【改正民法債権編】賃貸借の成立等

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借の成立等について考えてみたいと思います。

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賃貸借の成立等

賃貸借の成立、存続期間、修繕等に関する規定を整備

 

◆賃貸借の成立
賃貸借の成立にあたって、「引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還すること」の合意も必要であることが新たに明記されました(新法601条)。

不動産賃貸借の場合、たとえばオフィスの賃貸借契約では、鍵の返還後に、数週間にわたって原状回復工事がされるケースがあります。
このような場合、賃貸人としては、原状回復工事が終わるまで他のテナントに貸せないため、鍵の返還と現状回復工事の終了のいずれをもって返還したといえるのかを契約書に記載しないと、賃料が発生する期間をめぐって争いが生じかねず、注意が必要です。

動産賃貸借の場合、たとえば動産リースにおいては、目的物の返還がされない場合が少なくありません。動産リースは、そもそも金融的な側面も強いことから、賃貸借と位置づけるかについて争いがありますが、賃貸借の規定が適用されると考えた場合、返還することの合意をしなくてはいけないとする新法との整合性については疑義が生じるところです。

 

◆賃貸借の存続期間
賃貸借の存続期間は、これまで上限が20年に制限されていましたが、50年に延長されました(新法604条)。

不動産賃貸借の場合、建物所有を目的とする借地や借家であれば、借地借家法により上限なく長期の賃貸借を締結することができますし、農地であれば上限50年とされていましたが、たとえばゴルフ場の敷地を目的とする賃貸借は上限が20年とされてきました。また、近時では、太陽光発電・風力発電といった再生可能エネルギーの用地を不動産賃貸借によって調達するニーズも高まっています。

これらの安定的な経営を図る上で、旧法の20年という上限が支障になっていました。
そこで、賃貸借の存続期間の上限を撤廃することも検討されましたが、例えば借地上の老朽家屋が空家のまま長年放置されて社会問題化していることからもわかる通り、あまりに長期にわたる賃貸借には弊害もあります。

そのため、耕作地などを借りる権利である永小作権の存続期間が上限を50年としていることを参照し、賃貸借の存続期間の上限を50年に延長することになりました。

 

◆賃貸人・賃借人による修繕等
(1)賃貸人による修繕等
賃貸人による修繕等については、賃借人に帰責事由がある場合、賃貸人が修繕義務を負わないことが明記されました(新法606条1項ただし書)。

(2)賃借人による修繕等
賃借人による修繕等については、次のいずれかの場合には、賃借人に修繕権があることが明記されました(新法607条の2)。
①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき(同1号)
②急迫の事情があるとき(同2号)

問題となるのは、上記①で修繕の必要がどのような場合に認められるかです。
たとえば、賃貸人が建物賃貸借の更新拒絶をし、その正当事由として、建物老朽化に伴う建替えの必要性等を主張したとします。この場合、期間満了までの間に賃借人が通知をした上で、必要な修繕工事をすることができるとすると、賃貸人はすぐに建て替えるつもりであるにもかかわらず、老朽化した建物に多額の修繕費用の支出を強いられる可能性もあります。
そのため、契約書で賃借人に修繕権が認められる範囲や時期を具体的に定めておくことが望ましいといえます。
ただし、アパートやマンションなどの居住用建物については、賃貸人に有利な条項を契約書で定めても消費者契約法により無効とされる可能性があるので注意が必要です。

【改正民法債権編】賃貸借に関する改正の概要

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、賃貸借に関する改正の概要について考えてみたいと思います。

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賃貸借に関する改正の概要

主として不動産賃貸借に関する確立した判例法理や考え方を明文化

 

◆賃貸借とは
賃貸借とは、物の使用・収益を目的として、これに経済的な対価を支払う契約です。
民法上、物は不動産と動産に分かれるので(法86条)、賃貸借には、不動産賃貸借と動産賃貸借の2つがあることになります。たとえば、マンションやアパートを借りたり、レンタカーや映画・音楽のDVD・CDを借りることをイメージして下さい。

賃貸借に関する法改正の多くは、不動産賃貸借に関する確立した判例法理や考え方を明文化したものとなります。
不動産賃貸借の大半は、建物所有を目的とする借地や借家ですが、その対抗力、存続期間、更新等については、賃借人の保護を目的として定められた民法の特別法である借地借家法が適用されます。また、農地の場合、農地法が適用されます。

