相続・遺言・成年後見無料相談会のお知らせ

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

本日は無料相談会のお知らせをいたします。

相続、遺言、成年後見について、世田谷区の行政書士5名が無料相談会を開催いたします。私もメンバーの一人になっております。

会場は世田谷区【烏山区民会館 集会室】京王線千歳烏山駅徒歩1分

日時は令和1年9月29日(日)13:00~16:30

(最終受付:16:00)

予約番号 080-7025-8357(受付:行政書士ナカムラオフィス)

ご予約の方優先ですが、飛び込み参加も歓迎です。

皆様のお越しをお待ちしております。

【成年後見制度について】成年後見人が選ばれるまで待てない場合、どうしたらよいでしょうか?「審判前の保全処分の利用」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「成年後見人が選ばれるまで待てない場合、どうしたらよいでしょうか?審判前の保全処分の利用」について考えてみましょう。

【Q】一人暮らしをしていた母が脳梗塞で倒れて入院した後、認知症になって現在も入院中です。母には年金の他貸しアパートの家賃収入もありますので、治療費の心配はありませんでした。ところが母が入院してから、年金や家賃が振り込まれてくる母の預金を管理してきた兄が、最近になって母の多額の預金を解約して、自分の借金返済に充てるなどして、使い込んでいることはわかりました。このまま兄に母の預金を管理させ続けていては、母の入院費の支払いさえできなくなってしまいますので、私が母について成年後見の申立てをしました。しかし申立てが認められて成年後見が開始されるまでには、2・3ヶ月はかかるとのことでしたので、それまで兄の預金使い込みを放置しておくことはできません。何とかする方法はないものでしょうか。

【A】お母さまについて、成年後見を開始するかどうかは、家庭裁判所が家事審判で決めます。家事審判はもともと簡易・迅速に事件を処理することを目的としており、平成28年の1年間に全国の家庭裁判所が扱った成年後見関係事件(王権開始・保佐開始・補助開始・任意後見監督人選任)の77.4%が2ヶ月以内の審理期間で結論が出ており、年々短縮される傾向にはあります。

しかし、お尋ねのように成年後見開始の審判が出るまでの間にも、財産を使い込まれたり、どこかに隠されたりして、本人に不利益を生じさせる事態はあり得ます。

そこで家庭裁判所は、そのような必要があるときは申立てにより又は職権で、担保を立てさせることなく後見開始の審判が効力を生じるまで、審判前の保全処分として、財産管理者の選任等をすることができる(家事事件手続法126条1項)ことになっています。財産管理者選任の審判前の保全処分を申し立てるときは、お母さまについて、後見開始の審判を待っていては、兄がお母さまの預金を使い込んでしまうなど、お母さまの権利を保全しておく必要がある事情を具体的に明示する必要があります。選任された財産管理者は、後見人が選任されるまで、本人であるお母さまの代わりに財産の管理を行いますので、兄に対して通帳や印鑑の引き渡しを求めたり、通帳が紛失されている場合は、財産管理者選任の審判書を金融機関に提出して、通帳の再発行手続きを行い、お母さまの預金から払戻しを受けて、それでお母さまの入院費の支払いをすることもできます。

審判前の保全処分としては、その他、例えば子が成年後見開始の審判申立てをし、審判前の保全処分として財産管理者が選任されているのに、退院した本人が認知症のため、度々高額の着物や布団を訪問販売で買ってしまって被害を受けた場合などには、本人を守るために財産管理者の後見を受けるべきことを命ずる後見命令の申立て(家事事件手続法126条2項)をすることもできます。後見命令が効力を生じると、本人が財産管理者の同意を得ないで行った財産の取引行為等を取り消すことができます。

成年後見無料相談会

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをします。

成年後見に関する無料相談会を、東京都行政書士会の行政書士で構成される、公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの世田谷地区主催で、開催いたします。私もメンバーとなっております。

会場は世田谷区民会館別館【三茶しゃれなーどホール】5階集会室スワン。三軒茶屋駅徒歩3分(世田谷区太子堂2-16-7)

日時は令和元年9月5日 13:00~16:30

予約電話番号03-3426-1519(受付:東村)

予約なしでも相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

【成年後見制度について】事務管理とは何ですか?応急処分義務(善処義務)とは何ですか?

