【相続・遺言について】未成年者・認知症の方などへの遺産分割

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、未成年者・認知症の方などへの遺産分割について考えてみたいと思います。

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【Q】①夫が突然の事故で亡くなってしまいました。相続人は、妻である私と、10歳の娘の2人だけです。夫には、自宅マンションや預金などの財産がありましたが、これらの遺産を私と娘の間で分割するためには、どのような手続きが必要ですか。娘の親権者である私が娘を代理して遺産分割協議を行うことはできますか?

②父が88歳で亡くなりました。相続人は80歳の母と、私を含めた子供3人です。母は認知症のため、息子である私の顔も分からないような状況です。父の遺産について法定相続人の間で分割協議をする場合、母を除いて遺産分割協議をすることはできますか?

 

【A】◆1.相続人に未成年者がいる場合
あなたが娘さんを代理して遺産分割協議を行うことはできません。
家庭裁判所に娘さんの特別代理人を選任してもらい、その特別代理人との間で遺産分割協議を行います。

親権者は、子の財産に関する法律行為について代理できるのが原則であり、遺産分割も法律行為の一種です。
しかし、外形的・客観的に利害が対立する「利益相反行為」は、親権者が、その子である未成年者の法律行為を代理して行うことはできません。子である未成年者との間の遺産分割は、利益相反行為にあたります。仮に行うと、その効力は原則として無効とされます。

本件での相続人はあなたと10歳の娘さんの2人だけですから、あなたが娘さんを代理して遺産分割協議を行うことはできません。
有効な遺産分割を行うためには、家庭裁判所に娘さんのための特別代理人を選任してもらう手続きが必要です。そして、あなたと特別代理人との間で遺産分割協議を行うことになります。

 

◆2.相続人に認知症等意思無能力者がいる場合
お義母さんを除いた3人の子供だけで遺産分割協議を行うことはできません。
家庭裁判所にお母さんの成年後見人等を選任してもらい、その成年後見人等がお母さんの代理人となってあなた方と遺産分割協議をします。

遺産分割協議では、相続人全員の意思が反映されることが重要であることから、共同相続人全員の参加と同意が必要とされ、一部の相続人を除外して行った遺産分割は無効となります。
したがって、お母さんを除いた3人の子供だけで遺産分割協議を行うことはできません。

他方で、お母さんは認知症で息子であるあなたの顔もわからない程ですから、遺産分割協議を自身で行うのに必要とされる意思能力について問題があると思われます。
このままお母さんを交えて、お母さんと3人の子供の合計4人で遺産分割協議をしても、その遺産分割は共同相続人のひとりであるお母さんの意思に基づくものとは認められず、やはり無効です。

共同相続人の中に意思能力に問題がある相続人がある場合、有効な遺産分割協議を行うには、別途の手続きが必要となります。
その相続人の意思能力の問題の程度によって、成年後見人や保佐人、補助人を家庭裁判所に選任してもらい、その成年後見人等がその相続人に代わって手続きに参加して遺産分割協議ができる体制を整えます。
その上で成年後見人等と他の相続人との間で遺産分割協議を行うことで、有効な遺産分割が可能となります。

本件でお父さんの遺産について有効な遺産分割をするには、まず意思能力に問題があるお母さんのために、遺産分割についての権限を有する成年後見人等を家庭裁判所に選任してもらいます。
その上で、成年後見人等と他の法定相続人である3人の子供で遺産分割協議を行うことになります。

【相続・遺言について】遺言がない場合

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言がない場合について考えてみたいと思います。

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【Q】父が亡くなりましたが、遺言書などは発見されませんでした。
①このような場合、父の遺産をどのように分割すればよいのでしょうか。分割方法に法律上の制限はありますか?
②相続人間で分割協議が整わなかった場合、裁判所で調停や審判の手続きを行う必要があると聞きました。それぞれの手続きの流れや内容を教えて下さい。

 

【A】◆1.遺言がない場合の遺産分割手続きの方法
お父様の遺産を分けるうえで、まず誰が相続人かを確認してください。
また、お父様の遺産を特定してください。
お父様の相続人があなた一人の場合、あなたが遺産全てを相続することになりあます。

相続人が複数いらっしゃる場合、遺産をどう分けるか、相続人全員の間で話し合いをすることになります。この話し合いを遺産分割協議といいます。
相続人全員が合意できたのであれば、お父様の遺産をどのように分割するかは自由です。
ただし、お父様の遺産の中に借金があった場合、相続人全員で借金をどう負担するか決めても、その債権者が同意しない限り、債権者からの相続分に応じた請求を逃れることはできません。

