【改正民法債権編】意思表示の合致

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、意思表示の合致について考えてみたいと思います。

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意思表示の合致

判例法理が反映された意思表示に関する規定

◆意思能力
「法律行為」という言葉があります。これは、当事者がその意思に基づいて一定の法律効果の発生を求めて行う行為を意味します。
例えば、コンビニでお弁当を買ったり、家を賃貸したりするのもすべて法律行為です。
法律行為が有効に成立するためには、旧法下では判例により、法律行為の当事者に意思能力(法律行為の結果を弁識し、有効に意思表示をする能力)が必要とされていました。
新法では、この点を「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする。」(新法3条の2)と明記しました。

 

◆意思表示の合致・意思表示の受領能力
申込みと承諾があれば意思表示の合致となり、契約が成立します。
新法では、旧法にあった「隔地者に対する」という文言を削除し、意思表示は相手方へ到達したときに効力が発生する到達主義を維持しました(新法97条1項)。また、相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げた場合には、その通知が通常到達すべきであった時に到達したものとみなす旨を、新たに規定しました(同2項)。

意思表示の受領能力については、未成年者、成年被後見人のほか、意思能力を欠いている者(新法3条の2)も加え、それらの者(相手方)へした意思表示は、相手方に主張できない旨も明記しました(新法98条の2)。
なお、例外的に、①相手方の法定代理人、②意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方が、その意思表示を知った後は、その相手方ないし法定代理人は内容を理解できるので、有効な意思表示になりますが、その旨も明記されました。

 

◆条件・期限
たとえば、ある物を贈与する場合には、「2022年8月10日に」と書いてあれば、必ず来るので期限です。これに対して、「1USドルが60円になったならば」と書いてあれば、必ず実現するとはいえないので条件です。
新法では、判例法理で認められていた不正な条件成就につき、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定しました(新法130条2項)。

 

◆無効と取消し
契約は、前記のように意思能力がない場合や、瑕疵がある場合に無効や取消しになります。旧法では、無効の効果についての規定はありませんでしたが、新法ではそれを規定しました。
まず、取消しの効果は、旧法と同じく「初めから無効」です。そして無効の効果としては、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」(新法121条の2第1項)ことになります。

この原状回復義務には2つの例外があります。
【例外1】・・善意の無償行為
「善意」とは、法律用語で「ある事実を知らないこと」をいいますが、下記の場合には、現存利益を返還すれば足ります(同2項)。
①無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者で、給付を受けた当時その行為が無効であることを知らなかったとき
②給付を受けた後に取消しにより初めから無効とみなされる行為で、給付を受けた当時に取り消しうることを知らなかったとき
現存利益の返還とは、たとえば取引で1000万円受領しても300万円浪費してしまった場合には、700万円を戻せばいいというものです。

【例外2】・・意思無能力者等の行為
行為時に意思能力を有しなかった者や行為時に制限行為能力者(未成年者、成年被後見人等)であった者も、現存利益の返還で足ります(同3項)。
なお、取消しは無効と異なり、期間制限があります。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、あるいは行為の時から20年経過したときは、時効によって消滅します(新法126条)。

【相続・遺言について】相続時精算課税制度

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続時精算課税制度について考えてみたいと思います。

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【Q】相続時精算課税制度の利用を考えていますが、具体的にはどのようなメリット、デメリットがありますか?

 

【A】◆1.相続時精算課税制度の概要

相続時精算課税制度は平成15年度より設けられました。

この制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、その名のとおり、相続時に税額を精算する制度です。

具体的には、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときに、すべての贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

この制度を利用した場合、贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分について一律20%の課税となります。

 

◆2.メリット

①必要な時期に財産移転ができる。
相続はいつ発生するかわかりませんが、相続時精算課税制度を利用すると、子がお金を必要とする時期に贈与することができます。贈与する財産の評価が変わらなければ、相続時精算課税による贈与をしても、相続時まで贈与をしなくても、結果的に税額は変わりません。相続時に相続税がかからないと想定される場合には、相続を待たずに早めに財産を移転できます。

②一度にまとまった金額を贈与できる。
相続時精算課税制度では、2500万円まで贈与税がかかりません。また、2500万円を超えた金額に対しても、一律20%の課税となります。例えば、父から20歳以上の子が一度に2500万円の贈与を受けた場合、暦年課税制度では、贈与税が810万5000円「計算式:(2500万-110万)×45%-265万」となりますが、相続時精算課税制度では、贈与税がかかりません。

