世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【孤独死をめぐるQ&A】Q31 遺骨引取義務の有無についての記事です。
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【Q31】遠縁の親戚が孤独死し、自治体が火葬をし遺骨を預かっているようです。自治体から私に対して遺骨を引き取ってくれないかという連絡が来ました。
親戚だというだけで遺骨を引き取る義務はあるのでしょうか。
【A】遺骨の引取りを法的に義務付けることは難しいと考えます。
【解説】
1 遺骨は所有権の対象になる
① 遺骨も動産であり、所有権の対象になります。
② 自らに故人の遺骨を引き渡して欲しいと主張する者が、自身が遺骨の所有者であると主張し、遺骨の所有権をめぐって紛争になったという例があり、裁判所は遺骨の所有者が誰になるかという判断をしています。
③ そのような訴訟において、故人の祭祀承継者に当たる者が遺骨の所有権者になると判断されます。
④ 祭祀承継者は、故人による指定、慣習、家庭裁判所による決定で決まります(民法897条)。
⑤ このことからすると、故人の遺骨の所有権者は、祭祀承継者であると言えます。
2 遺骨引取義務を負うか
① 祭祀財産の承継には、相続の承認や放棄の規定は適用されません。祭祀承継者は、祭祀財産を放棄することはできないとされています。
② そうなると祭祀承継者は、遺骨の所有権者となります。
③ 所有権は他人を害する形で一方的に放棄できないとされています。遺骨を自治体が管理するとなるとコストもかかりますので、自治体に迷惑をかけるような形で遺骨の所有権を一方的に放棄することができないと考えれば、自治体は祭祀承継者に対して、その所有物である遺骨を引き取るように請求することも認められそうです。
④ ただ、自治体が故人の親族に対して遺骨を引き取るように請求してみても、実際に祭祀承継者ではないと主張され遺骨の引取りを拒否された場合、自治体が親族に対して、遺骨の引取りをさせることは困難かと思います。
⑤ というのも、遺骨の所有者は祭祀承継者であるところ、祭祀承継者が明らかでない場合には、祭祀承継者を定める審判によりそれを定めることになるからです。
⑥ この祭祀承継者を定める審判の申立権者は、当該祭祀財産の権利承継につき利害関係を持つ親族またはこれに準じる者(例えば内縁の妻、事実上の養子)と解されていることから、他人の遺骨を管理しているにすぎない者から、祭祀承継者を定める審判を申立てられない可能性があり、遺骨の所有者を定めるということは難しいかもしれません。
⑦ そうなると、自治体から遺骨の所有者=祭祀承継者を特定して、遺骨の引取りを求めることは、事実上、難しいのではないかと思います。