【改正民法債権編】債権者代位権

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、債権者代位権について考えてみたいと思います。

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債権者代位権

債権者代位権の要件、効果、適用範囲を明文化

 

◆債権者代位権とは
債権者は、強制執行により債務者の財産から強制的に弁済等の債権の満足を得ることができます。強制執行により弁済を受けるためには、債務者が強制執行の引当てとなる財産を保持していることが必要です。債務者が、強制執行の引当てとなる財産を適切に管理しなければ、債権者は自己の債権を回収することができなくなってしまいます。

このように、強制執行の引当てとなる財産は、債務者のみならず債権者にとっても重要な意味があるのです。

債権者代位権は、一定の要件の下、債権者が、債務者に代わって債務者に帰属する権利を行使し、強制執行の引当てとなる債務者の財産を維持することにより、債権者自身の債権の保全を図る制度です。

たとえば、債権者Aは債務者Bに1000万円を貸し付けており、債務者Bは第三債務者Cに500万円の債権があるとします。BのCに対する500万円の債権が時効にかかりそうになっているのに、Bが自ら時効の完成猶予(旧法の中断)をしない場合、Aは債権者代位権を行使して、Bの権利を代わりに行使し、その500万円の時効を完成猶予させることができます。

 

◆新法での改正点
債務者の財産は、債務者が自由に管理処分できるのが原則です。債権者代位権は、この債務者の財産管理の自由の例外として位置づけられます。

債権者代位権は、原則である債務者の財産管理の自由と、債務者の財産維持に利害関係を有する債権者の利益の調整という見地から、その要件と効果が解釈されています。

旧法では、債権者代位権について、「債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。」(旧法423条1項)、「債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。」(同2項)とのみ定められていました。

具体的な要件や効果が詳細に定められていないため、上記の債務者と債権者の利益調整の見地から、判例を通じて、解釈により行使の効果や具体的な適用範囲が補充されていたのです。
新法では、これら旧法下の解釈により補充されていた債権者代位権の要件、効果、適用範囲が明文化されるとともに、議論されていた一部の論点を明文化することによって立法的な解決がなされました。

 

◆債権者代位権の要件
旧法では、債権者代位権を行使するためには、条文上、以下の3点が要件とされていました。
①債権者の債権を保全するために代位行使の必要があること
②債務者が自ら権利行使しないこと
③原則として債権者の有する債権が権利行使できる状態であること(弁済期が到来していること)
そして解釈によって、次の点も要件に加えられていました。
④代位する債務者の権利が、差押禁止債権や強制執行により実現できない権利ではないこと

新法においても、これら基本的な要件は変わっていません。解釈により要件とされていた上記④を明文化し、債務者の権利が差押禁止債権や強制執行により実現できない権利であるときは、これを代位行使できないことが規定されました(新法423条1項ただし書、同3項)。

【改正民法債権編】危険負担

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今回は、【改正民法債権編】に関して、危険負担について考えてみたいと思います。

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危険負担

特定物売買等に関する債権者主義は削除、債務消滅から履行拒絶に

 

◆危険負担とは
危険負担とは、債務者に落ち度なく債務の履行が不可能になった場合における、反対債務の取扱いに関するルールです。

たとえば、建物の売買を考えてみましょう。売買契約により、売主は建物を買主に引き渡し、買主は売買代金を支払うという、相対する債務を負うことになります。

それでは、建物の隣地で火災が発生し、延焼により建物が焼け、建物を引き渡すことができなくなってしまった場合はどうなるでしょうか。この場合、建物の引渡債務は、債務者である売主に落ち度なく履行不能となり、債務自体が消滅します。
このとき、反対債務である代金の支払義務は存続するのか否か、というのが危険負担の問題です。一方の債務が履行不能によって消滅した場合の危険=リスクを、債権者・債務者のどちらが負担するかという問題なので、「危険負担」と呼ばれています。

 

◆特定物売買等に関する債権者主義の削除
旧法534条1項は、危険負担について、特定物に関する物権(たとえば所有権)の設定または移転を目的とする債務については、債権者・債務者のいずれにも落ち度なく履行不能になった場合、反対債務は消滅しない、すなわち履行不能が生じるリスクを債権者が負うという債権者主義が採られていました。

