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【孤独死をめぐるQ&A】Q8 遺言の探し方① 公正証書遺言の探し方についての記事です。
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【Q8】遺言の探し方① 公正証書遺言の探し方
一人暮らしをしていたいとこが孤独死をしました。いとこには相続人がいないのですが、いとこと私は生前仲が良かったので、もしかしたら遺言を書いているかもしれません。
亡くなった人が、公正証書遺言を作っていたかを調べる方法があれば教えてください。
【A】遺言には大きく分けて公正証書遺言と自筆証書遺言があります。
公正証書遺言の原本は公証役場で保管されています。
自筆証書遺言については、法務局で保管されている場合と、自宅や金融機関の貸金庫等法務局以外で保管されている場合があります。それぞれ探し方が異なります。
公正証書の場合、公証役場で遺言の有無を調査可能ですが、調査をしてもらうには利害関係人であることが必要になります。いとこであるという程度だと利害関係が認められず、調査の受付をしてもらえない可能性があります。
【解説】
1 遺言検索システム
① 平成元年以降に作成された公正証書遺言であれば、全国の公証人が利用できる「遺言検索システム」により調べることができます。
② 遺言検索システムを利用するには、公証役場に用意されている申請用紙で申請を行います。遺言検索はどこの公証役場でも申請することができ、遺言検索だけであれば手数料はいりません。
③ 遺言者の存命中は、遺言者本人以外は遺言の存否を確認することはできません。
④ 昭和63年以前に作成された公正証書遺言を探したい場合、故人の自宅周辺の公証役場に個々に問い合わせをする必要があります。
2 利害関係人とは
① 遺言者が亡くなった後であれば、相続人、受遺者、遺言執行者、相続財産管理人などの利害関係人が公正証書遺言の検索をすることができます。
② 利害関係人が遺言検索をするには、遺言者の死亡を証する除籍謄本のほか、申請者と遺言者の関係を証する資料、免許証などの本人確認書類、印鑑が必要になります。
③ 利害関係を示す資料としては、相続人であれば戸籍の全部事項証明書などで相続人であることを示すことになります。
④ 受遺者や遺言執行者の場合、どのような書類であれば利害関係を認めてくれるかは、公証役場の判断になるので、公証役場に事前に確認してください。
⑤ たとえば、先に書いた自筆証書遺言があり、それで自己が受遺者や遺言執行者になっているのであれば、その遺言書の写しを持参することになります。また、遺言者からの手紙に受遺者にしたなどと記載されていればその手紙を持参することになります。
3 公正証書遺言があった場合
① 遺言検索により公正証書遺言が存在した場合、保管場所となっている公証役場、遺言の作成年、証書番号を教えてもらえます。
② 公正証書遺言が保管されている公証役場に対して、遺言者の謄本の交付を請求すれば遺言を手に入れることができます。
③ 公証役場が遠方の場合、平成31年4月1日から郵送で取得することも可能になりました。
4 利害関係人による遺言検索システム利用の困難さ
① 受遺者が遺言検索システムを利用するには、自分が受遺者であることを推定されるような資料が必要となります。自身が受遺者になっていると思われるという程度では利用できません。
② 本事例のように、ただ、「いとこ」である程度の利害関係では、遺言検索システムを利用できる利害関係人には当たらないと判断される可能性が高いです。
③ 仮に、故人が生前、自分が亡くなったら財産はいとこにあげると言っていたなどの事情があれば、それを陳述書にして公証役場に提出して、公証役場の判断を仰ぐことになります。
5 遺言検索システムが利用できない場合
① 故人に相続人がおらず、遺言検索システムを利用しようとしたが公証役場が利害関係があると認めてくれないという場合、それでも公正証書遺言の有無を調査するのであれば、相続財産管理人選任申立てを検討することになります。
② 相続財産管理人に選任されれば、相続財産管理人が公正証書遺言の有無を調査してくれます。