賃貸借の成立、賃貸人たる地位の移転、賃貸借の終了、あるいは太陽光発電・風力発電といった再生可能エネルギーの用地を目的とする不動産賃貸借については民法による規律が適用されますが、その多くは任意規定だと考えられているので、特約により変更できます。
そのため、今回の改正により、賃貸借の契約実務が大きく変わることはないものと考えられます。

もっとも、新法の中には新たなルールを定めるものもありますし、特約がない場合の原則を知ることは重要です。また、たとえば、借家の場合に多く行われている親族の連帯保証は個人根保証に関する新法の影響を大きく受けるなど、賃貸借以外の改正が契約実務に与える影響も無視できません。

 

◆新旧規定の適用関係
賃貸借のような継続的契約は、新法の施行前に締結されているケースも多いことから、新法が適用される賃貸借は何なのか整理することが重要になります。

賃貸借については、賃貸借の存続期間(新法604条2項)と不動産の賃借人による妨害の停止の請求等(新法605条の4)の規定以外、新法の施行日前に締結された賃貸借には適用されません。新法の施行日以降に更新がされた場合も、一部の例外を除いて、当該更新後の賃貸借に新法は適用されないことになります。

 

◆連帯保証人
マンションやアパートなどを借りる場合、通常は連帯保証人による連帯保証が必要とされています。
近年は、保証会社による連帯保証がみられるようになったものの、未だに多くの場合は、賃借人の親族等の個人が連帯保証人になっています。

新法では、個人根保証契約について契約書で極度額を定めなければならない等の新たな規律が設けられていますが、建物賃貸借の連帯保証も個人根保証に該当するので、実務への影響は少なくありません。

【改正民法債権編】売買に関するその他改正

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、売買に関するその他改正について考えてみたいと思います。

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売買に関するその他改正

危険の移転、手付、買戻し等に関する規定を整備

 

◆目的物の滅失等についての危険の移転
旧法では、特定物の売買等において、売主の帰責事由によらずに目的物が滅失または損傷したときは、買主(債権者)がその滅失または損傷のリスクを負担する、すなわち買主はそのような場合でも自己の代金支払債務を免れないと定めていました。

そのため、法律上は、契約を締結した時点で目的物の滅失または損傷のリスクが買主に移転してしまうという不当な結論となっていました。
そこで、契約実務上は、目的物の引渡し時など、実質的に目的物が買主に移転したと考えられる時点に滅失または損傷のリスクが移転するよう、当事者間で別途合意がなされていました。

 

◆危険の移転に関する改正点
このような問題点を踏まえ、新法では、売主から買主への目的物の滅失または損傷のリスクの移転時期を、目的物の引渡し時と定めました。
そして、買主は、目的物の引渡し時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失または損傷が生じた場合、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができず、また、売買代金の支払を拒絶できない旨を規定しました(新法567条1項)。

仮に、滅失または損傷が、売主の責めに帰すべき事由によって生じた場合には、滅失等が引渡しの後に生じたものでも売主がそのリスクを負担すべきであることから、買主は、上記履行の追完等を売主に求めることができます。

また、売主が契約の内容に適合する目的物を引き渡そうとしたにもかかわらず、買主がそれを受け取らなかったとき(受領遅滞)は、売主による引渡しの提供を基準として滅失または損傷のリスクが移転し、引渡しの提供時以後、お互いの責めに帰することができない事由によって滅失または損傷が生じた場合、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができません(新法567条2項)。

 

◆手付
旧法では、いわゆる手付解除(不動産売買等における手付の放棄または倍戻しによる解除)について、「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」と表現していたため、文言上は、手付解除をしようとする者自身が履行に着手するとその後は手付解除ができなくなる、との解釈が可能でした。
しかしながら、手付解除は解除の相手方を保護する制度なので、相手方が履行に着手するまでは、自らが履行に着手していても手付解除を認めるべきであり、判例も同様の考え方を採っていました。

そこで、新法では、このような考え方を踏まえ、手付解除の要件につき、「相手方が契約の履行に着手した後は」手付解除ができないと定めて(新法557条1項ただし書き)、履行に着手した当事者の手付解除が可能であることを明確化しました。