遺産分割のやり方、例えば、相続人の間で会って話をするのか、メールや電話で話をするのかは、自由です。
相続人の間でお父様の遺産を分けた後、遺産を受け取るためには、話し合いの結果を、遺産分割協議書という書面に残す必要があります。
遺産分割協議書の書き方によっては、金融機関(預金を引き出す場合)や法務局(登記を移す場合)が、遺産の名義の変更を受付けてくれないことがあります。

遺産の分割について話し合いが成立したのであれば、その時点で専門家である行政書士や弁護士、司法書士等に相談することをお勧めします。
トラブルなく財産を移転するための遺産分割協議書を作成できます。

 

◆2.遺産分割調停、審判について
何らかの原因で、相続人の間で分割協議が整わなかった場合、お父様の遺産をどう分けるか、裁判所を通じて解決することになります。
この場合、原則まずは家庭裁判所で話合うことになります。この話合いを調停と言います。

調停手続きは、原則相続人全員が参加する必要があります。
調停は、当事者が所管の家庭裁判所に申立書を提出することで、開始します。
調停手続では、裁判所の調停委員という人に、対立する当事者双方の言い分を、交代で聞いてもらいます。
その中で、お互いが納得できる解決案を探ることになります。
調停委員に話を聞いてもらう際、対立する相続人同士が、顔を合わせることはありません。

調停手続で話合いがついた場合、裁判所が、その内容を、調停調書という書面にまとめてくれます。
調停調書があれば、遺産を受け取ることが可能になります。
調停で話合いがまとまらなかった場合、調停は終了となり、自動的に審判手続に移行します。

審判とは、裁判所が、お父様の遺産について、強制的に分割してしまう手続きです。分割の方法は、原則法定相続分に従ってされます。
遺産に不動産がある場合、売却しなければならなくなる可能性があります。審判がでて確定した場合、審判書に基づいて、遺産を受け取ることになります。

なお、今まで、「原則」と書いたものには、法律上、例外もあります。例外が当てはまるかどうかや、調停や審判を、どこの裁判所に、どのように申立て、何を主張するかは、個別の事件で大きく変わります。それによって、遺産分割の結果が大きく変化する可能性があります。
相続人の間で分割協議が整わなかった場合、紛争事案の専門家である弁護士に相談することをお勧めします。

【相続・遺言について】遺言がある場合の分割手続

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言がある場合の分割手続について考えてみたいと思います。

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【Q】遺言がある場合には、遺言と異なる遺産分割をすることはできないのでしょうか?

 

【A】◆1.遺言がある場合の遺産分割の原則
遺言がある場合は、原則としてその遺言に沿って遺産が分割されます。我が国のような私有財産制の国においては、自分の財産の処分は自分の意思をもって自由に決定することが認められています。

遺言は、被相続人の最後の意思表示ですから、遺言でもってその人は、自分の財産を誰にどれだけ譲るかを自由に決定できるのです。そして、被相続人の最終意思は尊重されなければなりません。

例えば、「自宅の土地建物は妻に、預金は長男に、株式は長女に」というような遺産分割方法を指定した遺言があった場合、それぞれの遺産は遺言の趣旨に沿って、相続開始と同時に当該相続人に直接帰属することになります。

また、「遺産の2分の1は長男に、残りの2分の1は3人の姉妹で分けるように」というように、相続する割合(これを相続分といいます)のみを指定した遺言もあります。こうした場合は、遺言の趣旨に沿って、具体的に誰がどれを相続するかについて、遺産分割協議を行う必要があります。

 

◆2.遺言と異なる遺産分割をする方法
一方、遺言により利益を得た相続人や受遺者も自分の財産を処分する自由がありますから、遺言により得た利益や遺贈を放棄することが認められています。また、遺言の内容そのものが年月の経過等により実行不可能となっていたり、遺言の実現が経済情勢や相続人の生活状況の変化により妥当性を失っていたりしている場合もありますので、遺言の内容に従うことが常に合理性があるとは限りません。

そこで、遺言がある場合でも相続人全員(受遺者がいる場合には受遺者も含みます)の同意があれば、遺言と異なる遺産分割をすることができます。例えば、「自宅の土地建物は妻に、預金は長男に、株式は長女に」という遺言があった場合、相続人3人全員の同意があれば、「自宅の土地建物は長男に、預金は長女に、株式は妻に」というように、遺言の内容を変更して遺産分割することができることになります。

