【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q69 寺院境内墓地における異教徒の埋蔵依頼

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【Q69】郷里の墓地に、父の遺骨を納めに行ったところ、宗教の違う者は埋蔵させないと住職から言われました。本当でしょうか。

【POINT】
① 埋蔵拒否の正当理由
② 寺院側の自派典礼施行権

1⃣ 寺院境内墓地の性格
① 寺院境内墓地は、霊園墓地等と区別され、その寺院に所属する檀徒(家)の墳墓であって、宗教法人法上境内地として取り扱われます(宗教法人法3条1項)。
② 檀徒(家)とは、その寺院の仏教教義を信仰し、自己の主宰する葬儀、法要を長期にわたり、当該寺院に依頼し、布施等により寺院の経費を分担する者をいいます。
③ 檀徒(家)の多くはその寺院の境内墓地の使用者となり、先祖代々その墓地に埋葬、埋蔵します。

2⃣ 墓地埋葬法13条による埋蔵等拒否の行政解釈
① 墓地埋葬法13条は、「墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当な理由がなくこれを拒んではならない」と規定しています。
② この埋葬等を拒否してよい正当な理由とはどのような場合をいうのでしょうか。ご質問の「埋蔵依頼者の宗教が違う」ことが正当な理由となりうるのでしょうか。
③ これは昭和30年ごろ某新興宗教団体への加入者が激増したころに問題となったものです。従来寺院の檀徒であった者たちが、新興宗教団体に入会すると同時に離檀し、その寺院の所属する宗派とは異なる宗派の信仰をするようになりました。
④ 離檀した檀徒は、改宗したにもかかわらず、旧所属の寺院の境内墓地に埋蔵を要求し、寺院側は、埋蔵を拒否したため、この寺院と改宗離壇者の墓地使用をめぐる紛争が全国的に発生し、大きな社会問題になりました。
⑤ そこで昭和34年12月24日付で厚生省(当時)公衆衛生局長から内閣法制局第一部長宛てに、墓地埋葬法13条の「正当な理由」の解釈について照会がなされ、これに対し翌年2月15日内閣法制局は、「宗教団体がその墓地経営者である場合に、その経営する墓地に、他の宗教団体の信者が、埋葬又は埋蔵を求めたときに、依頼者が他の宗教団体の信者であることのみを理由としてこの求めを拒むことは、「正当な理由」によるものとは到底認められないであろう」と述べた。
⑥ そのうえで、「ただここで注意しなければならないのは、…埋葬又は埋蔵の施行に際し行われることの多い宗教的典礼をも、ここにいう埋葬又は埋蔵の観念に含まれるものと解すべきではない。すなわち、法第13条はあくまでも、埋葬又は埋蔵行為自体について依頼者の求めを一般に拒んではならない旨を規定したにとどまり、埋蔵又は埋蔵の施行に関する典礼の方式についてまでも、依頼者の一方的な要求に応ずべき旨を定めたものと解すべきではない」。
⑦ 「墓地の管理者は、典礼方式に関する限り、依頼者の要求に応ずる義務はないといわなければならない。そして、両者が典礼方式に関する自己の主張を譲らない場合には、結局依頼者としては、いつたん行った埋葬又は埋蔵の求めを撤回することを余儀なくされよう」と回答し、行政解釈を示しました。
⑧ この行政解釈によれば、寺院側は、埋葬等依頼者の宗教の違うことのみをもって拒否することはできないが、寺院側の宗派典礼によることを要求することができ、依頼者側はそれに従わない限り埋葬等することはできない結果となるということでした。

3⃣ 津地方裁判所の裁判例
① 前記内閣委法制局の行政解釈がなされた3年後に津地方裁判所の裁判例が出されました。
② 津地裁昭和38年6月21日判決は、その要旨「寺院墓地の管理者は、(埋葬等依頼者)が改宗離壇したことを理由としては原則埋葬を拒否できない。ただし、自派の典礼を施行する権利を有し、その権利を差し止める権限を依頼者は有しない。
③ したがって、異教の典礼の施行を条件とする依頼、無典礼で埋蔵を行うことを条件とする依頼に対しては、寺院墓地管理者は自派の典礼施行の権利が害されることを理由にこれを拒むことができる。この理由による拒絶は墓地埋葬法第13条にいう拒絶できる正当な理由にあたる」と判示しました。
④ この判例は、前記行政解釈から一歩進んで、「無典礼で埋葬等を行う依頼も拒むことができる」として、寺院側の自派典礼施行権を認めたものです。

4⃣ 東京高等裁判所のその後の裁判例
① 上記津地裁判決が出された後、某新興宗教団体はこの種の訴訟をあまり起こさなくなりましたが、この教団と伝統教団(日蓮正宗)が敵対関係となるに及んで、この伝統教団所属の寺院に対して墓地の使用に関して訴訟が提起されるようになりました。
② そのような中、東京高裁平成8年10月30日判決は、寺院の墓地であっても古くからの墓地でなく、寺院自体も新興宗教団体によって寄進され、墓地も「無量寺霊園」と称して新たに造成開発した、日蓮正宗の信徒用の墓地で、墓地使用規則に、葬儀は寺の典礼で行う旨の条件が定められていない事案について、埋蔵依頼者が信徒である限りにおいては、寺院は無典礼で行う遺骨の埋蔵を拒否することはできない旨の判決をしました。
③ この裁判例は、新興宗教団体と日蓮正宗の軋轢から発生した紛争であり、埋蔵依頼者が改宗離壇したものではないこと、墓地使用規則には「当宗信徒に限り冥加料にて貸与し、霊園として使用する場合に限り使用を許可する」となっていて、寺の典礼を受けることが条件とはなっていないことなどから前記津地裁判決とは事案を異にします。

