【孤独死をめぐるQ&A】Q55 地方自治体への相談

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q55 地方自治体への相談についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q55】高齢の一人暮らしです。孤独死は避けたいですが、頼れる親戚、友人もおらず、また高齢で外出もままならず、これから新たな縁を築くというのも難しいです。
死んだら誰にも発見されないのではないか、死後の葬儀や遺品整理はどのようになるだろうと心配でなりません。かといって安心してお願いできる業者も知らず困っています。誰に相談したらよいのでしょうか。

【A】地方自治体やお住いの地域の地域包括支援センターに相談してみてください。
各自治体が孤独死対策を設けており、何か利用できる取り組みがあるかもしれません。
また、孤独死対策にとどまらず、亡くなった後の葬儀や遺品整理、納骨などを支援する取り組みをしている自治体も増えてきています。

【解説】

1 国や地方自治体の孤独死防止に対する取組
① 平成19年版高齢社会白書において「孤立死防止対策の創設」という記載がなされ、以後、高齢社会白書では厚生労働省の孤立死対策が掲げられています。
② 平成18年8月には「高齢者等が一人でも安心して暮らせるコミュニティづくり推進会議」が設けられました。平成20年3月に同会議の報告書が発表されました。
③ 平成24年には、厚生労働省から都道府県、指定都市、中核市宛に「地域において支援を必要とする者の把握及び適切な支援のための方策等について」(平成24年5月11日社援地発0511第1号)が発せられ、孤立死防止のための支援を必要とする人の把握、適切な支援をするように通知しています。
④ 平成30年4月1日施行の改正社会福祉法において、孤立防止のための自治体を始めとした地域の関係機関のネットワークの強化や見守り体制の構築を市町村に努力義務として課すなど、地域における孤立死対策を推進しています。
⑤ そのような流れの中、例えば、大阪府池田市は「池田市高齢者安否確認に関する条例」を制定し、民生児童委員と福祉委員が協力して高齢者宅を訪問する、安否確認が出来ない場合がそのことが市長に報告されると市の職員により立入調査ができるなどのことを定めています。
⑥ また、東京都中野区では「中野区地域支えあい活動の推進に関する条例」を制定し、70歳以上の単身者や75歳以上の世帯の名簿を自治会や民生委員・警察署・消防署に提供できる、町会・自治会委員と連携した区職員による支援を必要とする方への訪問などを定めています。
⑦ 全国の自治体でも孤立死の予防策を設けており、自治体の84.2%が孤立死防止対策として巡回・訪問活動をしており、53.9%が緊急連絡システムの構築をしているとのことです。東京都では23区、26市のうち35市区で見守りと銘打ったサービスを提供しているとのことです。
⑧ このように孤立死の防止は、国の重点政策になっており、地方自治体は、孤独死防止のための様々な施策を用意しています。

2 地方自治体の終活支援に対する取組
① 孤独死の防止からさらに進んで、高齢者の終活そのものを支援する動きも広まっています。
② なかでも有名なのは、神奈川県横須賀市が行なっている「わたしの終活登録」や「エンディングプラン・サポート事業」です。
③ 「わたしの終活登録」は、本人のエンディングノートや遺言の保管場所や葬儀・遺品整理の生前予約先など終活に関わる事項を登録しておき、認知症や死亡など万が一の際に事前に指定していた人に開示するという制度です。
④ 「エンディングサポート事業」は、葬儀社と高齢者の葬儀生前予約や死後事務委任契約について横須賀市が葬儀社の情報提供や葬祭執行者の確保協力、安否確認などを支援し、もし葬儀社が破綻した場合には、墓地埋葬法9条により市が葬儀費用を負担するという仕組みです。葬儀社が破綻しても、契約書の写しを市が保管しており、葬儀社を変えるだけでその方の意向どおりの葬儀、埋葬が行なえるのです。
⑤ 神奈川県大和市も「おひとり様などの終活支援事業」として、葬儀生前予約支援事業や緊急時、死亡時の情報提供などを行っています。
⑥ 福岡県福岡市では、福岡市社会福祉協議会が終活サポートセンターを設けており、「やすらかパック事業」として、生前の予約により死後事務(チキ荘、納骨、家財処分、役所の手続き等)を福岡市社協が委託した業者が行うというサービスを提供しています。
⑦ やすらかパックの特徴は、死後事務に要する費用を前払いするのではなく、少額短期保険会社と提携して月々の利用料金を支払えばよいとしていることです。
⑧ このように各自治体が、独居の高齢者の孤立死だけでなく、葬儀や遺品整理、納骨などの不安も解消できるような制度に力を入れ始めています。

3 自治体へ相談を
① もし独居で孤独死が不安、亡くなった後のことの事務が不安だが、安心して委託できる友人や会社が見つからないという方は、お住いの市区町村又は地域包括支援センター(世田谷区ではあんしんすこやかセンターと呼称されています)に相談してみてください。
② もちろん、弊所行政書士長谷川憲司事務所でも、ご相談に応じております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q54 保険の活用② 親族がいない場合

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q54 保険の活用② 親族がいない場合についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q54】相続人がいないので、親族以外の第三者を生命保険の受取人にしたいと思います。知り合いの保険会社の外務員に伝えたところ、親族以外は保険金の受取人に出来ないと言われました。
親族以外の第三者を生命保険の受取人にすることは出来ないのでしょうか。

【A】保険加入時には、親族以外の第三者は保険金の受取人とできない保険が多いのが実情です。ただ、最近は、同性パートナーや同居している友人などの一定の条件で第三者を保険金受取人とできる保険もあります。
また、葬儀費用のための少額な保険では第三者受取りを認めている保険もあります。
さらには、保険金直接支払いサービスという葬儀社等の事業者に直接保険金を支払う特約が付いている保険もあります。
1社で諦めず、各保険会社に聞いてみるとよいでしょう。また、保険加入後であれば、第三者に受取人を変更することができる可能性もあります。

【解説】

1 保険金受取人の範囲
① 保険金の受取人は親族に限るということは特に法律で制限されているわけではありません。
② しかしながら、各保険会社では、配偶者や二親等以内の血族などである法定相続人などと保険金の受取人を親族に制限していることが多いのが実情です。
③ このように受取人を親族に制限しているのは、第三者が受け取れるとすると、保険金に係る犯罪が発生する可能性があり、そのような事件発生を防ぐためにも、親族に限っていると聞きます。
④ ただ、家族の在り方は多様化しており、事実婚や同性パートナーについても、同居していることが分かる資料や保険会社のヒアリングなどを基に、保険金受取人と出来る保険会社もあります。
⑤ また、おひとり様が死後事務委任契約を締結している場合の死後事務の受任者を受取人と出来る例もあります。
⑥ 1社から親族が受取人でないと加入できないと断られたとしても、諦めずに自分のニーズに合った保険がないか各社に問合せしてみて下さい。

