【改正民法債権編】その他債権の消滅時効

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、その他債権の消滅時効について考えてみたいと思います。

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その他債権の消滅時効

定期金債権など原則的な消滅時効が適用されない債権

 

◆定期金債権の消滅時効
(1)定期金債権とは
定期金債権とは、一定額の金銭を定期的に受領することを目的とする債権で、毎月定額で受給するような年金受給権、養育費請求権、利息請求権などがこれに当たります。1つの債権を分割して支払うような場合には、定期金債権とはいいません。
定期金債権は、定期で個別に支払われる個々の債権(支分権)と、それらを発生させる基本となる債権(基本権)の2つに分けられます。支分権の消滅時効は、一般の時効期間に関する新法166条が適用されます。

(2)新法における変更点
今回の改正により、定期金債権(基本権)の時効期間は、以下のように変更されました。

定期金債権の時効期間の改正
改正前(旧法)
①第1回の弁済期から20年間行使しないとき
②最後の弁済期から10年間行使しないとき

改正後(新法)
①債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使できることを知った時から10年間行使しないとき
②①に規定する各債権を行使できる時から20年間行使しないとき

 

◆不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効
①被害者またはその法定代理人が損害および加害者を知った時から3年間、②不法行為の時から20年間、という規定は改正されませんでした。こちらも主観的起算点と客観的起算点の併存です。なお、不法行為債権における「知った時」とは、権利行使が現実に可能となる時と解されています。

今回の改正では、時効期間に変更はなかったのですが、20年間という期間の意味については、明確に定義されました。

旧法では、①知った時からの3年間は時効期間である一方、②不法行為の時から20年間は除斥期間である(時効の援用は不要で、20年を経過すると当然に債権は消滅し、その進行を止めることもできない)、と解釈されていました。
しかしながら、新法では、20年間という期間も時効期間である、と定義されたのです(新法724条)。

20年間が旧法下の解釈のように除斥期間であれば、時効の完成猶予や更新などの制度の適用を受けることができないのですが、新法で時効期間と定義されたことで、時効の完成猶予や更新の制度を利用することができるようになります。

この改正により、除斥期間が問題となり救済されなかった被害者が、より保護されるようになったといえます。また、時効なので、時効の効果を発生させるためには援用も必要となりました。

 

◆生命・身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効
不法行為の中でも人の生命または身体に対する侵害は、より保護が図られるべきですし、被害者に時効の進行を阻止するための行動を求めることは、通常より酷であると考えられます。そのため、それら損害に基づく損害賠償請求権の時効期間が延長されました(新法167条、724条の2)。

具体的には、通常の不法行為の時効期間が加害者を知った時から3年であるところ、生命・身体の侵害の場合にはそれが5年に、通常の債権の消滅時効期間が10年のところ、20年間に延長されました。

【改正民法債権編】消滅時効の改正

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、消滅時効の改正について考えてみたいと思います。

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消滅時効の改正

債権の消滅時効期間の統一化と新たな消滅時効期間の導入

◆時効とは
時効とは、ある一定の事実状態が継続したときに、その事実状態を真実の事実状態と認め、権利を確定させる制度です。
時効には、一定の期間経過すると権利を取得できる「取得時効」と一定の期間権利を行使しなければ権利を喪失してしまう「消滅時効」とがあります。取得時効は、無権利者が所有権など物権を取得するときに適用される制度で、賃借権の時効取得という例外はあるものの、原則として債権の分野に関係する制度ではないため、改正の対象とはなっていません。
今回の改正対象は、権利を有する者がその権利を行使しないときに喪失する消滅時効の制度です。

 

◆時効の援用
一定の期間が経過し、債権について消滅時効が完成しても、時効の効果が発生するわけではありません。消滅時効の効果を確定的に発生させるためには、相手方に対して時効である旨を告げなければなりません。
消滅時効が完成しても、債務者が任意に債務の履行をすることが禁止されるわけではなく、任意に債務の履行を行なうことは可能であり、法は時効を主張するかどうかを当事者に委ねているのです。

この、相手方に対して時効であることを主張し、時効の効果を発生させることを「時効の援用」といいます。
旧法では、時効の援用ができる者について、「時効は当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」と、「当事者」とだけ規定されていました。そのため、当事者の解釈についてさまざまな争いが生じることになりました。

しかし、新法では、判例の蓄積を成文化する形で、「時効は当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利の消滅について正当な利益を有する者w含む。)が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。」(新法145条)と規定されました。
判例の蓄積を成文化しただけなので、実務上の影響は大きくありませんし、「その他権利の消滅について正当な利益を有する者」と概括的な規定もあることから、その解釈について裁判所の判断が必要な場面は依然としてあります。
ただ、「当事者」の定義がなされ、時効を主張できる者の範囲が明確化されることで、よりわかりやすくなりました。

 

◆債権の消滅時効期間の統一化
一定の期間の経過と、時効の援用により消滅時効の効果が生じますが、今回の改正では、消滅時効の期間が統一されました。
旧法では、債権の消滅時効は10年を原則的な時効期間として定める一方、医師、弁護士、売掛債権、宿泊料、飲食料など、さまざまな職種や債権の性質に応じて細かな短期消滅時効を定めていました。
また、私人間の取引ではなく、商取引で生じた商事債権についても異なる時効期間を定めており、きめ細やかな反面、複雑な規定となっていました。