5⃣ 宇都宮地裁平成22年2月15日判決
① その後、無典礼の方式による遺骨の埋蔵を妨害してはならない、とする判決がでました。やはり、前述の某新興宗教団体の会員が、浄土真宗本願寺派の寺を訴えた事案です。まさに改宗離壇の事例でした。
② 宇都宮地裁平成24年2月15日判決。「原告Xの先代Aと墓地管理寺院Yとの間で、大正14年ごろ締結された境内墓地内の墓地区画の墓地使用権設定契約において、Yの定める典礼の方式に従い、墓地を使用するとの黙示の合意が成立したものと認められるが、その合意が本件墓地使用権を承継した者まで及ぶと解することはできず、その者がYの宗派と異なる宗派の典礼の方式を行うことをYが拒絶できるにすぎない」。

6⃣ 結論
① 上記各判例からすると、ご質問の場合は昔からの寺院内墓地の用ですから、寺の住職の行う儀式典礼に従って納骨を行えばよいことになります。
② その場合にはそれ相応のお布施を差し上げる必要があるでしょう。寺側の施行する典礼を拒否する場合は、結局納骨してもらえないことになるでしょう。
③ 寺院経営の墓地でも、前記東京高裁判決の事案のような形態(新たに造成した信徒用の新規墓地)の墓地である場合は、当該寺院の典礼によらなくても自由に納骨することができることになるでしょう。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q68 納骨業者の指定・費用の定めの有効性

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【Q68】父の遺骨を霊園に納骨(埋蔵)に行ったら、霊園が呼んだ職人がいて、手際よくカロートに遺骨を納めてくれました。霊園のサービスだと思っていたので心ばかりのお金を包んで渡したところ、これでは足りないと言われ、3万円を請求されました。支払わなければならないでしょうか。

【POINT】
① 霊園墓地使用規則(細則)における業者指定条項の有効性
② 同規則(細則)における費用取り決め条項の有効性

1⃣ 霊園墓地使用規則、施行細則と納骨作業
⑴ 業者指定と納骨料
① 多くの霊園においては、墓地使用規則、霊園使用規則が制定され、墓地使用者を規制していますが、これらの使用約款は、墓地経営管理者と墓地使用者との契約内容をなすものと解されます。
② そして、多くは、その墓地使用規則の施行細則として、墓地経営管理者において、埋葬、納骨の業務は経営管理者の指定する業者に依頼しなければならず、納骨料についても価格表において、一定の金額が定められているようです。

⑵ 業者の手配
① 墓地使用者は、大体において、この霊園管理者の定めに従い、納骨の際に霊園管理事務所にあらかじめ連絡をして、納骨日時の指定をし、納骨の作業を行う業者の手配をお願いしているのが通例です。

⑶ 納骨の作業
① この場合の納骨作業は、お墓の拝石または石室(カロート)の扉の目地をはずす、石室(カロート)内に骨を納め、お参りが終わったら、当該業者の職人は、再びコンクリートの目地をして、拝石または扉を閉じる作業をします。

2⃣ 業者指定条項の有効性
① それでは、このような納骨業者の指定は有効なものと言えるのでしょうか。すなわち、墓地使用者は、指定業者以外の者に納骨作業を依頼することはできないと定めた場合にその規定は法的に有効でしょうか。
② 墓地使用者としては、管理者指定の業者にしか依頼をすることができず、自ら業者を選択することができないとするのは、甚だ不合理だと思われ、このような強制的規定は経済取引の自由を侵すもので、公序良俗に反するものと考えられます。
③ 霊園管理者の行う業者指定は単なる業者の紹介に過ぎないものであり、管理者に職人の手配を依頼するかどうかは、墓地使用者の自由と解すべきでしょう。
④ 墓地使用者としては、自ら選択した職人を連れて行って納骨作業をしても、墓地使用契約に違反するとはいえないと考えます。

3⃣ 納骨料の定めは有効か
① それでは、次に納骨料を一律3万円と定めることは有効でしょうか。上記の通りに業者の指定を単なる業者の紹介にすぎないものとすれば、業者指定条項は有効と考えられます。
② 霊園管理事務所に業者職人の手配を依頼するかどうかは墓地使用者の自由ですから、墓地使用者が任意に管理事務所を通じて指定業者に依頼した場合には、霊園の定めた価格規程に従うべきでしょう。
③ 業者指定条項をこのように解する限りにおいて、価格決定も高額ですが、有効と解さざるを得ないと考えます。
④ 石工職人の手間代は高いと言われますが、それにしても、わずか1時間に満たない程度の作業で3万円の手数料は高額過ぎると思います。
⑤ ただし、霊園によっては、雨の降った日や夏の暑い盛りには、墓地の前に天幕を張ってくれる業者さんもいるようです。
⑥ 安い高いは、作業の程度と形態にもよりますが、使用者側の主観の問題のようです。