2 保険金直接支払サービス
① おひとり様が葬儀費用や死後の片付けなどの費用のために保険に入りたいということも考えられます。そのような場合、保険金直接支払サービスという特約が付けられる保険もあります。
② 保険金直接支払サービスとは、保険会社が特定サービスを提供する事業者を顧客に紹介し、顧客が提携事業者からサービスの利用を希望した場合に、保険金を受取人ではなく、当該事業者に対してその代金として支払うことをいいます。
③ これにより、事実上、保険金受取人を当該事業者に変更できます。この保険金直支払サービスは、葬儀費用などでも用いられています。

3 生命保険信託
① 保険金を第三者に支払ってもらう方法としては、生命保険信託という方法もあります。
② これは、生命保険金請求権を信託銀行に信託をし、信託銀行が生命保険金を請求し、受領した保険金を信託契約に基づいてあらかじめ指定した人、指定した金額、方法で支払をするというものです。
③ 生命保険金を支払う相手は、信託契約で定めることができるため、親族以外でも第三者や特定非営利活動法人に支払うことができます。
③ また、一括で支払うことなく毎月定額を支払うなど柔軟な支払方法が実現可能です。信託銀行(信託会社)がそれぞれ提携している生命保険会社と商品を設計していますので、各信託銀行に問合せ下さい。

4 保険金受取人の変更
① 保険法43条(生命保険契約)は、1項において「保険契約者は、保険事故が発生するまでは、保険金受取人の変更をすることができる。」と定め、2項において「保険金受取人の変更は保険者に対する意思表示によってする。」と定めています。
② 保険金受取人の変更行為は、相手方のある単独行為としての性質を持つと言われており、保険会社の承諾なくして変更が可能です。
③ そのため、保険加入後であれば、受取人を第三者に変更することは可能と考えます。なお、障害疾病定額保険に関しても、保険法72条において同様の規定が設けられています。
④ また、保険金受取人は遺言によっても変更をすることが可能です(保険法44・73条)。ただし、遺言による保険金受取人の変更は、その遺言が効力を生じた後、保険契約者の相続人がその旨を保険者に通知しなければ、これをもって保険者に対抗することができないとされています(保険法44条2項)。
⑤ 保険金請求が死亡後数営業日で可能であることを考えると、せっかく遺言で保険金受取人を変更しても、それを保険会社に通知する前に従前の保険金受取人が保険請求をして保険金が支払われてしまう可能性もあります。確実に変更をしておきたいのであれば、生前に変更をしておいた方がよいでしょう。

5 生命保険金の受取方法
① 生命保険金を受け取るには、保険会社所定の請求書の他、被保険者の住民票、受取人の戸籍抄本、受取人の印鑑証明書、保険証券などの他、医師の死亡診断書又は死体検案書が必要とされることが通常です。
② 医師の死亡診断書又は死体検案書は、死亡届の右側にありますので、死亡届を提出する際にコピーを取っておくことが必要です。
③ 第三者が保険金を請求する場合、ネックになるのが死亡診断書です。死亡届の提出義務者ではないため、写しを持っていないこともあります。
④ また、役所からの死亡届の記載事項証明書を発行してもらえれば死亡診断書を取得できるのですが、残念ながら民間への保険会社に対する保険金請求を理由としては発行してもらえません。
⑤ そのような場合、死亡の診断をした医療機関に死亡診断書を再発行してもらうか、コピーを渡してもらうように交渉をすることになりますが、遺族でない第三者に対する再発行は拒否されることが多いのが実情です。

【孤独死をめぐるQ&A】Q50 死後事務委任契約について

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q50 死後事務委任契約についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q50】私には一応甥・姪はいるのですが、まったく付き合いはありません。亡くなった後のことで面倒をかけるのは申し訳ないので、葬儀や納骨、諸手続きなどをあらかじめ第三者にお願いしておこうと思います。
死後事務委任契約という契約があると聞いたのですが、どのような契約でしょうか。契約締結に当たり注意する点はありますでしょうか。

【A】死後事務委任契約は、死後も契約が終了せずに葬儀、納骨、埋葬に関する事務等亡くなった後の諸手続等を依頼するという契約です。
ただ、財産の処分に伴うものについては、遺言を作成し、遺言執行者に執行してもらった方が確実なので、あくまで死後の事務に関するものを依頼するようにした方がよいでしょう。

【解説】

1 死後事務委任契約とは
① 死後事務委任契約とは、委任者が第三者に対して、葬儀、納骨、埋葬に関する事務等亡くなった後の諸手続等に関する代理権を付与して、死後事務を委任する契約をいいます。
② 生前の委任契約は、委任者の死亡により終了します。また成年後見人も任意後見も被後見人の死亡により終了します。成年後見人は、裁判所の許可を得て、一定の事務を行うことができますが、例えば火葬、埋葬はできますが、葬儀は出来ないなど、制限があります。
③ そこで、委任者が亡くなった後も委任契約が終了しないという特約をつけて、死後の事務を委任するという死後事務委任契約が用いられています。

2 死後事務委任の有効性
① 前述のとおり民法上、委任契約は委任者の死亡によって終了するとされています(民法653条1号)。
② もっとも、民法653条1号の規定は任意規定であり、委任者が死亡しても委託関係が終了しないという特約は有効です。
③ 大判昭和5年5月15日が「自己の手もとにおいて養育することができないため、生後間もなく、幼児の養育を委託した場合には、受任者が幼児を養育する限り、委任者の死亡により委託関係を終了させない特約があるものと認めるのを相当」としており、死後のことを委任するという契約自体は、相当昔から活用されていたことが伺われます。
④ そして、葬儀、法要等について委任するといういわゆる死後事務委任契約についても、最三小判平成4年9月22日において、委任者が、受任者に対し、入院中の諸費用の病院への支払、自己の死後の葬式を含む法要の施行とその費用の支払、入院中に世話になった家政婦や友人に対する応分の謝礼金の支払を依頼する委任契約は、委任者の死亡によっても契約を終了させない旨の合意を包含しており、民法653条はかかる合意の効力を否定するものではないと判示し、死後事務委任契約の効力を肯定しました。