新法では、短期消滅時効や商事債権の時効を廃止し、①権利を行使できることを知った時から5年、②権利を行使できる時から10年、のいずれか早く到来したほうで時効が完成するものとされました。

 

◆新たな消滅時効期間の導入
債権の消滅時効期間は統一化されてわかりやすくなりましたが、「①権利を行使できることを知った時から5年」という、新しい消滅時効期間が導入されたことには注意が必要です。
これは2つの意味で実務上の影響が大きいと考えられます。1つには5年というこれまでにない時効期間が設定されたこと、もう1つは新しい時効の起算点ができたことです。5年という短く新しい時効期間が大きな影響を及ぼすことは明らかなので、時効の起算点について説明します。

旧法における時効の起算点は「権利を行使することができる時から」(旧法166条)と規定されていました。「権利を行使することができる時」とは、権利を行使するのに法律上の障害がなくなった時のことです。
たとえば、金銭消費貸借契約については返済期日以後、債務者に返済を請求できるわけですから、返済期日が時効の起算点になります。債務不履行に基づく損害賠償請求権の場合は、損害賠償請求権と本来の債務とが同一であると考えられることから、本来の債務の履行の請求ができる時が時効の起算点となります。

これらのように、法律上の障害がなくなった時は客観的に確定できるので、「権利を行使できる時」を客観的起算点といいます。この旧法における考え方は新法でも維持されており、「②権利を行使できる時から10年」という形で残されています。

一方、新法では、新たに「①権利を行使できることを知った時から5年」という消滅時効が追加されました。この消滅時効の起算点は、債権者の主観的な認識を基礎としています。客観的に定まるものではなく、時効の起算点が債権者の主観的事情によって変動するのです。
これは、短期消滅時効を廃止することによる緩和措置として、また権利を行使できることを知ってから5年経過したのだから、権利が時効消滅したとしてもやむを得ない、との価値判断に基づき制定されたものです。
通常、債権者は期限がきた時に権利を行使できることを理解しているので、ほとんどの場合で、①の5年間の消滅時効が適用になると考えられます。

また、新設された「権利を行使できることを知った時」の意味については、当然ながら確定した解釈はなく、債権発生の原因と債務者を知った時とするのか、債権者に権利行使を期待することができる時とするのか、もしくは他の解釈とするのか、判例の蓄積が待たれることになります。

 

◆消滅時効制度の運用
新法では、客観的起算点から始まる時効と、主観的起算点から始まる時効の、2つの時効期間が併存します。
したがって、客観的起算点から10年間か、主観的起算点から5年間か、どちらか早く到来したほうで時効が完成することになります。

【改正民法債権編】代理

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、意思表示の瑕疵について考えてみたいと思います。

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代理

代理権の濫用に関する判例法理などを新たに規定

◆代理人の行為能力
代理とは、代理人が本人のためにすることを示して相手方との間で契約などをした場合、その契約の効果が、直接本人に帰属する制度です。
代理は、未成年者などの行為能力がない者も行うことができます。
この点、新法では、「制限行為能力者が代理人としてした行為は、行為能力の制限によっては取り消すことができない」とし、その旨規定を改めました(新法102条)。

また、本人保護の観点から、たとえば未成年者の親に成年後見人がついているにもかかわらず、その親が子のために行った代理行為などは、例外的に取り消すことができることを明記しました(同条ただし書き)。

 

◆代理権の濫用に関する規定
新法では、新たに代理権濫用の規定ができました。旧法下では、代理権の濫用については心裡留保の規定を類推適用するのが判例法理でした。
新法107条は、「代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定し、代理人の背信的な意図を知りまたは知ることができたときには、無権代理と同じ効果としました。

代理人と称している者の法律行為であっても、代理権のない場合を無権代理と呼びます。代理権がない行為なので、本人との間に効果は発生しません(代理人と称している者を無権代理人と呼びます)。
旧法下では判例法理により代理権濫用の行為は無効とされていましたが、新法ではその効果を無権代理とみなすとしたため、契約の相手方は無権代理人への責任追及(新法117条)が可能となった点が変更点となります。

 

◆自己契約および双方代理
本人が相手方の代理人として契約する自己契約や、双方の代理人として代理行為を行なう双方代理の場合、代理人が本人の利益を優先できません。
したがって、民法は代理行為の効力を認めていません。
旧法では、自己契約や双方代理の禁止のみが規定されており、その効果が規定されたいませんでした。
新法108条では、従前の判例法理を反映して、自己契約または双方代理の効果として、無権代理とみなす旨規定しました。

 

◆無権代理
新法117条1項では、無権代理人は自己の代理権を証明したとき、または本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行または損害賠償の責任を負うとし、規定を整理しています。
新法は、この点を明記したことで、代理権を証明する責任が無権代理人にあることを示しました(無権代理行為が本人の追認を得たときには、本人にその効果が帰属します)。