また、売主からの手付解除(手付倍戻し)の要件として、旧法は、「売主はその倍額を償還」としていたため、現実の払渡しをしなくても倍額を現実に提供すれば手付解除できる、と解していました。
そこで、新法は、このような判例の考え方を明確化する趣旨で、「償還」を「現実に提供」に改めています(新法557条1項)。

 

◆権利移転の対抗要件に係る売主の義務
新法は、権利の移転を売買の目的とする契約において、売主の義務として登記、登録その他権利の移転についての対抗要件を買主に備えさせる旨を新たに定めました(新法560条)。
売主が、対抗要件具備のために必要な行為をする義務があるという判例・通説を明文化したものです。

 

◆他人の権利の売買における売主の義務
旧法でも、他人の権利の売買(他人物売買)は有効であり、売主は第三者から権利を取得して買主に移転すべき義務を負ってました。
新法では、移転すべき権利の全部が他人に属する場合のみならず、権利の一部が他人に属する場合にも、売主が移転義務を負う旨を明確にしました(新法561条)。

 

◆買戻し
買戻しとは、不動産の売買契約と同時にされる特約であり、売主は買主が支払った代金と契約の費用を返還して、後日売買を解除することができるというものです。
旧法は、買戻し特約による解除権の行使に際して売主が返還すべき金額について「買主が支払った代金および契約の費用」と定め、これは当事者の合意にかかわらず適用される規定(強行規定)と考えられていました。

新法では、売主が提供すべき金額を、「買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)」と定め、当事者の合意により任意に定めることができるように改正しました(新法579条)。
また、新法では、売買契約と同時に買戻し特約の登記をしたときは、その登記が第三者に対する対抗要件となることを明確にしました。

【改正民法債権編】売主の担保責任②

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、売主の担保責任②について考えてみたいと思います。

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売主の担保責任②

期間制限、競売における担保責任等の規定を整備

 

◆目的物の種類または品質に関する担保責任の期間制限
旧法は、瑕疵担保責任に基づく買主の権利行使につき、履行が終了したという売主の期待保護と法律関係の早期安定化の観点から、「事実を知った時から1年以内」という期間制限を設けていました。

加えて判例は、請求に際し、買主が「売主に対し具体的に瑕疵の内容とそれに基づく損害賠償請求をする旨を表明し、請求する損害額の根拠を示す」必要があるとしていましたが、この内容は請求する側の買主に負担をかけるものでした。

新法では、引き渡された目的物が種類または品質に関して契約不適合である場合の権利行使について、「不適合を知った時から1年以内」として旧法の期間制限を維持しつつ、損害賠償の請求にあたっては、売主に対し契約不適合があることを通知すれば足りるとしました(新法566条)。

ただし、売主が引渡し時に不適合について悪意または重過失であるときは、短期の期間制限でこのような売主を保護する必要がないため、期間制限は適用されません。
また、本規定の期間制限は、種類または品質の不適合にのみ適用され、数量不足や権利移転義務の不履行には適用されません。不履行事由が外形上、比較的明白な場合にまで売主の期待を保護する必要はないからです。
なお、本規定の短期の期間制限とは別途、買主の権利は債権に関する消滅時効にかかります。

 

◆競売における担保責任等
新法は、競売における買受人は、競売目的物の数量不足や移転した権利に契約不適合がある場合には、債務者に対し、契約の解除または代金減額請求をすることができる一方、競売目的物の種類・品質に関する不適合についてはこれを適用しない、と定めています。
これは、競売買受人はある程度の不適合の存在は織り込み済みであり、競売は債務者の意思に反して行なわれるといった理由によるものです。

 

◆売主の担保責任と同時履行
旧法は、売主の担保責任に基づく債務の履行に代わる損害賠償債務と買主の代金支払債務が同時履行の関係に立つ、すなわち売主が填補賠償債務の履行を提供するまでは、買主は代金支払債務の履行を拒むことができる旨を、双務契約から生じた債務間における同時履行の抗弁権の規定を準用する形で規定してました。

