【葬儀・墓地のトラブルQ&A】Q44 略式葬と親族の反対

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【Q44】現在、認知症の母を一人息子である私と妻とで介護しています。亡き父の葬式の時は何かと大変でしたので、母が亡くなった時は葬式をしないつもりでいます。その旨を母方の伯父・叔母に話したところ、こぞって反対されました。葬式はしなければならないのでしょうか。

【POINT】
① 略式葬とは何か
② 現行法が定めている「死者を葬るのに必要な手続き」
③ 略式葬の問題点

1⃣ 略式葬とは
① 最近、葬式をしないで火葬だけで済ませてしまう「略式葬」が増えています。「略式葬」は、葬式という儀礼を排するという点で、儀式を行う「無宗教葬」とは異なります。
② 都内ではすでに3割が略式葬であると言われています。なお、略式葬は、葬祭業者の間では「直葬」(ちょくそう)と呼ばれることが多いようです。
③ 略式葬が行なわれる場合には、⑴やむを得ず行われる場合と、⑵故人や遺族の自由な意思に基づいて行われる場合とがあります。
④ ⑴の原因として挙げられるのが、貧困世帯の増加と、いわゆる「孤独死」の増加です。⑵の略式葬増加の背景には、葬送に関する国民意識の変化、寺や葬祭業者に対する不信、遺族の故人に対する哀惜の念の欠如、マスコミが略式葬の存在をしばしば取り上げていることなどが考えられます。

2⃣ 死者を葬るための法的手続き
1 葬儀の基本的な流れ
① 最も多い仏式の葬儀を例にして一般的な葬儀の流れを見ますと、ⅰ臨終、ⅱ遺体の搬送と安置、ⅲ葬儀の打ち合わせと連絡、ⅳ納棺、ⅴ通夜、ⅵ葬儀・告別式、ⅶ出棺、ⅷ火葬、ⅸ骨上げ、ⅹ還骨法要・初七日法要、ⅺ納骨。
2 死者を葬るための法的手続き
① これに対して法が定めている死者を葬るのに必要な手続きは、以下のとおりです。
ⅰ死亡届の提出
① 死亡届は、届出義務者が死亡の事実を知った日から7日以内にしなければなりません。なお、届出義務者以外の者で法に定めがある者は死亡届を提出することができます。
ⅱ火葬許可証の下付申請
① 埋葬(=土葬)、火葬を行おうとする者は、市区町村長の許可を受けなければなりません。火葬の場合、通常、死亡届に火葬許可申請書を添えて、市区町村役場の担当窓口に提出し、火葬許可証を交付してもらいます。
② 火葬する際、火葬場の管理者に火葬許可証を提出します。火葬終了後、火葬場では火葬許可証に必要事項を記入して返却してくれます。
③ 納骨する際に火葬済の証印が押された火葬許可証を墓地の管理者に提出し、焼骨を埋蔵します。
ⅲ略式葬と法律
① 以上見てきた通り、現行法で義務付けられている手続は、火葬の場合では、死亡届、火葬許可証の申請受領、そして火葬だけです。
② 納骨も法律上は義務ではなく、自宅等での保管も可能です。したがって、葬式という儀礼を省き、火葬だけで済ませてしまう略式葬も法的には可能です。
③ なお、水葬の場合については、船員法施行規則5条で「船長は、死体を水葬に付するときは、死体が浮き上がらないような適当な処置を講じ、且つ、なるべく遺族のために本人の写真を撮影した上、遺髪その他遺品となるものを保管し、相当の儀礼を行わなければならない」と定められています。

3⃣ 略式葬の問題点
① 略式葬は法的には問題はありませんが、安易に葬式なしで済ませてよいかというと一概にはそう言えないようです。
② 故人の立場から見た問題点、遺族の立場から見た問題点、精神的問題点の3点から考えられます。
③ 故人から見た問題点は、故人が葬式無用の意思表示をしていないにもかかわらず、遺族がお金を掛けたくないと火葬だけで済ませてしまう点です。故人の尊厳への配慮から、火葬のみの場合後日親族から非難され、葬式をやり直した事例もあるようです。
④ 遺族の立場から見た問題点は、遺族が故人の周囲の方々から「なぜ葬儀をしてくれなかった」と非難され、また、弔問がひっきりなしに自宅に来てその対応を迫られる点です。故人の社会的立場によっては、弔問客が多くなることが予想されます。葬儀を行うことで、その後の遺族の負担が軽減されることに繋がります。
⑤ 精神的問題点は、残された家族の死別の悲しみ、苦しさなどのグリーフは、心だけでなく、身体にも影響を及ぼす点です。葬儀を行うことで、心の区切りをつけた人はそうでない人に比べ、悲嘆(グリーフ)が解消しやすい、つまり葬儀はグリーフケアの面で有効であるということです。
⑥ いずれにしても、略式葬にするか否かは、「手間がかからない」「経済的負担が少ない」ということだけでなく、故人の生前の意思や上記問題点をよく考えて決めるべきでしょう。