特定物とは、取引の当事者が、取引の対象物の個性に着目して取引の対象とした場合における、その対象物のことをいいます。
たとえば、土地や建物の売買は、隣の建物や土地でよいわけではなく、「その」土地や建物でなければならないわけです。このような物が特定物です。
一方、缶ビール1箱とか、ネジ1000本のように、物の種類に着目して指定される取引の対象物を種類物といいます。

先程の建物の売買の例では、建物は特定物なので、建物の明渡債務が両者に帰責事由なく履行不能となった場合、債権者である買主の代金支払い債務は消滅せず、買主は、建物が手に入らないのに代金を支払うことになります。

しかし、まだ売主の手元にあり、買主が何も関与することのできない対象物について、滅失のリスクを買主に負わせることには、かねてから強い批判がありました。実務においても、危険負担の移転時期を引渡時とする特約が締結されているケースがほとんどで、規定の合理性が疑問視されていたのです。
そこで、新法では、債権者主義を定めた旧法534条1項と、これに関連する規定である同2項・535条は、すべて削除することとしました。
なお、新法では、売買契約の対象物が滅失等した場合のリスクの移転時期を、引渡し時とする新規定が創設されています。

 

◆債務の消滅から履行拒絶に
(1)両者に帰責事由がない場合
特定物に関する債権者主義は削除されたので、特定物に関する債務、それ以外の債務とも、債務者主義が適用され、履行不能によるリスクは債務者が負い、債権者は反対債務を履行しなくてよいことになります。

旧法536条1項は、当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、「反対給付を受ける権利を有しない」と規定し、反対債務は当然に消滅するとされていました。
ところが、先述した通り、新法では、履行不能を含む債務不履行においては、債務者の帰責事由の有無を問わず契約の解除が認められることになりました。

そうすると、両者に帰責事由がないのに履行不能となった場合、債権者は、契約を解除して反対債務を消滅させることができます。反対債務が自動的に消滅するとする危険負担の規定と、解除により消滅させることができるとの解除の規定との間の整合性が問題となります。
そこで、新法は、制度間の整合性を確保するため、反対債務の消滅に関するルールは解除に一本化することとし、危険負担については、「債権者は、反対給付の履行を拒むことができる」との規定に変更されました。

(2)債権者に帰責事由がある場合
上記の変更により、債権者に帰責事由がある場合に、反対給付が消滅しない旨を定めていた536条2項の規定も、「債務者は、反対給付を受ける権利を失わない」との表現から「債権者は、反対給付の履行を拒むことができない」との表現に変更されました。(内容面での変更はない)

この規定が適用される典型的な例は、不当解雇時における給与債権の取扱いです。
解雇事由がないのに不当に解雇され、使用者が労働者の出勤を拒絶している場合、労働者の労務提供債務は、債権者である使用者の責めに帰すべき事由により履行不能となっています。
このような場合、上記規定により、使用者は賃金を支払わなければなりません。
また、履行不能について債権者に帰責事由がある場合には、債権者による解除はできないと新たに規定されています。

 

【改正民法債権編】解除に関するその他の規定

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今回は、【改正民法債権編】に関して、解除に関するその他の規定について考えてみたいと思います。

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解除に関するその他の規定

債権者に帰責事由がある場合の規定を新設

 

◆債権者に帰責事由がある場合の解除権の成否
債務者による債務不履行について、債務者ではなく債権者に帰責事由(落ち度)がある場合があります。
その典型例は、使用者が不当解雇を行ない、解雇が無効であるにもかかわらず、労働者の就労を拒絶している場合です。この事例では、労働者による労務提供義務は不履行となっていますが、その原因は債権者である使用者側にあり、債務者である労働者には落ち度がありません。

旧法では、解除について債務者の帰責事由が要件とされていたので、この事例では使用者による労働契約の解除は認められず、また旧法536条2項により、労働者は賃金を請求することができました。