4⃣ 結論
① 墓地使用者が自ら職人を連れて行ったのでなく、あらかじめ霊園管理事務所に職人の手配を依頼した場合でしたら、霊園の定めた管理料規定に従うべきです。それが1件3万円と定められているのでしたら、その金額を支払う必要があります。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q67 同じ墓に入れる者の範囲

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【Q67】私には無二の親友がいますが、彼女は生涯未婚者です。彼女が亡くなったら、わが家の家墓に入れてあげたいと思っていますが、親族ではない友人を家墓に入れることは可能でしょうか。

【POINT】
① それぞれの親族との関係
② 管理者の応諾義務

1⃣ 「私」と「無二の親友」の親族
① まず、親族とのかかわりについて考えます。ご質問では、生涯未婚者とありますガ、兄弟姉妹や甥姪といった親族の状況が分かりません。
② 仮に、ご当人が生前に、「私は生涯未婚者だからお願いしたい」と依頼しており、これを受けていたとしても、兄弟姉妹や甥姪といった親族より、改めて当方で祭祀しますと申し入れられたら、個人の生前の意思とそうした親族の意思が対立することになります。
③ また、受け入れ側である私の家墓の使用者(祭祀主宰者)は誰なのでしょうか。私が祭祀主宰者でないのであれば、祭祀主宰者の許諾を得ておかなくてはなりません。
④ もし、私が使用者(祭祀主宰者)であったとしても、祭祀財産を自由に扱い得る立場ではなく、あくまでも祭祀を行う管理を付託される立場に留まるという見解もあります。
⑤ ですから、私はその家墓に無二の親友の遺骨を納めることについて、家墓に関係している親族から、同意を得ておかないと、後日争いの種になりかねません。

2⃣ 墳墓使用者と墓地管理者の管理権
① こうした親族間の課題を整理解決したとして、次は家墓が建立されている墓地の管理者から、その受入を認めてもらわねばなりません。
② 墓地埋葬法13条「管理者の応諾義務」では、管理者は正当な理由がなければこれを拒んではならないとされています。
③ これは管理者が正当な理由があれば拒めるとも読めます。つまり家墓には使用者の管理権もありますが、その家墓が建立されている墓地の管理者にも管理権があることを理解しておかなくてはなりません。
④ ここでいう正当な理由については、必ずしも具体的には明らかにされていませんが、各々の地方・地域における慣習や、宗教的感情になじまないものであるか、否かということで判断がされます。
⑤ 例えば「他の親族から異議があるかもしれない」というのであれば、あらかじめ親族の同意を得ておけばこれについては正当な理由には当てはまらなくなります。
⑥ あるいは無二の親友の信仰していた宗旨・宗派は異なるからというのであれば、埋葬する際の祭祀は墓地で行われている典礼に従いますとすれば、正当な理由にはなりえなくなるでしょう。

3⃣ 死後を請け負うことに伴う義務と責任
① 墓地管理者は、墓地埋葬法14条により、埋葬許可証(火葬許可証に火葬済印のあるもの)や分骨証明書がない遺骨は受け入れることができません。
② 私が無二の親友の遺骨を埋葬するには、その埋葬許可証がなければそもそもできませんが、埋葬許可を得るには、死亡届を提出し、火葬許可証を役所より得なければなりません。では、誰がその死亡届を行うのでしょう。
③ 無二の親友は死亡届出者には認められておりません。届出を認められている者から役所に届出を行ってもらい、その後に火葬や収骨、埋蔵となります。
④ これらのことは私と無二の親友との間に、死後事務委任契約を締結しておき、その義務と責任を明確にしておく必要あるといえるでしょう。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q66 納骨と墓地使用者の承諾

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【Q66】子供に先立たれたので、実家のお墓へ納骨をお願いしに行ったところ、実家の兄の承諾を得るように住職から言われました。兄とは喧嘩状態で頼むわけにはいきません。どうしたらよいのでしょうか。

【POINT】
① 墓地使用権者の権限
② 近年における埋葬の変化

1⃣ 墓地使用権者の権限
① 霊園墓地の権利関係で説明したように、ご質問の場合、一般的には墓地全体の所有権はお寺(宗教法人)にあります。そして、その住職は墓地の管理者であり、実家のお兄さんが墓地使用権者という関係にあると思われます。
② 住職から「実家の兄の承諾を得るように」と言われたことからも、お寺は実家のお兄さんを民法897条の祭祀承継者と認めています。
③ この場合には、書類上の手続きはともかくとして、お兄さんとの間で祭祀承継の手続きも済ませているはずです。例えばお寺へのお布施の支払やお寺からの案内もすべてお兄さんとの間で行われているはずです。
④ このような状況では、当該墓地に誰の遺骨を納骨させるかは、第一義的には墓地使用権者、つまり実家のお兄さんにあります。
⑤ いずれにせよ、墓地管理者である住職が言われたように、お子さんの遺骨を実家の墓地に納骨するためには、どうしてもお兄さんの同意をもらうしか方法はありません。お兄さんに直接お話しできないようであるならば、住職にお願いして、時間をかけて実家のお兄さんを説得してもらうのも一つの方法です。