③アパートなどの収益物件や、将来値上がりしそうな財産を贈与すれば相続税対策になる。
アパートなどの収益物件は、賃料が入ってくるため、その分相続財産が蓄積されていきます。早期にアパートを子に贈与すれば、その後の賃料は子の収入となりますので、相続財産の増加を防ぐことが出来ますし、子にも収益を帰属させることが出来ます。

また相続時精算課税制度において、相続時に相続財産と合計される贈与財産の価額は、贈与時の価額ですので、株式や土地といった将来値上がりしそうな財産を、価格の低い時期を選んで生前贈与すれば、相続財産の評価額を低く抑えることができ、相続税対策になります。

④生前に財産の分割が出来る
いままでは、遺言をすること以外に、親が相続に関して意思を表示することができませんでした。相続時精算課税制度を利用すれば、遺言によらず、生前に親の意思に即した財産の分配を行うことができ、相続時のトラブルを回避することができます。ただし、遺留分の考慮をする必要があります。

 

◆3.デメリット

①いったん相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税制度には戻れない
相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者については従来からある暦年課税制度に戻ることはできず、年間110万円の基礎控除が使えなくなります。
従って、少額の贈与でも、必ず贈与税の申告が必要になります。また、2500万円の非課税枠を使い切っていれば、20%の贈与税を納めなければなりません。

②相続財産を減らせるわけではない
相続時精算課税制度での贈与財産は、相続時に相続財産に加算されますので、生前贈与をしても直接的な相続財産の減少にはなりません。これに対して、暦年課税の贈与税には、受贈者1人につき1年間に110万円の基礎控除があるため、少ない税負担で確実に財産を減らすことができ、しかも相続財産には加算されません。

③生前贈与した財産が値下がりしたときは不利になる
相続時精算課税制度において、相続時に加算される金額は、贈与時の評価額ですから、財産の価値が相続時に値下がりしていても贈与時の高い評価額で相続税が計算されますので不利になります。

④小規模宅地等の特例の適用を受けることができない
小規模宅地等の特例の適用を受けることができるのは、相続や遺贈により居住用住宅地等や事業用宅地等を取得した場合です。相続時精算課税制度により生前贈与した財産が居住用住宅地等や事業用宅地の場合には、その取得原因が贈与ですから、相続時において小規模宅地等課税価格の特例は適用されません。

⑤生前贈与で取得した財産は物納できない
暦年課税制度では、相続開始3年以内の贈与財産は相続財産に加算されますが、物納の申請は可能です。これに対し、相続時精算課税制度で生前贈与した財産については、贈与時の時価で相続財産に合算されますが、物納対象とはなりません。

⑥将来、相続税の税制改正があり、相続税が課税される可能性がある
現行法のもとで相続税がかからないと見込んで相続時精算課税制度を利用したとしても、将来、相続税法が改正され、相続税が課税される可能性があります。

⑦生前贈与された現金等を消費して相続税が払えない可能性がある
生前贈与された現金等の財産を消費して無くなっていたとしても、相続時精算課税制度を選択して贈与した財産には将来相続税が課税されますので、注意が必要です。

【相続・遺言について】贈与税と相続税

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、贈与税と相続税について考えてみたいと思います。

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【Q】生前贈与を受けた場合と相続の場合とでは、税の控除においてどのような差がありますか。

 

【A】生前贈与を受けた場合には、贈与税がかかりますが、財産を生前に贈与して贈与税を支払っておくことにより、将来相続が生じたときにかかる相続税を抑えることが出来ます。そこで、贈与税は相続税の補完税であるとも言われます。

贈与税はいわゆる暦年課税制度が採用されています。これは、1年間に贈与を受けた全ての財産の価額を合計し、その金額から基礎控除額を控除した金額に税率を乗じて、1年間の贈与税額を計算する方式です。ただし、相続開始前3年以内に生前贈与を受けていた場合には、その財産が相続税の課税価格に加算されますから、相続税の課税と関係しています。

生前贈与を受けた場合に、かかる贈与税の基礎控除額は、贈与を受けた1人について1年に110万円です。これに対して、相続税の基礎控除額は、「3000万円+600万円×法定相続人の数」となります。
例えば、相続税では相続人が4人の場合、全体で5400万円が基礎控除額の合計額であり、1人当たり1350万円になります。これに対して、贈与税の基礎控除額は、毎年1人当たり110万円ですから、相続税の基礎控除額とほぼ同額になるには、12年間続けて贈与しなければならない計算になります。