ところが、新法では、解除にあたって債務者の帰責事由は不要となったため、何らかの手当を行なわないと、使用者による解除が認められ、労働者による賃金請求もできなくなってしまします。
そこで、新法543条は、「債務の不履行が債権者の責めに帰すべき事由によるものであるとき」は解除できないと定め、債権者に帰責事由がある場合には解除できないことを明確にしました。
したがって、上記の事例でも、これまでと同様、使用者による労働契約の解除は認められないことになります。

 

◆債権者と債務者の双方に帰責事由がある場合
以上の説明は、債権者のみに帰責事由があることを前提にしています。
債権者と債務者の双方に帰責事由がある場合に、債権者が解除できるかどうかは別の問題として残ります。

この点は、今後の解釈に委ねられることになります。立法過程における資料には、双方有責の場合は、契約の解除との関係では、いずれにも帰責事由はないとして、解除を認めるとの解釈が示されています。

 

◆解除の効果
契約が解除されると、まだ履行されていない債務は消滅し、既に履行済みの債務については、契約前の状態を回復する義務(原状回復義務)を負うことになります。原状回復義務の内容として、すでに受領した金銭を返還しなければならない場合は、金銭の受領時からの利息を付さなければならないことが定められています。

一方、旧法では、金銭以外の物を返還する場合について、その物の果実(たとえば収益不動産を返還する場合に、不動産から得られる家賃)も返還しなければならないかは、何ら触れていませんでした。
そこで、新法545条3項は、「金銭以外の物を返還するときは、その受領の時以降に生じた果実をも返還しなければならない」と規定し、金銭以外の物を返還する場合も果実を返還すべきことを条文上明記しました。

 

◆解除権の消滅
債務不履行が発生し、債権者が解除できるようになった後、いつまでも解除権が行使できるわけではありません。解除権は次の場合に消滅します。
①相当の期間を定めて、相手方が解除するか否かを確答すべき旨を催告したにもかかわらず、相当の期間内に解除しない場合
②解除権者が故意・過失で目的(受領)物を損傷等した場合
③解除権が消滅時効にかかった場合

新法では、このうち②について改正がなされました。これまでは、解除権の発生後であれば、解除できることを本人が知らない場合でも、目的(受領)物の損傷等により解除権を失うとされていました。
しかし、このような場合に解除権を失う理由は、目的(受領)物を故意・過失で損傷等する行為が、解除権の黙示の放棄とみなされるからです。解除できることを知らない場合には、このような評価はできません。

このため、新法548条は、解除権を有することを知らなかった場合は、目的(受領)物を故意・過失で損傷等したとしても、解除権は消滅しないと規定しました。
また、③の解除権の消滅時効については、消滅時効期間一般の変更に伴い、権利を行使できることを知った時から5年で消滅します。

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【改正民法債権編】無催告解除が可能になる要件

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今回は、【改正民法債権編】に関して、無催告解除が可能になる要件について考えてみたいと思います。

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無催告解除が可能になる要件

無催告解除が可能になる要件、一部解除の規定を整備

 

◆無催告解除
原則として、債務不履行があったとしても、債権者は催告をしてからでないと解除ができませんが、催告を要件とするのは、あくまで債務者が履行をすれば、契約の目的を達することができる場合です。

催告をしても、契約をした目的を達するだけの履行を受ける見込みがない場合にまで、債権者に催告を要求することには意味がありません。
したがって、このような場合には、債権者は債務者に対して履行の催告を行なうことなく、いきなり契約を解除することが認められています。
これを「無催告解除」と言います。

新法542条は、無催告解除が可能な場合、すなわち契約の目的を達するだけの履行を受ける見込みのない場合について、網羅的に要件を定めました。旧法542条が定めていた定期行為の履行遅滞による解除、旧法543条が定めていた履行不能による解除は、無催告解除が可能な場合の1つとして位置づけられました。

 

◆無催告解除の要件(新法542条1項)
①全部の履行不能(同1号)
そもそも債務を履行することができない場合です。
たとえば、不動産売買契約の締結後、同じ不動産が別の人にも売られ、後から現れた買主に登記も移転されてしまった場合です。