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「事務管理とは何ですか?応急処分義務(善処義務)とは何ですか?」について考えてみましょう。

◆事務管理とは何ですか?

事務管理(民法697条)というのは、例えば隣家のひとり暮らしの高齢者が、倒れているのを発見した隣人が、高齢者を病院に運んで、高齢者の名前で入院・治療契約をしてあげるように、他人に対して義務や権限がないのに、他人の利益のために他人の生活に必要な仕事を処理する行為のことです。高齢者と隣人が親子であれば、親族間の扶養義務に基づくものですから、事務管理になりませんし、隣人が高齢者の後見人の場合も、身上監護義務がありますから、事務管理ではありません。

事務管理を始めた者は、自分で始めた以上、本人やその相続人または法定代理人が管理できるようになるまで、管理を継続しなければなりませんし、本人の意思や利益に反することが明らかな場合は、管理を中止しなければなりません。

事務管理者は、その事務に従い、最も本人の利益に適する方法で管理すべき義務があるのです。そのほか管理者には、本人への通知義務(民法699条)や事務管理状況・顛末の報告義務(民法701条・645条)、受取物引渡・取得権利移転義務(民法701条・646条)、金銭消費の場合の利息支払等の義務(民法701条・647条)が発生します。

事務管理者は、「本人の身体・名誉または財産に対する急迫の危害を免れさせるために」事務管理を行った緊急事務管理の場合は、悪意又は重過失がない限り、本人に発生した損害の賠償義務は負いませんが、急迫の危害がなければ、受任者と同様、善管注意義務を負うと考えられます。

しかし、事務管理は親切行為となる反面、いらぬお節介となる場合もある上、損害賠償責任まで負わなければならなくなる可能性もあるので注意が必要です。その一方で、事務管理者は本人に対して、事務管理に要した費用の償還請求ができます。

 

◆応急処分義務(善処義務)とは何ですか?

委任関係は、契約が終了しても、委任者と受任者の権利義務が当然に終了するものではありません。委任契約が何らかの事情で終了した場合でも、委任者側に引き継ぎをすることなく受任者が突然仕事をやめてしまっては、困ることがあるからです。そこで、委任者側で事務を処理することができるまでの間に、委任者が測り知れない損害を受けるおそれがある「急迫の事情」があるときは、受任者やその相続人または法定代理人は、必要な処分をしなければならない(民法654条)とされています。これを応急処分義務(または善処義務)といいます。

この応急処分義務は、法律関係が委任関係と似ている被後見人と後見人との間にもあります。(民法874条、876条の5、876条の10、任意後見契約法7条、民法654条。委任契約の一種である任意後見契約に基づく任意後見人には民法654条が直接適用)ので、後見が終了した場合、被後見人側で事務を処理することができるまでの間に、例えば、被後見人の権利が時効で消滅しそうなときなど「急迫の事情」がある場合は、後見人であった者やその相続人・法定代理人・後見監督人は、時効中断の手続きをとるなど、必要な処分をする義務があるのです。

葬儀費用や病院の入院治療費の支払いが、応急処分義務に当たるかどうか検討すると、具体的な事情にもよりますが、これらは通常、本人の相続人が対応すべきで、「急迫の事情」があるとまではいえないのではないかと思います。

応急処分を行った場合、委任が有償だった場合は、受任者は費用の償還請求や報酬請求ができると考えられます。後見の場合も、費用の償還請求や家庭裁判所に報酬付与審判の申立てができると考えられます。

応急処分をすべき期間は、委任者やその相続人・法定代理人が委任事務を処理するまで、後見人などの場合は、被後見人などが能力を回復して自分で財産管理ができるときまで、被後見人などが死亡したときは、その相続人が財産管理ができるときまでです。

後見人等であったものが、善管注意義務に反して応急処分をせず、被後見人等に測り知れない損害を発生させたときは、損害賠償責任を負うことになるので、注意が必要です。

【成年後見制度について】成年後見人は葬儀もしてくれるの?「後見人ができる死後の事務の範囲」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「成年後見人は葬儀もしてくれるの?後見人ができる死後の事務の範囲」について考えてみましょう。

【Q】はなこさんは85歳です。はなこさんには、遠方に住んでいる妹はおりますが、ずっと疎遠のままです。はなこさんは、夫と一人息子を早くに亡くして以来、一人暮らしをしてきましたが、最近認知症がかなり進んで日常生活も困難になってきましたので、成年後見人を付けてもらうことになりました。成年後見人ははなこさんが死んだ後葬儀等の事務についても対処してくれるのでしょうか?

