【任意後見制度】財産管理契約の注意点 銀行窓口にはどう対処すればよいか

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約移行型の財産管理契約の注意点 銀行窓口にはどう対処すればよいかについて考えてみたいと思います。

 

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【1】現状

財産管理契約の受任者が、財産の管理事務を処理する中では、金融機関との取引、特に預貯金に関する取引が大きな割合を占めます。ところが、平成12年(2000年)4月1日に新たな成年後見制度が施行されてからすでに20年以上が経過した今日でも、一部の銀行等の窓口での対応は、財産管理契約及び任意後見契約の当事者に過大な負担を強いるものであるとの指摘がなされています。

 

【2】「移行前」財産管理契約の受任者の場合

金融機関の取扱いは様々で一律でなく、公正証書を持って窓口に行ったところ、
①本人(委任者)と来なければ預金は下せない。
②受任者が預金を払い戻すことになると本人(委任者)はもう下せない。
③本人から代理人届けの提出が必要。
などといわれることがあるようです。すべてがこのような対応ということではありませんが、一部の銀行等金融機関にみられる対応です。

これらは、一部の銀行等の金融機関の職員が財産管理契約及び任意後見契約について、正しい理解を欠いていることが原因であると思われます。特に、判断能力を有する委任者本人が預貯金を引き出すことができないとすることは銀行の本人に対する債務不履行の問題を生じる可能性すらあると思われます。

金融機関側としては、財産管理契約中の委任を「いつでも解除することができる。」という条項がそのような対応をする理由のようです。

このようなことから、実際には、契約締結後に本人と受任者が揃って窓口担当者に挨拶に行くとか、その際に代理人届を提出して対応しているというような例があるようです。さらには、公証人が直接説明することによって金融機関が納得する例もあるようです。

このようなトラブルを未然に防止する方法としては、公正証書作成の際、「委任契約(財産管理契約を指します)を解除する場合は、任意後見契約とともに解除しなければならない」という条項を入れることが考えられます。

それにより、任意後見契約が解除された場合の終了の登記制度を利用し、任意後見契約の終了の登記がない以上は、委任契約も解除されていないという証明ができることになるのです。

 

【3】「移行後」任意後見契約の後見人の場合

任意後見が開始された後であっても、任意後見人が金融機関に対して届出を行う際、①本人(任意被後見人)の自書・届出印の押印、②本人の運転免許証・健康保険証等の提出、③任意後見人の実印の押印・印鑑登録証明書の提出などが求められることがあるようです。

①については、本人の判断能力が低下している段階で自書や押印の意味を理解できない状態の時にこれらの行為を求めても実益はないと思われます。
③については、本人と任意後見人が任意後見契約を締結した事実と預貯金に関する事務についての代理権を有するという事実は、法務局発行の登記事項証明書それ自体によって証明されているのであって、任意後見人の実印の押印・印鑑登録証明書の提出は不要と考えられます。

また、預貯金の名義の取扱いも統一されていないようで、特段の変更をしないで本人(任意被後見人)名義のままでよいとしているケースがある一方、「(任意被後見人名)任意後見人(任意後見人名)」とすることを求めるなど金融機関によって異なるようです。

さらに、任意後見人にキャッシュカードの利用を認めない場合や、入金・出金を取扱い支店のみでしか受け付けない例もあるとのことです。

このような問題を避ける方法として、任意後見人の預かり金口座として、上記の「任意被後見人A任意後見人B」名義の口座を積極的に活用することが考えられます。この口座の場合、金融機関はA(任意被後見人)の口座として管理しますので、Aの死亡後、Bは入出金ができないことになります。加えて、この口座は未払いの本人の医療費や、葬儀費用の原資として使用されることが期待されます。

 

【4】金融機関への対応

金融業界においては上記のような金融機関ごとにまちまちの取扱いが好ましくないものであることはもちろんですので、事務手続きの改善や事務マニュアルの整備を図るなどして、任意後見を含む成年後見制度の利便性の向上に取り組んでいるようです。しかしながら、取扱いが統一されるまでは、受任者や任意後見人は窓口に出向き、事前に説明を聞き対応を準備することが求められます。銀行等には、ノーマライゼーションの精神に基づき本人の安心と活力ある生活を支援する観点から、手続きの利便性につき改善をお願いしたいものです。

また公証人としても、金融機関などに対し、「委任契約及び任意後見契約公正証書」の意味や効力について理解を求めていくとともに、受任者や任意後見人が委任事務を円滑に遂行できるよう今後も引き続き啓発活動を行なっていく必要があるように思います。