また例えば、「遺産の2分の1は長男に、残りの2分の1は3人の姉妹で分けるように」という遺言があった場合でも、相続人全員の同意があれば、遺産分割の協議の中で「全員が4分の1ずつ等分に取得する」というように、遺言の内容を変更して遺産分割することができます。

 

◆3.遺言執行者がいる場合
ただし、遺言執行者がいる場合には問題があります。遺言執行者は遺言内容に従って執行することが本来の職務ですから、相続人全員の同意により遺言の内容と異なる財産処分を求められても、遺言に基づいた執行をすることができます。その反面、遺言執行者がいる場合には、相続人は相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができないことになっており、相続人がこれに反してなした行為は無効とされています。

そこで、遺言執行者がいる場合に相続人全員が遺言と異なる遺産分割を望んだとき、遺言執行者はそのような分割に同意することができるかという問題があります。

遺言執行者としては、例えば、遺留分を侵害する遺言において遺留分侵害額請求権が行使された場合などのように、相続人間の争いを調整するために、事実上遺言を一部訂正したうえで執行せざるを得ない場合があります。したがって、相続人全員の同意があれば、遺言執行者はそのような分割に同意をすることができると考えることができます。

この点について、遺言執行者の同意のもとに、利害関係人全員の同意のうえでなされた相続財産の処分行為を有効とした裁判例があります。

いずれにしても、実務上では、遺言執行者がいる場合において、遺言内容と異なる遺産分割協議を行うときには、遺言執行者を加えたうえで成立させる必要があるといえます。

そもそも遺言執行者がその職に就職する以前に、遺言執行者就職を辞退してもらうように交渉することも一つの方法と言えます。

【相続・遺言について】共同相続における権利の承継の対抗要件

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、共同相続における権利の承継の対抗要件について考えてみたいと思います。

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【Q】①父は、その所有する土地甲を私に相続させる旨の遺言をして亡くなりました。私は手続きがよくわからず、忙しかったこともあり、父の遺言に基づいて土地甲の登記を私に変更することなく放置していました。そうしたところ、父の相続人である弟が土地甲の登記を自分の名義として第三者に売却してしまいました。このような場合、私はその第三者に土地甲の権利を主張できるのでしょうか?

②父は、私の相続分を3分の2、弟の相続分を3分の1とする旨遺言をして亡くなりました。私は、手続きがよくわからず、忙しかったこともあり、父の遺言に基づいて土地甲の登記を変更することなく放置してしまいました。そうしたところ、弟が土地甲の登記を自分の名義として第三者に売却してしまいました。
このような場合、私はその第三者に土地甲につき3分の2の権利があることを主張できるのでしょうか?

③父は全ての財産を私に相続させる旨の遺言書を遺して亡くなりました。相続人は私と弟の2人です。父の遺産には1000万円の預貯金があります。預貯金の払い戻しを受けるにはどのような手続きが必要でしょうか?

 

【A】◆1.Q①について
お父さんの遺言によれば、弟さんは土地甲の権利を持っていませんから、当然土地甲を誰かに売却することはできないはずです。ですが、今回、弟さんは土地甲の登記を自分の名義にして第三者に売却してしまいました。土地のような不動産は、登記をしていないと第三者に対して権利を主張できなくなってしまうのではないかという問題です。

特定の遺産を特定の相続人に「相続させる」趣旨の遺言は、遺贈であることが明らかな場合などを除き、原則として遺産分割の方法を指定したものと考えられます。そのため今回の遺言の内容は、土地甲をお兄さんに相続させるという遺産分割方法の指定がされているといえます。

ところで、相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記などの対抗要件を備えなければ第三者に対抗できません。そしてこれは土地のような特定の財産を承継させる遺言の場合にも当てはまります。

お父さんの相続人が兄弟2人のみの場合、その法定相続分は各2分の1となります。そうすると、土地甲については、お兄さんの名義の登記をしていない以上、土地甲を購入した第三者に対して主張することはできません。
本問では、あなたの法定相続分である2分の1に限り、土地甲の権利を主張することができることになります。

 

◆2.Q②について
この問いでは、遺言でお兄さんの相続分を3分の2、弟を3分1とするという相続分の指定がされています。この場合も、上記Q①の場合と同様に、相続による権利の承継は、法定相続分を超える部分については、登記などの対抗要件を備えなければ第三者に対抗できませんから、土地甲についてお兄さん名義の登記をしていない以上、第三者にあなたの法定相続分である2分の1を超える3分の2の権利があることを主張することはできません。

