.書画骨董品

書画骨董品を評価する前提として、当該書画骨董品の真贋が問題となることがありますので、予め美術商に真贋を判断してもらうことが適当な場合があります。

そして書画骨董品が真作である場合、その価格は個人の主観的な嗜好によって大きく左右されますので、購入価格を基にして評価額を試算し、これを基に取得希望者に取得価格を提示してもらい、他の相続人にそれ以上の価格での取得希望がなければ、提示額によって評価額の合意を成立させる、という手法が望ましいということができます。

なお、美術年鑑に掲載されている評価額は、当該書画骨董品の品質を考慮しておらず、高額な表示がされていることが多いので、注意が必要です。