2⃣ 遺骨の納骨義務
① ご質問から推測しますと、現在もお子さんの遺骨をそばに置いたままの状況にあると思われますが、墓地埋葬法にはいつまでに納骨しなければいけないという規定はありません。
② 地方によっては、四十九日や三回忌を節目として、遺骨を墓地に納骨するという慣習が残っているところもあります。しかし、近年ではこの慣習も崩れつつあり、納骨の時期にはあまりこだわらない地方もあります。
③ さらには、まだまだ少数ではありますが、故人の遺骨をいつまでも手元に置いておくという、いわゆる「手元供養」という方法も行われています。
④ お子さんの遺骨ということで、多くの思い出もあることですし、どうしても手元に置いておくのは忍びないという場合には、実家のお寺の住職に相談して、お寺で(この場合にはお寺の位牌堂や納骨堂)しばらくの間、預かってもらうという方法も考えられます。
⑤ 住職に、お兄さんとの間の取り持ちをお願いした上で、どうしてもうまくいかない場合には、住職も考えてくれるのではないでしょうか。

3⃣ 公営納骨堂の利用
① 地方公共団体が経営する納骨堂には、民営に比べ値段が安いという利点があり、主に次の2種類があります。一つは、まだお墓を持っていない人が、お墓を建てるまでの間の比較的短い期間(1年から3年契約、ただし、更新も可)焼骨を預かるというものです。
② もう一つは、合葬式納骨堂と呼ばれるもので、一定期間(20年とか30年間)は個別に預かるが、年数を過ぎると共同納骨堂に合葬するというものです。
③ 実家のお兄さんとの話し合いがうまく進まないようでしたら、選択肢の一つと考えられます。ただし、あなたがお住いの市町村が納骨堂を提供していない場合には、民営の納骨堂を検討するしかありません。価格、設備、距離、交通手段、供養内容などを十分考慮して、検討してみてください。

4⃣ 最近の葬法の利用
① 最近ではお墓に対する意識も大きく変化してきており、墓石の代わりに故人の好んだ樹木を植えるといった樹木葬や、桜の樹の根元に焼骨を埋蔵するという桜葬や、焼骨を細かく砕いて自然豊かな海や山に撒くという散骨葬も行われるようになりました。
② これらの葬法の特徴は、これまでの墓石を利用した墓地よりも安価である点と、原則として将来の後継ぎ(祭祀承継者)の心配をする必要がないという点にあります。
③ 今回の出来事を契機として、ご自分のことも含めて今後のお墓について、ゆっくりと考えてみてはいかがでしょうか。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q65 ペットの納骨と法的扱い

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【Q65】ペットの骨を納骨しようとしたら断られました。納骨できないのでしょうか。

【POINT】
① ペットの焼骨の法的扱い
➁ ペット霊園の現状と今後の課題

1⃣ ペットの骨と廃棄物処理法
① 近年では、ペットを家族同様あるいはそれ以上と考えているペット愛好家も多く存在しています。しかし、ペット愛好家の皆さんには酷な話ですが、廃棄物処理法においては、ペットの死体や骨(焼骨)は、一般廃棄物に分類されています。
➁ そのため、これを埋葬したり火葬する場合には、一般廃棄物の焼却処分や埋立処分の基準を満たす必要があります。河川や公園などの公有地や、他人の土地にペットの死骸を埋めた場合は、廃棄物の不法投棄となり同法により罰せられることになります。
③ また、海などに投棄することも同法施行令で禁じられていますが、不衛生にならない形で、ペットの焼骨を自宅の敷地内に埋める行為は、法律上問題はないでしょう。

2⃣ ペット霊園の出現と現状
① ペットの死体をどのように処理してきたのかについての調査等を見かけたことはありませんが、土地に余裕のあった時代や、地方においては最近でも敷地の一部や集落の墓地の一角に埋葬されてきたと思われます。
② しかし、人や建物が密集した都市部においては、ペットを埋葬する土地すらもままならなず、お寺の敷地の一角にペットの墓地と称して埋葬するようになりました。これがペット霊園の始まりではないでしょうか。
③ その後、高度経済成長とともにペット霊園も全国各地に作られるようになり、ペット霊園の数に関する公的なデータはありませんが、ⅰタウンページで「ペット霊園」を検索すると、15,200件ヒットしました。
④ しかし、名称はペット霊園となっていますが、墓地埋葬法の適用は受けませんので、墓地(霊園)ではありません。あくまでも、ペットの遺体や焼骨の処理施設と考えられています。最近では近隣住民とのトラブルもあり、条例によって規制している地方公共団体もあります。

3⃣ 墓地管理者の義務と権限
① 墓地の管理者が焼骨の埋蔵依頼を受けたときには、正当な理由がなければこれを拒むことはできません。しかし、ペットの骨(焼骨)は、墓地埋葬法上の焼骨にはあたりません。したがって、墓地管理者はペットの骨の納骨を拒むことができます。
➁ また、納骨方法については、地方によって異なっています。焼骨を骨壺に納めて、骨壺ごと納める方式と、骨壺から焼骨を取出し、これを納める方式があります。
③ 後者の方式では、当然焼骨が混ざり合うことになってしまいますので、動物の骨と混ざることを精神的に忌避する人もいるでしょう。
④ 骨壺ごとの埋蔵であれば、墓地管理者によっては認めてくれる可能性もありますので、引き続き時間をかけてお願いするしかないと思います。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q64 納骨時に必要な火葬許可証の紛失