新法117条2項は、無権代理人の責任を否定する例外規定です。次の場合には、無権代理人は責任を負いません。
①無権代理であることを相手方が知っていたとき(同1号)
②無権代理人であることを相手方が過失によって知らなかったとき(ただし、無権代理人が自己に代理権がないことを知っていたときは、この限りではない、同2号)
③無権代理人が行為能力の制限を受けていたとき(同3号)
無権代理人が自己に代理権がないことを知っていた場合、相手方に過失があっても無権代理人が責任を免れない点は重要です(同2号ただし書)。

 

◆代理権授与の表示による表見代理
本人と無権代理人との間に一定の関係があるときには、当該代理権がない場合でも、代理の効果が認められることもあります。
本人が代理権を授与していないが代理権を授与したと第三者に伝え、その表見代理人が授与したとされた範囲の代理行為をした場合、本人に法律効果が帰属します。
ただし、相手方が代理権がない旨を知り、または知ることができた場合、本人に当該法律効果は帰属しません(新法109条1項)。

新法109条2項では、本人が第三者に対して代理権を授与した旨を表示し、第三者は代理権が与えられていないことを過失なく知らない場合で、その表示した代理権以上の行為を当該無権代理人が行なった場合、当該第三者の誤信に正当な理由があれば、当該法律効果が本人に帰属することを明記しました。これは従前の判例法理を明文化したものです。

 

◆権限外の行為の表見代理
代理人が代理権限外の行為をした場合、第三者が代理人の権限があると信ずべき正当な理由がある場合も、本人に法律効果が帰属します(新法110条)。この点、改正はありません。
たとえば、判例では実印の交付を受けていた代理人が権限外の代理行為をした場合には、特別の事情がない限り、代理権があると信ずべき正当な理由があるとしています。

 

◆代理権消滅後の表見代理
新法は、他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後に、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負う(新法112条1項)とし、旧法をわかりやすく規定しました。なお、第三者が過失によりその事実を知らなかった場合には、本人は責任を負いません。

新法112条2項は、代理権消滅後に、代理権限外の行為をした場合の規定を新設しました。この規定は、裁判例を反映したもので、代理権消滅につき善意無過失で、かつ権限外の行為について代理権があると信ずべき正当な理由があるときに限り、責任を負うとしています。

 

◆新旧規定の適用関係
代理行為一般については代理権の発生時期、無権代理人の責任は無権代理行為時、制限行為能力者の代理行為は代理行為時が新法施行日前であれが旧法が、施行日以後であれば新法が適用されます。

 

【相続・遺言Q&A】

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相続・遺言Q&Aについての記事をまとめました。
以下のタイトルよりお選びください。

 

・相続人と相続分

1相続人の範囲

2様々なケースにおける相続人該当性

3相続人とならないケース

4法定相続分(相続の割合)

5養子・非嫡出子・相続放棄の場合の相続分

6相続放棄

・遺産の範囲と評価

7相続財産①(預貯金)

8相続財産②(生命保険)

9相続財産③(死亡退職金など)

10相続財産④(借地・借家の場合)

11相続財産⑤(債務の場合)

12遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合の遺産の範囲

13不動産評価と基準時

14遺産の評価方法

・特別受益と寄与分

15特別受益がある場合の相続分

16特別受益者

17不動産の無償使用と特別受益

18寄与分の認められる範囲

19寄与分を主張できる者の範囲

20寄与分の決定

21相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

・遺言の方式と遺言事項

22遺言書の作成

23遺言書の書き直し

24遺言能力

25自筆証書遺言

26公正証書遺言

27秘密証書遺言

28財産の信託

29遺言の記載と効力

30遺言による認知・保険金受取人変更の可否

31遺言書の書き方

・遺言の執行

32遺言の開封、遺言執行者

33遺言執行者を指定していなかった場合の手続きの流れ

34問題のある遺言

・遺留分

35遺留分制度の概説

36遺留分侵害額請求権者

37遺留分侵害額請求の相手方

38遺留分侵害額請求権行使の時期的制限

39遺留分侵害額請求権行使の方法

40遺留分侵害額請求権に関する紛争解決手段

41遺留分侵害額請求の効果

42遺留分侵害額の算定(総論)

43遺留分侵害額の算定(各論)

44遺留分侵害額の負担

45事業承継に関する制度

・遺産分割手続

46共同相続における権利の承継の対抗要件

47遺言がある場合の分割手続き

48遺言がない場合

49未成年者・認知症の方などへの遺産分割

50協議中の遺産の管理

51遺産分割協議書の作成

・配偶者居住権

52配偶者の居住権を短期的に保護するための方策

53配偶者の居住権を長期的に保護するための方策

・相続税

54相続税の申告と期限

55被相続人の所得税の申告と納税

56相続税が課税される財産

57相続税の基礎控除額

58贈与税と相続税

59相続時精算課税制度

【相続法改正について】

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相続法改正についての記事をまとめました。
以下のタイトルよりお選びください。

 