 

◆3.Q③について
相続人が兄弟2人である場合、法定相続分はそれぞれ2分の1となります。すべての財産をお兄さんに相続させる旨の遺言の内容は、Q①やQ②と同様、法定相続分を超える権利の承継となり、第三者に対して権利を主張するためには、対抗要件を備える必要があります。ここでいう「第三者」には、債務者も含まれます。
預貯金の払い戻しを受ける権利は債権です。預貯金の払い戻しを行う債務を負う債務者である銀行に対して、お兄さんは債権の対抗要件を備える必要があります。債権の対抗要件は、債務者への通知又は債務者の承諾であり、債務者以外の第三者に対抗するためには、確定日付のある証書によって行う必要があります。

本問で、あなたが銀行から1000万円の預貯金の払い戻しを受けるためには、共同相続人である兄弟が銀行に通知するか、銀行が承諾することが必要になります。それにより、あなたは預貯金の払い戻しを請求できるようになります。

ところで、共同相続人間で感情的対立などがあり、他の共同相続人の協力が得られず、通知ができない場合が考えられます。このような場合は、法定相続分を超えて債権を承継した共同相続人が当該債権に係る遺言の内容を明らかにして債務者に承継の通知をすることで、共同相続人の全員が債務者に通知をしたものとみなされます。

本問では、法定相続分を超えて債権を承継したあなたが、債務者である銀行に遺言の内容を明らかにして通知をすることで、銀行に対して預貯金の払い戻しを請求できることになります。
ここでいう遺言の内容を明らかにする方法としては、遺言書を交付することが考えられますが、それに限らず、客観的に遺言の有無やその内容を判断できるような方法で良いとされています。例えば、相続人が遺言の原本を提示し、債務者の求めに応じて債権の承継の記載部分の写しを交付するという方法も考えられます。

【相続・遺言について】事業承継に関する制度

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、事業承継に関する制度について考えてみたいと思います。

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【Q】中小企業ですが、株式会社の社長をしております。今後長男を後継者にと考えており、仕事を引き継がせたいと指導中です。私には長男の他に嫁いだ娘が2人います。
①私の死後、会社をうまく長男に引き継がせるためには、民法上どのような制度が利用できますか?
②遺留分に関する特例とはどういったものですか?
③もし、長男を後継者にできなければ、娘たちには会社は引き継がせられません。同業他社に引き継いでもらえるならそれもよいかと思っています。会社法上どのような制度が利用できますか?

 

【A】◆1.事業承継に関する民法上の諸制度
あなたの死後、長男が会社を引き継ぐための民法上の制度としては、生前贈与や遺言と言った制度が利用できます。

円滑な事業承継を行い、承継後の経営を安定させるためには、後継者(長男)に自社株式や事業用資産を集中させることが重要です。あなたが生前に何の対策もしないまま死亡した場合、あなたの所有している自社株式や事業用資産は他の相続人に分散してしまいます。

このような事態を防ぐためには、生前にあなたが所有している自社株式や事業用資産を徐々に長男に贈与したり(生前贈与)、自社株式や事業用資産を長男に相続させる旨の遺言書を作成することが必要です。

しかし、あなたの相続財産の大半が自社株式や事業用資産である場合、長男への生前贈与や遺言は他の相続人の遺留分を侵害する可能性があります。その場合、他の相続人から長男に対する遺留分侵害差額請求がされた結果、遺産相続が紛争化してしまうおそれがあります。

特に自社株式の生前贈与を行った場合、死亡する10年以内になされた生前贈与は特別受益として遺留分算定の基礎財産に加えられることになります。さらに遺留分算定の基礎財産に加えられる金額は、贈与された時点での自社株式の時価ではなく、相続開始時点での時価額となるため、贈与を受けてから相続開始時までの間に評価額が上昇していれば、上昇後の評価額が贈与額として基礎財産に算入されてしまいます。

このような遺留分についての問題が生じることを防ぐため、あなたが生きているうちに、長男以外の相続人に遺留分を放棄してもらう制度があります。
この場合には、長男以外の相続人全員が、家庭裁判所に申し立てを行い、許可を受ける必要があります。
家庭裁判所は、事前放棄を申し立てた相続人が十分な見返りとなるものを受け取っているかなどを確認します。場合によると許可をしないこともあります。
また、申し立てをする相続人にしてみれば、何らのメリットもなく、家庭裁判所での手続きをするという負担を被ることになります。

 

