【終活・遺言・相続相談】相談例11 施設入所に関する相談

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【終活・遺言・相続相談】相談例11 施設入所に関する相談についての記事です。

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【相談内容】
相談者(55歳女性)から、「同居している母(82歳)が転倒した際に腰椎を骨折し、介護が必要になった(要介護3)。母は自宅から離れたくないというが、自分たち夫婦にも仕事があるので、母の面倒を見るのが難しい。在宅介護するべきか施設入所させるべきか迷っている」と相談された。

【検討すべき点】
高齢者や家族にとって在宅介護か施設入所かは喫緊の課題です。できればケアマネジャーとも相談して解決方法を探します。在宅が無理ならば介護施設のパンフレットを取り寄せ、各施設のサービスの内容、費用、環境、本人の意思との適合性を考え、実際に現地を見学することも必要です。

【1】在宅介護の可能性

① 高齢者の家族から「親を施設に預けたい」と聞くことはよくありますが、ほとんどの高齢者は住み慣れた自宅を出て施設に入所することを希望されません。
② そこで、まずは、在宅のまま、介護サービスを受けて対応できないかを検討します。在宅の場合の介護サービスとしては、訪問型サービスと通所型サービスがあります。
③ まず、自宅への訪問型サービスとしては、訪問介護、訪問看護、訪問入浴、訪問リハビリなどの方法があります。また、施設への通所型サービスとしては、ディサービス、ショートステイ、等の方法があります。
④ それぞれのご家庭によって組み合わせは異なりますが、たとえば、月・水・金曜日は日中ディサービスを利用し、火・木曜日は在宅で訪問介護を利用し、平日の夜と週末は子が親と一緒に過ごすというパターンなどをとるご家庭もあります。それでも、高齢の親が一人で過ごす時間帯が残ります。

【2】在宅介護の危険性

① 在宅における介護者の負担は、重くなることはあっても軽くなることはありません。そして、その状態が長く続くと、介護者も被介護者とともに高齢になって「老々介護」や「認認介護」(認知症患者が認知症患者の介護をする状態)を招きます。
② そして、介護者が自分の役目をこれ以上果たせないと悲観して、自殺や心中などの結末に至ることもあります。そのような悲劇を避けるためには、いずれ、施設入所を決断するしかないでしょう。
③ 住み慣れた家から離れたくない、子と一緒にいたいといった親の気持ちや、頼りにしてくる親を見捨てられないという子の気持ちは理解できますが、共倒れは避けねばなりません。

【3】介護施設の種類

① 相談者の母親の状態、相談者の家族や仕事の負担などをケアマネジャーに説明し、在宅介護で対応できないなら、介護施設への入所を検討します。以下に介護施設の概要を記します。
●【特別養護老人ホーム】入居対象(要介護3以上):「特徴」終身対応可能な公的施設。認知症患者も受け入れ可。費用が安いので、入居待ちが多く、入所まで待たされる。
●【介護老人保健施設(老健)】入居対象(要介護1以上):「特徴」リハビリ目的の公的施設。費用が安く、認知症患者の受け入れも可。入所待ちが多く、入所まで待たされる。終身を予定していないため、帰宅可能になると退所を促される。
●【介護療養型医療施設】入居対象(要介護1以上):「特徴」公的施設。認知症患者も受け入れ可。現在このタイプの施設は廃止される流れである。
●【軽費老人ホーム】入居対象(自立~要介護3):「特徴」公的施設。認知症患者も事情によって受け入れるが、入所まで待たされる。
●【ケアハウス】入居対象(自立~要介護3):「特徴」公的施設。認知症患者も事情によって受け入れるが、入所まで待たされる。
●【介護付有料老人ホーム】入居対象(自立~要介護5)「特徴」民間施設で認知症患者も入所可。ケアマネジャー他のサービスを提供するが、通常その施設指定の介護サービス以外選択できない。
●【住宅型有料老人ホーム】入居対象(自立~要介護5)「特徴」民間施設で、認知症患者も事情により受け入れる。
●【グループホーム】入居対象(要支援2~要介護5)「特徴」民間施設で認知症患者も入所可。9人を1ユニットとして集団生活をさせる。
●【サービス付高齢者向け住宅(サ高住)】入居対象(自立~要介護3)「特徴」2001年施行の高齢者の居住の安定確保に関する法律により創設された民間施設。ケア専門家が常駐するバリアフリー構造の賃貸住宅。認知症患者の受け入れは要相談。入居まで待たされる傾向。国土交通省管轄で厚生労働省管轄の住宅型有料老人ホームと区別されるが、内容はほぼ同じ。
●【健康型有料老人ホーム】入居対象(自立のみ)「特徴」民間施設。認知症患者は入所できない。
●【シニア向け分譲マンション】入居対象(自立~要介護5)「特徴」民間施設。認知症患者も事情により受入可。設備が充実しているものは高額。売却時にはかなり値下がりする。