【遺産分割等に関する相続法改正:特別受益の持戻し免除の意思表示推定】

【遺産分割等に関する相続法改正:遺産分割前の払戻し制度創設等】

【遺産分割等に関する相続法改正:相続開始後の共同相続人による財産処分について】

【遺留分制度に関する相続法改正について】

【相続の効力等に関する相続法改正について】

【相続人以外の者の貢献を考慮する方策についての相続法改正について】

【配偶者の居住権保護に関する相続法改正について(配偶者短期居住権)】

【配偶者の居住権保護に関する相続法改正について(配偶者居住権)】

公正証書遺言作成プラン

公正証書遺言作成プランのご案内です

遺言書作成をお考えの方、まずは無料相談電話を。
【090-2793-1947】又は【03-3416-7250】
行政書士長谷川憲司事務所までお気軽に。


公正証書遺言作成プラン

セットプラン
165,000円+戸籍謄本等取得実費
(別途公証役場手数料がかかります)

シンプルプラン
110,000円~
(別途公証役場手数料がかかります)


【公正証書遺言作成セットプランのサービス内容】

遺言内容の相談

戸籍謄本等の取得、相続関係説明図作成

不動産登記簿謄本、固定資産評価証明取得、財産目録作成

遺言書原案作成、内容の相談

公正証書遺言作成のための公証人との交渉、調整

公正証書遺言の内容に法的不備がないかチェック

公正証書遺言作成時の証人2名手配

公正証書遺言作成当日の立会い


【公正証書遺言作成セットプランの手続きの流れ】

◆1.電話又はHPお問い合わせよりメールで相談の予約
自分は遺言書を作成した方がよいか
公正証書遺言を作るにはどれ程の費用が掛かるのか
遺言書を作るのにどのような準備が必要か

◆2.無料相談
お客様の事情や希望をお伺いし、公正証書遺言についてご説明
公正証書遺言の作成手続きや必要書類や費用についてご説明
ご納得いただけましたら正式にご依頼ください

◆3.対象となる相続人や相続財産の調査
遺言書に記載する相続財産を特定する必要があります
不動産の調査、金融商品についてのヒアリングや調査
推定相続人の調査をして遺言書作成の基礎資料とします

◆4.遺言書の文案作成
お客様のご要望を伺いながら、公正証書遺言の原案を作成
作成後お客様にご確認いただいた上で、公証役場と調整
その後、公正証書遺言の文案の最終調整、公証役場への訪問日程の調整

◆5.公正証書遺言の完成
お客様と小職、証人が公証役場へ赴き、公正証書遺言を作成

◆6.公正証書遺言のチェック
年に1回、お客様に遺言内容について事情の変更やご希望がないかご確認します


【公正証書遺言作成に必要な書類】

1.戸籍謄本《相続人に相続させる場合》
遺言者と相続人の関係が分かる戸籍

2.受遺者の住民票《相続人以外に遺贈する場合》

3.登記簿謄本《遺言書に不動産を記載する場合》
公証役場の手数料を計算するのに必要になります

4.不動産登記簿謄本《遺言書に不動産を記載する場合》
遺言書に正確な不動産情報を記載するために必要になります

5.遺言者の印鑑登録証明書と実印
遺言者の本人確認に使用します(発行から3ヶ月以内)

6.通帳のコピー《各1通》
遺言書に正確な預貯金口座を特定して記載するために必要になります
公証役場の手数料を計算するのに必要になります

7.有価証券の証券コピー
遺言書に正確な有価証券を特定して記載するために必要になります

8.生命保険証券
遺言で生命保険の受取人を変更する際に必要になります

9.その他
証人2名の住所、氏名、生年月日、職業を書いたメモと身分証明書
遺言執行者の住所、氏名、生年月日、職業を書いたメモ
遺言者本人の身分証明書


公正証書遺言作成プラン料金説明

◎セットプラン
165,000円+戸籍等取得実費+公証役場手数料

上記サービスがすべて含まれております。

◎シンプルプラン
110,000円~+公証役場手数料

シンプルプランは、遺言書原案作成、公証人との調整、証人2名をご提供するプランです。
相続人調査、財産調査、戸籍や登記簿謄本等の証明書取得をお客様ご自身で行っていただくプランです。
・お客様で行っていただく範囲がある分、料金が抑えられております


《参考》公証役場手数料一覧

100万円以下・・・5,000円
100万円を超えて200万円以下・・・7,000円
200万円を超えて500万円以下・・・11,000円
500万円を超えて1,000万円以下・・・17,000円
1,000万円を超えて3,000万円以下・・・23,000円
3,000万円を超えて5,000万円以下・・・29,000円
5,000万円を超えて1億円以下・・・34,000円
1億円を超えて3億円以下・・・43,000円に超過額5,000万円ごとに13,000円を加算した額

東京都感染拡大防止協力金第2回受付開始

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東京都感染拡大防止協力金第2回申請時確認専門家は確認費用0円の
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東京都感染拡大防止協力金第2回についてご案内いたします。

専用サイト

6月17日より7月17日まで申請を受付けています。

◆趣旨
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、東京都は、「新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京都における緊急事態措置等期間の延長」(令和2年5月5日公表)において、事業者の皆様に店舗・施設の使用停止や食事提供施設における営業時間の短縮(以下「休業等」といいます。)へのご協力を引き続きお願いいたしました。

この依頼に応じて、休業等の対象となる店舗・施設( 以下「対象施設」といいます。)を運営されている方で、休業等に全面的に協力いただける中小企業、個人事業主等の皆様に対して、「東京都感染拡大防止協力金(第2回)」を支給いたします。