3 死後事務委任の相続人からの解除
① 死後事務委任契約が死亡によって終了しないとしても、相続は包括承継ですので、相続人は委任者としての地位も相続します。
② 委任者はいつでも委任契約を解除できますので(民法653条1項)、委任者の相続人は、いつでも委任契約を解除できるのではないかとも考えられます。
③ この点、東京高判平成21年12月21日は、死後事務委任契約の「委任者は、自己の死後に契約に従って事務が履行されることを想定して契約を締結しているとして、委任者の地位の承継者が委任契約を解除して終了させることを許さない合意も包含すると判示しています。
④ なお、同判決は「その契約内容が不明確又は実現困難であったり、委任者の地位を承継した者にとって履行負担が加重であるなど契約を履行させることが不合理と認められる特段の事情」がある場合には、解除が認められるとしています。
⑤ ただ、通常の死後事務委任契約において、委任者の履行負担が加重になることは考えづらいので、契約内容が明確で実現可能なものにしておくことだけ気を付けておけばよいのではないかと考えます。
⑥ 相続人からの解除が制限されるという裁判例がある以上、もともと死後事務委任契約において相続人の解除権を制限する特約をすることもできると考えられますので、そのような規定を設けておく方がよいでしょう。

4 死後事務委任契約による預貯金払戻し
① 死後事務委任契約は、納骨、埋葬に関する事務等亡くなった後の諸手続などの事務を主眼にするのが通常ですが、死後事務委任契約により財産の処分はできるのでしょうか。
② 相続人ではない死後事務委任契約の受任者が預金を払い戻した事案(高松高判平成22年8月30日)で、預金払戻しに応じた金融機関の責任について死後事務委任契約の受任者は「被相続人名義の預金の管理処分権を有しており、上記預金の全部について払戻しを受ける権限があるから、被控訴人の要求に応じて被控訴人銀行が上記預金の払戻しをしたことによって、上記預金債権はすべて消滅している。」と判断しており、死後事務委任契約の受任者による預貯金払戻しは有効だと判断しています。
③ ただ、同判決に関する論評として、「委任契約の成立について争いはないとしても、相続人の同意を得て払戻しを行った方が無難」との意見もあります。
④ 死後事務委任契約の解除に制限があるとしても、相続人が解除の意思表示をしていた場合、解除の有効性を金融機関側で判断することはできません。また、当然のことながら、委任者は死亡しているため、本人に確認することもできません。そのような事情からすれば、金融機関として、相続人の同意を求めるという運用にはやむを得ない側面もあります。
⑤ このように死後事務委任契約の受任者の受けた払戻しが有効か無効かと実際に銀行が払戻しに応じてくれるかどうかは別問題であり、金融機関によっては、相続人の同意を求める可能性があります。そうであるとすれば、財産の処分を伴うものについては、遺言書を作成し、遺言執行者として行ってもらう方が確実なのではないかと思います。

5 死後事務委任契約に基づく費用の預かりと信託業法
① 死後事務委任契約に基づく預貯金払戻しは速やかに応じてもらえるかは不安が残ります。そうしますと、死後事務に関する費用は、事前に預かっておくことになります。
② では、死後事務に要する費用は事前に預かっておくことに信託業法免許はいらないのでしょうか。信託法2条1項において、「信託」は「特定の者が一定の目的に従い財産の管理又は処分及びその他の当該目的の達成のために必要な行為をすべきもの」としています。死後事務委任契約の預かり金は、委任者の死後事務に用いるという目的で管理し、委任者の死亡後は目的達成のためにその財産を処分するので、一見「信託」にあたり、それを業として行うには信託業法免許が必要とも思えます。
③ しかし、信託業法2条1項、信託業法施行令1条の2第1号は「弁護士又は弁護士法人がその行う弁護士業務に必要な費用に充てる目的で依頼者から金銭の預託を受ける行為その他の委任契約における受任者がその行う委任事務に必要な費用に充てる目的で委任者から金銭の預託を受ける行為」は信託業法の対象外としています。
④ ここでいう弁護士や弁護士法人は例示であり弁護士以外でも「委任契約における受任者が委任事務に必要な費用に充てる目的で金銭の預託を受ける行為」が信託業法の適用除外とされています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q47 納骨堂の事前購入の注意点

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q47 納骨堂の事前購入の注意点についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q47】私には子もおらず、亡くなったとしても墓を継ぐ人はいません。かといってきちんと供養はしてもらいたいので、納骨堂を事前に購入しておこうと思っています。
納骨堂の事前購入に当たって何か気を付ける点はありますでしょうか。また、事前購入した後、不要になった場合にはキャンセルできるものでしょうか。

【A】機械搬送式納骨堂は、運営維持コストがかかります。納骨堂の運営主体が安心かどうかについて、より一層厳しく確認する必要があります。
購入をする際には、キャンセルを禁止する内容の契約になっているかの確認が必要です。禁止する規定がないのであれば、キャンセルは認められるのが通常です。
キャンセルできない、キャンセルしても一切お金が帰ってこないという内容の規定の場合がありますが、そのような規定は消費者契約法上無効の可能性もあります。

【解説】

1 納骨堂の事前購入
① 自身が亡くなった後に遺骨を納骨するために、生前に納骨堂を購入しておくという方もいます。
② 納骨堂の購入の場合、葬儀や遺品整理の事前予約と異なり、事前に納骨堂の区画を購入し、その購入代金を全て支払うという契約が一般的です。
③ 葬儀や遺品整理の生前予約は、事前予約からサービス提供までの期間が長いといっても、生前予約から生前予約者が亡くなるまでの期間です。
④ これに対して、納骨堂は、購入者が亡くなった後もお付き合いをすることになります。また、最近主流の機械搬送式の納骨堂は、維持コストや修繕コストもかかります。
⑤ そのため、葬儀や遺品整理の生前予約よりも、より一層安定した運営主体を選択する必要があります。