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【Q64】納骨しようと霊園に行ったら、火葬許可証がないと納骨できないと言われました。実はなくなってしまい、今、手許にありません。どうすればよいでしょうか。

【POINT】
① 火葬許可証の法的意味
➁ 納骨に対する墓地管理者の応諾義務

1⃣ 身内の死から納骨までの流れ
① 身内が亡くなったら、まず、死亡届右側の死亡診断書に、必要事項を医師に記入してもらう必要があります。次に市町村の窓口に死亡届を提出し、「火葬許可証」をもらいます。
➁ これを火葬場の管理者に提出しなければ、火葬は行われません。そして、当該火葬場で火葬を行った場合には、火葬場の管理者は、火葬許可証に省令で定める事項を記入し、火葬を求めた者に返さなければならないと、墓地埋葬法16条2項に規定されています。
③ そして、この所定事項が記入された火葬許可証を、焼骨を埋蔵しようとする墓地の管理者に提出します。この火葬許可証をなくしてしまった場合に、納骨(焼骨の埋蔵)するためにはどうすればよいのか、説明します。

2⃣ 墓地管理者の応諾義務
① 墓地埋葬法は、納骨(正確には焼骨の埋蔵)について、墓地の管理者に応諾義務を課しています。
(墓地埋葬法第13条)
➁ つまり、墓地(霊園)の管理者が焼骨の埋蔵依頼を受けた場合には、正当な理由がなければこれを拒むことはできません。ここにいう「正当な理由」とは、墓地がいっぱいで埋蔵の余地がない場合が考えられます。
③ ただし、墓地埋葬法14条1項は、許可証のない埋蔵を禁止しています。これによれば、墓地の管理者は火葬許可証を受理した後でなければ、焼骨の埋蔵をさせてはならないとなっています。
④ さらに、墓地埋葬法16条1項は、墓地の管理者に許可証の保存も義務付けています。なお、墓地の管理者が墓地埋葬法14条、16条の規定に違反して焼骨を埋蔵した場合には、同法21条の規定に従って、罰金、拘留もしくは科料に処せられてしまいます。

3⃣ 今後の対応
① そこで、霊園に納骨する場合には、火葬許可証の再発行を受けるしか方法がないと思われます。幸いなことに、墓地埋葬法成功規則7条3項は、火葬場の管理者に火葬簿の備付けを課しています。
➁ まず最初に、納骨しようとする焼骨(正確には死体)を火葬した火葬場の管理者に、火葬簿によって確かに火葬したことの証明書をもらいます。
③ 次に、最初に火葬許可証を発行した市区町村の長から火葬許可証の再発行を受けます。再発行された火葬許可証と火葬証明書を霊園に提出して納骨をすることになります。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q63 手元供養

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【Q63】最近「手元供養」という言葉をよく耳にするようになりましたが、これはどのような供養方法なのでしょうか。また、将来私が老齢に達し、手元に置いた遺骨を埋蔵または収蔵したいと思ったときは、どのような手続きが必要でしょうか。

【POINT】
① 手元供養とは
➁ 納骨する際の手続等

1⃣ 手元供養とは
① 手元供養とは、一般的に自宅に遺骨を安置しておく供養スタイルのことをいいます。遺骨の納骨先については墓地または納骨堂として許可を得た場所に限りますが、自宅に置いておくことについての規制はありません。
➁ すべての遺骨を納骨せずに自宅に安置しておく人もいますし、一部だけ取り出して、つまり分骨して自宅に置いておく人もいます。
③ 分骨については「魂が分けられてしまうので良くない」という意見を持つ人が少なくありません。考え方は人によって、環境によって異なりますので一概にはいえませんが、西日本では、そもそも全部の遺骨を拾骨せず、部分拾骨を主流とする地域が多いことから、分骨に対して比較的抵抗がないように思います。
④ なお、仏教では、お釈迦様自身が火葬された後に分骨されていますので、分骨に対しては否定的ではありません。
⑤ 遺骨を納める容器や遺骨そのものを加工して作ったグッズについては「手元供養品」といわれ、遺骨を納める容器などは、一般に流通しています。
⑥ 手元供養品は、遺骨をどう扱うかで納骨型と加工型に分けることができます。納骨型はミニ骨壺やカロートペンダント等、遺骨をそのまま納めることができるタイプのものです。
⑦ 加工型は、遺灰を土やガラスに混ぜてオブジェやガラス球をつくったり、遺骨に含まれる炭素を特殊加工して人工ダイヤモンドをつくるなどの技法があります。

