世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援・成年後見制度に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
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【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q15 面識のない親族の遺体の引取りについての記事です。
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【Q15】生前面識のなかった叔父(父の弟)が死亡したので、遺体を引取りに来るように警察から電話がありました。両親もすでに死亡しており、叔父は結婚しておらず、子どももいなかったので、私だけが縁故者になるというのですが、私は叔父の遺体を引取りたくはありません。引取りの拒否はできるのでしょうか。
【POINT】
① 相続人や扶養義務者は遺体の引取義務を負うのか
② 祭祀主宰者は遺体の引取り義務を負うのか
③ 引き取り手のない遺体の葬祭は誰が行なうのか
④ 引き取り手のない遺体の葬祭費用は誰が負担するのか
1⃣ 相続・扶養義務との関係
① ご質問では、叔父さんに妻子がいないのであれば、ご質問者が唯一の血縁者であり、唯一の法定相続人になるのかもしれません。
② しかし、相続は、被相続人の有していた相続財産(プラスの資産だけではなく、マイナスの負債も含みます)を承継することであって、遺体は相続の対象に含まれません。
③ よって、遺体を引き取る義務があるかどうかということと、法定相続人であるかどうかということとは、関連するものではありません。したがって、ご質問者が相続を放棄すれば解決するという問題ではありません。
④ また叔父さんの生前にご質問者が扶養義務者であったかどうかも関係ありません。扶養義務とは、扶養権利者に扶養の必要性が認められる場合に、扶養義務者である直系血族および兄弟姉妹に扶養の可能性が存するときに発生する経済的な援助義務です。
⑤ 特別な事情がある場合には、3親等内の親族に扶養義務を負わせることはできますが、それには家庭裁判所の審判が必要です。
⑥ いずれにしても、遺体の引取りは、そのための費用に関する点を除いて経済的な援助義務とは何の関係も有りませんから、扶養義務があるかどうかという問題でもありません。
2⃣ 祭祀承継との関係
① 遺体に関する権利義務については、法律には直接の規定はありませんが、祭祀主宰者(祭祀承継者)が有すると考える学説や判決例が多いといえるでしょう。
② 遺体については、権利義務の対象とすべきでないという考え方もありますが、遺体を盗難や破壊から守るという意味で、遺体に対する所有権を観念することには合理性があると思います。
③ そうだとすれば、民法を準用して遺体の所有者は祭祀主宰者であると考えるのが最も適当であろうと思われます。
④ ご質問では、ご質問者が唯一の血縁者であることから、ご質問者が祭祀主宰者になるのではないかとも思われますが、誰が祭祀主宰者になるのかについては、第1に被相続人の指定、第2に慣習、第3に家庭裁判所の審判、によって決まります。
⑤ 被相続人の指定や慣習が存在したとしても、その対象者が祭祀主宰者になることを拒否している場合には、その者を祭祀主宰者としても意味はありませんから、祭祀主宰者になるべき義務などは観念すべきではありません。そうすると、祭祀承継という点から考えても、ご質問者には遺体の引取義務はないと考えられます。
3⃣ 引き取り手のない遺体の葬祭事務
① それでは、引取手のない遺体の葬祭はどうなるのでしょうか。この点については、葬祭を実際に行うという面と、そのための費用をどうするかという面を分けて考えるべきだと思います。
② まず、葬祭を実際に誰が行なうかという面については、引取手のない遺体の火葬に関しては、死亡地の市町村長が行なわなければならないこととされています(墓地埋葬法9条1項)。
③ なお、引取手のない遺体のうち、住所、居所、氏名がわからない遺体については、行旅死亡人とみなされて、市町村が火葬しなければならないと定められています。
④ 行旅死亡人に関しては、住所や氏名が判明しない場合には告示や公告を行い、住所や氏名が判明した場合は、相続人や扶養義務者に通知しなければならないこととされています。
⑤ しかし、行旅死亡人に該当しない引取手のない遺体の場合には、そのような手続きを定める法律は存在していません。それにもかかわらず、実際には、法定相続人に連絡して遺体の引取りを事実上求めるという実務になっているようです。
⑥ 以上のように、火葬までの手続きは法令で定められていますが、葬儀やその後の葬祭に関する規定はありません。
⑦ なお、引取手のない遺体については、その所在地の市区町村長が献体の要請があった場合に献体に付すことができます(死体解剖保存法12条)。献体が行なわれた場合には、解剖を行った大学側で解剖後の遺体を火葬し、大学の墓地に納骨した上で慰霊祭を行うところもあります。この場合には学校長が費用を負担することとされているので(同法21条)、葬祭費用の問題は生じません。
4⃣ 引き取り手のない遺体の葬祭費用
① 次に、葬祭の費用をどうするかという面については、墓地埋葬法9条1項に基づいて市町村長が火葬を行った場合の費用は、行旅病人及行旅死亡人取扱法を準用するとしております。
② 死亡者の遺留した金銭・有価証券を充当し、不足のときは相続人、死亡者の扶養義務者の順で負担し、さらに不足のときには遺留物品を売却し、最終的には火葬を行った地の都道府県の負担となります。
③ 引き取り手のない遺体につき、市町村長以外の誰かが実際に葬祭を行った場合には、民法では、市町村長などに対する事務管理に該当すると思われますが、その費用については、生活保護法の適用を受け、葬祭扶助を受けることができます。もし叔父さんが生前に生活保護を受給していた場合には、葬祭執行を民生委員に依頼した上で葬祭扶助を適用することもできます。