【A】◆原則は相続人

成年被後見人になったはなこさんが亡くなると、同時に成年後見は当然に終了して、成年後見人の権限もなくなるのが原則です。それは、成年後見制度が、支援を必要とする認知症や精神障害・知的障害のある被後見人の生存中、身上監護や財産管理をして支援していく制度だからです。はなこさんが亡くなると、はなこさんの権利義務は全て相続人である妹さんが受け継ぎます。お尋ねの葬儀などを含めて、はなこさんの死後事務は、通常すべて相続人の妹さんが行うことになります。

◆成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律

しかし、実務上は、遠方に住んでいて、ずっと疎遠だった妹さんが、はなこさんの事後事務を行えない場合等には、成年後見人が、成年被後見人が死亡した後も、一定の死後事務を行う必要が出てきます。はなこさんが亡くなった場合の死後事務として、概ね次の事柄が考えられます。

①はなこさんの死亡診断書(事故死や死因不明の場合には、死体検案書)を入手して死亡届を役所にだすこと、②病院の診療費・入院費の支払いと入院預託金の清算など、③病院から遺体を引き取って、埋葬までの遺体の安置・保存と埋葬を葬儀社に依頼すること、④火葬・埋葬の許可申請と発行される許可証を受け取ること、⑤葬儀社へ火葬・埋葬を依頼すること、⑥病院に残置された私物の引き取りと不用品の廃棄処分の依頼などです。

このように、成年後見人には成年被後見人の死亡後も一定の死後事務をすることが期待されます。このうち死亡届については、後見人(保佐人。補助人。任意後見人)も独自の権限で届出ができます。

では、その他の死後事務についてはどうでしょうか。成年後見人の死後事務については、「成年後見の事務の円滑化を図るための民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律」は平成28年10月13日に施行されて、成年後見人は、成年被後見人の死後も、一定の範囲の事務を行うことができることとされました。ただし、この死後事務を行うことができるのは成年後見人だけであり、保佐人や補助人・任意後見人は含まれません。

改正法(民法873条の2)により、一定の要件のもとに成年後見人がその職務として行うことができるとされた死後事務は次のとおりです。

①個々の相続財産の保存に必要な行為

例えば、相続財産に属する債権について、時効が間近に迫っている場合に、時効の中断を行うことや、相続財産に属する建物の壁が剥がれているのを修繕する等の行為

②弁済期が到来した債務の弁済

例えば、成年被後見人の(生前にかかった)医療費・入院費や公共料金の支払い

③成年被後見人の遺体の火葬又は埋葬に関する契約の締結その他相続財産全体の保存に必要な行為

例:遺体の引き取りや火葬・埋葬に関する契約の締結。成年後見人が管理していた成年被後見人所有の動産について、トランクルームに預ける契約の締結。成年被後見人の居宅の電気・ガス・水道等の供給契約を解約すること。債務弁済のために、成年後見人名義の預貯金口座を払い戻すこと。

◆死後事務の要件

成年後見人が死後事務を行うためには次の要件が必要となっています。これは、本来成年被後見人の死後は、その権利義務は全て相続人に引き継がれて、成年後見人の権限は失われるのが原則だからです。

①成年後見人がその死後事務を行う必要があること

②成年被後見人の相続人が、相続財産を管理することができる状態に至っていないとき

③成年後見人が当該死後事務を行うことについて、成年被後見人の相続人の意思に反することが明らかな場合でないこと

④民法873条の2第3号の死後事務(前記遺体の火葬・埋葬の契約など)を行う場合は、さらに家庭裁判所の許可が必要

◆成年被後見人の葬儀

では、改正法(民法873条の2第3号)によって、成年後見人は成年被後見人の葬儀を執り行うことはできるでしょうか。

葬儀社との間で、遺体の火葬・埋葬の契約をすることは、家庭裁判所の許可を得れば行えますが、改正法でも成年後見人に葬儀を執り行う権限までは与えていません。葬儀には、宗派や規模等によって様々な形態があり、その施行方法や費用の負担などを巡って成年後見人と相続人の間にトラブルが発生するおそれがあるためです。