また、贈与税は、相続税に比べて税率が高くなっています。例えば、基礎控除後の課税価格が1億円の場合、相続税の税率は30%ですが、贈与税の税率は55%となっています。

このように、贈与税は相続税と比べて、基礎控除額の違いだけでなく、税率が非常に高くなっていますので、一度に多額の財産を生前贈与することが出来ません。

そこで、贈与税の負担を大幅に軽減し、高齢者世代が保有する資産をより早い時期に次世代に移転させることにより、経済の活性化を図ることを目的として、相続時精算課税制度が平成15年度より設けられました。

この制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、その名のとおり、相続時に税額を精算する制度です。

具体的には、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときに、すべての贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

この制度を利用した場合、贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分について一律20%の課税となります。

【相続・遺言について】相続税の基礎控除額

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税の基礎控除額について考えてみたいと思います。

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【Q】今後、私が死亡した場合、妻と息子1人しか相続人がいません。遺産が3億円以上あるので、なにか節税対策をしたいと思っております。
①養子をすれば、節税対策になると聞いたのですが、息子の嫁を養子とすることは節税となりますか?
②さらに、節税対策のため、仲の良い親戚の子がいるのですが、この子をもう1人養子とすることはできますか?

 

【A】◆1.相続税の基礎控除額
相続税は、課税価格の合計額から遺産にかかる基礎控除額を控除した課税遺産総額を計算し、その課税遺産総額を法定相続人が法定相続分に応じて取得したと仮定して各相続人の取得金額を計算し、その取得金額に相続税の税率を適用して算出した各金額を合計して、相続税の総額を算出します。
そして、相続税法によれば、遺産にかかる基礎控除額は、3000万円+(600万円×法定相続人の数)とされています。したがって、ご質問の事例においては、現時点での遺産にかかる基礎控除額は、3000万円+(600万円×2)=4200万円になります。

 

◆2.養子縁組による節税効果
上記のように、遺産にかかる基礎控除額は、法定相続人の人数が多ければ多いほどその金額が大きくなります。そのため、法定相続人の人数を増やすことができればそれだけ相続税の負担を軽減することができることになります。
民法には、養子縁組の制度が定められており、この制度を活用すれば法定相続人を増やすことができますので、養子縁組を行うことで遺産にかかる基礎控除額を大きくすることが可能です。

ただし、相続税法では、節税目的でのみ多数の者との間で養子縁組が行われ、養子縁組が租税回避に利用されることを防ぐ目的で、法定相続人の数に算入できる養子の数が制限されています。
被相続人に実子がいる場合には1人、被相続人に実子がいない場合には2人までしか法定相続人の数に算入されません。

以上の説明を前提にご質問にお答えします。あなたには息子さんがいらっしゃるので、上記の実子がいる場合に該当し、遺産にかかる基礎控除額の計算に算入することのできる養子の数は1人のみです。
質問事項①で、息子さんのお嫁さんを養子とするとのことですので、お嫁さんがあなたの養子となることで法定相続人の数が増加し、その分基礎控除額が大きくなって節税になります。

しかし、質問事項②では、息子さんのお嫁さんだけでなく、仲の良い親戚の子も養子にするとのことですので、これでは、遺産にかかる基礎控除の計算に算入することのできる養子の数の制限を超えてしまいます。制限を超えた養子の数の分については、遺産にかかる基礎控除額は大きくなりませんので、この場合節税にはなりません。

 

◆3.注意すべき点
上記のように養子縁組をすることによって節税効果が生じますが、注意すべき点があります。それは、養子縁組をすると、養子も相続人となりますので、養子も相続分と遺留分を取得し、その反面として養子縁組以前から存在していた相続人の相続分と遺留分が減少するという点です。

質問事項①のような状況であれば、息子さんと息子さんのお嫁さんは生計を一つにしていると思われますので、問題は生じにくいと思われますが、息子さんのお嫁さんではなく、別の親族を養子にするような場合には、息子さんの相続分と遺留分が実質的に減少してしまいますので、相続が起こったときにトラブルになる可能性があります。
また、息子さんが離婚する可能性がまったくないとも言い切れません。息子さんが離婚しても、養子縁組の効果は当然にはなくなりませんので、相続が起こったとき、息子のお嫁さんは、あなたの相続人として相続財産を受け取る権利があることになります。