 

◆支給額
50万円(2つ以上の店舗・施設で休業等に取組む事業者は100万円)

 

◆申請要件

本協力金の申請要件は、次の全ての要件を満たす方(以下「申請者」といいます。)とします。
東京都内に主たる店舗・施設又は従たる店舗・施設を有し、かつ、大企業が実質的に経営に参画していない次のいずれかの法人等であること。
・中小企業基本法(昭和38年法律第154号)第2条に規定する中小企業及び個人事業主
・特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項に規定する特定非営利活動法人であって、常時使用する従業員の数が中小企業と同規模のもの
・一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)に規定する一般社団法人又は一般財団法人であって、常時使用する従業員の数が中小企業と同規模のもの
・中小企業信用保険法(昭和25年法律第264号)第2条に規定する中小企業者又は小規模企業者に該当する組合であって、常時使用する従業員の数が(1)の中小企業と同規模のもの
延長した緊急事態措置期間の前(令和2年5月6日以前)から、次のいずれかの対象施設に関して必要な許認可等を取得の上、運営している方が対象です。
・「基本的に休止を要請する施設」に属し、休止を要請されていた施設
・「施設の種別によっては休業を要請する施設」に属し、休止を要請されていた施設
・「社会生活を維持するうえで必要な施設」の内、「食事提供施設」に属し、営業時間短縮の協力を要請されていた施設
対象施設一覧(東京都総務局HP)

延長した緊急事態措置の全ての期間(令和2年5月7日から同月25日まで)において、東京都の要請に応じ、休業等を行うことが必要です。

申請事業者の代表者、役員又は使用人その他の従業員若しくは構成員等が東京都暴力団排除条例第2条第2号に規定する暴力団、同条第3号に規定する暴力団員又は同条第4号に規定する暴力団関係者に該当せず、かつ、将来にわたっても該当しないことが必要です。
また、上記の暴力団、暴力団員及び暴力団関係者が、申請事業者の経営に事実上参画していないことが必要です。

各種書類

  • 東京都感染拡大防止協力金(第2回)申請受付要項

  • 協力金申請に係るフローチャート

第1回協力金の支給決定通知をお持ちの方はこちら

今回初めて申請される方はこちら

 

◆申請書類
「今回初めて協力金の申請をする方」
「第1回と別の店舗・施設で協力金を申請する方」

1 東京都感染拡大防止協力金(第2回)申請書

2 誓約書

3 緊急事態措置以前から営業活動を行っていることがわかる書類
(以下の①②③すべての書類が必要です)
①営業活動を行っていることがわかる書類(写しで可)
■ 直近の確定申告書[控え]又は住民税申告書[控え]
【 確定申告書等がない場合 又は 申告書等に受付印がない場合 】
■ 法人設立設置届出書、開廃業届又は現在事項証明書(直近3か月以内)
■ 令和2年2月~4月分の月末締め帳簿など

 【 複数の店舗・施設を申請する場合 】
■ 申請する店舗・施設ごとの外景(社名や店舗名入り)及び
内景の写真、帳簿など

 ②業種に係る営業に必要な許可等を全て取得していることが
わかる書類(写しで可)

対象施設の運営にあたり、法令等が求める営業に必要な許可等を
取得していることがわかる書類等を提出してください。
(例)飲食店営業許可、酒類販売業免許 等

 ③本人確認書類(写しで可)

本人確認のために、次の書類等を提出してください。
(法人)法人代表者の運転免許証、保険証等の書類
(個人)運転免許証、保険証等の書類

4休業等の状況がわかる書類
(例)休業を告知するHP、店頭ポスター、チラシ、DM 等
(※)申請する店舗・施設の名称や休業等の状況
(休業の期間、営業時間の変更)が明記されたお知らせ等

(※)複数の施設が混在している場合、対象の施設部分が休業等を確実に実施していることがわかる書類を用意してください。

5支払金口座振替依頼書 ※オンライン申請の場合は入力

 

「第1回と同じ店舗・施設で協力金を申請する方」

1東京都感染拡大防止協力金(第2回)申請書

2誓約書

3休業等の状況がわかる書類(写し)

【専門家による確認】

今回初めて申請される方、第1回の支給決定通知を持っていない方、第1回とは異なる店舗・施設の休業等でお申し込みをされる方などについては、下記の専門家が申請要件を満たしているか、添付書類が十分かなどについて事前に確認することにより、円滑な申請と支給を目指しています。

なお1回目の協力金と同じ施設で2回目の協力金を申請する場合は1回目で審査を受けていることから、専門家による事前確認は必要ありません。

東京都内の青色申告会・税理士・公認会計士・中小企業診断士
・行政書士

これまでに、アドバイスや指導を受けている上記に該当する専門家がいらっしゃる場合は、その方へ事前確認を依頼してください。
※専門家に依頼した事前確認にかかる費用については、一定の基準により東京都が別に措置いたしますので、そのことを前提に専門家とご協議ください。
※申請者ご自身が要した交通費、郵送料等の実費は、東京都は負担いたしません。
※東京都から当該専門家に照会することがあります。

