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【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q59 墓地使用の約款についての記事です。
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【Q59】墓地使用規則をみると、霊園の都合によって、必要があれば墓所を移動させることがある旨の規定がありました。いったん納骨した遺骨を霊園の都合で改葬して移動させることは許されるのですか。
【POINT】
① 墓地使用規則の法的拘束力ー約款
② 墓所移動既定の法的拘束力
③ 改葬手続き
1⃣ 墓地使用規則の法的拘束力ー約款
① 墓地提供者である霊園と墓地使用者との間における法律関係は、慣習や「黙示の合意」によって規律されている場合もありますが、近年では、墓地使用規則によって規律されていることが多いです。
② 墓地使用規則の名称・内容は霊園によってさまざまであるものの、墓地使用規則では、主として墓地の使用目的、使用者の宗派に関する事項、墓地の使用権、管理料、契約の解除等に関する事項が定められます。
③ 墓地使用規則は、多数取引のためにあらかじめ事業者側で定型化した契約条件である「約款」の性質を有するため、「約款」である墓地使用規則の内容は霊園と墓地使用者との間の墓地使用契約の内容を構成します。厚生労働省も墓地使用に関する標準契約約款を提示しています。
④ 約款に関しては令和2年4月1日に施行された改正民法により「定型約款」という概念が創設されました。改正前の規則も定型約款に該当する可能性があります。
⑤ 墓地使用規則が定型約款に該当する場合は、霊園は一定の条件の下でみなし合意を主張でき、内容の表示義務が発生し、相手方の同意なく一方的に定型約款の内容を変更しうる効果が発生します。
⑥ 墓地使用規則が、定型約款に該当しない場合でも、霊園は民法改正前のとおり、一般的な約款法理に基づく墓地使用規則の歩王的拘束力を主張できます。
⑦ 墓地使用規則が定型約款・約款ではないとされた場合には、当事者間の明治または黙示の合意の限度で墓地使用規則の拘束力があることになります。
⑧ 以上を踏まえると、一般論として、墓地使用規則は法的拘束力を有し、霊園と墓地使用者との間における墓地使用契約の内容を構成していることが多い、といえるでしょう。
2⃣ 墓所移動規定の法的拘束力
⑴ 墓所移動規定の解釈
① たとえば、墓地使用規則に、契約終了後の原状回復義務を元使用者側が履行しない場合に、「契約終了後○年経過後に墓石等の移動、改葬手続きを経ての焼骨の移動ができる」旨の定めや、墓地の公用収容や墓域整備その他の必要のため代替地を用意の上改葬を求めたときの使用者が拒否することができない旨の定めの例はあります。
➁ もっとも質問のように「霊園の都合によって、必要があれば墓所を移動させることがある旨の規定」という抽象的な霊園都合での一方的な移動を墓地使用規則に定める例はあまり多くはないと思います。
③ このような広範な霊園都合での墓所移動規定であっても、当事者間における合意等により法的拘束力を説明できる場合はありますが、霊園の都合という意味内容がいかなる事態を指すのかについては必ずしも明らかではありません。
④ 公営型墓地に関してですが、地方公共団体の長が使用区画の変更を求める要件として、「管理、事業執行上の必要性」を定めている場合でも、「当該区画の使用継続が、墓地全体の管理上重大な支障が生じるなど墓地の固定制を犠牲にするのもやむを得ない事情がある場合で、かつ、使用者側にとっても従前の使用区画における使用環境と比較し、新たな使用区画が実質上不利益にならない場合」に例外的に使用者の承諾を不要とする見解も存在します(茨城県弁護士会編「墓地の法律と実務」)。
⑤ この見解を参考にすると、仮に霊園の都合を要件とする墓所移動規定が存在する場合でも、霊園の都合が制限的に解釈され、墓地管理上の支障や墓地使用者側の実質的不利益の不存在・軽微性などが要求される可能性があります。
⑥ よってご質問の事例では、墓地使用者側の必要性(墓域整備などの事由)があり、使用者に対して相応の代替地等を用意して改葬を求められたときは「霊園の都合」による墓所の移動が可能であり、墓地使用者もこれに応じる民事上の義務があると解釈される可能性があります。
⑵ 損害賠償責任、解除
① 墓地使用者の承諾なく墓所移動規定を根拠に霊園が勝手に墓所を移動させた場合、霊園は、墓地使用契約の債務不履行または不法行為に基づく損害賠償責任を負う可能性があります。
➁ 東京地裁平成5年11月30日判決は、墓地使用者の承諾を得ずに墓石を移動した行為について信頼関係の破壊を理由とする解除およびこれに伴う原状回復義務として永代使用料・管理料返還義務を認めるとともに、不法行為に基づく損害賠償責任を認めています。
3⃣ 改葬手続き
① 仮に霊園の都合による墓所移動が可能であり、墓地使用者側もこれに応じる民事上の義務があると解釈された場合であっても、霊園側で自由に墓所を移動できるわけではなく、墓地埋葬法上の手続きを踏む必要はあります。
➁ 墓地埋葬法上、改葬には市町村長の許可を要し、墓地使用者等以外の者が改葬許可申請を行う場合、「墓地使用者等の改葬についての承諾書又はこれに対抗することができる裁判の謄本」を添付する必要があります。
③ 霊園側としては改葬を行う理由を説明したうえで墓地使用者から改葬承諾書を取得することになります。もし改葬承諾書を任意に提出しない場合には、霊園は墓地使用者に対して、「被告は原告に対し、目録記載の焼骨を目録記載の土地に改葬することを承諾せよ」との判決を求める民事訴訟を提起して判決を取得し、この「裁判の謄本」を添付して改葬許可申請を行う必要があります。
④ そのため、仮に墓所移動規定があっても霊園側が一方的に霊園都合で墓所を移動することはできず、墓地使用者から改葬承諾書を取得するか、民事訴訟を提起して「裁判の謄本」を取得したうえで、改葬許可申請の手続きを経たうえで改葬をすることになります。