【相続・遺言について】遺言書の書き直し

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言書の書き直しについて考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】私は、今、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成するつもりです。しかし、遺言書作成後に事情が変わって、次男に自宅を相続させたいという場合、一度作成した遺言書を書き直すことはできるのでしょうか?
また、長男に自宅を相続させるという内容の遺言書を作成した後に、自宅を売却することが必要になった場合、自宅を売却することはできるのでしょうか?

【A】◆1.遺言書の書き直しについて
遺言とは、遺言者の最終意思を法律上も尊重しようという制度ですので、生前にその意思が変わった場合には、何らの理由無く、いつでも書き直すことができますし、前にした遺言を撤回することもできます。
そしてその撤回権を放棄することはできません。つまり遺言書に「この遺言は今後絶対に取り消さない」と書いてもそのような記載に効力はなく、自由に撤回できます。
遺言の撤回をするときは、その旨の遺言書を作成するのが一般的です(撤回遺言による撤回)。その際、撤回の対象となった遺言書と同一の方式による必要はありません。つまり、公正証書遺言を撤回するのに、自筆証書遺言でも撤回できるということです。遺言書の内容は「遺言者〇〇は令和〇年〇月〇日付で作成した自筆証書遺言を全部撤回する」といった条項を盛り込むのです。
ここで注意しておくこととして、撤回遺言も遺言ですので、民法に定めのある遺言の方式を守らなければいけないということです。撤回遺言が方式を満たしていないときには、撤回遺言が無効となります。

◆2.遺言書を作成した後の抵触行為について
遺言の撤回は、撤回遺言を作成しなければならないわけではありません。遺言書を作成した後に、その内容に抵触する行為があった場合には、その抵触する部分については、遺言書の内容を撤回したとみなされます。これは抵触行為をした遺言者の意思を考えれば、前の遺言の効力の存続を望まないことが明らかであると言えるからです。
①.抵触遺言
前にした遺言と抵触する内容の遺言がなされた場合、その抵触する部分については撤回があったものとみなされます。撤回遺言と似ていますが、抵触遺言の場合、遺言の条項中に「撤回する」という文言がなくても、また遺言者が前にした遺言内容を忘れていた場合でも、撤回の効力が生じます。
例えば、前の遺言で「甲不動産をAに遺贈する」としておきながら、後日「甲不動産をBへ遺贈する」との遺言を作成した場合は、Aへの遺贈は撤回されたものとみなされます。この場合、後の遺言書に「Aへの遺贈を撤回する」と書く必要はありません。
②.抵触する生前処分
遺言者が遺言をしたのちに、その遺言内容に抵触するような行為をした場合、その抵触する部分について遺言書の記載は撤回されたものとみなされます。例えば「遺贈する」と遺言書に書いておいた物を、第三者へ売却した場合などです。
また、抵触する行為には身分行為も含まれるとされています。裁判例では、遺言者が、妻に財産を相続させる旨の遺言をした後に、協議離婚した場合や、終生扶養を受ける前提で養子縁組をし、財産を養子に遺贈する旨の遺言をした後に、協議離縁をし、かつ実際に扶養を受けていない場合に遺言の撤回を認めたものがあります。
③.遺言書または遺贈の目的物の破棄
遺言者が故意(わざと)に遺言書や遺贈の目的物を破棄した場合に、その破棄した部分について遺言が撤回されたものとみなされます。
遺言書の破棄とは通常は、遺言書を捨てたり、切断したり、文字を塗りつぶしたりして、内容が判別できないようにしますが、最高裁判例では、遺言者が自筆証書遺言の文面全体の左上から右下に斜めに赤色ボールペンで斜線を引いた場合に、文字が読めるとしても、行為一般の意味に照らすと、遺言書全体を不要とし、かつ、遺言全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるとして、「故意に遺言書を破棄したとき」に該当すると判示したものがあります。
遺贈の目的物の破棄とは、例えば、遺贈するとしていた建物を取り壊すなどを言います。