2 納骨堂購入後のキャンセル
① 納骨堂を購入した後、実際に自分が亡くなり、遺骨を納骨するまでの間には期間が空きます。その間に納骨堂を必要とする事情がなくなってしまった場合、解約はできるのでしょうか。
② この点、納骨堂の使用関係について特に細則や利用規約が定められていない事例ですが、契約後、死亡前に永代供養、納骨壇使用契約を解除し、事前に支払った永代供養料、納骨壇申込金の返還を求めて争われた訴訟があります。
③ 同判決は、永代供養契約は供養という事実行為の準委任契約であり、別段の合意がない限り、民法656条、651条1項の規定により、各当事者は本件永代供養契約をいつでも解除することができるとしました。
④ そして、「被供養者の死亡によって初めて委任事務が開始されるものとされていることが認められるから、永代供養契約が被供養者の死亡前に解除された本件では、いまだ被告の負担する債務の既履行部分はない」とし、契約解除に伴う原状回復義務として永代供養全額の返還義務を認めています。
⑤ また、納骨壇使用契約については、納骨壇使用契約は建物賃貸借契約の性質を中心としつつ、準委任契約の性質を併せ有する混合契約であり、使用者は、いつでも本件納骨壇使用契約の解約の申入れをすることがでい、解約申入れの日から3ヵ月経過後(民法617条1項2号)に同契約は終了するとしました。
⑥ そして、納骨壇使用契約を解除した場合、納骨壇申込金の扱いについて、「納骨壇使用契約の締結から上記解約まで、5年7カ月~7年7カ月程度の期間が経過しており、その間はいずれの納骨壇においても実際に遺骨は収蔵されていないものの、被告において、原告のために各納骨壇を割り当て、碑銘を入れた金属プレートを納骨壇の扉に取り付ける等して、原告らによる使用に委ねていたのであり…、これに見合う対価相当部分は返還義務の対象とならない」としながらも、現実に遺骨を収蔵するという納骨壇としての本来的な意味での使用はいまだ開始していないこと、半永久的とされる期間を合理的に画して仮に100年だとしても、経過期間は5~7%にすぎないことなどを理由に納骨壇申込金の1割に相当する金額を控除してこれを返還させるのが相当という判断をしました。
⑦ この裁判例の判断によれば、規約がない場合、納骨堂を購入しても実際に遺骨が収蔵されるまでキャンセルは可能と言えます。

3 納入された費用は返還しないという条項について
① 納骨堂の使用契約も、事業者と消費者との契約ですから、消費者契約法が適用される可能性があります。適用される場合、消費者契約法9条1号により、事業者と消費者との契約において、違約金が解除の事由、時期等の区分に応じ、当該事業者に生ずべき平均的な損害を超える額を超える場合、超える部分は無効となります。
② この点について、適格消費者団体である公益社団法人全国消費生活相談員協会では、納骨堂を購入する契約において、既に納入した使用権料及び管理費の返還は請求することができないという使用規定について差止めを申入れ、その結果、当該条項が修正されたという事例を公表しています。
③ 納骨堂の使用契約については、「墓地経営・管理の指針等について」(平成12年12月6日生衛発1764号)において、埋蔵管理委託型標準契約約款が公表されています。 
④ この埋蔵管理委託型標準契約約款8条は、使用者からの解除について定めています。同条の解説の中で、「墓石の設置も焼骨の埋蔵もしていない、つまり実質的に何ら墓地を使用していない場合においてまで高額な負担を全額負わせることは妥当ではないと考えられる」との指摘はされております。

4 キャンセルできるとしても契約は慎重に
① このように納骨堂を事前購入し、その後、キャンセルをしようとする場合、訴訟で争えばキャンセルが認められ、一定程度の申込金が戻ってくる可能性は高いと思われます。
② しかし、納骨堂の運営主体にとっては、事前購入し実際に遺骨が収蔵されるまでは比較的自由にキャンセルができ、かなりの金額を返金することとなると、購入者は、亡くなるまでの間に新たな納骨堂ができてしまうと、キャンセルをしてそちらを購入するということが容易になってしまいます。そのため、キャンセルや返金については争いになることが予想されます。
③ また、上記裁判例や適格消費者団体の指摘を受けて、もし、納骨堂契約が解約されても可能な限り返金する金額が少なくなるよう工夫している例もあります。
④ 購入後に返金をめぐってトラブルになることを避けるためにも、納骨堂の購入は慎重に吟味して決定した方がよいでしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q46 葬儀等の生前予約の注意点

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q46 葬儀等の生前予約の注意点についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q46】亡くなった後に親族に迷惑をかけないように、葬儀や遺品整理などについて生前予約をしておこうかと思います。
生前予約に当たって何か気を付ける点はありますでしょうか。

【A】内容が明確になっているかを確認してください。また、実際に費用まで前払いしてしまうときには、その業者の経営が安心か、生前契約の内容、特に契約の見直し、死亡時の連絡、契約の終了などが適切な内容になっているかなどを確認してください。

【解説】

1 生前予約とは
① 葬儀社や遺品整理業者の中には、亡くなった後に備えて、葬儀や遺品整理について生前に契約を締結しておく、生前予約サービスを提供している業者がいます。
② このような生前予約をしておけば、葬儀や遺品整理がいくらくらいかかるかが分かるし、基本的には自身の希望通りの葬儀や遺品整理をしてもらえます。
③ 葬儀は、亡くなった後すぐに手配をしなければならず、検討や準備のための時間があまりありません。そのため、思っていたのと費用や内容が異なり、葬儀社とトラブルになるということもまま生じてしまいます。
④ 国民生活センターが発表している「大切な葬儀で料金トラブル発生!後悔しない葬儀にするために知っておきたいこと」においても、後悔しない葬儀にするために知っておきたいこととして、「事前に相談できる葬儀社を見つけてみましょう。もしもの時に慌てないように、事前に相談をしてみましょう。」
⑤ 「あらかじめご遺体の搬送や葬儀の依頼をする葬儀社を決めておくと安心です。葬儀社を決めていれば、もしもの時に落ち着いて準備をすることができます。」と挙げています。葬儀の事前相談は、国民生活センターもお勧めしています。

2 内容の明確化
① 生前予約をする場合、その内容や金額が明確でないと、結局は後々トラブルの火種が残ってしまいます。
② そのため、しっかりと希望している内容を伝え、費用を見積もってもらうことが重要です。ただ、生前予約の場合、予約をした人がいつ亡くなるか分からず、実際に葬儀や遺品整理などのサービスが提供される時期が生前予約のために見積もった時期からずいぶんと期間が空くということも想定し得ます。
③ その間に物価が急激に変動してしまえば、当時の料金ではサービスの提供ができなくなってしまうという可能性もあります。
④ そのような場合に備えて、生前予約するときには、例えば、長生きをしたらどの程度、料金が変動する可能性があるのかの目安など聞いておいた方がよいでしょう。