②確定的履行拒絶(同2号)
債務者が、債務の履行を拒絶する意思を明確に表示している場合です。
「明確に表示」という表現には注意が必要です。ここでの履行拒絶は、履行不能と同様に扱ってよい程度の状況が必要であり、交渉の過程で単に債務者が履行を拒絶する旨を発言しただけでは不十分とされています。

③一部の履行不能・確定的履行拒絶(同3号)
契約に基づく債務の一部が履行不能になり、あるいは一部について債務者が履行を拒絶する意思を明確に表示していて、かつ、残る債務の履行だけでは契約をした目的を達することができないときです。

④定期行為(同4号)
定期行為とは、特定の日時または一定の期限内に履行しなければ、契約の目的を達することができないような債務を言います。
典型例がクリスマスケーキの販売です。クリスマスイブにケーキが必要な人に対して、12月24日までに引き渡さなければ、クリスマスケーキは意味をなさなくなってしまいます。このような場合、12月24日の経過とともに無催告解除が認められます。

⑤その他契約目的を達成できないとき(同5号)
無催告解除の趣旨に照らして、債権者が催告をしたとしても契約目的を達成するに足りる履行がされる見込みがないことが明らかな場合に、一般的に無催告解除を認めています。

 

◆一部解除
新法では、無催告解除の要件を整理したほか、前記①・②の事由が債務の一部について生じている場合に、契約の一部を解除することができると定めています(新法542条2項)。ただし、一部解除が可能なのは、契約内容が複数に分割できることが前提となります。

 

◆実務での対応
法定解除の可否については、不履行が軽微か否か、契約目的の達成が可能か否かという事例ごとの判断となるため、後から裁判所に解除は無効であったと判断されるリスクがあります。
このリスクを回避するために、契約書において、解除ができる場合とできない場合を事前に取り決めておくことが有用です。

たとえば、付随的な債務や特約で定めた債務については、前もって契約書において、その不履行が解除理由となることを定めておくことが考えられます。

また、複数のサービスに関する複合的な契約においては、一部解除を防ぐために、契約は一体であって、一部の解除は認められない旨を規定しておくことも有用でしょう。

【改正民法債権編】催告による解除

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催告による解除

軽微な不履行による解除はできないことを明文化

 

◆催告による解除の要件
法定解除にあたっては、債務者に履行のチャンスを与えるために、債権者が履行を催告し、それでも履行されない場合に、初めて解除権が発生するのが原則です。これを「催告による解除」といいます。

催告による解除の要件は以下のとおりです。
①債務者が債務を履行しないこと
②債権者が相当の期間を定めて履行を催告したこと
③期間内に債務が履行されないこと
④債権者が債務者に対し解除の意思表示を行なったこと

このうち①の債務不履行には、履行遅滞・履行不能・不完全履行の3種類があることには触れました。ただし、、履行不能の場合には、無催告解除が可能なので、ここで問題になるのは履行遅滞と不完全履行になります。

 

◆軽微な不履行による解除ができないことの明文化
実際に債務を履行していなければ、契約を解除されても仕方がないかもしれません。しかし、たとえば、製品の部品として1万個の商品を納入しなければならない場合に、仮に納品した商品が1個不足していたとしても、契約の解除を甘受しなければならないのでしょうか。
これまでの判例では、次のような場合には、催告による解除を認めないと解釈してきました。
①不履行の程度が軽微である場合(たとえば、不履行の部分が数量的にわずかである場合)
②付随的な債務の不履行にとどまる場合(たとえば、土地の売買契約において、買主が、所有権移転登記までの固定資産税を負担する旨の義務を履行しない場合)
新法では、この点を明文化し、旧法541条に、ただし書として「債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるとき」には、解除することができないと加え、軽微な不履行による解除はできないことを明確にしました。

不履行の内容が軽微かどうかは、契約と取引上の社会通念に照らして個別的に判断されます。そのため、客観的には軽微な不履行であっても、契約の目的達成のために重要な債務であれば、その不履行が軽微ではないと判断される可能性があります。
たとえば、先ほどの製品の部品の例で、部品の数が1個足りないとしても、その1個が製品のために極めて重要な場合もあり得ます。
このようなときは、契約や取引上の社会通念に照らして軽微ではないとして、催告による解除が認められることになります。