◆申請受付方法

1オンライン提出 オンラインでの申請はこちら

2郵送

申請書類を次の宛先に郵送することで提出することができます。
なお、簡易書留など郵便物の追跡ができる方法で郵送ください。
7月17日(金曜日)の消印有効です。

  • 宛先
  • 〒163-8697
    東京都新宿区西新宿2-8-1
    都庁第一本庁舎 東京都感染拡大防止協力金(第2回)申請受付

※切手を貼付の上、裏面には差出人の住所及び氏名を必ずご記載ください。

3窓口提出

申請書類をお近くの都税事務所・支所庁舎内に設置した専用ボックスに投函することで提出ができます。封筒に、「東京都感染拡大防止協力金(第2回)申請書類在中」と明記してください。

 

開庁時間は、8時30分から17時00分まで(土、日、祝日を除く)となります。7月17日(金曜日)の17時00分までに投函してください。
なお、対面での受付・説明は行いません。ご不明な点は下記の問合せ先で対応させていただきます。

東京都緊急事態措置等・感染拡大防止協力金相談センター
[受付時間] 午前9時から午後7時まで(土、日、祝日も開設しています)

 

 

【改正民法債権編】意思表示の瑕疵

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、意思表示の瑕疵について考えてみたいと思います。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

東京都世田谷区の相続・遺言・終活は【090-2793-1947】までご連絡を

 

意思表示の瑕疵

条文外の判例のルールが反映された錯誤取消し

意思表示の合致があった時に契約は成立することになりますが、契約当時、意思無能力状態ではなかったものの、騙されて契約を締結した場合などもあります。
このように物事を弁識する能力はあったが、意思表示に何らかの問題があった場合を「意思表示の瑕疵」といいます。
この意思表示の瑕疵について、民法では、「心裡留保」「虚偽表示」「錯誤」「詐欺・強迫」という類型を挙げています。

 

◆心裡留保
心裡留保とは、表意者が自分の真意と異なる発言を自覚しながら行なう意思表示のことです。
たとえば、内心は売却する意思はないのに、「売却する」と言った場合などです(相手方と意思表示の合致があれば、契約は成立します)。

この場合、表意者が真意でないことを知っていたにもかかわらず、真意と異なる内容の発言をしているので、表意者に責任があり、その意思表示は有効となります。
そのため、表意者の言葉を信じ、売却の契約関係に入った相手方との関係でも、心裡留保があっても契約は原則として有効となります。

しかし、「相手方がその意思表示が表意者の真意でないことを知り、又は知ることができたとき」まで相手方を保護する必要はないので、その場合には契約は無効となります(新法93条1項)。ここまでは現状と同じです。
このような心裡留保の無効が、取引関係に入った善意の第三者を害するのは取引の安全を損なうことになるので、善意の第三者を保護するべきです。新法では、心裡留保の無効は善意の第三者に対抗することができないという判例法理が、新たに明文化されました。

 

◆虚偽表示
表意者が相手方と通謀して真意でないことを知りながらする意思表示を虚偽表示といいます。虚偽表示について、今回改正はありません。
虚偽表示は当事者間では無効ですが、それでは取引の安全を害します。そのため、虚偽表示による無効は「善意の第三者」に対して主張することができないと定めています(法94条2項)。

 

◆錯誤
錯誤とは、人の認識したことと、その認識対象である客観的事実が一致しないことです。
旧法では、意思表示は「法律行為の要素」に錯誤がある場合には無効と明記されていましたが、条文にはないさまざまなルールもありました。
新法では、これらを整理し、「動機の錯誤」についても新たに規定を設けました。

(1)表示の錯誤
新法95条1項は「意思表示に対応する意思を欠く錯誤」(1号)の場合で、その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができるとしています。

いわゆる「表示の錯誤」というもので、意思表示に対応する意思を欠いており、そのことを表意者自身も気がついていない場合です。
たとえば、Aという物件を購入しようとしていたのに、誤って隣の「物件Bを買いたい」と言ってしまって、本人もそのことに気がついていない場合です。物件の対象がAかBかは、もはや対象物が違うので、重要な錯誤といえ、原則として後で取り消すことができます。

(2)動機の錯誤
新法は、従前は判例法理であった動機の錯誤の規定を新設しました。「表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」(新法95条1項2号)で、その錯誤が法律行為の目的および取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、錯誤取消しが認められます。

ただし、動機の錯誤は、その動機が示されていることが必要です(同2項)。
たとえば、「新幹線が通る見込みだからこの土地を買う」と言ったものの、実はそのような計画はなかった場合は、動機の錯誤の主張が考えられます。

(3)錯誤の主張が制限される場合
誤解していた場合はすべてが取り消せるとなると、取引は不安定になります。
そこで、すべての錯誤が取り消せるのではなく、錯誤した者に重過失がある場合は取り消すことできません(特別の場合には、例外として取り消すことができる旨を明記しました)。重過失がある錯誤までは保護しないでよいというのが法の考えです。

特別の場合とは次のとおりです。
①相手方が表意者に錯誤があることを知り、または重大な過失によって知らなかったとき
②相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
これらの場合には、たとえ表意者に重過失があっても、表示を受けた者を保護する必要がないことから、原則通り取消しを認めています。