3 契約の見直し
① 葬儀や遺品整理の生前予約の場合、いつ亡くなるのかが分からず、生前予約からサービスの提供までに長い期間が空く可能性があるという特殊な事情があります。
② その間に、もともと生前予約を必要としていた理由がなくなることもあり得ます。例えばですが、生前予約した時点では親族と仲違いをしていて親族に依頼ができなかったが、亡くなるまでの間に仲直りをして必要性がなくなるということもあり得ます。
③ そのような場合、生前予約の内容を変更したり、キャンセルしたりする可能性があります。それに備えて、生前契約が生前予約内容の変更やキャンセルができるような規定になっているか確認した方がよいでしょう。
④ なお、サービス提供前にも関わらず、キャンセルができないという内容の契約や多額のキャンセル料がかかるという内容の契約は認められません。
⑤ 消費者契約法9条1号は、事業者と消費者との契約において、違約金が、解除の事由、時期等の区分に応じ、当該事業者に生ずべき平均的な損害を超える額の場合、超える部分は無効としています。
⑥ 葬儀や遺品整理の生前予約の場合、結婚式や旅行などと違い、サービスの提供日があらかじめ決められておりません。そのため、ある客が予約していたことにより、サービス提供日に他の客の予約を受けられずに機会損失となったという損害は発生し得ません。
⑦ そうなると、生前予約の変更やキャンセルによって事業者に生じる損害は、せいぜい事務手数料程度と考えられ、高額なキャンセル料が認められることはないと考えます。
⑧ この点については、大阪高判平成25年1月25日の判例では、会員制の冠婚葬祭業者と会員との間の契約の途中解約における解約返戻金を制限する条項について、月掛金の振替費用、会員向けニュースや入金状況通知の作成・送付費用のみが平均的な損害であり、それを超える部分は消費者契約法9条1号により無効と判断しています。

4 死亡時の連絡確保
① 葬儀や遺品整理の生前予約をしたからといって、葬儀社や遺品整理業者が自ら申込者が亡くなったことを把握して、自主的にサービスを提供するわけではありません。
② 生前予約が実現されるには、生前予約者が亡くなったことを把握して、葬儀社等に連絡する人を確保する必要があります。
③ 通常は親族や友人を想定しますが、協力を求めることができない場合、遺言に記載して遺言執行者に葬儀社等への依頼をしてもらう、葬儀等の手配について死後事務委任契約を締結しておくなどの準備が必要となります。

5 契約の終了
① 生前予約をしていても、実際には、遺族の希望により、生前予約をしていた葬儀や遺品整理が実行されない場合があります。そのような場合も、キャンセルと同様に考えることになります。
② また、遺族が生前予約の存在を知らずに業者に連絡がこないというケースや、遺族が生前予約の存在は知っていても依頼するつもりがなくあえて連絡をしてこないというケースも想定できます。
③ そのような場合に備えて、いつまでに連絡が来ない場合にはキャンセルとして扱うというような条項が定められているのかどうかを確認することが必要です。
④ また、連絡が来ないことによるキャンセルに備えて、あらかじめ返金先口座を指定しておいた方がよいでしょう。もちろん、連絡が来ない場合のキャンセル料についても、平均的な損害額を超えることはできません。

6 生前予約においてお金を支払う場合
① 生前予約は、単なる予約の場合から予約申込金や予約事務手数料として数万円だけ支払っておく場合、見積金額の全てを先に支払っておく場合など様々です。
② 独居の高齢者の中には、お金を先に支払っておいた方が安心するから先に支払いたいと希望する方も一定数います。しかし、先に支払ってしまう場合には注意が必要です。
③ 葬儀は数十万円から数百万円もする高額なサービスです。そのような高額な費用を一民間会社である業者に支払っても、実際にその業者が生前予約者が亡くなるまでの間存続しているとは限りません。もし生前予約した業者が倒産してしまえば、支払ったお金はほとんど戻ってこないことになります。
④ 現に、高齢者から将来の葬儀代として預託金を集めていた公益財団法人が、預託金を流用した結果、破産をしたという事件もありました。破産した法人は、預託金については弁護士ら第三者の事務所で預託金を管理するとうたいながら、実際にはそうした管理をせずに流用していたと報じられています。
⑤ 本当に、前払いしたお金が保全されているかを外から確認することは困難です。特に規制がされていない現状では、生前予約はしても、費用全額の前払いはしない方がよいといわざるを得ません。
⑥ この点、千葉県消費者行政審議会が公表している「前払い型生前契約による葬儀サービスに係る消費者被害防止に向けた提言」においても、「生前契約は、契約当事者の死亡後履行されるものであり、履行の時期が不確定であり、一括前払いによる契約は、消費者のリスクが高いのではないか。」と前払い型の生前予約のリスクの高さを指摘しています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q44 遺言② 遺言の執行

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q44 遺言② 遺言の執行についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q44】おひとり様から遺言執行者になるように依頼され、遺言執行者に指定されています。
遺言では、慈善団体に寄付をするとの内容になっています。おひとり様の遺言の執行者として特に気を付けておかなければいけないことを教えてください。

【A】おひとり様が慈善団体に寄付をするという遺言の場合、遺産を換価して現金化してから寄付をするといういわゆる清算遺贈の執行になることが想定されます。清算型の遺言執行は、登記変更や税金など気を付けなければならないことが多いので、専門家の助言を受けながら進めることをお勧めします。
また、遺言者が死亡した場合に、きちんと連絡が来るための工夫も必要です。

【解説】

1 財産処分の公平性
① 清算型遺言執行の場合、不動産を換価するという業務が発生することが多くあります。また、不動産に限らず、資産性の高いものを売却することになります。
② その際、遺言執行者の知り合いの業者に安値で売却するなどしたら、当然、遺族や関係者から疑念の目で見られることになります。
③ 複数業者に見積もりを取る、不動産を売却する場合、多数の不動産業者に声を掛けて一番高い不動産業者に売却する入札方式を採るなど、売却先や売却金額が公正であることを担保する方法を採用することをお勧めします。