 

◆「軽微な不履行」と「目的を達成できないとき」との関係
無催告解除が可能な場合の要件として、「契約の目的を達することができないとき」が挙げられています。
つまり、同じ債務不履行に基づく解除について、催告による解除は「債務不履行が軽微か否か」、無催告解除は「契約の目的を達成できるか否か」で、解除の可否が変わってくることになります。

不履行の重大性(軽微、軽微ではない、目的達成不能)と解除の可否については以下のとおりです。
催告解除の可否
軽微=できない:軽微ではない=できる:目的達成不能=できる
無催告解除の可否
軽微=できない:軽微ではない=できない:目的達成不能=できる

【改正民法債権編】解除の基本的な考え方

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解除の基本的な考え方

債務者の帰責事由は不要とし、法定解除を2種類に整理

 

◆契約の解除
契約の解除とは、いったん有効に成立した契約を破棄し、契約がなかった状態に戻すことです。解除には、次の3種類のものがあります。
①法律が定める要件に基づく法定解除
②契約ごとに当事者が定めた解除権に基づく約定解除
③当事者が契約の解消に合意する合意解除
今回の民法改正では、①の法定解除の基本的な考え方と要件について、変更が加えられています。

 

◆帰責事由を不要に
旧法では、解除は債務を履行しなかった債務者に対する制裁と考えられており、債務不履行について債務者に責任を負わせるだけの理由(帰責事由)がない場合は、解除できないとされていました。

旧法543条ただし書きは、履行不能による解除について「債務の不履行が債務者の責めに帰することができない事由によるものであるとき」は解除できないと定めており、また催告による解除に関する旧法541に基づく解除権も、債務者に帰責事由がなければ行使できないと解釈されていました。

新法では、解除について、債務者に対する制裁ではなく、債務不履行の場合に債権者を契約上の拘束から解放するための制度と位置づけ、解除にあたって債務者の帰責事由の有無を問わないこととし、旧法543条ただし書きの規定は削除されました。

たとえば、部品の仕入れ先が大災害で被災し部品の供給ができなくなった場合、これまで発注者は、仕入先には帰責事由がないため、契約の解除ができませんでした。新法下では、こうした場合でも、速やかに契約を解除し、代替的な仕入先との取引に入れるようになります。

ただし、これまでも、債務不履行について債務者に帰責事由がないと判断されることは少なく、この変更の実務への影響は大きくありません。
なお、債務不履行の場合に損害賠償を請求するためには、今後も債務者の帰責事由が要件となります。したがって、債務者に債務不履行があった場合は、債権者は、要件や効果の違いを踏まえて、契約を解除するか否か、損害賠償を請求するか否かを考えていくことになります。

 

◆法定解除の種類の整理
新法では、法定解除の種類を「催告による解除」(新法541条)と「無催告解除」(新法542条)の2つに整理しました。

解除に際しては、債務者に債務を履行するチャンスを与えるために、事前に期間を定めて催告し、それでも履行しないときに解除権が発生するのが原則です(催告による解除)。しかし、催告をしても履行を受ける見込みがない場合にまで、債権者に催告を要求することは無意味なので、その場合はいきなり契約を解除することが認められます(無催告解除)。

旧法では、解除の種類を、債務者よる債務不履行の内容の違いにより、「履行遅滞等による解除」(旧法541条)、「定期行為の履行遅滞による解除」(旧法542条)、「履行不能による解除」(旧法54条)の3つに整理していました。
新法では、これを「催告による解除」と「無催告による解除」の2つに整理したのです。
旧法での「債務が定期行為であること」と「履行不能であること」は、無催告解除が可能となる要件の1つとして位置づけられています。

 

【改正民法債権編】賠償額の予定・過失相殺

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賠償の予定・過失相殺

大きな改正はなく、従来の解釈を維持

 

