【相続・遺言について】遺留分侵害額の算定(総論)

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、遺留分侵害額の算定(総論)について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】遺留分の額や遺留分の侵害額は、どのようにして計算するのですか?

 

【A】◆1.遺留分算定の基礎となる財産の確定
まず、遺留分算定の基礎となる被相続人の財産の範囲を確定しなければなりませんが、これは次のように計算されます。
遺留分算定の基礎となる被相続人の財産
=被相続人が亡くなった時に持っていたプラスの財産
+被相続人が生前に贈与した財産の価額
-被相続人が負っていた債務の額

生前贈与の相手方が相続人でない場合、算入される贈与というのは、相続開始(死亡)前1年間にしたものに限られます。(その贈与が遺留分を侵害することを、被相続人と贈与を受けた人の双方が認識していたという場合には、1年以上前の贈与でも算入されます。)

また、生前贈与を受けたのが相続人であり、その贈与が特別受益に該当する場合には、相続開始(死亡)前10年間にしたものに限り、遺留分算定の基礎に算入されることになります。

 

◆2.遺留分額の計算
遺留分の額の計算ですが、まず、「◆1.」の計算によって確定した遺留分算定の基礎価額に、遺留分の割合と法定相続分の割合を掛け合わせます。

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合には3分の1で、それ以外の場合は2分の1です。
例えば、夫が亡くなり妻と長男、長女の3人が相続人となった場合の長男の遺留分は、「遺留分算定基礎価額×2分の1(遺留分割合)×4分の1(法定相続分)
という計算が基本になります。
そして、さらに相続人に特別受益がある場合には、ここからその特別受益の価額を差し引くことによって、具体的な遺留分の額が算定されます。

 

◆3.遺留分侵害額の計算
ここまでで、遺留分額がいくらかという計算が出来ました。次は、その遺留分がどれだけ侵害されているかの計算です。
遺留分侵害額は次の計算式で算定されます。
遺留分額-(実際の取得財産額-相続債務の分担額)
要するに、その相続人が実際に取得したプラスの相続財産から、マイナスの相続分である債務額を控除した正味の相続分が、遺留分額にどれだけ足りないかということを計算するわけです。

 

◆4.計算シートの活用
遺留分計算について説明しましたが、決して簡単な計算ではありません。一つ一つ手順を追って計算機でもれなく計算することは大変な作業です。
そこで、東京地方裁判所と東京の三つの弁護士会が合同開催する「民事訴訟の運営に関する懇談会」における協議を踏まえて、「Excel」を用いた計算ソフトが発表されています。
このソフトは、東京弁護士会のホームページから誰でもダウンロードが可能であり、遺留分に関する紛争の迅速かつ的確な解決に有用なものとなっています。

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