このように、成年後見人が事後事務の一環として成年被後見人の葬儀を執り行うことはできませんが、後見事務とは別に、個人として参加した人が出した会費により無宗教でお別れ会や偲ぶ会を催すことは制限されないと考えられます。

◆保佐人、補助人、任意後見人の死後事務

では、改正法で死後事務を行うことができる者に含まれていない保佐人や補助人・任意後見人は、被保佐人や被補助人・任意被後見人等の死後事務の必要性が出てきた場合、どうすればいいのでしょうか。

被保佐人や被補助人・任意被後見人本人が亡くなった場合は、成年後見と同じように保佐・補助・任意後見は当然終了して、保佐人や補助人・任意後見人の権限が亡くなるのが原則です。被保佐人や被補助人・任意被後見人本人が死亡した後に、相続人と連絡がとれなかったりしたときなど、一定の死後事務を行う必要が出てくる場合がありますが、死後事務が一切認められないとすると、困ってしまいます。

成年後見人(保佐人・補助人・任意後見人・任意後見監督人)には、「急迫な事情のあるとき」には、例外的に、被後見人等の死後も必要な処分をする応急処分義務(善処義務)の規定(民法874条・876条の5・876条の10・任意後見契約法7条・民法654条)がありますので、急迫な事情のある場合、例えば、被保佐人・被補助人の権利が時効で消滅しそうなとき等、相続人が対応できないときには、死後事務として必要な処分をする義務で対応することが考えられます。

しかし、応急処分義務で成年後見人等(保佐・補助を含む)が行うことができる事務の範囲は必ずしも明確ではありません。葬儀については、成年後見人などの応急処分義務には含まれませんので、この規定を使って成年後見人などが葬儀をすることは勿論できません。

なお、相続人が死後事務を行えない場合は、事務管理(民法697条)として、死後事務を行うことも考えられます。

【成年後見制度について】持ち家を担保にお金を借りて生活できないか「リバースモーゲージって何」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「持ち家を担保にお金を借りて生活できないか。リバースモーゲージって何」について考えてみましょう。

【Q】持ち家を担保に老後の生活資金を借り入れ、亡くなるまで返済をしなくてよいという制度があると聞きました。そんな都合のいい話があるのでしょうか?

【A】公的年金の支給開始年齢の引き上げや支給額の引き下げの一方で、高齢者の医療や介護費用の負担はますます増大しています。そのため、高齢者にとって、老後の生活資金をどうやって工面するかは、大変切実な問題です。

このような状況下において、高齢者に対し、土地や建物等の不動産を担保に、生活費に充てるお金を次々と貸し付けていくという「リバースモーゲージ(逆抵当融資)」と呼ばれるシステムが生まれました。

持ち家を売却すれば、お金を作ることはできますが、もはやそこで暮らすことはできなくなってしまいます。しかし、この制度を利用すれば、家は担保に入れるだけですから、お金を借り入れた後も、所有者は、そこに住み続けることができます。そして、原則として、亡くなるまで借り入れたお金を返済する必要もないため、負債は増えていく一方ですが、利用者の死亡時に、担保とされた不動産を処分することにより、借り入れた金員全額(元金及び利息)を一括返済することが予定されています。借入金を返済してもなお売却代金が残った場合には、その残代金は相続人に交付されます。また、利用者の相続人は、利用者の借入金全額を一括返済すれば、その不動産を処分せずに相続することも可能です。

このように、これは、預貯金や年金などの収入がない高齢者であっても、持ち家を担保としてお金を借入ることにより生活資金を工面しつつ、持ち家をそのまま自宅として使用し続けることも可能にした便利な制度ということができます。

地方自治体やその外郭団体(福祉公社等)の他、信託銀行等の民間金融機関でも実施していますが、期間の経過に伴い、貸付金額(負債)は増えていく一方であるため、お金を貸す側は、不動産価格の下落や金利の上昇、利用者本人の長寿等により、貸付金の総額が、担保不動産の評価額を超えてしまうといった担保割れの危険を負担しなければなりません。それゆえ、広く普及するまでには至っていません。