◆賠償額の予定と新法の定め
損害賠償の範囲は、通常損害と当事者が予見すべき特別損害とされています(法416条1項、新法416条2項)。

しかし、取引実務においては、将来起こるかもしれない紛争を事前に回避する目的で、債務不履行があった場合の損害賠償額を事前に合意しておくことがあります。旧法も新法もこの合意の有効性を認めており、「当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。」(新法420条1項)と定めています。

ただ、旧法では、「この場合において、裁判所は、その額を増減することができない。」(旧法420条1項後段)として、合意された賠償額が裁判所を拘束することを規定していました。
しかし、これまでの判例法理においても、実際に発生した損害賠償額が合意された損害賠償額に比してあまりに過大な場合には、公序良俗に違反するものとして合意を無効にする解決が図られてきました。

これを受け、新法では、旧法420条1項後段の定めは削除されました。
ただし、この規定が削除されたとしても、裁判所が当事者の合意を無視して予定賠償額を増額することは原則できないと考えられています。
なお、本条に関する経過措置により、新法施行日前にされた損害賠償額の予定にかかる合意については、旧法によって規律されることになります。

 

◆賠償額の予定をめぐる諸問題
賠償額を事前に合意したとしても、無効になる場合があります。上記の公序良俗違反の場合に加えて、強行規定に違反する場合にもその合意は無効とされます。

たとえば、利息制限法4条は、「金銭を目的とする消費貸借上の債務の不履行による賠償額の予定は、その賠償額の元本に対する割合が第一条に規定する率の一.四六倍を超えるときは、その超過部分について、無効とする。」と、賠償予定額の上限を規定しています。あるいは、労働基準法16条は、「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。」と、そもそも賠償額の予定をすることを禁じています。

賠償額を予定した場合であっても、債権者は、債務の本旨に従った履行の請求をしたり、要件を満たせば契約の解除をしたりすることができます。
賠償額を予定しても、債権者がこれらの権利を放棄しているわけではないからです。このことは、旧法・新法の両方において、明文で規定されています(法420条2項)。

また、債務不履行の際に債務者が「違約金」を支払う、という趣旨の合意をすることがあります。違約金には、賠償額の予定のみならず、違約罰の約束という趣旨が含まれることもあります。違約罰は本来的に損害賠償とは別のものですから、違約罰の部分は損害賠償とは別に請求できるようにも思われます。しかし、民法では、違約金の定めがある場合には、賠償額が予定されたものと推定することにしています(法420条3項)。
ただ、これは「みなす」規定ではなく、「推定する」規定にとどまりますから、債権者が反証に成功した場合には、損害賠償とは別に違約罰の趣旨で金銭請求することができます。

 

◆過失相殺と新法の定め
新法418条は、「債務の不履行又はこれによる損害の発生若しくは拡大に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。」としています。

債権者にも債務不履行の原因がある場合には、債権者の責任の程度に応じて賠償額を減額し、債権者も実質的に損害を分担して負担します。これが「過失相殺」です。

たとえば、患者が医師に対して自身の既往症を説明し忘れた結果、医師が十分な医療行為が行なえなかった場合(医療行為についての債務不履行がある場合)には、患者は申告漏れについての責任を負い、損害賠償の一部を負担することになります。仮に、この事例で患者側の過失を2割、損害の総額が100万円とするならば、患者は医師に対して80万円の範囲で損害賠償を請求できるにとどまります。

なお、前記の新法418条中、「又は」から「拡大に」までの部分は新法で追加された文言です。ただし、旧法においても、専ら債務者の責めに帰すべき事由により債務不履行が生じた後に、債権者の過失によって損害が発生・拡大したときには、過失相殺がなされるべきとされてきました。したがって、この法改正は、従前の判例・通説を確認したものにすぎないと考えられます。

 

◆「考慮」か「義務」か
法722条2項は、不法行為の場合に関し、裁判所は「被害者の過失を考慮して損害賠償の額を定めることができる」としています。
これに対して、債務不履行の場面では、旧法も新法も、裁判所は過失相殺を考慮して、「損害賠償の責任とその額を定める」と規定しています。

