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【孤独死をめぐるQ&A】Q13 相続財産の調査③ 負債の調査についての記事です。
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【Q13】相続財産の調査③ 負債の調査
遠方の地方に住んでいるおじが亡くなりました。
私が相続人になるらしいのですが、おじには小さな自宅がある以外に特に財産があるかは分かりません。相続は故人の借金も引き継いでしまうと聞いており、もしおじに借金があったら、自宅はそこまでの価値がないので相続放棄をした方がよいのではないかと考えています。
借金の有無を調べることはできるのでしょうか。
【A】すべての借金を調べることはできませんが、信用情報の照会によって、金融機関等からの借入額は調べることができます。
【解説】
1 債務調査の必要性
① 相続は、預貯金や土地などの積極財産も借金などの消極的な財産も全てまとめて承継することになります。
② もし、遺産を相続した結果、故人が多額の債務を負っていることが判明した場合、債務を相続したことによって、相続人がもともと持っていた財産を手放し、最悪は破産を余儀なくされるという可能性もあります。
③ 生前関わっていない方の遺産を相続する場合、負債の調査は必須と考えます。
2 不動産登記の確認
① 故人が不動産を所有していた場合、不動産登記を取得します。金融機関から借り入れをしている場合、所有不動産に抵当権を設定されることがありますので、不動産登記を見て抵当権設定の有無を確認します。
② 登記の乙区に抵当権が設定されており、債務者が故人名であった場合、故人の債務があることになりますので、債権者に連絡し、借入残高を照会します。
③ また、まれに甲区に仮差押えや滞納処分の登記がされていることもあります。その場合も仮差押債権者に対して債務を負っていたり、租税を滞納している可能性がありますので、仮差押債権者や租税債権者に対して、債務の有無、残高を確認します。
3 団体信用生命保険適用の確認
① 住宅ローンなどは、故人の死亡により団体信用生命保険(団信)の保険金で完済されていることもあります。
② 不動産登記を調べてみたら、故人を債務者とする抵当権が設定されていたので債務があると思ったら、団体信用生命保険が適用され、債務はなかったというケースもあります。
③ また逆に、団体信用生命保険で住宅ローンが完済されていると思っていたら、保障金額の上限や保障期間の上限により、団体信用生命保険が適用されず、住宅ローンが残っていたということもあります。
④ 前者の場合、一度借金があると思って相続放棄をしてしまうと、相続放棄は撤回できませんので、後で実は住宅ローンはなかったと気が付いても、もう相続することはできません。
⑤ 後者の場合も、もう住宅ローンはないと思い込んでいたとしても、相続手続をしてしまったり、相続放棄の熟慮期間を経過してしまったりすると、もはや相続放棄は出来なくなりますので、債務を引き継ぐことになってしまします。
⑥ 故人の債務が判明している場合、必ず債権者に連絡をして、借入残高があるか、団体信用生命保険の適用があるかについて、実際に確認してみることをお勧めします。
4 信用情報機関に対する調査
金融機関やノンバンク、カード会社や消費者金融などから借入をした場合、信用情報機関に登録されます。
故人について信用情報機関に登録された情報を確認すれば、金融機関やノンバンク、カード会社や消費者金融などに対する負債を確認することができます。
信用情報機関には、全国銀行個人信用センター(KSC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、株式会社シー・アイ・シー(CIC)があります。相続人であれば、いずれの信用情報機関に対しても故人の信用情報を照会する事ができます。
(1)全国銀行個人信用情報センター(KSC)
① 全国銀行個人情報信用センターへは銀行、信用金庫、JAバンクなどの金融機関からの借入れや金融機関系列の保証会社を利用したときに情報が登録されます。