【4】施設の検討(費用の比較)

① 施設入所に当たっては、施設入所にかかる費用を検討します。施設利用料には、入居一時金、月額費用(施設利用料、食費、介護費用、管理費など)があります。
② いくつかの施設の10年間でかかる費用を比較します。なお、受給年金額での変動費や都市部での割増、個室使用料、医療費介護費用の変動などは考慮していません。
【特別養護老人ホーム】入居一時金0円、月額費用10万円、10年間費用1,200万円
【グループホーム】入居一時金20万円、月額費用18万円、10年間費用2,180万円
【サ高住】入居一時金20万円、月額費用18万円、10年間費用2,180万円
【介護付き有料老人ホーム】入居一時金200万円、月額費用27万円、10年間費用3,440万円
③ 特別養護老人ホームの安さが目立ち、希望者が殺到して順番待ちになる理由がわかります(公的施設は入居一時金がないことが多く、月額利用料も数万円に抑えられ、特養は最後まで面倒を見てくれます)。
④ 民間施設である「介護付き有料老人ホーム」などの「有料老人ホーム」は、入居一時金が高く設定される傾向があり、サービスが充実しているので、月額利用料であまり差がないように思えても、10年も利用すれば大きな差が出ます。
⑤ 最近主流になりつつある「サ高住」や「グループホーム」では、入居一時金を比較的安く設定され、賃料以外も含めた月額費用は約20万円が目安です。
⑥ 検討すべき点は、この費用を利用者本人の年金収入で賄えるのかという点です。相談例での母の年金収入が、老齢基礎年金と亡夫の遺族厚生年金だけであるとすれば、月額約12万円程度でしょう。サ高住やグループホームを利用すると、確実に赤字です。収入と施設利用料の差額を利用者の現有資産で賄えるのかが問題です。
⑦ 同居の親子でも、子が親の資産(預貯金額等)を把握しているとは限りません。「親の為だから、自分が負担すればいいや」という考えも浮かぶでしょうが、共倒れは避けねばなりません。

【5】施設の検討(費用以外の要素)

① 入所候補の施設が清潔で、職員を含め雰囲気が良いかどうかも検討すべき点です。経営がしっかりしていなければ、介護施設の倒産もあり得ます。
② 相談例の母がその施設を気に入るかどうか、家族が訪問しやすいかどうかも検討します。家族はケアマネジャーと相談して候補となる施設を選び、パンフレットなどを取り寄せ、実際に母と一緒に施設見学に行きます。もっとも、高齢者は、いろいろと気に入らない理由をつけて施設入所を拒む傾向があり、家族やケアマネジャーが協力して説得することになります。
③ なお、成年後見人に選任されている弁護士や司法書士が、家族やケアマネジャーから施設入所について相談された際、「身上監護には関知しない」と突き放すような対応があると批判されていますが、後見人も下見に同行して被後見人の説得に当たるべきです。