養子縁組は、養子にしようとしている人との合意のみで成立させることもできますが、上記のようなトラブルを避けるため、相続人全員で協議のうえ、養子縁組を実行するほうが無難と思われます。
実際に養子縁組をされる場合には、専門家に相談し、節税効果のみならず、その他のメリット・デメリットを総合的に検討して実行されることをお勧めします。

持続化給付金について

東京都世田谷区砧の車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

持続化給付金・家賃支援給付金のサポート受付は終了しました
ご利用ありがとうございました。

持続化給付金の申請サポートは行政書士長谷川憲司事務所【090-2793-1947】までお電話を。

車庫証明のご依頼は行政書士長谷川憲司事務所【090-2793-1947】までお電話を。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

持続化給付金についてご案内いたします。

感染症拡大により、営業自粛等により特に大きな影響を受ける事業者に対して、事業の継続を支え、再起の糧としていただくため、事業全般に広く使える給付金が給付されます。

申請は専用サイトからオンラインで行います。

 

当事務所では、申請サポートを承っております。
申請書類についてのご質問でも、PCやスマートフォンの操作が難しく感じる方も、【090-2793-1947】まで、お気軽にお申し付け下さい。

【サポート費用:1回1万円+消費税】

【お客様の声】

【個人事業主】

・一度自分で申請を行ったのですが、2週間後にエラーになってしまい、その指摘内容が何度読んでもよくわからなくて困ってしまいました。
・サポートをお願いして、一つずつ丁寧に説明をしてもらい、何がまずかったのかもよくわかりました。
・電話で相談してすぐその日の午後に時間を取っていただき、助かりました。
・二度目の申請後も、友人の件で相談したのに丁寧に答えて頂き感謝しています。

【法人代表】

・新型コロナの影響で業績にかなり影響が出ており、何か支援策で自分が該当するものはないかと、藁にもすがる思いで電話しました。
・持続化給付金の支給要件に自分が当てはまっていると伺い、早速サポートを依頼。
・会社まで来ていただき、必要書類の確認や手直し箇所の指導をいただき、その後慣れないパソコン作業もサポートしていただき、無事申請が出来ました。
・暑い日でしたが、実に丁寧にゆっくりわかりやすく説明していただいたと思っております。
・会社を経営している知人にも先生を紹介したいと思います。

 

【中小法人等の皆様】

給付対象

資本金10億円以上の大企業を除く、中小法人等を対象とし医療法人、農業法人、NPO法人など、会社以外の法人についても幅広く対象となります。

給付対象者

2020年4月1日時点において、次のいずれかを満たすことが必要です。ただし、組合若しくはその連合会又は一般社団法人については、その直接又は間接の構成員たる事業者の3分の2以上が個人又は次のいずれかを満たす法人であることが必要です。

1.資本金の額又は出資の総額(※1)が10億円未満であること。

2.資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員(※2)の数が2,000人以下であること。

  • 2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
    • 事業収入は、確定申告書(法人税法第二条第一項三十一号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)別表一における「売上金額」欄に記載されるものと同様の考え方によるものとします。
  • 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)が存在すること。
    • 対象月は、2020年1月から申請する月の前月までの間で、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を任意で選択してください。
    • 対象月の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。

給付金の給付額は、200万円を超えない範囲で対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたもの(金額は10万円単位。10万円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)とします。

月間事業収入が、前年同月比50%以下となる月で任意で選択した月を【対象月】と呼びます。対象月は、2020年1月から12月までの間で、事業者が選択した月とします。

■給付額の算定式
S:給付額(200万円上限)※10万円未満は切り捨て
A:対象月の属する事業年度の直前の事業年度の年間事業収入
B:対象月の月間事業収入

S=A-B×12

 