(4)第三者保護の観点と取消しの主張ができる期間
旧法では、錯誤による意思表示を前提に、新たに、法律関係に入ってきたような第三者について、保護の規定がありませんでした。
新法では、「善意で過失がない第三者に対抗することはできない」(新法95条4項)と明記されました。詐欺における第三者保護と同様の規定となっています。
なお、新法では錯誤の効果は無効から取消しになりましたので、取消しは追認をすることができる時から5年に限定されます(法126条)。

 

◆詐欺
(1)一般の詐欺
詐欺とは、人を欺罔(欺き騙すこと)して錯誤に陥れる行為です。相手方の詐欺に基づいて意思表示を行ってしまった場合、表意者は原則としてこれを取り消すことができます。
通常の詐欺による意思表示の取消しをする際、取り消される法律行為を前提に取引行為に入った第三者がいる場合には、その第三者が善意で過失がない者であれば、その第三者を害してまで取り消すことはできません。新法は、第三者が無過失の場合も明文化しました(新法96条3項)。

(2)第三者詐欺
相手方以外の第三者が詐欺を行ない、表意者が騙される場合(第三者詐欺といいます)もあります。
新法では、第三者詐欺の場合、意思表示の主体の相手方がその事実を知っていたときのみならず、知ることができたときも、取消しが可能としました(同2項)。これは、心裡留保でも過失によって心裡留保を知らなかった相手方に対して無効となることと整合を図ったものといわれています。

 

◆強迫
強迫とは、害意の告知を行ない畏怖させる行為です。強迫されて意思表示をしてしまった場合、取り消すことができます(法96条1項)。
強迫は、第三者よりも、強迫により意思表示をさせられてしまった者を保護する必要があるので、第三者保護の規定がありません。強迫については改正はありません。

【改正民法債権編】意思表示の合致

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【改正民法債権編】に関して、意思表示の合致について考えてみたいと思います。

東京都世田谷区の車庫証明は【090-2793-1947】までご連絡を

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意思表示の合致

判例法理が反映された意思表示に関する規定

◆意思能力
「法律行為」という言葉があります。これは、当事者がその意思に基づいて一定の法律効果の発生を求めて行う行為を意味します。
例えば、コンビニでお弁当を買ったり、家を賃貸したりするのもすべて法律行為です。
法律行為が有効に成立するためには、旧法下では判例により、法律行為の当事者に意思能力(法律行為の結果を弁識し、有効に意思表示をする能力)が必要とされていました。
新法では、この点を「法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は無効とする。」(新法3条の2)と明記しました。

 

◆意思表示の合致・意思表示の受領能力
申込みと承諾があれば意思表示の合致となり、契約が成立します。
新法では、旧法にあった「隔地者に対する」という文言を削除し、意思表示は相手方へ到達したときに効力が発生する到達主義を維持しました(新法97条1項)。また、相手方が正当な理由なく意思表示の通知が到達することを妨げた場合には、その通知が通常到達すべきであった時に到達したものとみなす旨を、新たに規定しました(同2項)。

意思表示の受領能力については、未成年者、成年被後見人のほか、意思能力を欠いている者(新法3条の2)も加え、それらの者(相手方)へした意思表示は、相手方に主張できない旨も明記しました(新法98条の2)。
なお、例外的に、①相手方の法定代理人、②意思能力を回復し、又は行為能力者となった相手方が、その意思表示を知った後は、その相手方ないし法定代理人は内容を理解できるので、有効な意思表示になりますが、その旨も明記されました。

 

◆条件・期限
たとえば、ある物を贈与する場合には、「2022年8月10日に」と書いてあれば、必ず来るので期限です。これに対して、「1USドルが60円になったならば」と書いてあれば、必ず実現するとはいえないので条件です。
新法では、判例法理で認められていた不正な条件成就につき、「条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。」と規定しました(新法130条2項)。

 

◆無効と取消し
契約は、前記のように意思能力がない場合や、瑕疵がある場合に無効や取消しになります。旧法では、無効の効果についての規定はありませんでしたが、新法ではそれを規定しました。
まず、取消しの効果は、旧法と同じく「初めから無効」です。そして無効の効果としては、「無効な行為に基づく債務の履行として給付を受けた者は、相手方を原状に復させる義務を負う。」(新法121条の2第1項)ことになります。

この原状回復義務には2つの例外があります。
【例外1】・・善意の無償行為
「善意」とは、法律用語で「ある事実を知らないこと」をいいますが、下記の場合には、現存利益を返還すれば足ります(同2項)。
①無効な無償行為に基づく債務の履行として給付を受けた者で、給付を受けた当時その行為が無効であることを知らなかったとき
②給付を受けた後に取消しにより初めから無効とみなされる行為で、給付を受けた当時に取り消しうることを知らなかったとき
現存利益の返還とは、たとえば取引で1000万円受領しても300万円浪費してしまった場合には、700万円を戻せばいいというものです。

【例外2】・・意思無能力者等の行為
行為時に意思能力を有しなかった者や行為時に制限行為能力者(未成年者、成年被後見人等)であった者も、現存利益の返還で足ります(同3項)。
なお、取消しは無効と異なり、期間制限があります。取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないとき、あるいは行為の時から20年経過したときは、時効によって消滅します(新法126条)。

【相続・遺言について】相続時精算課税制度

世田谷区砧で車庫証明、相続、遺言が得意な行政書士セキュリティコンサルタントの長谷川憲司です。

今回は、【相続・遺言】に関して、相続時精算課税制度について考えてみたいと思います。

世田谷の相続・遺言・成年後見は090-2793-1947までご連絡を

 

【Q】相続時精算課税制度の利用を考えていますが、具体的にはどのようなメリット、デメリットがありますか?