2 遺留分への配慮
① 相続人に遺留分権者がいる場合、遺留分権者に連絡をし、遺留分を精算してから寄付することをお勧めします。
② そうしないと、寄付を受けた慈善団体が遺留分権者との間で紛争を抱えることになる可能性があるからです。
③なお、遺言執行者を業として行っている方もいます。その場合、遺言執行者と言えども、遺留分をめぐる紛争に関与すると非弁行為(弁護士法72条違反)に該当する可能性があります。

3 登記について
① 清算型の遺言執行において、遺言執行者が不動産を売却することは可能です。
② ただし、移転登記には注意が必要です。まず、死者である被相続人から直接買主に移転登記をすることはできません。いったん、法定相続人名義の登記に法定相続分の登記をし、それから買主への移転登記をすることになります。
③ この相続登記は、遺言執行者が単独で申請することができるので、相続人の協力は不要です。(昭和45年10月5日民事甲4160号民事局長回答)
④ 相続人が不存在の場合には、相続財産は法人となりますので、いったん相続財産法人への名義人表示変更登記を行うことになります。

4 譲渡所得税について
① 不動産の売却により不動産譲渡所得税が発生する場合、法定相続人に不動産譲渡所得税が課せられてしまいます。
② そのため、不動産譲渡所得税の発生の有無を確認し、不動産譲渡所得税が発生する場合、その分はあらかじめ控除して第三者への遺贈を実行する必要があります。
③ また、不動産売却に先立ち、相続人に連絡をし、税務署からのお知らせが来る可能性があることなどを相続人に伝えておいた方がよいでしょう。
④ 自らが取得したわけではないのに課税されたり、税務署からお知らせが来る可能性があることを知らなければ、感情的になることが予想されます。
⑤ この点東京地裁の判決では、遺言執行者が相続人に事前通知することなく不動産を処分したことにつき、相続人から遺言執行者への損害賠償請求を認めたものがあります。
⑥ また、遺言執行者が不動産譲渡所得税を控除することを失念して第三者に遺贈してしまった場合、不動産譲渡所得税を納税した相続人から求償される可能性があります。

5 遺言執行者への連絡の確保
① 遺言執行者を選任しておいても、亡くなった後、すぐに遺言執行者に連絡が来なければ故人の希望尾がかなえられない可能性があります。
② 病院に入院していて死亡するような場合、本人が病院に伝えていたり、入院した時点で連絡がきたりするので、亡くなった場合でも把握はしやすいと言えます。
③ しかし、自宅や外出先で亡くなってしまった場合、遺言者が死後事務まで依頼していることをすぐに周りが把握できず、遺言執行者に連絡が来ない可能性もあります。
④ 同居人がいる場合、同居人に伝えておけばよいでしょうし、親しい親族がいる場合、その人に伝えておけばよいでしょう。
⑤ ただ、死後の事務も含めて遺言を残しておきたいという場合、同居人や親しい親族がいないということもあり、工夫が必要です。
⑥ おひとり様の作成した遺言の遺言執行者に選任されている場合、遺言執行者宛の連絡依頼カードを作成して、遺言を書いた方に渡すとよいでしょう。
⑦ カードは名刺サイズで、ラミネート加工します。最低3枚渡しており、1枚は財布の中に入れてもらいます。外出先で亡くなった場合、身分確認で財布の中は確認されるはずです。
⑧ もう1枚は冷蔵庫に貼ってもらいます。自宅で亡くなった場合、冷蔵庫に貼って有れば、物に埋もれることはありません。
⑨ そして最後の1枚は、信頼できる友人や親族に渡しておいてもらっています。

【孤独死をめぐるQ&A】Q42 孤立死の防止

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q42 孤立死の防止についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q42】一人暮らしの高齢者です。自宅で死ぬ可能性があることはある程度受け入れているのですが、誰にも気づかれずに腐敗してしまうという事態は避けたいです。
いわゆる孤立死を防止するためには、どのような方法があるでしょうか。

【A】一人暮らしである以上、自宅で一人で亡くなってしまうという孤独死を完全に回避することはできないかと思います。
ただ、万一、自宅で亡くなってしまった場合、誰にどのように発見してもらうかを具体的に考えて準備しておくとよいでしょう。
最近では、独居の高齢者同士が知り合いを作りやすい企画が用意されたり、見守りサービスも提供されていたりしますので、検討しても良いでしょう。

【解説】

1 新たな縁を作る
① 一人で生活している以上、居室内で亡くなってしまう可能性を完全に排除するということは不可能と思われます。
② それよりも、異常があった場合にはなるべく早く気付いてもらい、もし居室内で死んでしまったとしても、早い段階で発見してもらえるようにしておくというのが対策だと思います。
③ 人は、生まれてから死ぬまでずっと一人であるということはありません。血縁、地縁、社縁等の縁が必ずあります。ただ、高齢になっていくと、様々な事情からそれらの縁が機能しなくなってしまう方がいるのも事実です。死んでも誰にも気づいてもらえないと不安な方は「結縁」を試みてください。
④ もともと「結縁」は仏教用語なのですが、ある住職さんが新しい縁を作ることによって孤立することを防ぐための活動という意味でつかわれています。
⑤ 「墓友」が遺体を見つけてくれたというケースがあります。納骨堂や合祀墓を事前購入する場合、同じような境遇、つまり一人暮らしで墓の面倒を見てくれる人がいない方々が集まっていることが多く、事業者によっては、そのような方が横のつながりを持てるようなイベント等を開催しています。
⑥ そこで友人になった人が、イベントに参加していない方を不審に思い、自宅迄確認に来てくれて遺体が発見されたという経緯です。
⑦ その他、終活バスツアーなどを企画している旅行会社もあり、高齢者の一人暮らしの方々が新たな縁を作る機会が増えています。

2 見守りサービス
① 親族はいるけど、遠くに住んでいるし、働き盛りで忙しいからなかなか連絡は取れないと不安を抱かれる方もいます。
② そのような不安を解消するために、最近では自治体や企業が高齢者の見守り・安否確認サービスを提供しています。
③ 例えば、郵便局も「みまもり訪問サービス」を提供しています。ガスの利用状況を遠くの家族に配信するというサービスやインターネットにつながっているポットが、離れている家族にポットの利用状況を知らせるサービス等もあります。
④ このようなサービスを利用することで、高齢者の方がもし動けなくなったとしても、すぐに気づいてもらえます。
⑤ また、見守り契約というサービスを提供している会社や士業もあります。見守り契約は行政書士や司法書士等が、任意後見契約などと一緒に提供していることが一般的です。
⑥ 上記のようなITを用いた遠隔確認サービスも万が一の際にその連絡を受ける人がいないのであれば、利用できません。
⑦ そのような場合、連絡を受ける人についても死後事務委任契約を締結している方や、遺言執行者に指名している方などと見守り契約を締結し、連絡の受取先になってもらうのも一つの解決方法でしょう。

