【孤独死をめぐるQ&A】Q29 身元は判明しているが遺体の引取手がいない場合の葬儀

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【Q29】孤独死した方の遺体を警察が引き取りました。判明した遺族に連絡をしましたが、生前に関わりがないのに遺体は引き取りたくないといって、遺体の引取りを拒否しています。
その様な場合、葬はどのようになるのでしょうか。

【A】身元が判明している遺体が引き取られない場合も、死亡地の地方自治体が火葬することになります。

【解説】

1 墓地埋葬法の定め

① 身元が判明していない場合には、行旅死亡人とみなされ、行旅病人及行旅死亡人取扱法により死亡地の地方自治体が火葬することになります。
② 本事例のように、身元が判明している場合、遺体の引取手がいなくても、行旅死亡人とはみなされないので、行旅病人及行旅死亡人取扱法は適用されません。
③ この点、墓地埋葬法9条1項には、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない。」との定めがあります。
④ 遺体の引取手がいないということは、死体の埋・火葬を行う者がいないということですので、引取手がいない遺体については、死亡地の市町村長が、火葬・埋葬をすることになります。
⑤ なお、「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないとき」とは、親族である必要はなく、現実に埋葬、火葬を行う人がいないことを指します。
⑥ 親族が遺体の引取りをしないから親族に代わって友人や地域の人が引き取るので、埋・火葬の費用だけ地方自治体に負担して欲しいと考えても、友人や地域の人が葬儀を挙げてくれる場合は、死体の埋葬火葬を行う者がいない場合には当たりませんので、墓地埋葬法9条1項は適用されません。

2 遺体の引取手がいない場合の埋葬・火葬費用の負担

① 墓地埋葬違法9条2項は「前項の規定により埋葬又は火葬を行ったときは、その費用に関しては、行旅病人及び行旅死亡人取扱法の規定を準用する」と規定しています。
② 結果としては、遺体の引取手がいない場合も、行旅死亡人の場合と同様の処理になります。
③ すなわち、行旅死亡人の遺留品に現金や有価証券があれば、それを費用に充てることになります。それで足りなければいったん死亡地の市町村が費用を立て替えます。
④ その後、相続人が判明した場合には、相続人に対して弁償請求をすることになります。相続人がいない、また相続人による弁償がされない場合、死亡人の扶養義務を果たすべき人に弁償を請求することになります。
⑤ それでも弁償がされない場合、当該市町村は、遺留品を売却して得た代金を費用に充てることができます。それでも足りない場合、死亡地の都道府県がその費用を弁償することになります。

3 遺体の引取りの説得

① このように親族が遺体の引取りを拒否しても、葬儀費用を負担した地方自治体は相続人や故人に対して扶養義務を負っていた者に対して、葬儀費用の弁償請求をする余地はあります。
② そのため、地方自治体側として遺体の引取拒否事案に直面した場合、遺体の引取拒否の理由が葬儀費用の負担を避けるためであるのであれば、遺体引取りを拒否しても結局は葬儀費用が求償され費用の支出を余儀なくされる可能性があること、葬儀費用については埋葬費や葬祭扶助の対象になり得ることなどを説明して、応じるように説得を試みても良いかもしれません。
③ 他方で、遺体引取拒否の理由が費用面の問題ではなく、心情的な理由である場合もあります。例えば、幼い頃に離婚をきっかけにそれ以来会っていないとか、親が多額の借金をしたまま夜逃げをして残った家族は苦労していたなどの状況で遺体の引取要請が来て、拒否したという場合が考えられます。
④ そのような心情的な理由の場合、費用的なことを説明しても引取りは拒否されてしまう可能性も高いかと思います。
⑤ このような場合、遺体を引取り火葬する義務というものはないと考えられますので、心情的な理由から拒否する場合には、やむを得ず墓地埋葬法、行旅病人及行旅死亡人取扱法に従って処理を進め、相続人や扶養義務を負う者への弁償請求を試みることになるでしょう。