◆3.本件について
相談者は一度作成した遺言書を自由に書き直す(撤回する)ことができます。よって、長男に自宅を相続させるという内容の遺言を撤回する旨の遺言(撤回遺言)、または、次男に自宅を相続させるという内容の遺言(抵触遺言)をすれば、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。
また、相談者が生前に自宅を処分することは自由ですので、次男に自宅を贈与すれば「抵触する生前処分」に該当するため、長男に自宅を相続させるという内容の遺言は撤回されたものとみなされます。

【相続・遺言について】遺言書の作成

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺言書の作成について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】
①私も高齢になって来たので、相続について考えるようになりました。私には妻と子供2人がいますが、皆仲が良いので私の死後財産を巡ってもめるようなことはないと思います。私のような場合遺言書を作成する必要性はあるのでしょうか?
②遺言書を作成しようと思うのですが、遺言には種類があると聞きましたが、どのようなものでしょうか?
③私は、妻と相続について話し合っています。妻と一緒に同一の書面で遺言書を作成することは構わないのでしょうか?

【A】◆1.遺言は有益なもの
遺言書を作るか、作らないかは、あなたの自由ですので、奥さんとお子さんとの間で争いがおきるおそれがないと思われるのであれば、作らなくてもかまいません。
しかし、遺産をどのように分けるのか、特に不動産、預貯金、有価証券、現金、貴金属、骨董品など多くの種類がある場合、誰がどの遺産をどのくらい相続するか、話し合って決めるのはかなり手間と時間がかかります。その間にもめごとが起こる可能性もあります。
あなた自身で、ご自分の財産を誰にどのように相続してもらいたいかを決めて遺言書に記しておくことは、それなりの意味を持つと思われます。
その際に、付言事項という、遺言書として法的な効力はないものの、あなた自身の気持ちを遺族に伝える項目を記すこともできます。
この付言事項によって、残された遺族がもめることなく、遺残を相続できるとも言えます。

◆2.遺言の種類
遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、特別方式による遺言があります。この中で、特別方式による遺言は、危急時遺言、隔絶地遺言があります。以下では、利用されることが多い、自筆証書遺言、公正証書遺言を説明します。

①自筆証書遺言
自筆証書遺言は、遺言者が、全文、日付、及び氏名を自書し、印を押すことによって出来上がります。
全文、日付、氏名を全部自分で書かねばならず、パソコンを使用したり、他人に代書してもらったりは、無効です。ただし、今回の民法改正により、平成31年1月13日からは、相続財産の目録については、自書でなくともよくなりました。パソコンで作成したり、代書を頼んだり、預貯金の通帳のコピーを使用したり、不動産登記の全部事項証明書を目録として使用することもできます。
この場合、偽造などを防止するために、目録の各葉に署名と押印が必要です。
印は実印でも、認印でも構いません。
このように自筆証書遺言は自分一人で作成できるメリットがありますが、紛失したり、変造されるといったデメリットもあります。
この点、令和2年7月10日より法務局が自筆証書遺言を預かってくれる法制度が開始されます。

②公正証書遺言
公正証書遺言は、法務大臣が任命監督する、公証人(元裁判官や元検察官等)が作成するもので、遺言者が、成年に達した証人2人の立会いの下、公証人に遺言の趣旨を口述し、公証人がそれを筆記し、公証人がそれを遺言者及び証人に読み聞かせ、閲覧させ、筆記が正確であることが確認されたら、それぞれが署名押印し、最後に公証人が署名押印をすることによって出来上がります。
公正証書遺言は、原本を公証役場で保管しますので、紛失や変造の恐れはありません。
公正証書遺言を作成する際に、公証人が遺言者の意思や判断能力(遺言能力)を確認してくれますので、後日無効と判断されにくいというメリットがあります。

◆3.共同遺言の禁止
共同遺言(同一の書面で複数の人が遺言を作成すること)は禁止されています。
その理由として、遺言は遺言者の最終の意思の基づき、自主独立になされるべきであり、また撤回の自由を認められているので、共同遺言は他人の意思の影響を受けていると疑いを生ずる余地があり、撤回の自由を妨げる恐れがあるからです。

