【終活・遺言・相続相談】相談例12 おひとり様の入所者の終活

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、相続手続き、戸籍収集支援、任意後見、死後事務委任に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【終活・遺言・相続相談】相談例12 おひとり様の入所者の終活に関する相談についての記事です。

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【相談内容】
サービス付高齢者向け賃貸住宅(サ高住)の担当者から、「身寄りがなく認知症の入所者(95歳女性)の病気が進行し、余命いくばくもないと分かった。連帯保証人がいないので、これから先の、財産の管理、延命治療、ご遺体の引取り、葬儀埋葬、賃料の請求、貸室の明渡し等について、どうすればいいかわからず困っている」と相談を受けた。

【検討すべき点】
介護施設も、身寄りのない入所者にもしものことがあった場合には、対応に苦慮します。認知症が進行して事理弁識能力がないなら、財産管理契約も遺言もできません。利害関係人である施設は、後見開始の申立権者ではありませんので、本人申立てを検討します。

【1】サ高住の実情

① サ高住は高齢者の居住の安定確保に関する法律によって創設された民間施設で、比較的健康な高齢者向けの住まいとしてスタートし、特別養護老人ホーム待機者の受け皿として発展してきました。
② 様々な業者が参入して過当競争状態になり、令和元年度は53施設が倒産又は廃業しました。サ高住は賃料だけでは経営が成り立ちにくいので、約8割の施設が訪問介護ステーションやディサービスを運営し、これらのサービスと併せて収益を上げています。

【2】介護施設の立場

① サ高住の経営的な視点だけで考えれば、要介護度が高く、自社が提供する介護サービスで売上を稼ぐことができ、かつ、手のかからない高齢者で部屋が埋まっているのが理想です(介護サービスが不要な自立した方は割に合いません)。その上、入所契約の際に保証人(推定相続人)がいれば安心できます。
② しかし、空室が多いと経営が苦しくなるので贅沢は言えず、保証人がなく、身寄りもない高齢者でも生活保護受給者でも、とりあえず入所させることがあります。そのような入所者が死亡した際には、ご遺体の引取り、賃料等の請求、貸室の明渡しなどの処理に窮します。
③ ちなみに、縁者がいないケースでは、市町村長に申告することによって無縁仏として処理してもらえますが、財産はあるが、相続人が不明な場合、その後の処理も問題になります。

【3】成年後見の活用

① 認知症の入所者について後見が開始すれば、施設(サ高住)は成年後見人に入所者の財産管理を任せることができます。
② 入所者死亡時には、成年後見人が死亡届を提出し、火葬及び埋葬に関する契約の締結に関する家庭裁判所の許可を得て、火葬、埋葬手続きを行うこともできます。
③ しかし、被後見人の葬儀については民法873条の2第3号に例示されておらず、成年後見人が葬儀を執り行うことまでは認められていませんので、葬儀は直葬になります。
④ 被後見人の相続開始後、成年後見人は貸室の明渡しや入院費通院費の支払いも弁済期の到来した債務の弁済(民法873条の2第2号)として行うことができます(残置物の廃棄や保管のための寄託契約の締結は「その他相続財産の保存に必要な行為」(同条3号)として、家庭裁判所の許可を得て行ないます)。
⑤ 成年後見人には延命治療の同意権はありませんが、相続開始すれば相続人に管理財産を引き渡す義務があるので、事前に入所者の戸籍を調べて親族(推定相続人)の有無や所在を確認し、連絡を取ってくれると期待できます。そうすれば、延命治療、葬儀及び埋葬などについて、親族の意見を伺うこともできます。このように身寄りのない入所者の成年後見人が選任されることは施設(サ高住)にとっては好都合になります。

【4】後見開始の申立て

① 後見開始の申立ては、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人等に限られており、介護施設などの利害関係人は含まれません(民法7条、11条、15条1項)。そこで、身寄りのない入所者でも、多少なりとも事理弁識能力が残っているなら、その入所者本人からの後見開始の申立てを試みることになります。
② しかし、入所者が意思表示できなかったり、あるいは「自分はまだ大丈夫だ。金を他人に任せる気はない。」と主張するならば、この方法は使えません。そうなると、四親等内の親族を探し出し、事情を説明して後見開始の申立てをお願いすることになります。
③ 四親等の親族も判明しないときは、市町村長から後見開始の申立てをお願いするしかない(老人福祉法32条)ので、市区町村の老人福祉課に相談することになります。