【孤独死をめぐるQ&A】Q39 賃貸物件の明渡し

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q39 賃貸物件の明渡しについての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q39】一人暮らしの高齢者に居室を貸していたところ、亡くなってしまいました。居室内の動産については、どのように処分すればよいでしょうか。

【A】自力救済は禁止されており、貸主が勝手に処分をすることはできません。相続人に処分をしてもらうか、法的手続により明渡しをしてもらうことになります。

【解説】

1 自力救済の禁止

① 貸室内で一人暮らしの方が亡くなった場合、遺族が居室内の動産を処分するまでの間、貸室を貸すことができなくなってしまいます。
② そのような場合、賃貸人が勝手に動産を処分してしまうことはできません。勝手に動産を処分してしまうと、器物損壊罪などの犯罪になりかねません。
③ 自力救済の禁止といい訴訟等の司法手続によらずに実力をもって権利回復を果たすことは認められていないのです。
④ 賃貸人が居室内の動産を処分するためには、動産の所有者となる相続人に動産を処分してもらって、居室を明渡してもらう、相続人から居室を明渡してもらい動産の処分について同意をもって処分をするなど相続人の協力を得るか、それができない場合には、訴訟等の法的手続により解決するしかありません。
⑤ なお、大阪高判令和3年3月5日は「原契約賃借人本人と連絡が取れない状況の下、電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から賃借物件を相当期間利用していないものと認められ、かつ、賃借物件を再び占有使用しない原契約賃借人の意志が客観的に看取できる事情が存するときに、現契約賃借人が明示的に意義を述べない限り、賃借物件の明渡しがあったものとみなす権限を…付与する条項」を適法と判断しています。
⑥ 現在上告中のようですが、この判断が維持された場合、高齢者の死亡で相続人が居住しないと明言しているような場合に明渡しとみなす条項を設けることができる可能性はあります。

2 法的な手続

① 居室内の動産も賃貸借契約における賃借人の地位も相続人に相続されます。
② したがって、賃貸人としては、貸主の相続人に対して、賃料の不払いを理由に賃貸借契約を解除し、居室の明渡しを求めて訴訟提起するというのが基本的な手続きになります。
③ そして、訴訟により判決を取得した上で、強制執行により居室の明渡しを実現させることになります。

3 相続人がいない場合の法的手続 特別代理人の選任

① 当初から相続人がいない場合は勿論、相続人が全員相続放棄をした場合も相続人が不存在となり、賃借人の地位も動産の所有権も相続する人がいなくなってしまいます。
② そのような場合、相続財産管理人の選任を申立て、相続財産管理人から引き渡しを受けたり、動産の処分をしてもらうことになります。
③ ただ、相続財産管理人の選任には時間もかかり、また予納金などの費用もかかってしまいます。
④ そのような場合、相続人が誰もいないことを理由に特別代理人を選任してもらい、特別代理人相手に訴訟提起や強制執行申立てをすることができます。
⑤ 民法951条により相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は相続財産法人となります。そして、相続財産法人の代表者となる相続財産管理人が選任されていない場合、民事訴訟法37条、35条により、代表者のない法人たる相続財産に対し訴訟行為をしようとする者は受訴裁判所の裁判長に対し、特別代理人の選任を申請することができるのです。
⑥ 特別代理人選任の方が、相続財産管理人選任よりも費用も時間もかからないことから、単に明渡しを求めるような場合には、特別代理人選任の方がよいと考えられます。

【孤独死をめぐるQ&A】Q26 死亡届は誰が出すか

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q26 死亡届は誰が出すかについての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q26】不動産管理会社を営んでいますが、当社で賃貸しているマンションで一人暮らししていた方が自宅で亡くなりました。
故人と生前に付き合いがあったという弁護士から、遺族と連絡がつかないので管理会社として死亡届に捺印して欲しいと言われたのですが、管理会社が死亡届に捺印できるものなのでしょうか。

【A】死亡届を出せる人は法律で決まっています。
マンションの管理会社は、家屋の管理人として死亡届に捺印できます。

【解説】

1 死亡届とは

① 死亡届は戸籍法86条により死亡の事実を市区町村の役所に届出る手続きです。
② 死亡届の提出により戸籍に死亡の事実が記載され、また住民票が抹消されることになります。
③ 死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内に出す必要があります。死亡届の期限を守らない場合、5万円以下の過料に処せられる可能性があるため、期間を遵守する必要があります。
④ 死亡届出書の用紙は、死亡診断書/死体検案書と一体となっています。死亡診断した医師に死亡診断書/死体検案書部分を記入してもらい、死亡届出義務者が死亡届を記入し、署名捺印することで死亡届を出せるようになります。

2 死亡届義務者

① 死亡届は誰でも出せるというわけではなく、戸籍法87条に規定された者が出せます。
② まず、届出義務を負う者として、同居の親族、その他の同居者、家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人が挙げられています。
③ また、届出義務までは負わないが届出ができる者として、同居の親族以外の親族、後見人、保佐人、補助人、任意後見人及び任意後見受任者が挙げられています。
④ 通常は、親族が死亡届を出しますが、親族がいないというケースもあります。「家主、地主又は家屋若しくは土地の管理人」は、死亡者が死亡した場所である土地または家屋の所有者または管理人を指すとされています。
⑤ 例えば、自宅で亡くなった場合、賃貸アパートやマンションの賃貸人や分譲マンションの管理会社がそれにあたります。
⑥ また、介護老人保健施設や有料老人ホーム、私立病院などで亡くなった場合、その施設長が届出人となることもあります。公立病院は、戸籍法93条、56条により届出義務が課せられます。
⑦ 死亡届の届出は条文で挙げられている順序によらず届出をすることができますし、届出義務者がいても戸籍法87条2項記載の者が死亡届を出すこともできます。