その中で注目すべきは、厚生労働省が創設し、都道府県の補助を受けながら、都道府県の社会福祉協議会が実施している「不動産担保型生活資金(長期生活支援資金)」貸付制度です。これは、老後も、住み慣れた我が家に住み続けることができるよう、高齢者が所有している自宅土地建物(現に居住している家とその敷地)を担保として、都道府県の社会福祉協議会が、高齢者に生活費を貸し付けるというものです。ただし、所得の多い世帯の高齢者や、子どもと同居している高齢者等は、利用することができません。また、賃借権などの利用権や抵当権などの担保権がすでに設定されている不動産及びマンションのような区分所有建物については、担保の目的とすることが認められていません。

大切な不動産を担保に長期にわたり金員を借り入れるという制度ですから、貸付限度額、貸付金額、利率、返済期限、返済方法の他、これを利用する場合の注意点についても、十分理解した上で、利用の可否を決断するようにしていただきたいものです。

ご利用に際しては、この制度を実施している社会福祉協議会とよく相談ください。

成年後見無料相談会

世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は無料相談会のお知らせをします。

成年後見に関する無料相談会を、東京都行政書士会の行政書士で構成される、公益社団法人成年後見支援センターヒルフェの世田谷地区主催で、開催いたします。私もメンバーとなっております。

会場は世田谷区民会館別館【三茶しゃれなーどホール】5階集会室スワン。三軒茶屋駅徒歩3分(世田谷区太子堂2-16-7)

日時は令和元年9月5日 13:00~16:30

予約電話番号03-3426-1519(受付:東村)

予約なしでも相談できます。

皆様のお越しをお待ち申し上げております。

【成年後見制度について】知的障がいのある子供の将来の生活が心配な場合には「親なき後の財産管理」2

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「知的障害のある子供の将来の生活が心配な場合は。親なき後の財産管理」の続きを考えてみましょう。

【Q】私には子供が2人います。45歳になる長男には知的障がいがあります。自宅に夫と3人暮らしで、夫婦で長男の面倒を見てきましたが、昨年夫が亡くなり、私も今年70歳になりました。今後いつまで長男の面倒をみることができるのか、日々不安に感じています。長女は結婚しており、長男のことも気にかけてくれてはいますが、生活に余裕があるわけではなく、私の様に自宅で長男の面倒をみるというのは不可能です。そう思って、夫婦でつましい生活を送り、預貯金は4000万円ほどあり、賃料収入のあるアパートを一軒持っています。私が死んだあと、なんとか長男が暮らしていけるようにしたいと思いますが、どのようにすればよいでしょうか。

【A-3】日常生活自立支援事業を活用する

お子さんが、一人暮らしはできるけれども重要な契約ができないとか、お金の管理ができないというようなタイプの場合は、どうでしょうか。このような場合には、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の援助を利用する方法をおすすめします。

日常生活自立支援事業は、福祉サービスの利用援助を柱とし、年金や福祉手当がきちんと振り込まれているかどうかの確認、預金からの生活費の引き出し、医療費、社会保険料、電気・ガス・水道料金などの公共料金、日用品の購入代金の支払いなど日常的な金銭管理を手伝ってもらえます。また、預貯金の通帳や年金証書、保険証書、不動産の権利証、契約証、実印、銀行印、カードなどの重要な書類等を社会福祉協議会に預かってもらうこともできます。

あなたのお子さんに、ある程度の生活費があり、きちんと生活していける状態であれば、こうした援助を利用しながらある程度の年齢になるまで一人暮らしが可能だと思います。

日常生活支援事業を利用するには、まず市区町村の社会福祉協議会に相談し、まず、あなたとお子さんの状況を理解してもらいます。お子さんがお金の管理ができないというようなこともきちんと話し、子どもと日常的な金銭管理、書類の預かり等、必要な援助を内容とする契約を結んでもらい、日々の生活を見守ってもらいます。