◆2.遺留分に関する民法の特例
このように事業承継における遺留分の問題については、民法上の制度だけでは対応することが困難でした。そのため平成20年5月に中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律(経営承継円滑化法)が成立し、遺留分に関する民法の特例が出来ました。

この特例では、現経営者の遺留分を有する推定相続人全員において、現経営者から後継者に生前贈与や遺贈等された自社株式等について、遺留分算定基礎財産に算入しない旨の合意をすることができます(除外特例)。
また、現経営者から後継者に生前贈与等された自社株式等について、遺留分算定の基礎財産に算入する際の価額を当該合意時の価額に固定する旨の合意をすることもできます(固定合意)。
なお、除外特例と固定特例は併用することもできます。例えば、後継者が現経営者から贈与等により取得した1000株のうち、500株を除外特例の対象とし、残りの500株を固定合意の対象とすることもできます。

これらの特例を利用するためには、
①会社が中小企業であり、3年以上継続して事業を行っている非上場会社であること
②現経営者が過去又は合意時点において会社の代表であること
③後継者が合意時点で会社の代表者であること
④現経営者からの贈与等によって株式を取得したことにより会社の議決権の過半数を保有していること
⑤現経営者の遺留分を有する推定相続人全員の合意があること
といった要件を満たす必要があります。

そして、上記要件を満たしている場合に遺留分を有する相続人間全員で合意書を作成し、経済産業大臣の確認、家庭裁判所の許可を受けることで初めて当該合意は効力を生じます。

合意書には、
①合意が会社の経営の承継の円滑化を図ることを目的とすること。
②後継者が現経営者からの贈与等により取得した自社株式についての除外合意または固定合意(もしくはその両方)。
③後継者が合意した対象の株式を処分した場合や現経営者の生存中に後継者が会社代表でなくなった場合に非後継者が取ることができる措置の定め(例えば、非後継者は他の非後継者と共同して当該合意を解除できる等)
が必ず記載されていなければなりません(必要的記載事項)。

また、後継者が現経営者からの贈与等により取得した事業用資産などの自社株式以外の財産や非後継者が現経営者からの贈与等により取得した財産を遺留分算定の基礎財産から除外する旨の合意や推定相続人間の公平を図るための措置(後継者は非後継者に一定の金銭を支払う等)について記載することもできます(任意的記載事項)。

そして合意書の作成から1ヶ月以内に、経済産業大臣の確認を申請しなければならず、経済産業大臣の確認を受けてから1ヶ月以内に家庭裁判所の許可の申立てをしなければなりません。

 

◆3.会社法上の諸制度の利用
同業他社にあなたの会社の事業を引き継いでもらう方法としては、M&A(企業の合併や買収)により会社そのものを売却するなどして経営を引き継いでもらうことが可能です。M&Aでは、合併、株式交換、株式移転、会社分割、株式譲渡、事業譲渡といった会社法上の制度が利用されています。

①合併
合併とは、会社の全資産・負債・従業員等を丸ごと他の会社に承継する手法です。実務上は2つの会社の一方が解散し、その資産や負債・人材・技術などの経営資源をもう一方の存続会社が吸収して引き継ぐ形の合併(吸収合併)がなされることがほとんどです。

②株式交換
株式交換とは、株主総会の特別決議によってあなたの会社の全株式と他社株式等を交換することです。この場合、あなたの会社は交換先会社の100%子会社(完全子会社)になり、あなたが保有していた自社株式が交換先会社の株式や現金に変わります。

③株式移転
株式移転とは、事業承継する会社が完全親会社となる持ち株会社を設立し、事業承継する会社もあなたの会社も新設された持ち株会社の完全子会社となる方法です。

④会社分割
会社分割とは、あなたの会社の事業部門のうちの一部門を切り出して、他の会社に承継する方法です。事業譲渡との違いは、買い手企業側は事業承継の対価として現金ではなく株式を利用できるということにあります。

⑤株式譲渡
株式譲渡とは、あなたが所有している自社株式を事業譲渡する会社等に売却することです。

⑥事業譲渡
事業譲渡とは、あなたの会社の事業の一部を他の会社に売却することです。事業譲渡の場合、会社分割に比べてより個別の事業単位での売却が可能です。

【相続・遺言について】遺言書の書き直し

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言書の書き直しについて考えてみたいと思います。

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【Q】私は、今、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成するつもりです。しかし、遺言書作成後に事情が変わって、次男に自宅を相続させたいという場合、一度作成した遺言書を書き直すことはできるのでしょうか?
また、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成した後に、自宅を売却することが必要になった場合、自宅を売却することはできるのでしょうか?