申請書類

◆確定申告書別表一(1枚)
◆法人事業概況説明書(2枚)
注:収受日付印が押されているもの。
e-TAXの場合、これに相当するもの。

◆2020年の対象月の売上台帳

◆通帳の写し

【個人事業者等の皆様】

給付対象

フリーランスを含む個人事業者が広く対象となります。

給付対象者

  • 2019年以前から事業により事業収入(売上)を得ており、今後も事業継続する意思があること。
    • 本規程における事業収入は、証拠書類として提出する確定申告書(所得税法第二条第一項三十七号に規定する確定申告書を指す。以下同じ。)第一表における「収入金額等」の事業欄に記載される額と同様の算定方法によるものとし、2019年の年間事業収入は、当該欄に記載されるものを用いることとします。
    • ただし、証拠書類として住民税の申告書類の控えを用いる場合には、2019年の年間事業収入は市町村民税・道府県民税申告書の様式(5号の4)における「収入金額等」の事業欄に相当する箇所に記載されるものを用いることとします。
    • なお、課税特例措置等により、当該金額と所得税青色申告決算書における「売上(収入)金額」欄又は収支内訳書における「収入金額」欄の額が異なる場合には、「売上(収入)金額」又は収支内訳書における「収入金額」を用いることができます。
  • 2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月(以下「対象月」という。)があること。
    • 対象月は、2020年1月から申請を行う月の属する月の前月までの間で、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月のうち、ひと月を申請者が任意に選択できます。
    • 青色申告を行っている場合、前年同月の事業収入は、所得税青色申告決算書における「月別売上(収入)金額及び仕入金額」欄の「売上(収入)金額」の額を用いる。ただし、青色申告を行っている者で、①所得税青色申告決算書を提出しない者(任意)、②所得税青色申告決算書に月間事業収入の記載がない者、③相当の事由により当該書類を提出できない者は、以下の白色申告を行っている者等と同様に、2019年の月平均の事業収入と対象月の月間事業収入を比較することとします。
    • 白色申告を行っている場合、確定申告書に所得税青色申告決算書(農業所得用)を添付した場合又は住民税の申告書類の控えを用いる場合には、月次の事業収入を確認できないことから、2019年の月平均の事業収入と対象月の月間事業収入を比較することとします。
    • 対象月の事業収入については、新型コロナウイルス感染症対策として地方公共団体から休業要請に伴い支給される協力金などの現金給付を除いて算定することができます。

給付金の給付額は、100万円を超えない範囲で、2019年の年間事業収入から、対象月の月間事業収入に12を乗じて得た金額を差し引いたもの(金額は10万円単位。10万円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)とします。

月間事業収入が、前年同月比50%以下となる月で任意で選択した月を【対象月】と呼びます。対象月は、2020年1月から12月までの間で、事業者が選択した月とします。

給付額の算定式
S:給付額(100万円上限)※10万円未満は切り捨て
A:2019年の年間事業収入
B:対象月の月間事業収入

S=A-B×12

申請書類

◆確定申告書第一表(1枚)
◆所得税青色申告決算書(2枚)
白色申告の場合、確定申告書第一表のみ。
注:収受日付印がおされているもの。
e-TAXの場合これに相当するもの。

◆2020年分の対象月の売上台帳等

◆通帳の写し

◆本人確認書の写し
運転免許証(両面)
マイナンバーカード等

 

給付金の支給は、申請後問題がなければ、2週間後をめどに支給されます。

【相続・遺言について】相続税が課税される財産

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税が課税される財産について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】相続税が課税される財産について教えてください。
①夫が死亡し、夫が生前に生命保険会社と契約していた生命保険契約により、死亡保険金が支払われ、妻である私が受け取りました。この死亡保険金について、相続税を支払う必要がありますか?
また、死亡保険金について相続税の課税対象とならない場合はありますか?

②夫が定年退職を前に病気で亡くなりました。夫が勤めていた会社から退職金が支払われ、妻である私が受け取りました。この退職金について、相続税を支払う必要がありますか?

 

【A】◆1.死亡保険金
夫が生前に契約していた生命保険契約の死亡保険金が支払われ、妻が一時金として受け取った場合、保険料の負担者が夫であれば、相続税の課税対象となります。(保険料の負担者が妻であれば、一時所得となります。)
但し、死亡保険金額のうち非課税限度額までは課税されません。
仮に、上記非課税限度額を超える場合であっても、相続税の非課税限度額や、配偶者の税額の軽減制度がありますので、相続税を払わなければならないかどうかは、一概には言えません。

◆2.死亡保険金
定年退職前に死亡し、死亡後3年以内に退職金の支給が確定し、これが支払われた場合、相続財産とみなされて、相続税の課税対象となります。
但し、死亡退職金額のうち、非課税限度額までは課税されません。
仮に、上記非課税限度額を超える場合であっても、相続税の非課税限度額や、配偶者の税額の軽減の制度がありますので、相続税を払わなければならないかどうかは、一概には言えません。