新年のご挨拶

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

昨年中は大変お世話になりました。本年も一層のご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

本年の営業は本日1月6日より開始いたしております。

年末年始家族が集まり、様々な話に花が咲いたことでしょう。相続や遺言、終活についてのお話しもあったかと存じます。

当事務所では、世田谷区内を中心とした都内の皆様からの、相続、遺言、終活についてのご相談を承っております。

初回相談60分無料とさせていただいておりますので、是非お気軽にお問合せ下さい。

お問い合わせは事務所03-3416-7250または携帯電話090-2793-1947まで。

自動車販売店様も新春の仕事始めを迎えられていることと存じます。
東京都内の車庫証明のご用命は弊所へお申し付け下さい。

お問い合わせは携帯電話090-2793-1947まで、お待ちしております。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場:世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時:令和2年1月18日(土)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

セミナー開催案内

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回はセミナー開催のお知らせをします。

遺言書に関するセミナーを、世田谷区の行政書士で構成する「せたがや暮らしの相談会」が行います。私もメンバーとなっております。

会場:世田谷区立玉川福祉作業所

二子玉川駅駅徒歩3分(世田谷区玉川1-7-2)

日時:令和元年12月5日 13:30~15:00

予約電話番号03-3707-0498(受付:玉川福祉作業所 橋本)

セミナー終了後、無料相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場:世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時:令和1年11月24日(日)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

【相続・遺言について】相続人の範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回からは【相続・遺言】に関して基本的なところから解説していきたいと思います。

【Q】相続人となることができるのはどのような人でしょうか?

【A】◆配偶者について

亡くなった人のことを「被相続人」、財産などを相続する人のことを「相続人」と呼びます。

被相続人に近い関係のある者としては、配偶者と血族(親、兄弟姉妹、子など)が考えられますが、このうち配偶者については常に相続人となると定められています。従って、夫が亡くなれば、妻は常に相続人ということになります。

◆血族について

血族については、子、親、兄弟姉妹の順に相続人となります。

① 被相続人に親、兄弟姉妹、子のいずれもがいる、ということもあるでしょう。この場合全員が相続人となれるわけではありません。相続人となる順位は民法で定められており、上の順位の者がいる場合には、その者のみが相続人となります。

② 第1順位とされているのは「子」です。ここでいう子には、実の子だけでなく「養子」も含みます。つまり「子」がいる場合は配偶者と子が相続人となります。

また、夫が亡くなる前に子が亡くなっていた場合、子の子つまり「孫」がいる場合には、その孫が相続人となり、親、兄弟姉妹は相続人とはなりません。

③ 第2順位とされているのは、「直系尊属」です。直系尊属とは、祖父母や父母などのように、血縁関係が縦につながっている者をいいます。養親は含まれますが、配偶者の父母は含まれません。

直系尊属の中では、親等の近い者が優先されます。従って、父母いずれかが存命であれば、祖父母は相続人となりません。両親ともに亡くなっているが、祖父母のいずれかが健在である場合、その祖父母と妻が相続人となり、兄弟姉妹は相続人とはなりません。

④ 兄弟姉妹は、先順位者である子、直系尊属ともに存しない場合に、初めて相続人となります。つまり夫が亡くなった場合、配偶者である妻と、夫の兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟姉妹には父母の一方のみが同じ者も含まれますが、父母の両方を同じくする兄弟姉妹とは相続分が違います。

また、夫が亡くなる前に兄弟姉妹が亡くなっていた場合、兄弟姉妹の子、すなわち被相続人の「甥や姪」が相続人になります。

⑤ なお、先順位者がいない場合とは、そもそも存在しない場合や亡くなっている場合だけでなく、相続放棄がなされた場合なども含みます。

良くいただくご相談の中に、ご夫婦にお子様がいらっしゃらない場合、「お互い配偶者だけに財産が相続される」と勘違いされているケースです。

このケースは上記③のケースまたは④のケースに該当しますので、あくまでも配偶者と被相続人の親または兄弟姉妹と相続の話し合いをしなければならなくなるので、事前に遺言書作成等対策が必要となります。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場:世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時:令和1年9月29日(日)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年9月29日(日)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