新法では、売主の担保責任が債務不履行責任であることを前提としているため、この準用規定は削除され、同時履行の抗弁権(新法533条)の規定を直接適用することになります。

 

◆抵当権等がある場合の買主による費用の償還請求
新法570条は、買い受けた不動産について契約不適合の先取特権、質権または抵当権が付着していた場合に、買主が費用を支出してその不動産の所有権を保存したときは、買主は、売主に対し、その費用の償還を請求できる旨を定めるものです。
なお、買主が抵当権等の実行により所有権を失った場合には、債務不履行の一般規定に従います。

【改正民法債権編】売主の担保責任①

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売主の担保責任①

履行の追完請求権、買主の代金減額請求権等の規定を整備

 

◆追完請求権
(1)履行の追完請求権の明文化
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は売主に対して、その修補を請求し、または代替物もしくは不足分の引渡しを請求することができる(履行の追完請求権)と定められました(新法562条1項)。売主に修補か代替物等の引渡しのいずれかを請求するかは、買主の選択によります。

旧法では、目的物に瑕疵があった場合に、買主が修補や代替物の引渡しを請求できるか否か、につき明文規定はありませんでした。
一方で、現在の取引実務においては、目的物が種類物か特定物かを問わず、追完による対応をすべきケースが多々見受けられます。

そこで、新法では、買主の履行の追完請求権を明文化することで、実務上認められていた買主の権利を明確化しました。
ただし、売主は、「買主に不相当な負担を課するものでないとき」は、異なる方法での履行の追完が可能です(新法562条1項ただし書)。契約不適合の内容によっては、売主の提供する追完方法を優先すべき場合も考えられる一方、追完方法の選択権は一次的には買主にあることから、売主の追完方法が認められる要件を限定的に定めるものです。

(2)「隠れた瑕疵」を「契約の内容に適合しない」に変更
旧法では、上述した「契約の内容に適合しない」という表現の代わりに、「隠れた瑕疵」の存在を売主の担保責任の要件としていました。
「瑕疵」とは、いわゆる物の欠陥(物理的な欠陥に限らない)を意味する用語ですが、広く一般的に使われる用語ではなく、また欠陥の内容や範囲も明確ではないという問題がありました。

そこで、新法では、瑕疵の有無の判断にあたって検討していた要素を具体的に条文化することで「瑕疵」の用語を廃止しました。
また、「隠れた」とは、瑕疵について買主が注意をしても発見できない、または瑕疵の存在を知らず、かつ知らないことに過失がないことを意味すると解されています。

しかし、過失があった買主の救済を一律に否定することの妥当性や、工業製品の売買など、当事者が契約締結時点で瑕疵の存在を認識していても、売主がその瑕疵を修補して目的物を買主に引き渡すべきケースがあることからすると、契約締結時における買主の善意無過失のみを問うことは、事案の解決として必ずしも適切ではありません。

むしろ、当事者が予定していた目的物の品質等がどのようなものであり、引き渡された目的物がその品質等に適合しているか否かを判断すべきと考えられることから、新法では「隠れた」という要件も廃止され、「契約の内容に適合しない」(契約不適合)という表現に変更されました。

 

◆買主の代金減額請求権
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量の点で契約の内容に適合しない場合に、相当の期間を定めて履行の追完を催告し、その期間内に追完がないときは、買主はその不適合の程度に応じた代金減額請求権を有することを定めています(新法563条1項)。

旧法では、権利の一部移転不能や数量不足の場合を除き、代金減額請求権は規定されていません。
しかし、代金支払いと売買目的物の引渡しという対価関係を考えれば、目的物に契約不適合があった場合には、不適合の程度に応じて代金減額請求権を認めるべきであることから、本規定が置かれました。

代金減額請求権の行使要件として、売主に対する履行の追完の催告が必要となりますが、追完の催告をせず直ちに代金減額を請求できる場合として、履行の追完が不能であるとき等、無催告解除の要件と同様の要件が定められています(同2項)。
なお、契約不適合につき買主に帰責事由がある場合は、買主は代金減額を請求することができません。

 

◆買主の損害賠償請求および解除権の行使
新法では、引き渡された目的物が種類、品質または数量に関して契約の内容に適合しない場合には、買主は債務不履行による損害賠償を請求し、または契約の解除をすることができると定めています(新法564条)。