◆3.相続税について
①死亡保険金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数

②死亡退職金の非課税限度額
500万円×法定相続人の数

③相続税の基礎控除額
3000万円+600万円×法定相続人の数

④配偶者の税額の軽減
被相続人の配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度
(相続税の申告期限までに分割されていない財産は税額控除の対象になりませんので注意が必要です)
(1)1億6千万円
(2)配偶者の法定相続分相当額

【相続・遺言について】被相続人の所得税の申告と納税

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、被相続人の所得税の申告と納税について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】被相続人の所得税の申告と期限について
①被相続人の所得税の申告義務があるのはどのような場合ですか?
②被相続人の所得税の申告が必要な場合、誰が、いつまでに申告する必要がありますか?
また所得税の計算方法について教えてください。

 

【A】◆被相続人の所得税の申告と期限
所得税は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得について計算し、その所得金額に対する税額を算出して、翌年2月16日から3月15日までの間に申告と納税をすることになっています。
しかし、被相続人は自ら所得税の申告をすることが出来ませんから、相続人が、1月1日から死亡した日までに確定した所得金額及び税額を計算して、死亡した年分についての申告と納税をしなければなりません。
これを準確定申告と言います。

なお、被相続人が、3月15日までに死亡して、前年分の所得税の申告をしていない場合には、死亡した年の前年分の所得税についても、準確定申告が必要になります。
準確定申告が必要となるのは、確定申告が必要になる場合と同様です。
例えば、被相続人に事業所得や不動産所得などがあった場合、年間の給与収入が2000万円以上あった場合、2か所以上からの給与収入がある場合などです。

準確定申告が必要となる場合には、相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月を経過した日の前日までに、申告と納税をしなければなりません。準確定申告書の提出先は、相続税の場合と同様、被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署長となります。

なお、相続人が2人以上いる場合は、各相続人が連署により準確定申告書を提出するのが原則です。他の相続人の氏名を付記したうえで、各相続人が別々に提出することもできますが、この場合、申告書を提出した相続人は、他の相続人に対して申告した内容を通知する必要があります。

準確定申告における所得税の計算は、通常の確定申告の場合と同様の方法になります。ただし、医療費控除の対象となるのは、死亡の日までに被相続人が支払った医療費であり、死亡後に相続人が支払ったものを被相続人の準確定申告において医療費控除の対象に含めることはできません。また、社会保険料、生命保険料、地震保険料控除などの対象となるのも、死亡の日までに被相続人が支払った保険料等の額になります。
なお、配偶者控除や扶養控除等の適用の有無に関する判定は、被相続人の死亡の日の現況により行いますので、ご留意ください。

そして相続税と同様、申告期限内に準確定申告書を提出しなかった場合には、本来の所得税額に加えて、延滞税や無申告加算税などの負担が生じることがあります。準確定申告の申告期限は、相続税と比べて短いので、特に留意が必要です。

【相続・遺言について】相続税の申告と期限

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続税の申告と期限について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】①相続税の申告義務があるのはどのような場合ですか?
②相続税の申告が必要な場合、いつまでに申告する必要がありますか?

【A】◆1.相続税の申告と期限
相続税の納税義務者は、原則として、相続もしくは遺贈(死因贈与を含む、以下同じ。)により財産を取得した個人または、被相続人からの贈与について相続時精算課税制度の適用を受けた個人です。
被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した者の「課税価格の合計額」が「遺産に係る基礎控除額」を超える場合において、納付すべき相続税額が算出される者は、相続税の申告書を提出しなければなりません。

「課税価格の合計額」は相続人及び受遺者の各人の課税価格を合計したものです。各人の課税価格は、相続又は遺贈により取得した財産のうち非課税財産を除いたものの価額と、相続や遺贈によって取得したとみなされる財産(例えば保険金や死亡退職金等)で非課税限度額を超える価額との合計額から、葬式費用等や債務の額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算して計算します。

「遺産に係る基礎控除額」は3000万円+(600万円×法定相続人の数)です。

「課税価額の合計額」から「遺産に係る基礎控除額」を控除した残額を基に、相続税の総額を計算し、相続税の総額を、各人が取得した財産の額(割合)に応じ配分し、各人の算出税額を計算します。各人の算出税額から、各人に応じた各種の税額控除額を控除し、各人の納付すべき税額を計算します。