【成年後見制度について】知的障がいのある子供の将来の生活が心配な場合には「親なき後の財産管理」2

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「知的障害のある子供の将来の生活が心配な場合は。親なき後の財産管理」の続きを考えてみましょう。

【Q】私には子供が2人います。45歳になる長男には知的障がいがあります。自宅に夫と3人暮らしで、夫婦で長男の面倒を見てきましたが、昨年夫が亡くなり、私も今年70歳になりました。今後いつまで長男の面倒をみることができるのか、日々不安に感じています。長女は結婚しており、長男のことも気にかけてくれてはいますが、生活に余裕があるわけではなく、私の様に自宅で長男の面倒をみるというのは不可能です。そう思って、夫婦でつましい生活を送り、預貯金は4000万円ほどあり、賃料収入のあるアパートを一軒持っています。私が死んだあと、なんとか長男が暮らしていけるようにしたいと思いますが、どのようにすればよいでしょうか。

【A-3】日常生活自立支援事業を活用する

お子さんが、一人暮らしはできるけれども重要な契約ができないとか、お金の管理ができないというようなタイプの場合は、どうでしょうか。このような場合には、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の援助を利用する方法をおすすめします。

日常生活自立支援事業は、福祉サービスの利用援助を柱とし、年金や福祉手当がきちんと振り込まれているかどうかの確認、預金からの生活費の引き出し、医療費、社会保険料、電気・ガス・水道料金などの公共料金、日用品の購入代金の支払いなど日常的な金銭管理を手伝ってもらえます。また、預貯金の通帳や年金証書、保険証書、不動産の権利証、契約証、実印、銀行印、カードなどの重要な書類等を社会福祉協議会に預かってもらうこともできます。

あなたのお子さんに、ある程度の生活費があり、きちんと生活していける状態であれば、こうした援助を利用しながらある程度の年齢になるまで一人暮らしが可能だと思います。

日常生活支援事業を利用するには、まず市区町村の社会福祉協議会に相談し、まず、あなたとお子さんの状況を理解してもらいます。お子さんがお金の管理ができないというようなこともきちんと話し、子どもと日常的な金銭管理、書類の預かり等、必要な援助を内容とする契約を結んでもらい、日々の生活を見守ってもらいます。

例えば、病気が進んで一人暮らしが難しくなってくれば、そのときには、日常生活支援事業の福祉サービスの利用援助を利用して、施設に入ることなども可能でしょう。もちろん、すべて社会福祉協議会や行政まかせというわけにはいきません。成年後見人の選任が必要になったりする場合には、後見人ではないにしても、兄弟姉妹の助けを借りることなどが不可欠になります。兄弟姉妹とはよく話をして、そのような協力については了解を得ることが望ましいと言えましょう。

【A-4】ある程度の判断能力がある場合には

お金だけをきちんと渡せば生活できるが、きわめて体が弱いというようなことも考えられるかもしれません。そのような場合には、信託を利用する方法もあります。生前に親が信託契約を締結し、一定の財産を信託財産として受託者に委託し、親の死後一定額を受託者から子どもに支払わせるという方法です。信託を利用するのは、海外では多くみられるようですが、日本ではまだ歴史も浅く、財産の名義が受託者に移ることもあって、事例は多くはないようです。

【A-5】親自身が能力の低下に不安を感じたときは

死ぬまで子どもの面倒を見るつもりでも、病気などでそれが難しくなることもあると思います。親自身の判断能力の低下に備えておくことも考えておいた方がいいかもしれません。そのときには、親が誰か信頼のおける人と財産管理契約や任意後見契約を締結しておくことが考えられます。これらの財産管理人として弁護士や司法書士、行政書士などを選び、自分が亡くなった後には兄弟姉妹と連絡を取ってもらい、子どもの後見開始申立ての力になってもらうことなども考えられるでしょう。

親なき後の財産管理には、お子さんの状態をみながら、いくつかの方法を組み合わせ、成年後見や、遺言、任意後見契約などの制度を使い、社会福祉協議会や行政の手も借りて、親がある程度安心できるような準備をすることになります。その時には弁護士や司法書士、行政書士等の法律家の知恵も利用してもらいたいと思います。