例えば、病気が進んで一人暮らしが難しくなってくれば、そのときには、日常生活支援事業の福祉サービスの利用援助を利用して、施設に入ることなども可能でしょう。もちろん、すべて社会福祉協議会や行政まかせというわけにはいきません。成年後見人の選任が必要になったりする場合には、後見人ではないにしても、兄弟姉妹の助けを借りることなどが不可欠になります。兄弟姉妹とはよく話をして、そのような協力については了解を得ることが望ましいと言えましょう。

【A-4】ある程度の判断能力がある場合には

お金だけをきちんと渡せば生活できるが、きわめて体が弱いというようなことも考えられるかもしれません。そのような場合には、信託を利用する方法もあります。生前に親が信託契約を締結し、一定の財産を信託財産として受託者に委託し、親の死後一定額を受託者から子どもに支払わせるという方法です。信託を利用するのは、海外では多くみられるようですが、日本ではまだ歴史も浅く、財産の名義が受託者に移ることもあって、事例は多くはないようです。

【A-5】親自身が能力の低下に不安を感じたときは

死ぬまで子どもの面倒を見るつもりでも、病気などでそれが難しくなることもあると思います。親自身の判断能力の低下に備えておくことも考えておいた方がいいかもしれません。そのときには、親が誰か信頼のおける人と財産管理契約や任意後見契約を締結しておくことが考えられます。これらの財産管理人として弁護士や司法書士、行政書士などを選び、自分が亡くなった後には兄弟姉妹と連絡を取ってもらい、子どもの後見開始申立ての力になってもらうことなども考えられるでしょう。

親なき後の財産管理には、お子さんの状態をみながら、いくつかの方法を組み合わせ、成年後見や、遺言、任意後見契約などの制度を使い、社会福祉協議会や行政の手も借りて、親がある程度安心できるような準備をすることになります。その時には弁護士や司法書士、行政書士等の法律家の知恵も利用してもらいたいと思います。

【成年後見制度について】任意後見制度の落とし穴「任意後見制度利用上の注意事項」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「任意後見制度の落とし穴。任意後見制度利用上の注意事項」について考えてみましょう。

【Q】私の隣に住んでいるAさん(70歳)は、一人暮らしの上に、足が不自由で外出が難しいこともあり、日常の支払い等を含めた将来にわたる財産管理を、Eさんに任せることにしました。Aさんは、公証役場で、Eさんを受任者とする委任契約及び任意後見契約を結び、通帳などの管理を含めた財産管理全般をEさんに任せました。

契約当初は、何も問題はなかったようですが、Aさんが認知症を患い、判断能力を失ったところで事件は起きました。委任契約及び任意後見契約では、本人が判断能力を失ったときに、受任者が、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求することになっていたそうです。ところがEさんは、Aさんが判断能力を失っても、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求しませんでした。そして、Aさんが何も分からない状態であるのをいいことに、Aさんの定期預金1000万円を勝手に解約して使ってしまいました。この事実は、Eさんの行動を不審に思ったAさんの親族が、いろいろ調べた結果分かったことです。

委任契約及び任意後見契約は、利用する側にメリットがあると聞きますが、受任者の権限濫用によって本人が不利益を受ける場合があることを、Aさんの例で知りました。任意後見制度の利用に際して、本人が不利益を受けないためには、どのような点に注意すればよいでしょうか。

【A】任意後見制度は、判断能力が不十分となったときに備えるために創設された制度ではありますが、判断能力が衰える前から信頼できる人に財産管理を依頼して、本人の判断能力が不十分となった時点で、その同じ人が引き続き任意後見人に就任するという例が多くみられます。これは、財産管理を依頼する側にそのような要望があることと、本人の判断能力に関係なく同一人物が対応することで財産管理が円滑になるというメリットがあるからです。

判断能力に問題がない時点で第三者に財産管理を任せる質問のような例では、公証役場において、委任契約及び任意後見契約を結ぶことになります。ただ、委任契約及び任意後見契約では、質問の場合のように、受任者(任意後見人)に選んだ相手に不行跡があると、本人が著しい不利益を受けます。現実に、月額3万円の報酬で財産管理業務を行う契約をしたにもかかわらず、受任者が日当などと称して498万円の報酬を請求・受領した例や、預貯金の2割とそれ以外の財産を受任者の夫に遺贈する遺言を本人に作成させ、本人死亡後に347万円の遺贈を受けたという例もあります。