以上の計算の結果、納付すべき相続税額が算出された者は相続税の申告が必要です。
相続税の申告が必要な場合、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内に、申告と納税をしなければなりません。相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所を管轄する税務署長となります。

また、配偶者に対する相続税額の軽減や、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例など、相続税を軽減する特例が適用できる場合がありますが、このような特例の中には、申告書の提出を適用要件にしているものが少なくありません。このような特例を受ける場合には、その特例の適用により納付すべき相続税額が0円になる場合であっても、相続税の申告書を提出しなければならないことに留意してください。

そして、申告期限内に、相続税の申告書を提出しなかった場合には、本来の相続税額に加えて、延滞税や無申告加算税などの負担が生じることがあります。
申告期限を知らなかった、調査すれば把握できた遺産を調査しなかったために基礎控除額を超える遺産があることを知らなかった、相続人間で遺産分割について揉めており、調停や裁判手続で忙しかった等の理由は、期限内に申告書を提出しなかったことの正当な理由とは認められません。

また、申告期限内に遺産分割ができていない場合には、いったん、法定相続割合で取得したものとして申告期限内に申告書を提出した上、遺産分割協議が成立した後、その結果に応じて、修正申告などをする必要があります。
この場合、当初の申告書と共に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出しておかないと、配偶者に対する相続税額の軽減や、小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例などの適用が受けられなくなりますので、留意してください。

【相続・遺言について】配偶者の居住権を長期的に保護するための方策

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、配偶者の居住権を長期的に保護するための方策について考えてみたいと思います。

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【Q】今回の相続法改正で、配偶者の居住権を長期的に保護するための方策が制定されたと聞きました。そこで、具体的にどのような制度・方策なのか教えてください。

【A】◆1.制度創設の理由
近年の社会の高齢化の進展及び平均寿命の伸長に伴う家族形態・家族観の変化の中で、被相続人の配偶者(以下生存配偶者と言います)が、被相続人の死亡後、長期間にわたって住み慣れた居住環境での生活を継続することは少なくありません。そこで生存配偶者のこれまでの居住環境・居住権を確保しつつ、その後の生活資金として、居住権以外の財産(特に預貯金)についても一定程度確保・保護すべく、所有権とは別に、配偶者居住権が創設されました。
そして、配偶者居住権が設定された住居(居住建物)の所有者は、配偶者居住権という負担付の所有権者となります。

◆2.配偶者居住権の内容
次に、配偶者居住権の内容についてお話しします。
配偶者居住権は、相続開始の時に、被相続人の住居(居住建物)に居住していた生存配偶者に、原則として終身、その住居に無償で生活できる権利を確保する内容となっています。つまり、生存配偶者はこれまで使用していた住居全体について、引き続き使用及び収益することができるということです。

また、配偶者居住権は、生存配偶者の居住権を保護するために認められた権利ですので、帰属上の一身専属権となります。そのため、配偶者居住権を譲渡することはできません。さらに、配偶者居住権は、法律上の配偶者に限定されており、内縁の配偶者や事実婚の配偶者には、適用はありません。

気を付けることとして、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合にあっては、この限りでないと規定されていることです。
すなわち、被相続人とその子が共有している建物の場合、配偶者居住権を取得することはできません。

加えて、生存配偶者が死亡した場合には、当然に配偶者居住権は消滅し、相続の対象にもなりません。

◆3.配偶者居住権の成立要件について
配偶者居住権の成立要件は、配偶者が相続開始の時に被相続人所有の建物(被相続人と他の者との共有の建物除く)に居住していたことを前提に、①その建物について、生存配偶者に配偶者居住権を取得させる旨の遺産分割、②被相続人からの遺贈、③死因贈与契約、④家庭裁判所の審判、のいずれかによりなされたこと、となっています。

ここで、「被相続人所有の建物に居住していた」という要件に関連して、被相続人死亡時に、生存配偶者が入院していたり、施設へ入所していたりという場合が想定されます。
しかしこの場合、生存配偶者の入院・入所が一時的なもので、家財道具が建物に存在し、退院・退所後に、当該建物に帰ることが予定されていた等であれば、このような生存配偶者については、「被相続人所有の建物に居住していた」という要件を満たすものと考えられます。