この文言の違いから、債務不履行においては、裁判所は債権者に過失がある場合には義務的に過失相殺をしなければならないようにも読めます。
しかし、実際には、不法行為の場合と債務不履行の場合で扱いに差異を設ける理由はないですし、そもそも裁判所には過失の基礎となる事実を認定するか否かについての裁量があるので、債務不履行の場面の過失相殺を義務的なものと解する実益は乏しいという考え方も有力です。

 

◆損益相殺
債務不履行によって、損害が発生するとともに、債権者が利益を受けることがあります。
たとえば、建築請負契約において、注文者の債務不履行によって請負人が損害賠償を請求する場合、請負人は建築をしなくて済んだことによって、材料費や人件費等の負担を免れます。この免れた負担を、注文者に対する請負代金請求から控除するのが「損益相殺」です。

損益相殺は、過失相殺とは異なる概念で、旧法下では解釈上認められてきた損害賠償の減額要因です。新法においても明文の規定は設置されませんでしたが、今後もこれまで通り承認される概念だと思われます。

【改正民法債権編】損害賠償の範囲

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、損害賠償の範囲について考えてみたいと思います。

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損害賠償の範囲

基本的な考え方は維持しながらも、残された解釈論

 

◆賠償範囲の合理的制限
債務不履行によって生じる損害は、その因果関係をたどっていけば無限に拡大します。たとえば、売買によって車両を手に入れる予定だった債権者が、債務者の履行遅滞によって納期限に当該車両を手に入れることができず、転売予定の主力取引先の不興を買い、取引が打ち切られて事業破綻し、最終的には一家離散に至った場面を想定します。

この例で、車両の引渡しを怠った債務者が、債権者の一家離散についてまで責任を負うというのでは、あまりに責任の範囲が広範です。債務者が負担する損害賠償の範囲は、取引上または社会通念上相当な範囲に限定される必要があります。そこで、損害賠償法理においては、賠償範囲の画定が重要な課題になってきます。

 

◆通常損害と特別損害
法416条1項は、「債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。」と規定しています。このような損害を「通常損害」といいます。

損害賠償は通常損害の範囲に限られるというのが原則です。何が通常損害の範囲に含まれるかについては、一義的には決まらないことが多いのですが、以下のような損害は通常損害の範囲に含まれると考えられます。

①転売を前提とする取引で、買主が次の取引で得られるはずの転売利益
②同じく転売を前提とする取引において、買主が第三者に債務不履行による損害賠償責任を負ったときの賠償金
③買主が売買の目的物を利用して得る予定だった営業利益

他方で、新法416条2項は、「特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。」としました。「特別損害」は当事者の予見可能性がある場合に限って賠償範囲に含まれることになります。

なお、旧法416条2項は「当事者がその事情を予見し、又は予見することができたとき」に特別損害が賠償範囲に含まれるとしていました。法の文言には変化がありますが、その実質は同じであり、賠償範囲に関する従前の解釈に変化はないと考えられています。

 

◆残された解釈の問題
上記のとおり、新法416条2項は、「当事者がその事情を予見すべき」場合に、特別損害であっても損害賠償の範囲に含まれるとしています。しかし、この法文はやや抽象的で、解釈にあたってはいくつかの問題がなお残されたままになっています。

たとえば、予見をすべき主体は、契約の当事者双方なのか、債務者のみで足りるのか、という問題があります。一般には、賠償義務者のみ予見できれば不測の損害が発生しないので、債務者のみ特別の事情を予見できれば足りると考えられています。ただ、今回の改正では、議論がされつつも、この問題に関する立法的な解決はなされませんでした。

また、当事者は「どの時点」で特別の事情を予見できる必要があるのか、という問題もあります。古い判例や多くの学説は、契約締結時に特別の事情が予見できなくても、履行期までに損害の拡大が予見できた場合には、債務不履行をした者がその賠償をするのは当然であるとしています。他方で、契約解釈は契約締結時の状況を背景になされるから、契約締結時に予見可能性があることを必要とする見解もあります。この点についても、今回の改正では立法的解決はされていません。
これらの点については、今後さらに解釈の蓄積が待たれるところです。