2⃣ 納骨する際の手続き等
① 手元供養として、遺骨が手元にある間はよいのですが、ご質問にあるように保管されていた方が高齢になり亡くなった場合など、遺骨をどこかに納めることが想定されます。
➁ このように自宅で長らく手元供養として保管していた遺骨を納骨するときや分骨をする場合、あるいは納骨されている遺骨を分骨して手元供養する場合で、ケースに応じて下記の証明書が必要になりますので、あらかじめ取得しておくようにしましょう。
⑴ 手元供養の遺骨を納骨する場合
① 手元供養としてしばらく自宅に安置していた遺骨(墓地に埋蔵、納骨堂に収蔵)する場合には、納骨先に誰の遺骨なのか分かる証明書等を一緒に提出しなければなりません。
➁ 証明書にも種類があり、一度も納骨したことのない遺骨が全部残っているのであれば、死亡届を出したときに発行される「埋火葬許可証(火葬済印付)」を提出することになります。
③ これは通常、骨壺と一緒に火葬場で渡されていますので、骨壺を覆う桐箱に入っていることが多いようです。
⑵ 火葬前に分骨して手元供養することが決まっている場合
① 火葬する段階で分骨することが決まっている場合は、その旨を葬儀社を通じて火葬場に伝えておきましょう。火葬の際には準備しておいた分骨容器に納めながら拾骨が行なわれ、その分骨容器ごとに発行された「火葬証明書」または「分骨証明書」が後に納骨時に証明書となります。
⑶ 火葬後に分骨して手元供養する場合
① 火葬した後に遺骨を分骨する場合には、火葬場か火葬場のある市区町村で「火葬証明書」または「分骨証明書」の発行を依頼します。これがのちに納骨する時の証明となります。
⑷ 納骨されている遺骨を分骨して手元供養する場合
① すでにお墓に納骨されている遺骨を分骨する場合、先ずお墓の承継者の承諾を得て、寺院など墓地管理者に「分骨証明書」を発行してもらうことになります。この分骨証明書が後に納骨時の証明となります。
⑸ 自宅で分骨をして証明書がない場合
① 証明書が必要なことを知らずに自宅で分骨し、それに対する証明書が何もない場合、火葬場か火葬場がある市区町村で「火葬証明書」または「分骨証明書」の発行を依頼します。これが後の納骨時の証明となります。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q62 納骨の方法(送骨)

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【Q62】テレビで見たのですが、遺骨をお寺に郵送すれば、それ以後はお寺が責任をもって供養してくれるというもので、「送骨」と言っていました。
このような納骨方法があるとは知りませんでしたが、法的に問題はないのでしょうか。また、このような納骨方法で注意する点はありますか。

【POINT】
① 送骨の具体的方法
➁ お寺(霊園)との契約

1⃣ 送骨という納骨方法
① 近年では散骨という葬法も行われていますが、一般的に遺骨(焼骨)は、死後一定の期間が経過すると墓地に埋蔵され、または納骨堂に収蔵されます。
➁ ただし、法律上民法897条の祭祀承継者には埋蔵もしくは収蔵する義務はなく、自宅に置いて供養する遺族もいます。
③ ただし、遺骨を遺棄した場合には、刑法190条の死体損壊・遺棄罪に問われることもあります(3年以下の懲役)。
④ ところで、平成19年に送骨という納骨方法も提案されるようになりました。この方法を最初に構築したのは、富山県高岡市にある大法寺の栗原住職です。
⑤ 送骨について、日本郵便は「輸送に適した状態であれば引受可能」ということで、ゆうパックで「遺骨」を送ることを認めています。
⑥ これに対して、ヤマト運輸と佐川急便は「紛失時の責任が取れない」という理由で遺骨を引受不可としています。

2⃣ 送骨に対する裁判所の対応
① 平成24年、宗教法人が送骨を受け入れるための納骨堂経営許可申請に対し、これを不許可とした市を相手に不許可処分の取消しを求めて裁判が起こされました。
➁ その判決の中で松山地方裁判所が送骨について以下のように判示しています。(松山地裁平成25年9月25日判決)
③ 「社会的な需要が存在すること自体は否定し難いものであって、比較的簡素な焼骨の収蔵施設の利用権を安価に提供する行為が、直ちに公共の福祉に反するものとはいえない。」
④ 「しかし、①本件不許可処分の当時、インターネットを通じて全国から利用者を募集し、郵送により焼骨を受け取るという方法による納骨堂の運営形態が広く一般的に利用されていたとは言い難い状況下にあったこと」
⑤ 「に加えて、➁宗旨・宗派を問わないとする点や、③殊更に安価な価格であることや、遺骨を持参して住職と面談することなく郵送により受け入れる等と簡便であることを強調していることなどを総合的に勘案すると」
⑥ 「前記①のような利用者の募集方法が、商業主義的との印象を与えるものであることは否定し難い。また、原告は、利用者を募集する際に、その受入可能数を明示しておらず、原告が、当該地域はもとより原告とすら何ら縁のない遺骨を無制限に募っていると見られかねない事情もあった」
⑦ 「そうすると、被告地域における風俗習慣等に照らし、前記のような本件施設の運営方法が、地域住民の宗教感情に適合しないものであるとした被告の判断が、合理性を欠くということはできない」
⑧ 「したがって、本件施設の経営実態が、国民の宗教感情に反するとしてされた本件不許可処分が、被告に与えられた合理的裁量の範囲を逸脱したものということはできない。」
⑨ この判決内容は、控訴審である高松高等裁判所でも支持され(高松高裁平成26年3月20日判決)、上告されることなく確定しましたが、送骨が国民に十分に認知されていない状況下での判決と思われます。