◆4.配偶者居住権を第三者に対抗する手続き
生存配偶者が、配偶者居住権を第三者に対抗するには、配偶者居住権の設定の登記が必要になります。
遺産分割に関する審判や調停によって配偶者居住権を取得したときは、その審判書や調停調書に、配偶者が単独で配偶者居住権の登記手続きをすることができるよう記載されることが通常ですので、審判書や調停調書に基づき単独で申請をすることができます。

また、遺産分割に関する審判書や調停調書がない場合には、配偶者居住権の設定の登記は、生存配偶者と居住建物の所有者と共同で申請する必要があります。
もっとも、居住建物の所有者が登記の申請に協力しない場合は、生存配偶者は、居住建物の所有者に対して登記義務の履行を求める訴えを提起することができ、この訴えが認められれば、判決に基づき、生存配偶者は、単独で登記申請をすることができます。

◆5.配偶者居住権が設定された場合の居住建物の修繕費用等について
配偶者居住権が設定された場合の居住建物の修繕費用等は、居住建物の所有者が負担することはなく、生存配偶者が負担することとなります。
また、配偶者居住権が設定された場合の固定資産税についても、生存配偶者が負担することになります。

◆6.配偶者居住権の施行期日について
2020年4月1日からとなっております。

【相続・遺言について】配偶者の居住権を短期的に保護するための方策

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、配偶者の居住権を短期的に保護するための方策について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】最近、夫が亡くなりました。夫は遺言を残していません。私には2人の子がおり、その2人の子と遺産分割協議をしていますが、なかなか協議が調わない状況です。私は夫が生前所有していた建物に長年住んでおり、現在もそこで暮らしています。子2人との遺産分割協議が調うまでの間、私はその建物に住み続けることはできるのでしょうか?

 

【A】
配偶者の一方が亡くなった場合、残された配偶者は今まで暮らしてきた建物に住み続けたいと希望されることが多いと思います。これまでの判例では、配偶者が、相続開始時被相続人の建物に居住していた場合には、原則として、被相続人と相続人との間で使用貸借契約が成立していたと推認され、配偶者は居住していた建物に無償で住み続けることができました。

しかし、この判例の枠組みでは、第三者に居住建物が遺贈されてしまった場合や、被相続人が遺言などで配偶者が建物を無償で使用することについて反対の意思表示をしていた場合には使用貸借が推認されないため、配偶者が建物に住み続けることができないといった問題がありました。

このような事態を避け、遺された配偶者の生活を配慮し、遺された配偶者の居住の権利を保護するため、民法の相続法の規定が改正され、新たに「配偶者短期居住権」という制度が創設されました。

配偶者短期居住権とは、配偶者が亡くなった後しばらくの期間、遺された配偶者が自宅で生活できるように配慮して制定された権利(制度)です。配偶者は、相続開始時に被相続人の所有する建物に無償で住んでいた場合には、次のとおり今まで住んでいた建物を短期間無償で使用することができます。

①残された配偶者が居住建物の遺産分割に関与する場合、居住建物を誰が相続するかが確定する日までの間、配偶者は居住建物に居住することができます。
(ただし、早期に遺産分割協議が成立した場合、配偶者は被相続人が亡くなった日から最低6か月間は居住建物に住むことができます。)

②居住建物が第三者に遺贈された場合や、遺された配偶者が相続放棄をした場合、遺贈や相続によって居住建物を所有することになった者から配偶者短期居住権の消滅請求を受けてから6か月間が経過するまでは、配偶者は居住建物に居住することができます。

配偶者居住権の導入によって、被相続人が居住建物を遺贈した場合や、遺された配偶者が居住建物に住み続けることに反対の意思を表示した場合であっても配偶者の居住は保護されることになります。
また、配偶者短期居住権によって、遺された配偶者は最低6か月間は居住していた自宅に住み続けることができることになります。

今回のご相談では、相談者は夫が生前所有していた建物に長年住んでおり、現在もそこで暮らしていることから配偶者短期居住権を主張することができます。そして、夫が生前所有していた建物は遺贈されておらず、相談者も相続放棄をしていないことから、建物を誰が相続するかについての遺産分割協議が調うまでは、建物に住み続けることができます。また、夫が亡くなってから6か月以内に遺産分割協議が調った場合には、遺産分割協議成立後であっても夫が亡くなってから6か月間は建物に住み続けることができます。

なお、配偶者短期居住権については2020年4月1日から施行されることになっておりますので、これよりも前に亡くなった被相続人の配偶者に対しては、配偶者短期居住権は発生しませんのでご注意ください。