② 登録情報の開示は、センターへの郵送による申込みでのみの受付となっております。登録情報開示申込みはHPからダウンロードできます。
③ 開示対象者が死亡していることを証する資料、開示請求者が法定相続人であることを証する資料、免許証などの本人確認書類を添付して、開示の申込みをします(これは他の信用情報機関でも同じことです)。
④ 登録情報開示報告書の履歴の残高額の欄から負債の有無や金額が分かります。
(2)株式会社日本信用情報機構(JICC)
① JICCは、消費者金融会社、流通系・銀行系・メーカー系クレジット会社、信販会社、金融機関、保証会社、リース会社などが加盟しており、それらを利用した場合に情報が登録されます。
② JICCの信用情報の開示は、相続人の場合、窓口、郵送、インターネットで申請することが可能です。開示申込書はHPからダウンロードできます。
③ 亡くなった方の信用情報については、法定相続人、配偶者又は二親等内の血族が開示手続きを行うことができます。
④ 信用情報記録開示書のファイルDには、主に貸金業者からの借入情報やキャッシング契約が記載されます。ファイルMには、主にクレジットカードや金融機関などの契約内容が記載されます。
⑤ ファイルDの債権情報の残高の欄やファイルNのトータル残高金額、割賦残高金額、キャッシング残高などの欄から負債の有無や金額が分かります。
(3)株式会社シー・アイ・シー(CIC)
① CICは、貸金業者やクレジット業者が加盟しており、それらを利用した場合に情報が登録されます。
② CICの信用情報の開示は、窓口、郵送、インターネットで申請することが可能です。開示申込書はHPからダウンロードできます。
③ 亡くなった方の開示申込み手続きができるのは法定相続人に限られます。なお、窓口での申請の場合は、配偶者、子及び法定代理人のみに限定されます。それ以外の相続人は郵送により申請をする必要があります。
④ 信用情報開示報告書はクレジット情報、申込み情報、利用記録から成りますが、クレジット情報にクレジットやローン等の契約内容や残高に関する情報が載っています。
⑤ クレジット情報の支払の状況の残債額、割賦販売法の登録内容の割賦残債額、貸金業法の登録内容の残高の欄から負債の有無や金額が分かります。
5 故人が会社を経営したり事業を営んでいた場合
① 故人が会社を経営したり事業を営んでいた場合、従業員がいるのであれば経理担当の従業員に会社の取引銀行や負債の状況を尋ねてみてください。
② 決算書がみられる場合には、決算書の勘定科目明細で会社の負債の状況が分かります。
③ 金融機関からの借入やリース会社との取引の際、会社の代表者が連帯保証をしているケースが多いので、金融機関やリース会社に故人の連帯保証の有無を確認することになります。
④ 故人や故人の経営していた会社が所有している不動産がある場合は、登記を確認して、差押登記や抵当権設定登記の有無も確認してみてください。
⑤ なお、会社の代表者が金融機関からの借入を連帯保証していても、全国銀行個人信用センターに登録されていないというケースは散見されます。KSCの開示に金融機関からの借入れに関する連帯保証が登録されていなくても、会社が借入をしている金融機関が判明しているのであれば、代表者である故人の連帯保証の有無を確認した方がよいでしょう。
6 個人間での借金や連帯保証など
① 信用情報機関を利用していない取引により負った債務や個人間の借入れ、個人間での連帯保証(友人の借入の連帯保証や友人の賃貸借契約の連帯保証など)については、故人が亡くなり、契約書等も手元にないとなると調査をすることは事実上困難です。
② 相続放棄の熟慮期間は3ヶ月ですが、家庭裁判所に延長を申立てることも可能です。債権者の中には、亡くなった後3ヶ月を過ぎてから請求してくるという方もいるので、債務の有無が分からない場合、念のため熟慮期間を延長してみるというのも一つの方法です。
③ また、一定程度の相続財産があることが分かっているので相続をしたいが、どうしても債務があるか不安があり単純承認はしたくないという場合は、極めて使いづらい制度ですが、相続財産の限度で債務を相続するという限定承認という制度の利用を検討するのも一つの方法です。