【孤独死をめぐるQ&A】Q16 相続放棄③ 3か月経過後の相続放棄

世田谷区砧で子供のいないご夫婦、おひとり様の遺言書作成、シニア世代の将来設計、終活・相続支援に詳しい行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。
パスポート申請、車庫証明申請も多く手掛けております。

【孤独死をめぐるQ&A】Q16 相続放棄③ 3か月経過後の相続放棄についての記事です。

東京都世田谷区の車庫証明はインボイス対応済みの【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の遺言書は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・戸籍収集支援・銀行手続は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の成年後見制度・任意後見契約・死後事務委任契約は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区のパスポート申請は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言のご相談は【090-2793-1947】までご連絡を

【Q16】おじが亡くなった後3ヶ月経過してから、おじに多額の借金があったことが分かりました。借金を相続したくないのですがどうしたらよいですか。

【A】借金を相続しないためには相続放棄という方法があります。相続放棄は原則として相続の開始を知った日から3か月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述をする必要があります。
亡くなった日から3か月経過しても受理してもらえることも多いので、弁護士や司法書士等の専門家に相談した上で、相続放棄の申述をしてみてください。

【解説】

1 熟慮期間の起算点

① 相続放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3か月(熟慮期間)以内に手続きをする必要があります。
② 熟慮期間を超えると相続放棄は出来なくなるので、いつから熟慮期間が進行するか、熟慮期間の起算点が極めて重要になります。

1)相続人であることを知った時
① 相続放棄をするかしないか考えるには、まず、自身が相続人であることを覚知していることが前提となります。そして、相続人であることを覚知していたといえるためには、具体的に相続人であることを覚知していることが必要とされています。
② 被相続人が亡くなったことを知っていながら、法律の不知や事実誤認により自身が相続人であることを具体的に覚知していなかったようなケースでは、具体的に覚知するまでは熟慮期間が進行しないと判断されることもあります。(大決)
③ 相続放棄をするに家庭裁判所への申述をする必要があることを知らず、自身は相続放棄により相続人でないと思い込んでいたと誤信していたというケースで、法の不知により相続人であることを知らなかった可能性があるとして相続放棄の申述が受理されたこともあります。法の不知について比較的緩やかに解釈されているようです。

2)相続財産がないと考えた場合
① 自身が相続人であることを知りながら、相続財産がないと信じており相続放棄は不要と考えていたケースもあり得ます。
② このような場合、相続人が3か月以内に限定承認、相続放棄をしなかったのが、相続財産が全くないと信じたためであり、かつこのように信じるについて相当な理由があると認められる場合には、熟慮期間は相続人が相続財産の全部又は一部の存在を認識した時又は通常これを認識しうべき時から起算するのが相当と判断されています。(最二小判)

2 死亡から3か月経過後の相続放棄の申述

1)却下すべきことが明らかな場合以外は受理するとの運用
① 相続放棄の申述の受理は、実質的には適式な申述がなされたことを公証する手続きとされています。(最二小判)
② 家庭裁判所が相続放棄の申述を受理したとしても、相続放棄の実体要件を備えていたことにはならず、債権者は相続放棄の実体要件を欠くことについて、訴訟で争うことは可能です。
③ これに対して、相続放棄の申述受理の申立てが却下された場合、相続放棄が民法938条の要件を欠き、相続放棄をしたことを主張できなくなり、相続人は回復し難い損害を被ることになります。
④ このことから、家庭裁判所は却下すべきことが明らかな場合以外は相続放棄の申述を受理すべきとの考え方が主流になっています。

2)受理された例
① 下記の通り、3か月経過後であり、被相続人に財産があるということを知っていたような事例であっても、相続放棄の申述が受理されたという例は多数あります。
② 相続人が、被相続人所有の不動産があることを知っていたが、その土地に財産的価値がほとんどなかったという事例。
③ 次女が、被相続人である母所有の不動産があることを知っていたが、不動産は全て姉が相続し自らには相続する財産はないと信じていた事例。
④ 被相続人の死亡当時被相続人名義の不動産の一切を長男が取得することで合意したものの、生前から被相続人名義の不動産が相続の対象となる遺産であるとの認識はなかったとされた事例。

3)諦めずに申し立てることが重要
① 上述のとおり、3か月経過後であり、被相続人に財産があることを知っていたような事例であっても、相続放棄の申述が受理されたという例は多数あるため、もし3か月経過後に債務の存在を知り相続放棄を考えたという場合、諦めて単純承認をしてしまうのではなく、相続放棄の申述を受理してもらえる可能性があるのであれば、申立てをしてみた方がよいと考えられます。
② 相続放棄の申述が却下され、それに不服がある場合には、却下の通知が届いてから2週間以内に高等裁判所に即時抗告することで、改めて判断を求めることが可能です。