【A】◆1.遺言書の書き直しについて
遺言とは、遺言者の最終意思を法律上も尊重しようという制度ですので、生前にその意思が変わった場合には、何らの理由無く、いつでも書き直すことができますし、前にした遺言を撤回することもできます。
そしてその撤回権を放棄することはできません。つまり遺言書に「この遺言は今後絶対に取り消さない」と書いてもそのような記載に効力はなく、自由に撤回できます。
遺言の撤回をするときは、その旨の遺言書を作成するのが一般的です(撤回遺言による撤回)。その際、撤回の対象となった遺言書と同一の方式による必要はありません。つまり、公正証書遺言を撤回するのに、自筆証書遺言でも撤回できるということです。遺言書の内容は「遺言者〇〇は令和〇年〇月〇日付で作成した自筆証書遺言を全部撤回する」といった条項を盛り込むのです。
ここで注意しておくこととして、撤回遺言も遺言ですので、民法に定めのある遺言の方式を守らなければいけないということです。撤回遺言が方式を満たしていないときには、撤回遺言が無効となります。

◆2.遺言書を作成した後の抵触行為について
遺言の撤回は、撤回遺言を作成しなければならないわけではありません。遺言書を作成した後に、その内容に抵触する行為があった場合には、その抵触する部分については、遺言書の内容を撤回したとみなされます。これは抵触行為をした遺言者の意思を考えれば、前の遺言の効力の存続を望まないことが明らかであると言えるからです。
①.抵触遺言
前にした遺言と抵触する内容の遺言がなされた場合、その抵触する部分については撤回があったものとみなされます。撤回遺言と似ていますが、抵触遺言の場合、遺言の条項中に「撤回する」という文言がなくても、また遺言者が前にした遺言内容を忘れていた場合でも、撤回の効力が生じます。
例えば、前の遺言で「甲不動産をAに遺贈する」としておきながら、後日「甲不動産をBへ遺贈する」との遺言を作成した場合は、Aへの遺贈は撤回されたものとみなされます。この場合、後の遺言書に「Aへの遺贈を撤回する」と書く必要はありません。
②.抵触する生前処分
遺言者が遺言をしたのちに、その遺言内容に抵触するような行為をした場合、その抵触する部分について遺言書の記載は撤回されたものとみなされます。例えば「遺贈する」と遺言書に書いておいた物を、第三者へ売却した場合などです。
また、抵触する行為には身分行為も含まれるとされています。裁判例では、遺言者が、妻に財産を相続させる旨の遺言をした後に、協議離婚した場合や、終生扶養を受ける前提で養子縁組をし、財産を養子に遺贈する旨の遺言をした後に、協議離縁をし、かつ実際に扶養を受けていない場合に遺言の撤回を認めたものがあります。
③.遺言書または遺贈の目的物の破棄
遺言者が故意(わざと)に遺言書や遺贈の目的物を破棄した場合に、その破棄した部分について遺言が撤回されたものとみなされます。
遺言書の破棄とは通常は、遺言書を捨てたり、切断したり、文字を塗りつぶしたりして、内容が判別できないようにしますが、最高裁判例では、遺言者が自筆証書遺言の文面全体の左上から右下に斜めに赤色ボールペンで斜線を引いた場合に、文字が読めるとしても、行為一般の意味に照らすと、遺言書全体を不要とし、かつ、遺言全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるとして、「故意に遺言書を破棄したとき」に該当すると判示したものがあります。
遺贈の目的物の破棄とは、例えば、遺贈するとしていた建物を取り壊すなどを言います。

◆3.本件について
相談者は一度作成した遺言書を自由に書き直す(撤回する)ことができます。よって、長男に自宅を相続させるという内容の遺言を撤回する旨の遺言(撤回遺言)、または、次男に自宅を相続させるという内容の遺言(抵触遺言)をすれば、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。
また、相談者が生前に自宅を処分することは自由ですので、次男に自宅を贈与すれば「抵触する生前処分」に該当するため、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。

【相続・遺言について】相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続人以外の者の貢献を考慮するための方策について考えてみたいと思います。

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【Q】夫の父が亡くなりました。私は、夫の父の生前、長期間夫の父を介護してきました。私は夫の父の相続人ではありませんが、夫の父の相続に関して何らかの権利を主張することはできないのでしょうか?