これは、売主の担保責任が債務不履行責任であることを前提とするものです。ただし、債務不履行による損害賠償の要件が新法で改正されていることから、本規定においても「契約その他の債務の発生原因および取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由」の場合には、売主の免責が認められる一方、損害賠償の範囲は履行利益(履行されたなら得られた利益)にまで及ぶことになります。

 

◆移転した権利が契約の内容に適合しない場合における売主の責任
新法は、売主が買主に移転した権利に、契約の内容に適合しない他人の権利による負担等が存在した場合、売主の債務不履行を構成し、買主が追完請求権、代金減額請求権、損害賠償請求権、解除権を有することを定めています(新法565条)。

旧法では、権利の瑕疵についても、物の瑕疵と同様、債務不履行の一般原則との関係が必ずしも明確ではありませんでした。
新法では、他の権利負担があり、これが契約の内容に不適合であれば、売主の債務不履行となると整理されました。

また、権利の一部が他人に属する場合に、その権利の一部を移転しないときも、同様に債務不履行を構成すると定められましたが、権利の全部を移転できない場合は、債務不履行の一般原則をそのまま適用すれば足りることから、あえて規定はされていません。

【改正民法債権編】売買の主な改正

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売買の主な改正

売主の責任を債務不履行責任と構成するなど実務上も影響大

 

◆売買に関する改正

売買とは、当事者の一方(売主)が目的物の財産権を相手方(買主)に移転して、相手方(買主)がその代金を支払う取引(契約)をいいます。
新法では、売買に関して、実務上も大きな影響があるいくつかの改正がなされました。

(1)売主の担保責任
売買の目的物の品質等に関する売主の責任については、以前から、瑕疵担保責任の法的性質に絡めて活発な議論が行われてきました。

そして、売買の目的物が特定物(たとえば、中古自動車)の場合には、たとえその目的物に瑕疵(欠陥)があっても、その物を引き渡せば債務を完全に履行したことになるという伝統的見解(法定責任説)は、修補や商品の交換等が求められるケースが多い現代の取引実態に適合しないものでした。

そこで、新法では、売主の責任を債務不履行責任として構成し、売買の目的物が特定物であるか、種類物(たとえば、新品の機械)であるかにかかわらず、売主は売買契約の内容に適合しないときには、買主は履行の追完請求権(修補や代替物給付などにより完全な履行を求める権利)や代金減額請求権を有することが定められました(新法562条)。

(2)「隠れた瑕疵」
旧法では、売買の目的物に「隠れた瑕疵」がある場合には、買主は、売主に対して契約の解除や損害賠償の請求をすることができます。
旧法における「隠れた瑕疵」という表現に代わり、新法では、「契約の内容に適合しないもの」という表現が用いられることになりました。
これに伴い、売主の担保責任の規定も大きく改正されています。

【改正民法債権編】定型約款の変更

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定型約款の変更

定型約款の変更が認められるための要件を明文化

 

◆定型約款の変更の要件
定型約款が利用される取引は大量の定型的な取引であるため、定型約款準備者が定型約款の内容を変更したいと考えた場合、相手方から個別に同意を取得することは現実的には困難です。

そのため、旧法下においても、約款を準備する当事者が約款の内容を変更することによって、契約内容を変更することが行なわれていました。しかし、要件や手続きはまちまちであり、約款を準備する当事者が一方的に約款の内容を変更できることは、相手方にとって不利益といえる状況でした。

そこで、新法548条の4第1項は、下記の①または②のいずれかの要件を満たす場合には、定型約款準備者は、変更後の定型約款の条項について合意があったものとみなし、個別に相手方と合意することなく契約の内容を変更することができると定めました。
【変更が認められるための要件】
①利益適合性
定型約款の変更が相手方の一般的利益に適合する場合
②変更の合理性
定型約款の変更が契約をした目的に反せず、かつ、変更の必要性、変更後の内容の相当性、定型約款の変更をすることがある旨の定めの有無とその内容その他の変更に係る事情に照らして合理的なものである場合

