【改正民法債権編】売買に関するその他改正

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。今回は、【改正民法債権編】に関して、売買に関するその他改正について考えてみたいと思います。

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売買に関するその他改正

危険の移転、手付、買戻し等に関する規定を整備

 

◆目的物の滅失等についての危険の移転
旧法では、特定物の売買等において、売主の帰責事由によらずに目的物が滅失または損傷したときは、買主(債権者)がその滅失または損傷のリスクを負担する、すなわち買主はそのような場合でも自己の代金支払債務を免れないと定めていました。

そのため、法律上は、契約を締結した時点で目的物の滅失または損傷のリスクが買主に移転してしまうという不当な結論となっていました。
そこで、契約実務上は、目的物の引渡し時など、実質的に目的物が買主に移転したと考えられる時点に滅失または損傷のリスクが移転するよう、当事者間で別途合意がなされていました。

 

◆危険の移転に関する改正点
このような問題点を踏まえ、新法では、売主から買主への目的物の滅失または損傷のリスクの移転時期を、目的物の引渡し時と定めました。
そして、買主は、目的物の引渡し時以後に当事者双方の責めに帰することができない事由によって滅失または損傷が生じた場合、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができず、また、売買代金の支払を拒絶できない旨を規定しました(新法567条1項)。

仮に、滅失または損傷が、売主の責めに帰すべき事由によって生じた場合には、滅失等が引渡しの後に生じたものでも売主がそのリスクを負担すべきであることから、買主は、上記履行の追完等を売主に求めることができます。

また、売主が契約の内容に適合する目的物を引き渡そうとしたにもかかわらず、買主がそれを受け取らなかったとき(受領遅滞)は、売主による引渡しの提供を基準として滅失または損傷のリスクが移転し、引渡しの提供時以後、お互いの責めに帰することができない事由によって滅失または損傷が生じた場合、買主は、履行の追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約の解除をすることができません(新法567条2項)。

 

◆手付
旧法では、いわゆる手付解除(不動産売買等における手付の放棄または倍戻しによる解除)について、「当事者の一方が契約の履行に着手するまで」と表現していたため、文言上は、手付解除をしようとする者自身が履行に着手するとその後は手付解除ができなくなる、との解釈が可能でした。
しかしながら、手付解除は解除の相手方を保護する制度なので、相手方が履行に着手するまでは、自らが履行に着手していても手付解除を認めるべきであり、判例も同様の考え方を採っていました。

そこで、新法では、このような考え方を踏まえ、手付解除の要件につき、「相手方が契約の履行に着手した後は」手付解除ができないと定めて(新法557条1項ただし書き)、履行に着手した当事者の手付解除が可能であることを明確化しました。

また、売主からの手付解除(手付倍戻し)の要件として、旧法は、「売主はその倍額を償還」としていたため、現実の払渡しをしなくても倍額を現実に提供すれば手付解除できる、と解していました。
そこで、新法は、このような判例の考え方を明確化する趣旨で、「償還」を「現実に提供」に改めています(新法557条1項)。

 

◆権利移転の対抗要件に係る売主の義務
新法は、権利の移転を売買の目的とする契約において、売主の義務として登記、登録その他権利の移転についての対抗要件を買主に備えさせる旨を新たに定めました(新法560条)。
売主が、対抗要件具備のために必要な行為をする義務があるという判例・通説を明文化したものです。

 

◆他人の権利の売買における売主の義務
旧法でも、他人の権利の売買(他人物売買)は有効であり、売主は第三者から権利を取得して買主に移転すべき義務を負ってました。
新法では、移転すべき権利の全部が他人に属する場合のみならず、権利の一部が他人に属する場合にも、売主が移転義務を負う旨を明確にしました(新法561条)。

 

◆買戻し
買戻しとは、不動産の売買契約と同時にされる特約であり、売主は買主が支払った代金と契約の費用を返還して、後日売買を解除することができるというものです。
旧法は、買戻し特約による解除権の行使に際して売主が返還すべき金額について「買主が支払った代金および契約の費用」と定め、これは当事者の合意にかかわらず適用される規定(強行規定)と考えられていました。

新法では、売主が提供すべき金額を、「買主が支払った代金(別段の合意をした場合にあっては、その合意により定めた金額)」と定め、当事者の合意により任意に定めることができるように改正しました(新法579条)。
また、新法では、売買契約と同時に買戻し特約の登記をしたときは、その登記が第三者に対する対抗要件となることを明確にしました。

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