 

【A】◆1.相続時精算課税制度の概要

相続時精算課税制度は平成15年度より設けられました。

この制度は、原則として60歳以上の父母又は祖父母から、20歳以上の子又は孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、その名のとおり、相続時に税額を精算する制度です。

具体的には、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納付し、その贈与者が亡くなったときに、すべての贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額を合計した金額を基に計算した相続税額から、すでに納付した贈与税額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

この制度を利用した場合、贈与財産が2500万円を限度として贈与税が非課税となり、非課税枠を超える部分について一律20%の課税となります。

 

◆2.メリット

①必要な時期に財産移転ができる。
相続はいつ発生するかわかりませんが、相続時精算課税制度を利用すると、子がお金を必要とする時期に贈与することができます。贈与する財産の評価が変わらなければ、相続時精算課税による贈与をしても、相続時まで贈与をしなくても、結果的に税額は変わりません。相続時に相続税がかからないと想定される場合には、相続を待たずに早めに財産を移転できます。

②一度にまとまった金額を贈与できる。
相続時精算課税制度では、2500万円まで贈与税がかかりません。また、2500万円を超えた金額に対しても、一律20%の課税となります。例えば、父から20歳以上の子が一度に2500万円の贈与を受けた場合、暦年課税制度では、贈与税が810万5000円「計算式:(2500万-110万)×45%-265万」となりますが、相続時精算課税制度では、贈与税がかかりません。

③アパートなどの収益物件や、将来値上がりしそうな財産を贈与すれば相続税対策になる。
アパートなどの収益物件は、賃料が入ってくるため、その分相続財産が蓄積されていきます。早期にアパートを子に贈与すれば、その後の賃料は子の収入となりますので、相続財産の増加を防ぐことが出来ますし、子にも収益を帰属させることが出来ます。

また相続時精算課税制度において、相続時に相続財産と合計される贈与財産の価額は、贈与時の価額ですので、株式や土地といった将来値上がりしそうな財産を、価格の低い時期を選んで生前贈与すれば、相続財産の評価額を低く抑えることができ、相続税対策になります。

④生前に財産の分割が出来る
いままでは、遺言をすること以外に、親が相続に関して意思を表示することができませんでした。相続時精算課税制度を利用すれば、遺言によらず、生前に親の意思に即した財産の分配を行うことができ、相続時のトラブルを回避することができます。ただし、遺留分の考慮をする必要があります。

 

◆3.デメリット

①いったん相続時精算課税制度を選択すると、暦年課税制度には戻れない
相続時精算課税制度を選択すると、その贈与者については従来からある暦年課税制度に戻ることはできず、年間110万円の基礎控除が使えなくなります。
従って、少額の贈与でも、必ず贈与税の申告が必要になります。また、2500万円の非課税枠を使い切っていれば、20%の贈与税を納めなければなりません。

②相続財産を減らせるわけではない
相続時精算課税制度での贈与財産は、相続時に相続財産に加算されますので、生前贈与をしても直接的な相続財産の減少にはなりません。これに対して、暦年課税の贈与税には、受贈者1人につき1年間に110万円の基礎控除があるため、少ない税負担で確実に財産を減らすことができ、しかも相続財産には加算されません。

③生前贈与した財産が値下がりしたときは不利になる
相続時精算課税制度において、相続時に加算される金額は、贈与時の評価額ですから、財産の価値が相続時に値下がりしていても贈与時の高い評価額で相続税が計算されますので不利になります。

④小規模宅地等の特例の適用を受けることができない
小規模宅地等の特例の適用を受けることができるのは、相続や遺贈により居住用住宅地等や事業用宅地等を取得した場合です。相続時精算課税制度により生前贈与した財産が居住用住宅地等や事業用宅地の場合には、その取得原因が贈与ですから、相続時において小規模宅地等課税価格の特例は適用されません。

⑤生前贈与で取得した財産は物納できない
暦年課税制度では、相続開始3年以内の贈与財産は相続財産に加算されますが、物納の申請は可能です。これに対し、相続時精算課税制度で生前贈与した財産については、贈与時の時価で相続財産に合算されますが、物納対象とはなりません。

⑥将来、相続税の税制改正があり、相続税が課税される可能性がある
現行法のもとで相続税がかからないと見込んで相続時精算課税制度を利用したとしても、将来、相続税法が改正され、相続税が課税される可能性があります。

⑦生前贈与された現金等を消費して相続税が払えない可能性がある
生前贈与された現金等の財産を消費して無くなっていたとしても、相続時精算課税制度を選択して贈与した財産には将来相続税が課税されますので、注意が必要です。