以上のとおり、定型約款に、定型約款の変更をすることがある旨を定める条項(変更条項)があることは、定型約款の変更の必須の要件とはされていません。
もっとも、変更の合理性を判断する上での1つの要素には挙げられています。そのため、変更の要件や手続き等を具体的に定めた変更条項の定めがあり、当該変更条項に従った変更を行なう場合には、変更の合理性が認められやすくなります。

 

◆定型約款の変更の手続
新法548条の4第2項は、定型約款準備者が定型約款の変更をするときには、①効力発生時期を定め、かつ、②定型約款を変更する旨、変更後の定型約款の内容、その効力発生時期をインターネットの利用等により周知しなければならないと定めています。

なお、同1項2号に定める変更の合理性によって定型約款を変更する場合には、変更後の定型約款の効力発生時期が到来するまでに周知をしなければ、変更の効力を生じません(同3項)。

 

◆不当条項規制の適用除外
定型約款の変更の場合には、新法548条の2第2項で規定される不当条項規制は適用されません(新法548条の4第4項)。

その理由は、定型約款の変更に関する規定は、新法548条の2第2項の不当条項規制よりも厳格で考慮すべき要素が異なり、定型約款が有効とされる要件を重複して判断する必要がないためです。

したがって、不当条項規制の適用が除外されるといっても、定型約款の変更の内容が合理的であるべきことに変わりはありません。

 

◆新旧規定の適用関係
定型約款のルールを定めた新法548条の2から548条の4までの規定は、原則として、新法施行日前に締結された定型取引に係る契約にも適用されます。ただし、旧法の規定によって生じた効力は妨げられません。

もっとも、例外として、契約の一方当事者(契約または法律の規定により解除権を現に行使できる者を除きます)により、反対の意思表示が書面または電磁的記録によってされた場合には、新法の規定は適用されないとされています。

この反対の意思表示は、新法公布の日から起算して1年を超えない範囲内において政令で定める日から新法施行日前までにしなければなりません。

新法適用排除の意思表示が例外として認められたのは、前述のとおり、新法では定型約款準備者が相手方の同意なく定型約款の内容を変更できることから、取引開始時に定型約款の変更を予期していなかった相手方に対して、新法の適用を排除する機会を与えて保護するためです。

以上の趣旨から、相手方が解除権を行使できる場合には、契約の解除により契約の拘束力から逃れられるため、重ねて新法の適用を排除する機会を与える必要はなく、適用排除の意思表示が認められていないといえます。

 

◆実務への影響

新法では、定型約款に該当する場合には、みなし合意による契約内容化、不当条項規制、定型約款の表示義務、定型約款準備者による一方的な定型約款の変更といった条項の適用を受けることになります。

したがって、まず、ある約款や契約が、定型約款に該当するか否かの判断が重要になってきます。
定型約款の定義は明文化されましたが、「両当事者にとって合理的」等、具体的にいかなる場合が該当するかは文言からだけでは判然としません。

したがって、今後、立法過程で示された考え方等を参考に、具体的な取引ごとに定型約款に該当するか否かを判断することに留意が必要です。
同様に、定型約款の変更の要件についても、明文化はされたものの、利益適合性や変更の合理性の具体的な判断基準等が定められているわけではありません。
この点についても、これまでの約款変更に関する実務を踏まえながら、具体的な考慮要素等を慎重に検討する必要があります。

一方、定型約款の変更の合理性の1つの判断要素として、変更条項があることが定められたことから、既存の定型約款に変更条項がない場合には、変更条項の追加を検討する必要が生じる可能性があります。
この場合、変更条項を追加すること自体も約款の変更に該当するため、新法で定められた定型約款の変更のルールに則って手続を進める必要があります。

【改正民法債権編】定型約款の内容の表示

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、定型約款の内容の表示について考えてみたいと思います。

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定型約款の内容の表示

定型約款の内容を表示する義務(定型約款開示義務)を新設

 

◆定型約款の開示
定型約款にみなし合意という強い法的拘束力が生じる以上、定型約款を利用した取引においては、相手方が定型約款の内容を適切に知ることができることが重要となります。

そこで、新法548条の3第1項本文において、定型約款準備者は、定型取引合意の前または定型取引合意の後、相当の期間内に相手方から請求があった場合には、遅滞なく、相当な方法で定型約款の内容を示さなければならないと定めました。

