相続の対象とならない財産とは

相続の対象とならない財産とは

東京で相続に関する手続きや相談なら、世田谷の【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】へ

東京で相続に関する手続きや相談なら、世田谷の【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】へ

東京都世田谷区にある【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】は、相続の手続きやご相談に対応しています。

東京の方を中心に専門家としての知識を活かして、スムーズに相続の手続きが済むようにそれぞれの事情に合ったアドバイスをします。こちらでは相続の対象とならない財産についてご説明いたします。

相続の対象とならない権利義務とは

相続の対象とならない権利義務とは

相続は、一切の権利義務を承継するものとされています(民法896条)。しかし、相続の対象とならない権利義務もあるのです。相続の対象とならない権利義務は、3種類に分けることができます。①祭祀(さいし)財産、②一身専属の権利義務、③相続人の固有の権利です。

≫①祭祀財産

祭祀財産とは、系譜(系図)、祭具(位牌や仏壇等)、墳墓(墓石、墓地の所有権又は使用権)です。相続の対象ではなく、祖先の祭祀を主宰するべき者が承継します。祖先の祭祀を主宰するべき者は、生前に被相続人を指定できます。指定の方式は問いません。口頭でも、遺言でも、指定が可能です。指定がないときには、慣習に従います。慣習が明らかでない場合は、家庭裁判所が審判で定めます。

もっとも、共同相続人の間の意見が一致していれば、誰を承継者としても問題ありません。実際、遺産分割協議書に、祭祀財産の承継者を記載することはよく行われています。意見が一致しないときは、家庭裁判所に対し、調停を申し立て、裁判所での話し合いを行うことができます。

調停でも話がまとまらない場合は調停不成立となり、そのまま審判の手続きに移り、裁判官が承継者を指定します。なお、遺骨は、そもそも遺産でも、祭祀財産でもありませんが、実質的な配慮から、祖先の祭祀を主宰するべき者が承継するとされます(最高裁平成元年7月18日判決家庭裁判月報41巻10号128頁)。

≫②一身専属の権利義務

一身専属の権利義務とは、権利の性質上、被相続人にだけ帰属させることが適切な権利義務です。例えば、会社員が、企業との労働契約に基いて負担している「労働する義務」は、その会社員本人だけが負担します。会社員が死亡した場合に、妻子に相続させて、働く義務を負わせることは不合理ですから、一身専属の義務として、相続の対象とはなりません。

別居中の妻に対する夫の婚姻費用分担義務も、同様です。夫の死亡により、妻と夫の父親が共同相続人となった場合に、父親が息子の妻に対する婚姻費用分担義務を承継するのは不合理です。婚姻費用分担は、夫婦であるからこそ、生活費の分担義務を認めるものだからです。逆に、妻が死亡したからといって、これを相続した子どもが、夫に対して、婚姻費用の分担を請求できることにもなりません。

生活保護受給権は、保護が必要な者の最低限度の生活を維持するための権利ですから、一身専属の権利です(最高裁昭和42年5月24日判決最高裁判所民事判例集21巻5号1043頁)。保護の必要がない相続人に権利の承継を認める理由はありません。身元保証契約に基づく身元保証人としての義務も、一身専属の義務です(大審院昭和18年9月10日判決大審院民事判例集22巻948頁)。身元保証契約は、保証人と保証される者の個人的な信頼関係に深く根ざすものだからです。

それだけでなく、横領や背任など、職場に多額の被害を与える犯罪行為を行った場合のように、予測しなかった大きな損害賠償の責任を、保証人が負担しなくてはならない危険があり、保証人の責任が重くなりがちだからという配慮もあります。ただし、相続発生前に、すでに実際に職場で問題を起こして損害を生じたため、身元保証人が負担することになった具体的な損害賠償責任は、相続の対象となります。これは、相続の時点では、すでに単純な金銭債務となっているからです。

≫③相続人に固有の権利

相続人に固有の権利とは、被相続人の死亡をきっかけとして権利が生じるものの、権利の性質上、相続を介さずに、相続人が直接に権利を取得すると理解されているものです。被相続人が保険契約を結び、かつ、被保険者であった生命保険の死亡保険金請求権は、受取人固有の権利であり、相続の対象とはなりません(最高裁昭和40年2月2日判決最高裁判所民事判例集19巻1号1頁)。

死亡保険金の請求権は、保険会社と被相続人との間の保険契約に基づいて、直接、受取人が権利を取得するものであって、被相続人が権利を取得するという余地がないからです。これは、傷害保険の場合も同様とされています(最高裁昭和48年6月29日判決最高裁判所民事判例集27巻6号737頁)。また、死亡保険金が相続の対象でない以上、受取人が一部の相続人であっても、特別受益(民法903条)として、遺産分割の際に考慮されることもありません。

もっとも、「保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には」、例外的に、特別受益に準じて持戻しの対象となるとされます(最高裁平成16年10月29日決定最高裁判所民事判例集58巻7号1979頁)。

死亡退職金も、受取人固有の権利であり、相続の対象とはならないとする判例があります(最高裁昭和55年11月27日判決最高裁判所民事判例集34巻6号815頁、同昭和62年3月3日判決最高裁判所裁判集民事150号305頁)。

もっとも、死亡退職金については、勤務先の退職金規程において、受取人をどのように定めていたかによって結論が左右される可能性があることに注意が必要です(上記判例は、受取人につき、民法の定める相続順位とは異なる定め方が規定されていた場合や、そもそも受取人の規程が存在しなかった場合に関するものです)。

さらに、死亡保険金、死亡退職金は、相続税法では、「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となることにも御注意ください(相続税法3条1項1号及び2号)。

このように、そもそも何が相続の対象となる財産、権利義務なのかという一事ですら、非常に複雑で、ひとつひとつの権利義務について、法律的な検討を加えなくてはなりません。
遺言の作成など相続の手続きには、事前に、専門家と十分にご相談をされることがおすすめです。

東京で相続や遺言の作成についてお悩みの方は【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】

東京で相続や遺言の作成についてお悩みの方は【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】

相続や遺言の手続きは人生の中で何度も経験する手続きではありません。トラブルなどに見舞われないためにも、専門家へ早めに相談することがおすすめです。【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】は東京都世田谷区を中心に相続を専門に対応しています。

ご相談は電話、メール、FAXにて受け付けています。

相続・終活・VISAに関するコラム

東京で相続にお悩みなら【行政書士・セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所】

会社名 行政書士セキュリティコンサルタント長谷川憲司事務所
所在地 〒157-0073 東京都世田谷区砧3-13-12
TEL 03-3416-7250
URL khasegyousei.tokyo
皆様のお抱えになるお悩みや不安を分かち合い寄り添う | お問い合わせ| 03-3416-7250