【相続・遺言について】未成年者・認知症の方などへの遺産分割

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、未成年者・認知症の方などへの遺産分割について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①夫が突然の事故で亡くなってしまいました。相続人は、妻である私と、10歳の娘の2人だけです。夫には、自宅マンションや預金などの財産がありましたが、これらの遺産を私と娘の間で分割するためには、どのような手続きが必要ですか。娘の親権者である私が娘を代理して遺産分割協議を行うことはできますか?

②父が88歳で亡くなりました。相続人は80歳の母と、私を含めた子供3人です。母は認知症のため、息子である私の顔も分からないような状況です。父の遺産について法定相続人の間で分割協議をする場合、母を除いて遺産分割協議をすることはできますか?

 

【A】◆1.相続人に未成年者がいる場合
あなたが娘さんを代理して遺産分割協議を行うことはできません。
家庭裁判所に娘さんの特別代理人を選任してもらい、その特別代理人との間で遺産分割協議を行います。

親権者は、子の財産に関する法律行為について代理できるのが原則であり、遺産分割も法律行為の一種です。
しかし、外形的・客観的に利害が対立する「利益相反行為」は、親権者が、その子である未成年者の法律行為を代理して行うことはできません。子である未成年者との間の遺産分割は、利益相反行為にあたります。仮に行うと、その効力は原則として無効とされます。

本件での相続人はあなたと10歳の娘さんの2人だけですから、あなたが娘さんを代理して遺産分割協議を行うことはできません。
有効な遺産分割を行うためには、家庭裁判所に娘さんのための特別代理人を選任してもらう手続きが必要です。そして、あなたと特別代理人との間で遺産分割協議を行うことになります。

 

◆2.相続人に認知症等意思無能力者がいる場合
お義母さんを除いた3人の子供だけで遺産分割協議を行うことはできません。
家庭裁判所にお母さんの成年後見人等を選任してもらい、その成年後見人等がお母さんの代理人となってあなた方と遺産分割協議をします。

遺産分割協議では、相続人全員の意思が反映されることが重要であることから、共同相続人全員の参加と同意が必要とされ、一部の相続人を除外して行った遺産分割は無効となります。
したがって、お母さんを除いた3人の子供だけで遺産分割協議を行うことはできません。

他方で、お母さんは認知症で息子であるあなたの顔もわからない程ですから、遺産分割協議を自身で行うのに必要とされる意思能力について問題があると思われます。
このままお母さんを交えて、お母さんと3人の子供の合計4人で遺産分割協議をしても、その遺産分割は共同相続人のひとりであるお母さんの意思に基づくものとは認められず、やはり無効です。

共同相続人の中に意思能力に問題がある相続人がある場合、有効な遺産分割協議を行うには、別途の手続きが必要となります。
その相続人の意思能力の問題の程度によって、成年後見人や保佐人、補助人を家庭裁判所に選任してもらい、その成年後見人等がその相続人に代わって手続きに参加して遺産分割協議ができる体制を整えます。
その上で成年後見人等と他の相続人との間で遺産分割協議を行うことで、有効な遺産分割が可能となります。

本件でお父さんの遺産について有効な遺産分割をするには、まず意思能力に問題があるお母さんのために、遺産分割についての権限を有する成年後見人等を家庭裁判所に選任してもらいます。
その上で、成年後見人等と他の法定相続人である3人の子供で遺産分割協議を行うことになります。

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