3⃣ 送骨契約の留意点
① 少子高齢社会の到来により、下記のような悩みを抱えている方が多く存在していると思われます。
 ⑴ 亡くなった配偶者の遺骨を家で保管しているので、何とかしたい
 ⑵ 経済的に苦しく時間もないので納骨できない
 ⑶ お墓を持っていないし、持ちたいとも思わない
 ⑷ 将来にわたって、お墓の管理やお墓参りなどできない
➁ 近年では、後継ぎを必要としない新たな葬法として、永代供養墓(納骨堂)、樹木葬、散骨葬が出現しました。
③ さらに送骨供養という方法も提案されています。これは、ゆうパックの配達サービスを利用してお寺や霊園に遺骨を送り、そのまま納骨してもらうことを指します。
④ 納骨先のお墓の形態はさまざまですが、お寺・霊園が管理・供養を永代にわたって行う永代供養墓が特に多く、合葬型の永代供養墓で非常に低価格に納骨できることが特徴です。
⑤ ちなみに「送骨供養」という用語をGoogleで検索すると、約270万件がヒットし、あるサイトによれば令和2年10月末現在、全国で約140カ所の寺や霊園が送骨を扱っています。供養内容や料金はそれぞれに特色があるようです。
⑥ 送骨供養に関するサイトの中から信頼のおけるお寺や霊園を探すことになります。その際には契約書等によって以下の点を必ず確認してください。
 ⑴ 遺骨の埋蔵方法(合葬・将来合葬・個別埋蔵)合葬をしてしまうと、将来遺族からの返還請求が物理的にできなくなります。
 ⑵ 料金 戒名付きなどの内容にもよりますが、2万円台から10万円を超えるものもあります。
 ⑶ 納骨証明書 どこに納骨されたかを証明する書類です。いつ発行されるかも確認してください。
 ⑷ 供養の内容 仏教系では、毎日の読経に始まり、年に何回かの供養があります。
 ⑸ 納骨場所のロケーション 郵送するわけですから場所は関係ないと思われますが、将来訪ねることがあるかもしれませんので、インターネットでもかまいませんので、納骨場所の確認はしましょう。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q61 墓地・納骨堂の解約と原状回復費用

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【Q61】霊園に眠っている母の遺骨を郷里のお寺に移そうと思います。霊園に相談したところ、更地にして明け渡して欲しいと言われました。「霊園の方でお願いします」と言ったら、30万円必要と言われました。こんなに必要なものでしょうか。

【POINT】
① 墓地(納骨堂)使用権の承継者
➁ 墓地(納骨堂)使用契約の解除方法

1⃣ 霊園墓地の権利関係
① 霊園ということなので、「霊園使用規程」とか「霊園管理規約」というような名称の書類(契約書)があると思います。まず、この契約書を確認してください。
➁ 一般的に霊園墓地は、土地の所有権が霊園側にあり、墓地の一区画(墓地と区別して墓所としている霊園もあります)を使用する権利(墓地使用権)を譲渡してもらっているという関係にあります。
③ なお、この場合の譲渡は、大半の霊園では有償であり、永代使用料という名称で支払われています。また、これとは別に、毎年の管理料を霊園に支払うことになります。

2⃣ 祭祀主宰者による承継
① ここにいう墓地使用権は、民法897条に規定する祭祀主宰者が絶えない限り、半永久的に承継されていくものです。
➁ 民法897条によれば、祭祀主宰者の第1順位は被相続人の指定であり、第2順位は慣習となっています。そして被相続人の指定もなく、慣習も明らかでないときは、家庭裁判所が祭祀主宰者を定めるとなっています。
③ 我が国では、被相続人が祭祀主宰者を指定するという行為は、まだまだ一般的ではなく、大阪高裁昭和24年10月29日決定によって、戦前の長男が承継するといった慣習も否定されてしまったため、現在では被相続人の葬儀の喪主を務めた者が祭祀主宰者となるのが一般的と考えられています。

3⃣ 契約の解除と墓地使用料
① ところで、転勤などによって霊園との距離が著しく遠くなってしまい、墓参に不便を来すような場合には、霊園との墓地使用契約を解除して、住居の近くに新たな墓地を構えることも祭祀主宰者の自由です。
➁ 相談者は、祭祀主宰者と思われますので、ご質問は墓地使用契約を解除した後の墓石等の取り扱いに関する問題です。
③ 霊園によっては、未使用の場合に限って、墓地使用料の一部を返還すると契約書に明記しているものもあります。また、使用期間が短い場合にも、その期間に応じて一定の割合の墓地使用料を返還するというものもあります。
④ ただし、短期間であっても、一度墓地を使用すると、墓地使用料は一切返還しないとしている霊園が一般的です。
⑤ また、契約を解除し遺骨等を他の墓地に移動する場合には、「更地にして当初の現状に復すること」としている霊園が大半です。