これは、定型取引合意の前に必ず定型約款を開示することを、定型約款を内容とする契約成立のための必須要件とするものではありませんが、相手方からの開示請求があった場合には、原則として定型約款を開示する義務を負うことを定めたものです。

「定型取引合意の後、相当の期間」とは、契約が継続的なものである場合には、当該継続的契約の終了時から相当の期間をいうものと説明されています。
また、「相当な方法」の具体的内容としては、定型約款を記載した書面を交付し、またはこれを記録した電磁的記録を提供していたときは、すでに定型約款の内容を示しているといえるため、定型約款開示義務は負いません(新法548条の3第1項ただし書)。

 

◆定型約款開示義務違反の効果
定型約款準備者が、定型取引合意の前において相手方からの定型約款開示請求を拒んだときは、みなし合意の規定(新法548条の2)は適用しないこととなります(新法548条の3第2項本文)。

これにより、定型約款開示義務違反の場合には、定型約款の個別条項についての合意がみなされず、定型約款は契約内容とはなりません。
例外として、一時的な通信障害が発生した場合その他正当な事由によって開示を拒否する場合には、みなし合意の効果が生じることとなります(同ただし書)。

ここで、定型約款開示義務違反によってみなし合意の適用が除外となる旨が定められているのは、「定型取引合意の前」において定型約款の開示を「拒んだとき」についてであることに留意が必要です。
すなわち、新法548条の3第1項で定型約款開示義務が生じるのは、定型取引の前か、定型取引の後、相当の期間内に相手方から開示請求があった場合ですが、このうちの「定型取引合意の前」に、定型約款準備者が開示を「拒んだとき」についてしか、みなし合意の適用除外を規定していないのです。

そのため、次の場合については、新法548条の3第2項に基づくみなし合意の適用除外とはなりません。
①定型取引合意の後、相当の期間内に開示請求があったケースで開示を拒否した場合
②定型約款準備者が拒否はしておらず、単に開示義務を懈怠していたにすぎない場合
もっとも、これらの場合も、定型約款準備者に開示義務不履行に基づく通常の債務不履行責任が生じる余地があります。

【改正民法債権編】定型約款についてのみなし合意

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、定型約款についてのみなし合意について考えてみたいと思います。

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定型約款についてのみなし合意

定型約款の法的拘束力の根拠としてのみなし合意を規定

 

◆みなし合意の要件
旧法では、約款に法的拘束力が生じる根拠が明確ではありませんでした。

新法では、定型取引を行なう合意をした者は、一定の要件を満たす場合には、定型約款の個別条項についても合意したものとみなす旨を規定し(新法548条の2第1項)、定型約款の法的拘束力の根拠がみなし合意にあることを定めました。具体的な要件としては、以下のいずれかに該当する場合に、合意がみなされます。
【みなし合意の要件】
①定型約款を契約内容とする旨の合意をしたとき(新法548条の2第1項1号)
②定型約款準備者が、あらかじめその定型約款を契約の内容とする旨を相手方に表示していたとき(同2号)

上記①のケースとしては、定型取引に合意した者が、定型約款準備者と面談やインターネットを通じたやりとり等によって定型約款を契約の内容とすることに合意した場合が該当します。

なお、合意を得る方法として、ウェブページでも、定型約款を契約内容とすることに同意する旨のボタンをクリックしてもらう方法も可能です。

上記②のケースは、定型約款準備者が、相手方に定型約款を契約内容とする旨の記載ある書面や電磁的記録等をあらかじめ提示・提供する方法によるものです。この場合には、相手方が当該定型約款を契約内容とすること自体に合意をしていなくても、定型約款の内容が法的拘束力を持つことに留意が必要です。

なお、電車やバス等の旅客運送取引、高速道路等の通行取引等については、定型約款準備者が定型約款を契約内容とすることの「表示」すら困難といえます。
そこで、このような定型約款準備者による相手方への表示すら困難であり、かつ、取引自体の公共性や定型約款の契約内容化の必要性が高い取引に関しては、特別法(鉄道営業法、道路運送法等)において、あらかじめ定型約款を契約内容とする旨の「公表」をしていれば足りるとする旨の特例規定が設けられます。

 

