世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約移行型の財産管理契約の注意点「通帳・カード・株」の管理について考えてみたいと思います。
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【1】主な事務である預貯金の管理
任意後見契約のうち、移行型の契約で行われる、財産管理契約において具体的な注意点を考えていこうと思います。
財産管理契約において、その中心となる事務は、文字通り、「財産の管理」です。本人(委任者)の財産の管理を受任者に依頼し、その事務処理のための代理権を与えることによって、本人に代わって受任者が財産管理に関する事務を行なえるようになります。
財産の管理といっても、その内容は幅広く、不動産や動産の管理・保全から生活に必要な物の購入などまで様々な財産管理があります。その中でも最も日常的に行われるものは預貯金のお金の出し入れでしょう。
本人の日常生活に必要な金銭や入院費、治療費あるいは家賃など日常生活を送る上では、様々な支払をしていかなければなりません。認知症等の兆候はなくても、身体障害や体力の衰えなどで銀行や郵便局の窓口まで出かけられるといった日常生活上の事務を自ら処理できなくなった場合には、これらのことを受任者に頼まなければなりません。
預貯金の管理を受任者にしてもらうには、本人の預貯金通帳やキャッシュカードを使わなければできないので、これらを受任者に引き渡すことになります。受任者は本人に引き渡すべき金銭、預かった預金通帳、カードその他の証書など紛失することのないよう適切に管理し、本人の生活及び療養看護を支援することになります。
【2】受任者の報告義務
本人(委任者)は、受任者に財産管理契約に基づく委任事務を行なってもらうために、適宜の時期に通帳やカードその他必要な証書等を引き渡すことになります。
公正証書作成実務では、財産管理契約の条文中に、受任者は引渡しを受けたときは、本人に預かり証を交付する旨の定めが置かれているのが通常です。
また、受任者は本人に対し、定期的に事務処理の状況について、報告することになっています。
さらに、本人は、いつでも委任した事務処理が本人の希望通りに間違いなく行われているかを確認するため、受任者に対し、報告を求めることができます。
本人は、この受任者からの報告、預けた通帳などの記載内容から委任事務がきちんと行われているかどうか把握することができます。
【3】本人(委任者)によるチェック
財産管理契約は民法の委任契約に基づくもので、委任事務については、受任者は、本人の請求があるときは、いつでも事務処理の状況を報告しなければならないことになっています。本人にとって、この受任者の報告義務を活用することが重要となります。
受任者が親族の方や一般の市民である場合はもちろんのこと、弁護士や司法書士、行政書士等の法律専門家であっても、本人はこの報告をしっかりチェックすることが必要です。
委任者(本人)のこのチェックが、受任者に緊張感を持たせることにもなり、不正行為を防止することにつながると思われます。さらに、本人、受任者双方の安心のためにも、この報告は書面によることとしておいた方がよいでしょう。
【4】金融機関を特定する
受任者が適正に財産を管理してくれるのか、預貯金を使い込まれてしまうのではないかなど、本人(委任者)が不安を感じる場合もあろうかと思います。特に受任者が親族の場合は、気安さからか、使い込みが問題となるケースも少なくないようです。
そのような不安があるのでしたら、公正証書を作成する際に、代理権の範囲として定める金融機関の取引について、「A銀行B支店の取引」と銀行を特定するとか、預貯金口座を特定し、払戻し限度額を「払戻し1か月金30万円」というように制限するなどして、権限の範囲を明確にしておくことも必要です。
公証実務においては財産管理契約の代理権の範囲を上記のように制限的に記載することを勧める例も増えています。
【5】通帳・カードなどを引き渡す時期
預貯金通帳や印鑑及びカード等の委任事務処理に必要とされる書類を財産管理契約を結んだ後、直ちに受任者に引き渡すか否かは契約の文言しだいです。
当面は、委任者(本人)が自分で銀行や郵便局に行くというのであれば、事務処理に必要な範囲で、必要とされる時期にその都度受任者に引き渡すという契約文言にしておけばよいでしょう。
【6】株の管理・・・投資行為は別個の委任契約で行う
株や為替取引といった金融商品には、種々様々なものがありますが、一般的にはお年寄りにとって、仕組みが複雑であり、リスクが高い金融商品といえます。
財産管理契約の受任者は、本人(委任者)の財産を預かり管理するものであり、その管理には善良な管理者としての注意義務が課せられています。
財産管理契約が終了すると、受任者は、本人又は本人の相続人等に管理財産を引き継ぐことになりますが、その際、資産が目減りしていると、本人や相続人等から不満が出たり、苦情を受けたりすることも予想され、また、損害賠償の請求をされることもあり得ます。
株や為替などの運用によるリスクの高い投資行為については、その性質上、財産管理契約の事務の範囲には、そもそも入らない行為と解した方がよいでしょう。
なぜなら、任意後見契約と同時に結ばれ、これに先行して実行される財産管理契約は、基本的には、本人の足腰の衰えや寝たきりの状態であることから外に出かけることができないとか、あるいは施設や病院に入るに当たり、日常生活上の事務を自ら行うことができなくなったときに、その後も引き続き本人にとって通常の生活を送っていくために、財産管理及び生活、療養看護を第三者にしてもらう契約だからです。
どうしても株や為替取引などのリスクを伴う取引が必要ということであっても、これらについては、公正証書による財産管理契約とは別に、本人の生活維持に必要であること、本人が投資リスクを承知していることを確認して、別個の委任を受けて代行するのがよいと思われます。