委任契約及び任意後見契約は、便利である反面、このようなリスクもありますので、注意が必要です。受任者(任意後見人)を決める際には、本当に信頼できる人を選ぶことが大切ですし、判断能力が衰えてきたと思われる場合には、任意後見監督人の選任を申立てて、確実に任意後見契約を発効させることが重要です。

そのためには、委任契約及び任意後見契約を締結した事実を受任者以外の親族等にも知らせ、任意後見契約発効の時期を失することがないよう、見守りの体制を整えるとよいでしょう。また、任意後見契約には任意後見人の報酬についての定めがおかれていますが、任意後見監督人の報酬は、裁判所が決めることになっているため契約上にはあらわれてきません。そのため、契約締結後に任意後見監督人の報酬が発生することまで考えずに任意後見人の報酬を決めてしまい、後で経済的に苦労するということも起こりえますのでこの点にも注意が必要です。

【成年後見制度について】任意後見制度ってどんな制度なの?「任意後見制度の内容」

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は後見制度に関して、「任意後見制度ってどんな制度?任意後見制度の内容」について考えてみましょう。

【Q】判断能力等が低下してきた場合に利用できる制度には、法定後見制度だけではなく、任意後見制度があると聞きました。それは、どのような制度でしょうか。

【A】法定後見制度は、家庭裁判所への申立てによって始まり、本人の保護・援助の内容は、法律と家庭裁判所の判断に従って、客観的な視点から決定されます。そのため、補助の場合を除いて、保護・援助の内容に、本人の要望が必ずしも反映されません。

その一方で、「判断能力が低下したときの援助の内容は、自分自身で決めておきたい。」「将来の財産管理は信頼している人に託したい。」と考える人も多いと思います。そこで定められたのが任意後見制度です。この制度では、何らかの援助が必要となった場合においても、自分のことは自分で決める、即ち、自己決定権の尊重を基本理念としています。

この制度の具体的な内容としては、まず本人の判断能力に問題がない段階で、本人と本人が将来任意後見人になって欲しいと考えて選んだ人(受任者)との間で、任意後見契約を締結します。この契約の中で、本人の判断能力が不十分となった際に、任意後見人に任せる事務の内容や範囲等について、決めておきます。ただし、この契約については、本人の真意に基づくことを明確にするため、法務省令で定める様式に従った公正証書とする必要があります。

また、任意後見人を誰にするかについても、本人の意思が尊重されます。親族でも、弁護士・司法書士・行政書士といった専門職の人でも、友人・知人でも、就任の承諾さえあれば誰でも構いません。

その代わり、任意後見人は、家庭裁判所が選任した任意後見監督人の監督を受けることになっています。この監督の目的は、任意後見人の権限濫用を防止して、本人の保護を図ることにあります。そのため、任意後見人(受任者)の配偶者、直系血族(親・子等)及び兄弟姉妹は、任意後見監督人になることができません。そして、任意後見契約は、家庭裁判所が、この任意後見監督人の選任をしたときから効力が生じます。その選任方法は、本人の判断能力が不十分となった際に、受任者が、任意後見契約に基づき、家庭裁判所に任意後見監督人の選任を請求するというのが一般的です。

このように、任意後見制度は、判断能力に問題がない段階での自らの意思を、将来、判断能力が不十分となった際の財産管理等に反映させたいと考えている人によって利用されることを、予定しています。自らの意思を反映させるということから、任意後見契約は、公証役場において、自由に解約をすることができます。ただ、任意後見監督人が選任された後の解約は、正当な理由と家庭裁判所の許可が必要です。

任意後見制度を利用することで、信頼できる人に任意後見人への就任を依頼し、その人との間で任意後見契約を結んで、例えば、福祉施設への入所契約、介護契約、預貯金の取引、不動産管理や税金の申告などを委任しておくことが可能ですので、判断能力が不十分となったときの不安を払拭できるものと考えられます。

このように、任意後見制度は、自分自身で内容を決めることができるため、制度創設当初は広く普及するものと考えられていましたが、利用数は伸び悩んでいるのが現状です。そのため、平成28年4月、政府は、任意後見制度が積極的に活用されることを目指して、同制度の利用状況の検証や必要な制度の整備などの各施策を実施することになりました(成年後見制度の利用の促進に関する法律第11条)。