◆不当条項規制
上述した通り、定型約款を契約内容とする旨の表示を相手方が見ていなかった場合でも、表示があればみなし合意が成立するという点で、定型約款の法的拘束力は強いものといえます。
ただし、どんな内容であっても契約内容とする旨の合意や表示をすれば法的拘束力が認められるというものではなく、相手方の利益を一方的に害する条項については規制が定められています。

具体的には、定型約款に含まれる条項のうち、
①相手方の権利を制限し、または義務を加重する条項であって、
②その定型取引の態様およびその実情ならびに取引上の社会通念に照らして信義則(法1条2項)に反し、相手方の利益を一方的に害すると認められる条項
については、当該定型約款の個別の条項について合意をしなかったものとみなされます(新法548条の2第2項)。

条項の内容の不当性については、取引の実情や取引上の社会通念に照らして判断しますが、ここで重要なのは、信義則に反するか否かの判断にあたっては、当該条項そのものだけではなく、取引全体に関わる事情を取引通念に照らして広く考慮することです。

したがって、当該条項そのものは相手方にとって不利であっても、取引全体を見ればその不利益を補うような定めがあれば、全体としては信義則に反しないと解されます。

なお、新法548条の2第2項によってみなし合意から除外される条項がある場合でも、除外対象以外の条項については、みなし合意が維持されることに留意が必要です。

【改正民法債権編】定型約款の定義

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、提携約款の定義について考えてみたいと思います。

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東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

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定型約款の定義

民法の規律対象となる約款を定型約款とし、その定義を規定

 

◆提携約款とは
現在、電気・ガス・水道等の供給取引や、鉄道等の旅客運送取引等、市民生活にも関わる大量の定型的な取引に関しては、効率的な取引の推進のために、契約の一方当事者があらかじめ一定の契約条項を定めた約款を用いた取引が行われています。

しかしながら、旧法では約款に関する明文の規定がなく、約款に法的拘束力が認められる根拠や範囲が明確ではありませんでした。
新法では、民法の規律の対象となる約款を「定型約款」とし、その定義を「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう。」と定めました(新法548条の2第1項)。

 

◆定型約款の要件
定型約款に該当するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
①定型取引に関するものであること
①-1不特定多数の者を相手方として行う取引であること
①-2当該取引の内容の全部または一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること
②契約の内容とすることを目的として作成された条項の総体であること

まず①-1の「不特定多数の者を相手方として行う取引であること。」とは、相手方の個性に着目せずに行う取引であることが前提とされています。したがって、労働契約の契約書のひな型は、相手方の個性に着目して締結されるものであるため、定型取引には該当しません。

次に①-2の「当該取引の内容の全部または一部が画一的であることが両当事者にとって合理的であること」とは、不特定多数の相手方との取引内容の全部または一部が画一的であることが通常であり、かつ、一方当事者の準備した契約条項の総体を、相手方がそのまま受け入れて契約を締結することが取引通念に照らして合理的であることをいうとされています。

以上を前提にすると、製品の原材料の供給契約等の事業者間のみでの取引に用いられる約款や契約書のひな型は、基本的には定型約款には該当しません。その理由としては、次の3点が挙げられます。
①この類の取引では相手方の個性に着目したものも少なくないこと
②契約内容が画一的である理由が単なる事業者の交渉力格差による場合には、契約内容が画一的であることが相手方にとって合理的であるとはいえないこと
③契約内容を十分に吟味するのが通常であると言える場合には、「契約の内容とする」目的があるとはいえないこと

一方で、事業者間の取引であっても、預金規定や一般に普及しているコンピュータのソフトウェアの利用規約等に関しては、定型約款に該当することになります。これらの規定等は、相手方の個性に着目しているものではなく、契約の内容が画一的であることが通常であり、かつ、相手方が準備された契約条項についてそのまま受け入れて契約を締結することが取引通念に照らして合理的であるといえるからです。

 

◆定型約款の該当性は個別判断
以上より、定型約款の該当性は、単に、事業者間の取引であれば定型約款に該当しない、事業者と消費者の間での取引であれば定型約款に該当するというように、主体によって判断できるものではありません。
相手方の個性に着目せずに行う取引であるか等、新法548条の2第1項に定める要件を充足しているか否かを個別に判断すべきであることに留意が必要となります。