 

【A】特別寄与料の支払い請求が認められる場合があります。
今回の民法改正により、被相続人の親族が、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合、相続人に対し、寄与に応じた額の金銭(特別寄与料と言います)の支払いを請求することができるようになりました。

◆1.請求できる人
特別寄与料を請求できる人は、「被相続人の親族」です。被相続人の子の配偶者や被相続人の兄弟姉妹及びその配偶者などが含まれます。ただし、相続人、相続の放棄をした者、相続人の欠格事由に該当する者及び廃除により相続権を失った者は含まれません。

 

◆2.特別の寄与とは
特別の寄与と言えるためには、「被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をすることが必要です。
①無償
ある程度のお礼を被相続人から受け取っていた場合、特別寄与料の請求ができなくなるかは難しいところです。お礼の額やその内容などによっては、実質的に「無償」であるとして、特別寄与料の請求が認められる可能性はあるように思われます。
②療養看護その他の労務の提供
療養看護とは、病気療養中で介護が必要な状態にある被相続人を介護することを言うと考えられています。労務の提供が様々な形が考えられますが、その典型例は、被相続人が営んでいる事業に協力した場合を挙げることができます。
③財産の維持又は増加
財産の維持の例としては、農家の長男が家業である農業を無償で行い、被相続人の財産である農地を手放さなくて済んだ場合があげられます。
単に、被相続人の相談に親身に乗るなど、相続人の精神的ケアに尽くした場合等は、財産の維持又は増加がありませんので、特別の寄与をしたとは認められないでしょう。
④「特別」の寄与
寄与の程度としては、「特別の」寄与とされていることから、何らかの寄与があったというだけでは足りず、一定程度以上の寄与が必要となると思われます。ただし、どのような場合に「一定程度の寄与」があったと認められるかは、現在において明確な基準はありません。

◆3.今回のケースについて
今回のケースでは、あなたは被相続人の子の配偶者ですから「親族」に含まれます。
あなたは長期間被相続人を介護してきていますから、その介護が無償であり、その介護により被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をしたと言えるのであれば、特別寄与料の請求が認められることになります。

◆4.どのようにして請求するか
まずは、相続人との話し合い(協議)により、特別寄与料のの額や支払い方法などを決めることになります。ただし、特別寄与料の額は、被相続人が死亡時に持っていた財産から遺贈の価額を差し引いた残額を超えることができません。
話し合いがまとまらないときや、話し合いができないときは、家庭裁判所に対し協議に代わる処分を請求することになります。
この場合、家庭裁判所は、寄与の時期、方法及び程度、相続財産額その他一切の事情を考慮して、特別寄与料の額を定めることとされています。

◆5.いつまでに請求するか
被相続人が死亡したことと相続人とを知った時から6か月を経過するまでか、被相続人の死亡の時から1年を経過するまでに、家庭裁判所に協議に代わる処分を請求しなければなりません。
相続人と話し合いをしているうちに期限が過ぎていたということにならないように気を付ける必要があります。

【相続・遺言について】寄与分の決定

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分の決定について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】寄与分はどのようにして決めるのですか?手続きを教えてください?

【A】寄与分の決定は、まず共同相続人間で話し合ってみて、まとまらないときには、家庭裁判所の手続きである調停や審判によることになります。

◆1.協議(相続人間での話し合い)

寄与分に関する話し合いは、遺産分割協議と同じく共同相続人全員で行わなければなりません。寄与分は相続開始後、遺産分割協議が成立する前までに決定されておくべきものですので、遺産分割協議の中であわせて話し合いで決めるのが普通です。

 

◆2.調停

共同相続人間の話し合いでまとまらないときは、家庭裁判所に調停を申し立てて、調停の場で寄与分について話し合いで決めることになります。

調停手続きは、裁判所を利用して話し合うための手続きです。調停委員の方々が各相続人の言い分を調整してくれる分、当事者だけでの協議よりまとまる可能性は高いと言えますが、共同相続人全員が合意に至らなければ、調停成立となりません。

寄与分についての調停を申し立てる場合には、遺産分割の調停も併せて申し立てるのが普通ですが、実際には、寄与分の調停をあえて申立てるのではなく、遺産分割調停の中で、寄与分について主張することが多いです。

寄与分の調停は、寄与分を申し立てる相続人が申立人となり、他の共同相続人全員が相手方になります。

管轄(どこの裁判所で扱うか)は、原則として相手方の住所地の家庭裁判所もしくは当事者が合意で定める裁判所になります。遺産分割調停が既に行われている場合、その遺産分割調停が行われている裁判所が管轄裁判所になります。

 

