【任意後見制度】任意後見契約の手続 任意後見人の職務と義務2

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

今回は、【任意後見制度】に関して、任意後見契約の手続 任意後見人の職務と義務2について考えてみたいと思います。

月次支援金申請の【事前確認】は【090-2793-1947】にて受付中です。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言・戸籍収集支援・終活は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

【3】任意後見人の義務

任意後見人は後見事務を行なうに当たっては、次のような義務を負います。
(1)善良な管理者としての注意義務(民法644条)
(2)委任事務の状況を報告する義務(民法645条、任意後見契約法7条2項)
(3)本人の意思尊重義務と身上配慮義務(任意後見契約法6条)

(1)善良な管理者としての義務

① 任意後見契約も民法の委任契約の一類型ですから、その性質に反しない限り、民法の委任の規定の適用を受けます。任意後見人は、その事務を行なうに当たっては受任者としての善管注意義務を負うことになります(民法644条、民法869条)。

この注意義務は、職業上や社会通念上、客観的に期待される程度の注意義務で、「自己同一注意義務」よりも重い義務とされています。この注意義務を怠って何らかの損害や損失を与えた場合は賠償責任を負うことになります。

② 預貯金管理と善管注意義務

預貯金口座についても、善管注意義務をもって管理しなければなりません。したがって、例えば、本人の預貯金口座から他の口座に送金する場合に、ATMを利用してキャッシュカードで送金する場合の手数料が、窓口を利用して通帳で送金する場合の手数料よりも安価であれば、金融機関に対して、本人名義の預貯金口座について任意後見人が利用できるキャッシュカード(代理人キャッシュカード)を発行するように請求する必要性が生じると言えるでしょう。

③ 受任者が適切に任意後見監督人の選任請求をする義務について

任意後見を受任した人は、任意後見契約を締結した時点から、善管注意義務の一環として、本人の状況を適宜把握し、適切に任意後見監督人の選任請求をする義務を負っていると解することができますが、そのことは法律に規定されていません。

日本弁護士会連合会からは、実務で普通行なわれている「移行型」の場合における任意代理人の不正行為の防止をし、任意後見制度の趣旨を活かした運用が行われるようにするためにも、任意後見受任者には、本人の判断能力が不十分となったときは適切な時期に任意後見監督人の選任請求をする義務があることを法律に明文で規定する必要がある旨の提言がなされています。

なお、公証実務上は「移行型」の委任契約においては、受任者に本人の日常生活の見守り義務を課す、いわゆる見守り条項を設けることを原則とするように配意されています。「将来型」の場合には、この見守り契約を別途に締結することで、認知症等の病状が始まった時点で速やかに任意後見がスタートするようにすることが適切でしょう。

(2)委任事務の状況を報告する義務

任意後見人は受任者として、本人の請求があるときには、委任事務の状況を報告する義務や受任事務を処理する上で受け取った金銭その他の物を本人に引き渡す義務があります。委任契約を締結した人の当然の義務と言えます。
任意後見監督人に対する報告は別途説明します。

(3)本人の意思尊重義務と身上配慮義務

① 民法858条は「成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定していますが、任意後見契約法6条においても、同じように「任意後見人は、任意後見人の事務を行うに当たっては、本人の意思を尊重し、かつ心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。」と規定しています。
これは「身上配慮義務」といわれています。

この身上配慮義務を任意後見契約の中の特約により加重することはできますが、特約により免除したり軽減することは法の趣旨に反しますのでできません。

② 身上監護に関する事務と身上配慮義務

身上配慮義務は、任意後見人が本人の身上面について負うべき「善管注意義務」の内容を具体化し明確にしたものとされています。さらにこの義務は、本人の身上面に対する配慮を任意後見事務の指導理念とすることによって、身上面の保護に関する任意後見人の職務の実効性を確保しようとするものです。

そのため、身上配慮義務を行うに当たっては、本人の意向を十分配慮し、本人をよく見守る具体的な活動が必要になります。そのためには、認知症等によって判断能力が低下する前、すなわち移行前の財産管理契約において、ライフプランあるいは指示書などによって本人の意向をあらかじめ把握しておくことも必要と思われます。

ちなみに、任意後見人が身上監護に関する法律行為についての代理権を適正に行使するためには、本人、ヘルパーなどの日常生活援助者、主治医その他医療関係者などとの接触を密にして、本人の身上に関する情報を的確に把握することが不可欠の前提といえます。

公証実務上は、次のような任意後見人の身上配慮の責務規定を定めて、本人の生活状況及び健康状態の把握に努めるものとするとされています。

③ 財産管理に関する法律行為と本人の意思尊重義務及び身上配慮義務

身上配慮義務は、身上監護の面だけでなく、財産管理にも及びます(任意後見契約法6条)。
任意後見人は、本人の生活や療養看護の事務を行うほか、本人の財産を本人の利益のために管理しなければなりません。

任意後見契約やそれに関連するライフプランや指示書によって定められた財産管理方法があれば、それに従うことになりますし、管理方法が定められていない場合には、本人の身上に配慮した安全確実な方法でも管理が求められます。

しかし、支出を最小限にすることを原則とする「財産保全型管理」ではなく、本人の幸福追求や福祉及び生活の質の向上のために財産を積極的に消費することも許容した「財産活用型管理」の方法を選択する場合には、リスクも伴いますので、「移行型」の任意後見契約を結び、認知症等で判断能力が低下する前の財産管理契約において、そのような管理を判断能力が低下する前後を問わず、受任者に委託する旨の契約文言上明らかにしておくことが必要です。