3 死亡届の提出先

① 死亡届の提出先は、どこでもよいというわけではありません。届出先は、法律で定められており、⑴死亡者の本籍地の市区町村役場、⑵届出人の所在地の市区町村役場、⑶死亡者の死亡地の市区町村役場となっています(戸籍法25条1項、88条1項)。
② 死亡届の署名や捺印(押印は任意)は、死亡届の届出義務者がする必要があります。しかし、署名捺印された死亡届を実際に役所に持って行って提出するのは、必ずしも届出義務者である必要はありません。
③ 死亡届の提出とともに埋火葬許可の手続きもしますので、葬儀社が代行して提出してくれることも多いようです。ただ、これはあくまで提出を代行しているだけであり、葬儀社が死亡届に署名、捺印することが認められているわけではありません。
④ 死亡届は、役所の夜間窓口でも出すことができるので、夜間窓口が開いていれば、いつでも提出をすることが可能です。
⑤ しかし、夜間窓口に死亡届を提出した場合、死亡届の受理はしてはくれますが、埋火葬許可証の発行はしてもらえないので、結局は通常開庁時間内に役所に行かなければなりません。

4 死亡届を出す人がいない場合

⑴身元不明の場合
① 戸籍法92条により本籍不明の場合、死亡者の身元不明の場合、警察官が死亡地の市町村長に報告をすることになります(戸籍法92条1項、死体取扱規則7条1項)。具体的には、死亡報告書に本籍等不明死体調査書を添付して市町村長に報告することとされています。
② また、その後本籍が明らかになった際や、死亡者を認識した際にもその旨の報告をすることになります(戸籍法92条2項)。この報告は、死亡者の本籍等判明報告書により行うこととされています。

⑵身元が明らかであるが死体の引取人がいない場合
① 警察署が取り扱う死体で身元が明らかであるが引取人がいない場合も、死亡地の市町村に引き渡すことになります。
② その際、死体及び所持品引取書の写しを添付して死亡通知を行うことになり、この死亡通知を行った場合、死亡報告による戸籍記載をしてもよいという扱いになっています。

⑶知人からの死亡届
① 故人の知人において、戸籍に死亡事項の記載を求める申出書を市区町村に提出し、職権での戸籍記載を促すという方法もあります。
② その場合、便宜上死亡届を用い、届出義務者がいないので、知人からの申出をする旨の記載をすることが相当とされています。
③ その申出を資料として、管轄法務局の長の許可を得て職権で記載をすることになります(戸籍法44条3項、24条2項)。
④ このように身寄りがない方の場合、家屋管理人など親族以外の届出義務者が死亡届を提出することができます。また、誰も死亡届を出す人がいないという場合には、警察から地方自治体に対して死亡通知がされ、死亡届をする必要がなくなります。

【孤独死をめぐるQ&A】Q25 遺体の腐敗防止 エンバーミング

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q25 遺体の腐敗防止 エンバーミングについての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q25】兄は離婚をしていますが、子どもとは交流をしていました。先日、兄が急死したのですが、兄の子は海外赴任しており、私に連絡が来ました。
兄の子に死亡を伝えたのですが、帰国までに数日、時間がかかってしまうようです。葬儀は兄の子が帰国してから行いたいのですが、夏なので、その間に遺体が腐敗してしまわないか心配です。

【A】エンバーミングという方法で腐敗防止処置をとることができます。
エンバーミングの対応ができる葬儀社に依頼して、腐敗防止処置をしてもらえば、遺体を腐敗させずに保全できます。

【解説】

1 エンバーミングとその法的問題点

① エンバーミングとは、遺体を消毒や保存処理、また必要に応じて修復することで長期保存を可能にする技法をいいます。
② エンバーミングをすれば、遺体は腐敗しませんので、事実上、死体を永続的に保存出来てしまいます。
③ しかし、日本では、死体解剖保存法という法律で、死体の保存について規制がされています。医学大学や病院が医学教育、研究のために必要があるとして死体の保存をする場合以外は、死体解剖保存法19条により、遺族の承諾だけでなく、保存しようとする地の都道府県知事(政令指定都市では市町、特別区は区長)の許可が必要とされています。
④ また、エンバーミングを行うためには、遺体を切開して血液と保存液を入れ替えるのが一般的ですが、それは遺体を損壊しているとも思えます。遺体を損壊した場合、死体損壊罪(刑法190条)に該当する可能性があります。

2 厚生労働省による研究報告

① 上記のようにエンバーミングについては、一見すると法的に疑義がある行為に思えます。
② この点については、エンバーミングが日本で紹介された平成3年頃に厚生省(現厚生労働省)が法医学者、検察庁、警視庁、弁護士などの専門家によるエンバーミングに関する研究班を設置し、平成4年3月に「わが国におけるエンバーミングのあり方に関する研究」という研究結果を公表しています。
③ この報告書において、エンバーミングについては、⑴刑事訴訟法による手続が完了していること、⑵死亡診断書(検案書)が交付されていることにより死因が確定していること、⑶遺族の承諾があること、⑷技術的にも死者への礼節の点からも適切なエンバーミングが行なわれていることの4項目を満たした適切なエンバーミングが行なわれる限りは、エンバーミングが違法性を構成するケースはないと報告されています。

3 業界団体による自主規制

① 平成6年には、エンバーミングの業界団体である一般社団法人日本遺体衛生保全協会(IFSA)が以下のような自主基準を設けています。
② ⑴本人または家族の署名による同意に基づいて行うこと、⑵IFSAに認定され、登録されている高度な技術能力を持った技術者によってのみ行われること。
③ ⑶処置に必要な血管の確保及び体腔の防腐のために最小限の切開を行い、処置後に縫合・修復すること、⑷処置後のご遺体を保存するのは50日を限度とし、火葬又は埋葬すること。
④ 死体解剖保存法により無許可で遺体を保存することはできませんので、遺体保存期間を50日までと定めています。

4 エンバーミングの違法性

① 上記のように、エンバーミングは直ちに違法というわけではありませんが、やり方によっては違法になる可能性をはらんでいます。
② もっとも、エンバーミングは平成29年には4万2760件実施されているようですが(IFSA「遺体衛生保全概論」)、現状、自主基準にのっとったエンバーミングについて遺体損壊罪や死体解剖保存法に違反して刑事事件化したということは聞いたことはありません。
③ このような状況に照らせば、IFSAの自主基準にのっとっているエンバーミングは、現状では違法とまでは判断されていないと言えます。
④ IFSAの自主基準にのっとっていないエンバーミングは、そのすべてが違法ということではありませんが、業界団体が自主基準を設けており、違法と判断されていないのであれば、エンバーミングを希望する方は、自主基準に従ったエンバーミングを選択しておいた方がよいでしょう。