◆3.審判

共同相続人間での協議や調停で合意できないときは、家庭裁判所に寄与分を定める旨の審判の申立てをすることになります。

審判手続きは、裁判官が当事者から提出された証拠等に基づいて判断する手続きです。

寄与分を定める審判の申立ては、遺産分割の審判事件の申立てがなされていることが要件とされていますので、遺産分割審判が申し立てられていない場合、寄与分の審判の申立てと一緒に遺産分割の審判を申し立てる必要があります。

なお、調停を申し立てることなく、ただちに寄与分の審判の申立てを行うことも可能ですが、ただちに審判が開始されることは少なく、裁判所により職権で調停に付されるのが普通です。

管轄は遺産分割審判が申し立てられている場合には、遺産分割の審判事件が扱われている裁判所になります。遺産分割審判と同時に申し立てる場合には、相続が開始した地(被相続人が亡くなった場所)を管轄する裁判所になります。

 

◆4.定め方

寄与分が認めれれるには、寄与行為をした時期、その方法、態様、通常の扶養義務の範囲を超える程度の特別の寄与であったこと、その結果どのようにして財産が維持され増加したのかの関連性が明確に示されなければなりません。

したがって、調停手続・審判手続きの中で、寄与分を主張する人は、上記事情を裏付けるための立証活動をしなければなりません。例えば、扶養型や財産給付型では、扶養金額や財産給付を裏付ける領収書や預貯金通帳等の動きから立証すべきこととなります。

新年のご挨拶

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

昨年中は大変お世話になりました。本年も一層のご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

本年の営業は本日1月6日より開始いたしております。

年末年始家族が集まり、様々な話に花が咲いたことでしょう。相続や遺言、終活についてのお話しもあったかと存じます。

当事務所では、世田谷区内を中心とした都内の皆様からの、相続、遺言、終活についてのご相談を承っております。

初回相談60分無料とさせていただいておりますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

お問い合わせは事務所03-3416-7250または携帯電話090-2793-1947まで。

自動車販売店様も新春の仕事始めを迎えられていることと存じます。
東京都内の車庫証明のご用命は弊所へお申し付け下さい。

お問い合わせは携帯電話090-2793-1947まで、お待ちしております。

【相続・遺言について】寄与分を主張できる者の範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、寄与分を主張できる者の範囲について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】寄与分は誰でも主張できるのでしょうか?

①内縁関係の夫や妻は、妻や夫が亡くなった場合、寄与分を主張できますか?

②相続放棄した人は、寄与分を主張できますか?

③祖父母の相続の時に、代襲相続人(孫)は被代襲者(親)が祖父母の財産の維持に貢献したとして、寄与分を主張できますか?

 

【A】寄与分は誰でも主張できるわけではありません。民法上主張できる人が制限されています。

◆1.内縁関係の夫又は妻

従来、寄与分の主張は、相続人に限定されていました。そのため、相続人でない内縁関係の夫や妻は、寄与分を主張できませんでした。

この点について、相続人以外の者は、寄与分の主張が認められない点で、公平を欠くとの指摘がありました。

そこで、被相続人に対して、特別の寄与をした被相続人の親族(特別寄与者)が、一定の要件を満たした場合、相続人に対し、寄与に応じた金銭(特別寄与料と言います)の支払の請求ができるようになりました。この規定は、令和元年7月1日以降に相続が発生した場合に、施行されます。

親族とは6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族が範囲となります。

血族とは血のつながっている人です。養子も、血族に含まれます。姻族とは配偶者の血族のことです。

内縁関係の夫や妻は、それだけでは、親族とはなりません。内縁関係の夫や妻が、被相続人の6親等内の血族か、3親等内の姻族でなければ、寄与分も特別寄与料も主張できません。

 

◆2.相続放棄をした人

相続放棄をした人は、初めから相続人とならなかったものとみなされます。よって、寄与分の主張はできません。

特別寄与料においても、相続放棄した人は、特別寄与者から除外する規定があります。ですので、相続放棄をした人は、寄与分も特別寄与料も主張できません。

 

◆3.代襲相続人

祖父母の相続の時に、代襲相続者(孫)は被代襲者(親)が祖父母の財産の維持に貢献したとして、寄与分を主張できます。

このことは、民法に直接の規定はありません。

この場合に被代襲者(孫)に寄与分を認めないと、親が存命であった場合と比べ、不公平が生じます。代襲相続者は被代襲者の寄与分を主張できるという立場をそのまま受け継ぐと考えることができます。

このような、寄与分の主張を認めた判例も存在します。