4⃣ 今後の対処方法
① 平成13年4月1日から消費者契約法が施行されており、消費者にとって一方的に不利な契約は、当初から無効となりました。
➁ たとえば、未使用の場合であっても一切返金しないとか、使用期間が短くこれに対する墓地使用料が極めて高額である場合には、再考の余地があると思われます。
③ なお、霊園から要求された金額が30万円ということですが、これには墓石等の撤去、処分費も含むと思いますので、墓石等の大きさにもよりますが、必ずしも高額過ぎるということはないと思われます。
④ 金額が不満だからと言って民事上の手続き(調停・訴訟)をすることは、費用と時間のことを考えると、決して得策ではありません。
⑤ いずれにしても、お母さんの遺骨を郷里の寺に改葬するわけですから、墓石等の移転をどのようにするのかも含めて、改葬先のお寺の住職からも石材業者を紹介してもらうなどして、見積りを取ったら如何でしょうか。その上で霊園と再度移転費用について交渉してみてください。

【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q60 墓地使用権の解約と墓地使用料

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【Q60】前年買った墓地が不要になったので返そうと思い、霊園の事務所へ行ったら、永代使用料は返還しないと言われました。こんな不合理なことがあるでしょうか。

【POINT】
① 墓地の返還
➁ 墓地使用料の精算

1⃣ 墓地の返還
① 墓地利用者から墓地経営者に墓地が返還される場合としては、次のような場合が考えられます。
➁ 第1は、墓地使用契約に定められた永代使用権の消滅事由が生じたときです。墓地使用者の契約違反がこれにあたりますが、この契約違反があると直ちに返還義務が生じるのではありません。
③ 返還義務が発生するかどうかは、契約に違反した者の意図・動機・態度、違反の程度・回数、契約を締結するに至った事情、使用期間、使用態様、墓地使用料の金額、宗教法人の宗教的感情や経済的事情等を総合して墓地の永久性・固定性に照らして判断されます。
④ 第2は、墓地使用権の放棄や合意による終了です。
⑤ 第3は、消滅時効です。しかし、永代使用者の墳墓が存在する間は時効は完成しません。時効が問題となるのは空墓地の場合のみです。
⑥ 第4ですが、期間満了によって契約が終了するということは原則として考えられません。墓地使用権は永久性を備えていますので、期間を限定する特約があっても、期間満了によって墓地使用権は消滅しないというのが通常の見解です。
⑦ ただし、三十三回忌までとか五十回忌までという契約もないわけではありません。しかし、この場合は通常の終了の場合と異なって、永代使用料の返還という問題は起きません。
⑧ 第5は、契約の解除です。墓地経営者と墓地使用者の間で信頼関係が破綻したときは、解約原因となります。
⑨ 一般的には、⑴墓地使用者側の事情⑵墓地使用権の永久性⑶墓地使用権の固定性⑷寺院側の事情(墓地整理の必要性)⑸使用者と寺院双方の宗教的感情⑹双方の経済的利益、などを比較考量して決められます。
⑩ 寺院が墓地使用者に無断で墓石の向きを変え、納骨してある遺骨を動かしたことが信頼関係を破綻させたとして、解除を認めた判例があります。

2⃣ 墓地使用料の精算
① 墓地使用権がなくなると墓地経営者は墓地を返還してもらうことになりますが、当初受け取った永代使用料はどのように扱うべきでしょうか。
➁ 墓地使用契約は墓地の永続性から、期間を定めない継続的契約関係と考えられています。この継続的契約関係が途中で終了した場合は、終了後に対応する永代使用料は墓地経営者の不当利得となりますので、その利得分を返還することが原則です。
③ 返還しなければならない金額は、公平の理念から判断することになります。⑴墓地使用権の消滅に至った事情⑵どちらの責任で終了に至ったのか⑶その責任の程度はどれほどか⑷墳墓はあったかどうか⑸納骨されていたかどうか⑹墓地経営者の規模や経済状態、等が判断の対象になります。
④ 墓地管理規約に、永代使用料を返還しない特約があるときはどうでしょうか。返還しない特約を適用することが権利の濫用にならない限り有効と考えてよいでしょう。
⑤ たとえば、契約期間がまだ半年とか1年にも満たない場合で、墳墓も造られてはおらず、納骨もされていないような場合にも一切返還しないというのは権利の濫用となる場合もあります。
⑥ もっとも、永代使用料は使用権の設定の対価であり、使用期間に対応したと判断した裁判例がありますし、権利の濫用が認められることは極めてまれですので、特約がある場合は基本的に返還されないものと考えるべきでしょう。
⑦ ちなみに、都営霊園の条例は、「既納の使用料及び管理料は、還付しない。ただし、知事は、相当の理由があると認めるときは、その全部又は一部を還付することができる」としています。還付されるのは3年以内に届出て、原状回復を行ったときです。

3⃣ 結論
① 永代使用料を返還しないとの約款が定められているのは、永代使用料の返還を認めてしまうと、永代使用権を設定してから返還されるまでのあいだ、霊園はなんの収入も得られなかったことになってしまうからです。
➁ 霊園といってもビジネスの要素は当然ありますので、理由自体が不当なものとは一概には言えませんし、何より、永代使用料が返還されないことについては、それだけ重要なことですので、あらかじめ説明を受けているはずです。
③ 墓地使用権を購入するにあたっては、金額も安いものではありませんから、契約内容を含めて慎重に検討する必要があるでしょう。